日向高校




























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最終章
大事な忘れ物
好花「うー、熱っ!でも、美味しい〜!」
キムチ鍋が出来上がり、食べ始める3人。
好花「あれ?鈴、お腹空いてないの?」
鈴花「えっ、あぁ、ちゃんと食べてるよ!鍋ってやっぱり上がるよね〜!」
鈴花はさっきのことを引きずっているのか、時折、和也のことを見つめる。

しかし、和也は鈍感なので、そんな事に気づくわけなく、バクバクと鍋を食べていた。

和也「そろそろかな?」
鍋の中に入っていた具材もなくなり、ほとんどスープのみになっていた。

好花「なにがですかー?」
和也「2人共、まだ食べれる?」
鈴花「んーっ、お米を食べてないからまだ大丈夫ですけど」
好花「そういえばご飯食べてへん!あれ?先輩、さっき炊いてなかったですっけ?」
和也「ふふっ、待ってて」
和也は立ち上がり台所に向かった。

そして、卵とご飯を持って戻ってきた。
鈴花「これって雑炊ですか?」
和也「そうそう、準備するからちょっと待っててね」
そう言って、鍋の中に卵とご飯を入れて、煮詰めていく。

好花「先輩は本当いい旦那さんになりそうですね〜!」
鈴花「先輩のお嫁さんになったら絶対幸せだろうな〜」
和也「いやいや、大袈裟だって!今時、料理できる男の人なんて結構いるよ」
好花「でも、先輩みたいに優しい人は中々いませんよね?先輩が意地悪してる所見たことないですよ?」
『ピクッ』意地悪と言うワードに反応する和也と鈴花。

和也「あははっ、そんなことないよ!」
なんとか笑って誤魔化そうとする。
好花「えーっ、最近はどんな意地悪したんですかー?」
和也「それは、えーっと…」
鈴花「あっ!先輩、そろそろ食べれるんじゃないですか?」
和也「そ、そうだね!これ好花の分」
和也は好花の器に雑炊を入れる。

好花「うわぁ!美味しそうです!」
好花の気を引かせることに成功した。
鈴花も安心したのか雑炊を食べ始めた。

好花「後片付けはやるので、先輩はお風呂に入ってください!」
鈴花「そうそう!後は任せてください!」
和也「えっ、でも悪いよ」
好花「何言ってるんですか!逆に入ってもらわないと、私達が申し訳なく感じちゃいますよ!」
和也「そっか。それもそうなのかな?じゃあ、お言葉に甘えて」
和也は着替えを持ってお風呂場に向かった。

(そういえばここで鈴花と…)
洗面所の鏡であの日のことを思い出した。
平然としていたが、和也も興奮が抑えきれてなかった。
(いやいや…ダメだ)和也は顔を横に振って、考えていることを振り払う。

すると、『コンコンッ』とドアをノックする音が。
好花「お邪魔しまーす」
ニコニコと笑った好花がドアを開ける。
和也「どうしたの?忘れ物?」
好花「忘れ物っちゃ忘れ物です!」
好花はそう言うと、和也に近づいてくる。

好花「先輩、ちょっとしゃがんでください?」
和也「んっ?どうした?」
和也は目線を好花の目線に合わせる。

好花「大事なこと忘れてました…」
好花の顔が近づき唇を重ねた。
和也は驚き、目を大きく開く。
好花「そんな見んどいてください。恥ずかしいです…」
一度離れた唇がもう一度重なり、柔らかい舌が和也の口の中に侵入してくる。

口の中では柔らかい感触と、キムチの味が広がったのであった。

しゃもじ ( 2022/05/31(火) 10:47 )