日向高校




























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最終章
最高のライブ
久美「よしっ!3年生を気持ちよく送り出す為に精一杯やるよ!!」
『はいっ!!』ライブ当日、七瀬からもらった音符の付いた衣装に着替えたメンバー。
部室で円陣を組んで、キャプテンの久美が声出しをする。
いつもはステージ脇で行うが、ある理由で部室で行うことになった。

久美「カントクから一言お願いします!」
和也「いつも通り最高のパフォーマンスをしよう!みんなの笑顔は沢山の人を幸せな気持ちにしてくれるから!頑張ろう!」
『はいっ!!』みんなが大きな声で笑顔で返事をする。

久美「それじゃいくよ〜!せーの!」
『空まで届け ぽかぽか キュン ひとりじゃない 仲間とともに 高く飛べ 日向高 ひー!!』
円陣が終わり気合いを入れた。
そして、ライブの時、恒例の行事が始まった。

史帆「としちゃんのことちゃんと観ててね?」
和也「もちろん」
史帆は和也にギュッと抱きついた。
これが部室で円陣をする理由だった。
今回は吹奏楽部と合同なので、ステージ脇だと見られてしまう。
メンバーはそれでもかまわないと言ったが、さすがに和也が止めた。

美玲「みーぱんも頑張るから和くんも頑張ってね?」
和也「うん。美玲の最高の笑顔期待してる」
次々とメンバーとハグをしていく。

菜緒「……。よしっ!頑張る!」
和也「頑張れ。期待してる!」

美穂「いってきます!!」
和也「いってらっしゃい。陽だまりの様な笑顔期待してる」

ひなの「先輩、私、最高のパフォーマンスしてきます!」
和也「うん!ひなのなら出来るよ」

最後のひなのとのハグが終わる。
そして、『パァァン』久美とは何も言わず、力強くハイタッチをした。

白石「終わったね!さぁ、行こうか!」
『はいっ!!』白石が部室に入ってきて、メンバーを見送る。
白石「今日も最高な演奏頼むよ?」
白石は和也の頭を『クシャクシャ』と撫でた。
和也「りょーかいです!」
和也も部室を出て体育館に向かった。

『次はアイドル部と吹奏楽部によるライブです!皆さん、盛り上がりましょ〜!』
放送部の人がアナウンスをして、みんながステージに出ていく。

『うぉ〜〜!』アイドル部の姿を見ると、全校生徒から歓声が湧き上がる。

久美「みなさん!盛り上がってますかぁ〜?」
『イェーイ!!』ライブ前の先生達の余興で盛り上がってることもあり、体育館全体のボルテージはMAXに上がっている。

美玲「今回のライブは吹奏楽部と合同になります!」
史帆「いつもとは違うアイドル部を観て下さいね!」
菜緒「それでは聴いてください。ドレミソラシド」

菜緒の合図と共に、吹奏楽部の顧問がタクトを振る。
『oh oh oh…』演奏が始まり、アイドル部も歌い始める。

新衣装に包まれ、ピアノだけではない他の楽器を使った力強い演奏。
いつもとは違う空気にメンバーは楽しんでいた。

京子「次の曲はこれから夢に向かって進む先輩方を応援する曲です」
彩花「いつもとは違うアレンジになっているので、みなさん楽しみにしてて下さいね〜!」

(いつもとは違うアレンジ!?)
和也はその事を聞いていなかった。
少し動揺しながらも演奏を開始した。

『君はどんな夢みてるか?何も語らずに…』
Aメロはいつも通りで、その後も何事もなく1番が終わっていく。
そして、2番のBメロの時にいつもとは違う事が起きた。

『楽しちゃ意味がない 汗かくしかない』
3列目のメンバーが通常通り歌詞を歌うと、1列目、2列目のメンバーが『頑張って!!』といつもとは違う振りをした。

(みんな…)その姿を見て和也は目頭が熱くなった。
アイドル部なりに最高の形で3年生を送り出そうとしたのであろう。
その粋な計らいに涙する生徒もいた。

そして、初めての合同ライブは体育館の大歓声で終わった。

しゃもじ ( 2022/06/28(火) 11:47 )