日向高校




























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最終章
女の怖さ
菜緒と一緒に登校していると、菜緒は珍しく腕を組んでくる。
外が暗かったり周りに人がいない時は組むことが多いが、朝からましてや人がいる時に腕を組んでくるのは珍しかった。

和也「なんか珍しいね?」
菜緒「そう?なんか、今日はそういう気分なの。いやだ?」
和也「菜緒に腕を組まれて嫌がる男なんていないよ」
菜緒「なにそれ?和くんだからだよ?和くん以外にこんなことしないもん」
人目を気にしずに、組む力を強くして胸に抱き寄せる。

そして、学校に着くと和也は行く所があったので菜緒と別れた。
菜緒「またね!洗濯物よろしくお願いします」
菜緒が言う洗濯物とは、昨日持ってきたパジャマと下着のことだ。
家を出る前に、いつでも泊まりに来れるように置いていきたいと頼まれた。

和也「うん。ちゃんと約束守るんだよ?」
菜緒「わかってるよー!」
菜緒を見送って和也は自分の教室ではなく、隣の教室に入った。

京子「あれっ?和、珍しいじゃん?」
彩花「おはよ〜!もしかして私に会いにきてくれたの?」
和也「おはよ。うーん、ちょっと違うかな?あっ、いたいた」
和也は吹奏楽部の部長の元に向かった。

彩花「はっ?まさかの浮気!?」
京子「ちょっと和!?」
芽依「にゃー!!」
和也の行動にみんなが騒ぎ出す。

部長「あっ、おはよう。どうしたの?」
和也「おはよ。あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど」
部長「どうしたの?」
和也「今日からアイドル部と合同練習にしてくれないかな?」
部長「今日から!?うーん。でも大丈夫かな?」
和也「みんなもピアノと音以外でやるのが初めてだから、早めに合わせて置きたいんだ」
部長「そう…だね。うん、わかった!」
和也「ありがとう。それじゃまた放課後」
和也は話が終わり、京子達の元に戻った。

和也「そういうことだからよろしくね?」
京子「なーんだ!浮気じゃなかったんだ!」
彩花「私は初めからわかってたんだけどね〜!」
芽依「あや、めっちゃ疑ってたで?」
彩花「そんなことはいいの!今日から和也くんと一緒に出来るだね〜!」
京子「そんなに私に会いたかったんだ?」
芽依「えっ?めいやろ?」
和也「さぁね?じゃあ俺は白石先生の所に行ってくるから」
和也はそう言い残して教室を出て行った。

確かにみんなと一緒にやりたかったこともあるが、菜緒が心配だった。
無理して風邪を拗らせないか近くで様子を見たかった。
この話をみんなにしたら、また贔屓と言われてしまうが、和也は菜緒に風邪をひかせた責任を感じているので、予定よりも早く合同で練習することにした。
もちろん菜緒だけでなく、他のメンバーでも今回と同じ状況になったら同じ行動を取っていた。

白石の元に向かい、承諾を得てから教室に戻った。
美玲「あっ!和くん遅ーい!」
教室に入ると美玲が和也の席に座っており、その上に史帆が座っていた。
史帆「和くーん!おはよぉ〜!」
史帆は和也の元に駆け寄り抱きつく。

和也「おはよ。史帆は朝から元気だね?」
史帆「和くんがいるからね〜!んっ?」
史帆は『くんくん』と和也のブレザーの匂いを嗅ぐ。

和也「な、なに?どうしたの?」
史帆「なんかこしゃの匂いがする…」
和也「どんな嗅覚してんの…。ここまでくると怖いよ」
史帆「今日はこしゃと登校したの?」
和也「うん。そうだよ」
史帆「ふーん。まぁ、他の女の子じゃなければいっか!」
史帆はすぐにニコッと笑い、和也の手を引いて歩く。

和也「みんなもおはよ」
美玲「おはよ〜!今日から吹奏楽部と合同で練習するんだってぇ?」
和也「情報早いね。うん、今日からまたよろしくね?」
史帆「やったぁ〜!これでとしちゃんは本調子になれる〜!」
愛奈「ここ最近ずっと白石先生に怒られてばっかやったもんな?」
史帆「ちょっとまなふぃ!!」
逃げていく愛奈を史帆が追いかけていく。

美玲「もう少し時間がかかるって聞いてたけど、早かったね?」
和也「早めに合わせておいた方がいいと思ってね」
美玲「本当にそれだけ?」
和也「えっ?どうして?」
美玲「うーん。なんか他にもあるような気がするんだよね〜!」
どうしてこうも女の勘は鋭いのか。和也の目が泳ぎそうになる。

美玲「ん〜!まぁ、気のせいだよね!みーぱんも和くんと一緒に出来て嬉しい!和くんが居ない間も頑張ったから褒めてぇ〜!」
抱きついてくる美玲の頭を撫でて、和也はバレてないことに関して一安心したのだった。

しゃもじ ( 2022/05/20(金) 19:12 )