日向高校




























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第26章
何事も一緒に
「師匠!大変です!」陽菜の大きな声が聞こえて、陽菜を見ると変わり果てたジャガイモの姿が。

陽菜「ごめんなさい…」
陽菜が泣きそうな顔をしている。

和也「これはこれで個性的だね?でも、次はこれ使う?」
和也は皮剥き器を陽菜に渡した。

陽菜「はい。陽菜には包丁は早かったです」
陽菜は和也から皮剥き器を受け取る。

陽菜「和くんはやっぱり優しいね」
和也「陽菜は頑張り屋さんだね」
そう言って2人は目を合わせて微笑み合った。

その後、調理は進んでいき、台所にはカレーの匂いが広がる。

陽菜「すごいいい匂いです!」
陽菜は和也の横で飛び跳ねて喜んでいる。

和也「美味しいか分からないけどね」
陽菜「和くんのお料理なら絶対美味しいよ!」
和也「ありがとう。そこの棚から皿取ってくれる?」
「うんっ!」陽菜はそう返事をして、食器を取りに行く。

そして、炊き立てのご飯の上にカレーを盛り付ける。
その横で陽菜が「ふふふっ」と笑っている。

和也「どうしたの?」
陽菜「嬉しくなりました!」
和也「また急だね?どうしたの?」
陽菜「和くんがカレーに人参を入れてないことがです!優しいなって思いました!」
普通はカレーに人参を入れるが、今回作ったカレーに人参は入らなかった。
陽菜が人参嫌いなので、和也が気を利かせたからだ。

和也「これなら陽菜も食べやすいでしょ?」
陽菜「うんっ!」
陽菜が盛りつけたカレーとサラダをテーブルに持っていく。

和也「なんか配置おかしい様な…それに、前もこんなことあった気がする」
陽菜が置いた皿は対面ではなく、横並びだった。

陽菜「こっちの方が和くんと近くにいれるから」
陽菜は少し顔を赤くして俯く。

和也「そっか。それもそうだね!なら、お腹空いたし食べよ!」
和也が座ると、陽菜も横に座る。
陽菜が少し椅子をずらして、普通に座って肩が触れ合う程になっていた。

『いただきます!』カレーをスプーンですくい、口の中に入れる。

陽菜「美味しいです!」
和也「ほんどだ。上手に出来たね」
陽菜「和くんはすごいです!さすが師匠です!」
陽菜に褒められて少し照れくさい表情をする。

和也「陽菜の切ってくれたジャガイモもいい感じだよ?」
陽菜「えへへっ、和くんとお料理するの楽しかったです!」
隣で笑顔の陽菜を見て気持ちが和む。

その後、陽菜は残さずカレーを食べ終えた。

和也「先にお風呂入っておいで?」
陽菜「ダメですダメです!和くんが先に入ってください!」
和也「俺は片付けするから後でいいよ」
陽菜「ダメです!」
頑なに断る陽菜。和也はどうするか考えていると、「一緒に入ろ?」と小さな声で陽菜が呟く。

和也「えっ…」
まさか陽菜の口からそんな言葉が出ると思わなかったので、唖然としてしまう。

陽菜「一緒にお片付けして、一緒に入りたいです」
陽菜は顔を真っ赤にしながら、ウルウルした目で和也を見つめていた。

しゃもじ ( 2022/04/20(水) 19:54 )