日向高校




























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第26章
お弁当と残った味
史帆と別れて教室に戻る。
紗理菜「なんかどっと疲れた顔してるね?」
和也「もう今日は疲れたよ…」
愛奈「今日はまだ始まってへんけどな?」
和也「HRが始まるまで寝るから起こしてくれるかな?」
優佳「わかった。ごゆっくり〜!」
和也は机に顔を伏せて、目をつぶった。

「おーい!おーい!」耳元で聴こえてくる声。
その声に反応して、和也は目を覚ました。

和也「う、うーん。げっ!先生!」
白石「げってなによ、げって!」
和也「えっ、もうHR始まってます?」
白石「まだだけど、もうすぐ始まるから起きなさい?」
和也「わかりました。うーーん!」
固まった身体を伸ばしてほぐす。

白石が教卓に立ち、HRが始まる。
「先生ー!俺、先生からチョコ欲しいです〜!」
「俺も〜!」
HRが始まると、男子生徒が先生に絡み始める。

白石「えぇー、どうしようかな〜!」
「男子だけずる〜い!先生、私も欲しいですー!」
男子だけではなく、女子からも声が上がる。

白石「みんなにあげたいところだけど、今回はお預けで!」
『えぇ〜!!』みんなが落胆する。
白石「はいはい!この話は終わり!」
HRが終わり、午前の授業が始まる。

和也は休み時間の度にもらったチョコを食べている。
(今日、チョコしか食べてない…)
朝から菜緒のチョコで始まり、ずっとチョコを食べ続けている。

そして、午前の授業が終わり昼休みになる。
「和くーん!」と美玲が教室まで迎えに来てくれた。

和也「わざわざ来てくれたんだね」
美玲「だって、迎えに来ないと、誰か連れてかれちゃいそうなんだもん!」
和也「さすがにそれはないと思うけど…」
美玲「ふふふっ、それじゃ行こっか?」
美玲に連れられて部室に向かった。

美玲「じゃじゃーん!和くんにお弁当作って来ました!」
和也「お弁当?」
美玲「チョコばっかりで飽きてきちゃうと思って、みーぱんはお弁当にしましたぁ!」
美玲がお弁当箱を和也に差し出す。

和也「ありがとう。正直言うと、チョコばっかり食べてて少し飽きてきてたんだ。だから、すごく嬉しいよ!」
美玲「おっ!みーぱんの読み通りだぁ!」
美玲はずっとニコニコしている。

和也「食べていいかな?」
美玲「召し上がれ〜!」
和也はお弁当の蓋を開けると、照り焼きチキンやおひたしなど、見るからに美味しそうなおかずが入っていた。

和也「めっちゃ美味そう!いただきます!」
照り焼きチキンを箸で掴んで、口の中にいれる。

和也「美味い!!」
思わず大きな声になってしまった。
美玲「あははっ!声、大きいよ〜!でも、嬉しい〜!」
美玲は身体をクネクネさせて、身体全体で喜びを表現している。

美玲「これも食べる?」
美玲は自分のお弁当箱に入っている照り焼きチキンを箸で掴んだ。

和也「えっ、いいよ。美玲のがなくなっちゃう」
美玲「大丈夫だよ!どうぞ?あーん!」
美玲は和也の口に箸を近づける。
和也はそれを『パクッ』と口の中に入れた。

和也「ありがとう。ほんと美味しいよ」
食べ終わって美玲にお礼を言う。
美玲「うーん、やっぱり味確かめたかったな〜!」
和也「ご、ごめん」
美玲「ううん、大丈夫だよ」
美玲はそう言うと、ゆっくり顔を近づける。
そして、唇が触れ合うと和也の口の中に舌を入れ込んだ。

和也の舌を見つけると絡め始める。
『グチュ、グチュ』部室に響く、舌と舌が絡み合う音。

美玲は満足したのか、顔を遠ざける。
美玲「うん!美味しかった!」
美玲は和也の舌に残った照り焼きを舌を絡めることで味わった。

そんな美玲を見て、思わずドキドキしてしまうのであった。

しゃもじ ( 2022/04/04(月) 20:00 )