日向高校




























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第26章
ぶりっ子と阿修羅
(なぜこうなったのだろう…)
和也を挟んで座る2人の女の子。

美穂「京子さんの髪の毛、ラーメンみたーい!!」
京子「はっ?触らないでくれる?」
美穂に対して阿修羅対応の京子。

美穂「うえーん!京子さんがいじめるぅ〜!」
明らかにやってるぶりっ子をしている美穂。

そして、この状況をどうしたらいいのか分からず、固まっている和也。

それは土曜日の午前中の部活からの出来事だった。

美穂「せーんぱい!今日、お泊まりに行ってもいいですか?」
部活の休憩中に和也に駆け寄ってきた美穂。
和也「今日?別にいいよ」
美穂「本当ですか?やったぁ〜!なら、部活が終わって着替えて取りに行ったらすぐに行きますね!」
和也「うん、わかった」
美穂は久しぶりの和也との2人っきりの時間を楽しみにしていた。

(そうだ。今日、新しい小説が出るんだった)
部活が終わり、帰宅中に好きな作家の新作が出ることを思い出した。
和也は美穂に『小説を買いに行くから少し遅めでお願い』とメッセージを送った。
美穂から了解と返事が来て、書店に寄って小説を買ってから帰宅した。

家に帰ると鍵が開いていた。
(鍵かけたはずだよな…)
和也は恐る恐るの玄関を開けると、『パタパタ』と家の中から足音が聞こえた。

和也は誰かがいることを察して身構える。
そして、リビングにつながるドアが開くと、「おかえり〜!!」とエプロン姿で満面の笑みの京子が出てきた。

和也「きょ、京子!?なんで家の中に!?」
京子「なんだって、メッセージ送ったでしょ?」
和也「メッセージ…?」
和也は鞄にしまったスマホを確認すると、美穂のメッセージの後すぐに京子からメッセージが来ていた。

和也「なるほど!じゃなくて、どうやって家に入ったの?」
京子「どうやってって…」
京子がポケットから何かを取り出そうとした時、「がお〜!」と後ろから声が聞こえた。

和也「あっ、美穂。早かったね?」
美穂「先輩に早く会いたくて待ちきれませんでした!って、あれ?京子さん?」
京子「美穂!?なんで美穂がここに!?」
美穂「先輩のお家にお泊まりにきたんです。てか、もしかして京子さんがあれ持ってたんですか?」
和也「あれってなに?」
和也が知らない何かが出回ってるみたいだ。

京子「そうそう!さっきの続きだ!和、これで入ったんだよ?」
京子らポケットから鍵を取り出した。

和也「なにその鍵?」
京子「なにって、このお家の合鍵だけど?」
和也「は、はぁ〜!?なんで家の合鍵を京子が!?」
美穂「まぁ、正しくは京子さんではなくてアイドル部みんなにですかね?」
和也「話が全くついていけない…」
混乱している和也を見て、美穂が説明をする。

美穂「ママとパパをお見送りした時に、ママが貸してくれたんです!和也がいない時に外で待つのも可哀想だからって!」
和也「いつの間にそんなやりとりを…」
京子「その合鍵を私が持っていたってわけ!」
美穂「もー!せっかく先輩と2人になれると思ったのに〜!」
京子「あははっ、残念でした〜!」
美穂「てか、京子さん。なんか、焦げた匂いしません?」
京子「あっ!やばっ!!」
京子は急いで台所に戻って行った。

和也と美穂も慌てて後を追うと、台所は煙で充満していた。
京子「ゴホッ、ゴホッ!和、ごめんなさい。お肉焦がしちゃった…」
京子は和也にお昼ご飯を作っていた。

和也「大丈夫だけど、京子は怪我とかない?」
京子「大丈夫だよ…ありがとう…」
和也「後は俺が処理しておくから、京子は危ないから座ってて?」
京子が持っていたフライパンを受け取り、和也は焦げたお肉の処理を始まる。

そして、そのついでに美穂と京子のお昼ご飯を作り、食べ終わって今に至る。

京子「和〜!お菓子食べるぅ〜?」
京子は完全に彼女モードに入っている。
美穂は普段とは違う京子の姿を見て唖然としている。

京子「美穂は見ないで!!」
美穂「せんぱぁ〜い!怖いですぅ〜!」
そうやって和也の腕に抱きつく美穂。

(この先どうなるんだ…)
和也はそんな2人に挟まれて、今日1日が不安になるのであった。

しゃもじ ( 2022/03/07(月) 21:12 )