日向高校




























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第24章
忙しい年末 2
和也「はい、もしもし」
美玲の家から出ると、史帆から電話がかかってきた。
史帆「あっ!!和くん!ちょっと聞いてよ〜!」
和也「えっ?なに?どうしたの?」
電話越しに聞こえる大きな泣き声。

史帆「もぉ〜!夏帆、泣かないの!」
どうやら史帆の妹が泣いているみたいだ。

史帆「和くん、ごめんね!それでね、聞いてよ!夏帆がね、前に和くんがとしちゃんにくれたぬいぐるみを欲しいって言うの!」
和也「旅行に行った時のクマのぬいぐるみ?」
史帆「そうそう!和くんにもらった大切なぬいぐるみだからダメって言ったら大泣きしちゃってさぁ〜!」
和也「なるほど。それは困ったね…」
夏帆「史帆おねーちゃんのいじわる〜!」
後ろから夏帆の声が聞こえる。

史帆「そうなのぉ〜!でも、このぬいぐるみはあげれないし…」
史帆もどうしたらいいのかわからないのか、泣きそうな声をしていた。
和也「うーん、1時間ぐらい待てるかな?」
史帆「1時間?和くん、どうするの?」
和也「俺がなんとかするから。ちょっと待っててね!」
和也は電話を切って走り出した。

駅に着くと、ちょうど電車が来ていたので、電車に乗り込んで隣町に向かった。
10分も経たない内に隣町について、デパートに走り出した。
そして、デパートに着いてある物を購入し、再び日向町に戻っていく。

『ピンポーン』史帆の家について、インターホンを押す。
「はーい」玄関が開くと史帆の母が出てきた。
史帆母「あら、和也くん。こんにちわ!」
和也「こんにちわ。史帆はいますか?」
史帆母「史帆なら2階にいるわよ。上がって?」
史帆の母に家の中に入れてもらい、2階にある史帆の部屋に向かった。

『コンコン』ドアをノックすると、「ママー?」と声が聞こえてドアが開いた。
史帆「あっ!和くん!!」
和也「お待たせ。夏帆ちゃんは?」
史帆「あそこで泣いてる…」
ベットを見ると、泣いている夏帆の姿が。

和也は夏帆に近づいて、袋からぬいぐるみを出した。
和也「夏帆ちゃん、こんにちわ。これ、夏帆ちゃんにプレゼントだよ?」
夏帆「和おにーちゃん、これ、かほにくれるの?」
和也「うん。少し遅れたけどクリスマスプレゼントだよ?」
夏帆「やったぁ!おにーちゃん、ありがとぉ!」
夏帆は和也からプレゼントを受け取ると、すぐに泣き止んで笑顔になった。

史帆「和くん、いいの?」
和也「うん。これで姉妹は仲直り出来たかな?」
史帆「うんっ!!和くん、大好き!」
史帆が和也に抱きつくと、「かほも和おにーちゃん大好き!」と、足に夏帆が抱きついた。

その後、少しの間、夏帆とぬいぐるみで遊んだ和也は史帆の家をあとにした。

史帆の家を出る頃には、外は夕日でオレンジ色に染まっていた。
家に帰っていると、またもやスマホがなった。
スマホを確認すると、菜緒からの電話だった。

和也「菜緒、どうした?」
菜緒「和くん、今から菜緒のお家に来れる?」
和也「今から?うん、わかった」
菜緒「気をつけて来てね〜!」
和也は次は菜緒に何かあったと思って、菜緒の家まで走った。

菜緒の家の前に着いて、インターホンを押そうとすると、玄関が開く。
菜緒「和くん、早かったね?」
和也「どうして来たってわかったの?」
菜緒「なんとなく。そんな気がしただけ」
和也「なんか怖いよ…」
菜緒「ふふっ、中に入って?」
和也「うん。お邪魔します」

和也は菜緒の家の中に入る。
和也「それで、なにをすればいいのかな?」
菜緒「えっ?どういうこと?」
和也「んっ?お願い事があるから呼んだんじゃないの?」
菜緒「違うよ?肉じゃがが美味しく出来たから、和くんに食べてもらいたかったんだよ?」
和也「そうなんだ。確かにめっちゃ良い匂いがするね」
菜緒「へへっ、そうでしょ!もう少しでできるから待っててね?」
和也「ありがと。そういえばお母さん達は?」
和也はソファに座って、疲れた身体を休める。
菜緒「ママはお風呂で、パパはまだ仕事だよ!」
和也「……。」
菜緒が返事をしても、和也からの返事がなかった。
菜緒「和くん?聞いてる?」
菜緒がソファに近寄ると、横になって寝ている和也がいた。

菜緒「寝るの早いなぁ〜!」
菜緒が和也のほっぺをツンツンしながら笑う。
菜緒「この感じだと今日はいっぱいお手伝いしたんかな?和くん、お疲れ様。ゆっくり休んでね?」
菜緒は和也のほっぺにキスをして台所に戻っていった。

しゃもじ ( 2022/01/26(水) 19:37 )