日向高校




























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第21章
たこ焼き奉行
「せんぱーい!せんぱーい!」
誰かが廊下で叫んでいる。その声が段々と近づいてきた。
美玖「先輩!あっ!かっこいい」
和也「美玖。急いでどうしたの?」
美玖「その姿すごくカッコいいです!じゃなくて菜緒が!」
和也「菜緒?菜緒がどうしたの?」
美玖「ちょっと一緒に来てください!」
和也「わかった。ちょっと行ってくる」
美玖と急いで教室を出る。
和也「んっ?これはどこに向かってるの?」
明らかに教室一年生の教室ではない所に向かっている。
美玖「ここです!」
美玖と来たのは調理室だった。
和也「なんで調理室?」
美玖「とりあえず入ってください。あとは任せました!」
美玖は和也の後ろに隠れている。
和也は恐る恐る調理室のドアを開けた。
すると、そこには想像もつかない光景を目の当たりにした。

菜緒「そこ!焼きが甘いで!何回言ったらわかるん?たこ焼きは焼きが大事やで!」
和也「こ…これは?」
普段大人しい菜緒が関西弁で大きな声を出している。
菜緒「まな!たこ焼きを回す時はこうやで!」
愛萌「は、はい!すみません!」
美玖「学園祭でたこ焼きの出店をやる事になったんですが、菜緒は大阪出身だから、血が騒いちゃったみたいで…。怖いから先輩に助けてほしくて」
和也「なるほど。確かにちょっと怖い…」
菜緒「美玖はどこにいったん??美玖〜?」
菜緒はキョロキョロしながら美玖を探している。
和也「美玖、菜緒が探してるよ?」
美玖「和くん、お願い!助けて下さい!」
和也「ふふっ、なんか久しぶりだね」
美玖「こんな時になんで笑ってるんですか〜!」
和也「美玖に和くんって呼ばれたの久しぶりだなって」
美玖「だって、中々2人っきりになれないから」
菜緒「そこで何してるん?」
美玖と話していると、後ろに怖い顔を菜緒が立っていた。
和也「菜緒!あの…これは…」
菜緒「和くん、その格好…」
和也「これ?学園祭の時の服だよ!ど、どうかな?」
先ほどの菜緒の姿をみて少しビビっている和也。
菜緒「和くん…」
和也「はい…」
菜緒「めっちゃカッコいいね!似合ってるよ!」
菜緒はすごい可愛い笑顔になった。
菜緒「執事さん姿だぁ〜!一緒に写真撮ろ!美玖、お願いしてもいい?」
美玖「えっ、あっうん。任せて!」
菜緒は美玖にスマホを渡して写真を撮ってもらった。
菜緒「ふふっ、嬉しいなぁ〜!てか、なんで和くんは美玖とここにおんの?」
和也「それは…美玖が菜緒がすごく頑張ってるから、見に来てくださいって来てくれたんだ!」
美玖「そうそう!菜緒が頑張ってるところ見て欲しくて!」
菜緒「なんや〜!おおきに!あっ、菜緒が作ったたこ焼き食べてくれへん?」
和也「いいの?お腹空いてたから嬉しいよ」
菜緒がご機嫌になってクラス中が安堵した。
いっそのことこのまま和也にいて欲しいと思うほどだ。
しかし、そんな時間もすぐに終わった。
和也「それじゃ、教室に戻るね」
菜緒「もういっちゃうんや。寂しい」
和也「ふふっ、たこ焼きごちそうさま。当日も楽しみにしてるね。お嬢様」
和也はそう言って菜緒の頭を撫でた。
菜緒「うん!絶対来てね!菜緒も絶対行くから!」
菜緒は笑顔で手を振ってくれた。

和也は調理室から自分の教室に戻る。
すると、教室の中はまたもや不思議なことが起こっているのであった。

しゃもじ ( 2021/09/09(木) 21:07 )