日向高校




























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第17章
大好きな人たち
先輩が昨日来てくれて、心が少し楽になった気がする。私はベットに横になりながらみんなのことを考えていた。教室でのたわいもない話や部活でのこと。なにより、先輩の笑った顔や色々な表情を。みんなのことを思うと自然に笑顔になる分、一緒に居れないことが悲しくて寂しい。(今頃みんなは部活の時間かなぁ〜。先輩は居場所を作ってくれると言っていたけど、どういうことかな。みんなに会いたいな)私は寂しい気持ちを押し殺すために眠りについた。目が覚めると外はもう暗くなっていた。時間を確かめる為にスマホを確認すると、先輩からメッセージが来ていた。先輩からのメッセージを確認すると、文章はなく動画が来ていた。私はその動画を再生した。
和也「今、「ドレミソラシド」の練習をしているよ。ここだと見にくいかな?ちょっと移動しまーす」
先輩は部活の風景を動画で撮っていた。先輩は体育館の高い位置に移動して、みんなのレッスン姿を撮っていた。
和也「今はフォーメーションの練習をしているよ。あそこが好花の居場所です。やっぱり、空いているのは寂しいから早く帰ってきてね」
メンバーは配置について練習しており、一ヶ所だけ空いてる部分があった。(あそこが私の居場所)
和也「ん〜。好花のポジションだけ見せたいけど難しいなぁ〜」
先輩は私の配置を見やすくしてくれるよう頑張っている。
好花「ふふっ。先輩って独り言多いなぁ〜」
私もつい独り言を言ってしまう。部活は休憩時間になり、先輩も移動している。「何撮ってるの〜??」画面は突然、史帆さん顔が映った。
和也「うわぁ、かとしか。びっくりした」
史帆「さっきから何撮ってるの〜?」
和也「ちょっとね。まぁ、内緒かな」
史帆「ぶーっ!意地悪!ねぇ、和君がみんなのこと盗撮してるよ〜!」
和也「かとし!そんな変なことしてないよ!」
美玲「えー和君が盗撮してるの〜?なら、みーぱんのこと可愛く撮ってね〜」
先輩にポージングを決めるみーぱんさん。
菜緒「わざわざ盗撮なんかしんくても、言えば撮らせてあげるのに」
先輩に駆け寄ってくる菜緒。
和也「いや、だから盗撮じゃなくて」
美穂「えー!先輩、盗撮の趣味があったの〜?」
みんなが先輩に近寄ってきている。
和也「盗撮じゃなくて、好花に練習風景を送る為に撮ってるの。自然体を撮りたいからみんなに言わなかったの」
久美「なんだぁ〜!盗撮じゃなかったんだ!」
史帆「好ちゃんの為か〜!それならそう言ってよぉ〜」
和也「だから、盗撮じゃないって言ってたのに。そうだ。この際だから、みんなから好花にメッセージ送ろ?」
鈴花「はいはーい!私から撮って下さい!好ちゃーん、元気〜?今、先輩が好ちゃんの為って盗撮してたんだよ〜!もう、盗撮されたくないから早く帰ってきて〜!」
和也「なんか人聞きが悪いな〜」
陽菜「好ちゃんがいないと、言い争う人がいねぇーので寂しいです」
和也「陽菜ってたまにおかしな喋り方するよね」
美穂「がお〜!早く元気になって、ごりごりドーナツで遊ぼうね!」
和也「ごりごりドーナツってなんなんだ」
みんなが一言ずつメッセージを言うと、先輩が絶対何かツッコミを入れている。それが面白くてずっと笑顔になる。
和也「みんな終わったね?」
久美「和也君がまだじゃん!」
和也「えっ?俺はいいよ!」
美玲「みーぱんが撮ってあげる!貸して〜」
みーぱんがスマホを受け取って、画面には先輩が映った。
和也「えーっと、好花の居場所はちゃんとあるよ?だから、早く元気になってね?」
先輩のTシャツは以前お笑いライブに行った時に、お揃いで買ったTシャツだった。それを見た瞬間涙が溢れた。
鈴花「ずっと気になってたんですけど、そのTシャツ、好ちゃんも持ってますよね?」
史帆「なに?和君どーゆうことさぁ!」
和也「いや、これはたまたまと言うか」
彩花「たまたまでそんなことが起きるかぁ〜!!」
みんなが先輩を追いかけている。
美玲「あー!みーぱんも行く〜!先生、これお願いします!和君待てぇ〜!」
スマホは白石先生の手に渡った。
白石「松田さん。いつもと変わらない風景でしょ?ただ違うのは松田さんがいないことだよ?寂しいから早く帰って来てね」
そこで動画は終わった。私は泣きながら笑っていた。「コンコン」誰かが来て扉をノックする。
看護師「好花ちゃん、ご飯持って来たよ。あれ?何で泣いてるの?どこか痛い?」
好花「違うよ。幸せすぎて泣いてるの」
看護師「幸せで?なにかいいことあったの?」
好花「大好きな人達から動画が届いたんだ」
私は看護師さんに動画をみせた。
看護師「いい友達をもったのね。この男の子、昨日来てた子だよね?もしかして、好花ちゃんの好きな人でしょー?」
好花「うん!私の大好きな人!みんなには内緒ね!」
看護師さんは嬉しいそうに笑っていた。私は本当にアイドル部の一員で幸せと感じたのだった。

しゃもじ ( 2021/06/29(火) 02:35 )