日向高校




























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最終章
2人の花
好花「お料理してるところいいですか?」
鈴花がお風呂に行った後に、好花が和也の横に並ぶ。

和也「いいけど、野菜切ってる所見ててもつまんないよね?」
好花「そーいうことじゃないんやけどなぁ〜」
相変わらずの鈍感っぷりに好花は苦笑いする。

和也は好花の想いも知らず、淡々と鍋に入れる野菜を切る。
好花「先輩、本当にお料理が上手になりましたね?」
和也「合宿の時のこと言ってる?」
好花「あははっ、バレました?」
和也「バレバレ。でも、あの時に比べたら上手になったのかな?みんなが食べてくれる様になったしね?」
好花「あの時だって食べようと思ってましたよ〜!」
和也「ふふっ、本当かな?よしっ!これぐらいでいいかな」
切った具材を鍋に入れて蓋をする。

好花「もう終わっちゃったんですか?」
和也「うん。あとは好花がお風呂に入ってる時に、煮詰めれば出来上がり」
好花「そうなんですね!なら…えいっ!」
好花は和也の胸に飛び込み、ぎゅーっと力を入れる。

和也「うわぁ!突然どうしたの?」
好花「こういう時じゃないと、先輩にくっつけないですもん」
(鈴には悪いけど、今だけ先輩を独り占めさせてな)
好花は心の中でそう思い、和也の胸に耳を当てる。

好花「先輩の心臓の音…なんか大きいですよ?」
和也「ふ、普通だって…それよりちょっと痛いよ」
好花「この痛みは今まで私を放置してた罰です!」
和也「放置ってなんのこと…そんな記憶がないんだけど…」
好花「早く気づいてくれないと拗ねちゃいますからね〜」
そう言って好花は和也から離れた。

すると、『ガチャ』とドアが開き、鈴花が戻ってきた。
鈴花「お風呂お先でした〜!あれ?2人ともどうしたんですか?」
好花「なんでもないよ!なら、次は私が入ろっかな〜!先輩、お先です!」
好花は着替えを持って、お風呂場に向かった。

鈴花「このちゃん、なんか焦ってましたね?なんででしょう?」
鈴花は和也に近づき、ジーッと見つめる。

和也「なんでなんだろうね。わかんないや」
鈴花「ほんとですか?」
和也「うっ…ほんとだよ」
鈴花「なら、なんで先輩からこのちゃんの匂いがするのでしょう?」
和也「えっ?うそっ?」
和也は自分の服の匂いを嗅ぎ始める。

鈴花「ぷぷっ、あははっ!先輩って本当に嘘つけませんね!」
鈴花はお腹を抱えて笑い出す。

和也「えっ?どういうこと?」
鈴花「なんでもないですよ。ねぇ、先輩?」
さっきまで笑顔だった顔が、急に真剣な顔になる。
そして、好花と同様に鈴花も和也に抱きついた。

鈴花「さっき思い出しちゃった…」
和也「思い出したってなにを?」
鈴花「あの日の脱衣所のことです」
鈴花はそう言って、目をつぶってゆっくり顔を近づけた。

■筆者メッセージ
矢室竜也さん
コメントありがとうございます!
毎日投稿ができない日もあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします!
しゃもじ ( 2022/05/28(土) 10:35 )