日向高校




























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最終章
痩せ我慢
吹奏楽部に練習に行って数日が経った。
演奏もそれなりの形になり、近いうちに合わせてレッスンが出来る程だ。

アイドル部の方も順調にいっているらしい。
部活に行っていないのに和也はアイドル部の状況に詳しかった。
それは和也が吹奏楽部に行ってから、いつも以上にメンバーに絡まれているからだ。

史帆「和くん、聞いて!としちゃん、頑張ってるんだよ〜!」
美玲「みーぱんも!前よりダンスが良くなったねって白石先生に褒められたんだぁ!」
朝や休み時間の度に教室まで訪れて、和也の机を取り囲む。

そして、それは絡まれるだけではなく、スキンシップも激しくなった。

美穂「先輩?ピアノばっかり弾いてて手が疲れましたよね?マッサージしてあげます!」
美玖「和くん、頭ポンポンして?そしたら頑張れるから」
陽菜「ふーっ!師匠の膝の上は落ち着きます」
ひより「陽菜、次はひよたんの番だからね!」
部活で和也に会えない寂しさを紛らわす為に時間があれば絡んでいた。

和也「それじゃ、また明日」
吹奏楽部での部活が終わり、学校を出る。
和也「まだまだ寒いな…」
遅くまで練習していたので、外は暗くなっており、昼間より冷えていた。
美玲から貰ったマフラーを巻いて歩いていると、校門で人影が見える。

和也「菜緒…?」
近寄っていくと菜緒が立っていた。
菜緒「和くん、お疲れ様」
和也「お疲れ様。どうしたの?誰か待ってるの?」
菜緒「和くん待ってた」
和也「俺を?ってか、どれだけ待ってたの!?」
菜緒は鼻を赤くして少し震えていた。

菜緒「17時ぐらいかな…」
和也「えっ?2時間も待ってたの?」
菜緒「そうやね…」
和也「連絡してくれればよかったのに…」
菜緒「練習の邪魔したら悪いやろ?和くんも頑張ってるんやし」
菜緒はそう言ってぎこちなく笑った。

和也「嬉しいけど無理しないでね?」
和也は菜緒にマフラーを巻いた。
菜緒「大丈夫やよ?てか、自分のマフラー巻いてるよ?」
和也「二重にした方が暖かいでしょ?」
和也は菜緒の手を握りブレザーのポケットに入れた。
菜緒の手はすごく冷えており冷たかった。
菜緒「ありがとう…」
和也「風邪引いちゃうから早く帰ろ?」
菜緒は頷き歩き出す。

和也「それで何か用事あった?」
菜緒「ううん、和くんと最近話せてなかったから、少し寂しかっただけ」
和也「そっか。もう少しで一緒にレッスンできるから、それまで待っててね?」
菜緒「うん。わかった」
菜緒は『ニコッ』っと優しく微笑んだ。

菜緒「あっ、そうや。今日、和くんのお家泊まっていい?」
和也「いいけど、大丈夫なの?」
菜緒「んっ?何がー?」
和也は菜緒が元気がなさそうだったので気になっていた。

和也「いや体調とか」
菜緒「全然大丈夫やよ?和くんに会えたから元気!」
和也「それならいいけど。着替えはどうする?」
菜緒「今、お家向かってるやん?」
和也「あっ、そっか」
菜緒の家に着替えを取りに行き、2人は和也の家に向かった。

和也「お風呂入れてくるから、ちょっと待ってて?」
家に着いて、菜緒の身体が冷えていた事が気になったので、すぐにお風呂にお湯を溜めに行った。

和也「ご飯何が食べたい?」
「……。」リビングに戻り、菜緒に話をかけたが返答がない。

和也「菜緒?」
ソファを確認すると、菜緒が息を荒くして横になっていた。

しゃもじ ( 2022/05/16(月) 18:47 )