日向高校




























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第17章
自分の居場所
朝、教室に入るとアイドル部のみんなが騒いでいた。
和也「みんなおはよ。なんかあったの?」
和也は自分の席にかばんを置いてみんなに話しかけた。
鈴花「先輩!!このちゃんが!」
和也「好花がどうしたの?」
陽菜「このちゃんが入院しちゃいまいた」
和也「えっ・・・」
久美「少し前から体調が悪かったみたいで、病院にいったら検査入院することになったって」
和也「どこの病院!?」
菜緒「確か隣町の病院だって」
和也「ちょっと行ってくる!!」
美玲「あっ!和君!学校は?」
和也「体調不良で休んだことにしといて!」
和也は学校を飛び出して駅に向かった。駅に着いて切符を買おうとしたがあることに気づいた。(しまった!財布かばんの中だ!)和也は慌てて学校を出たので、かばんを自分の机に置きっぱなしにしていた。学校はもうすぐ授業が始まる時間なので戻るわけにもいかないので、和也は隣町まで走ることにした。たぶん今までの人生で1番必死に走った気がする。どれだけの時間が経ったか分からないが隣町に着いた。しかし、和也は隣町の病院がどこにあるかわからなかったので、調べようとしたが、スマホもかばんの中にしまっていたので調べる手段がなかった。とりあえず、駅に向かって近くの交番で場所を聞くことにした。交番で病院の場所を聞いて再び走り出した。そして、やっとの思いで病院に着いた。
和也「はぁ、はぁ、あの、松田好花さんの病室はどこですか?」
看護師「松田さんですね301号室になります」
和也「ありがとうございます」
和也は急いで病室に向かった。
和也「あった!ここだ」
「コンコン」和也はドアをノックした。
「はーい!どうぞ!」中から好花の声がした。「失礼します」和也はドアを開ける。すると、好花は和也の姿を確認すると驚いた表情をしていた。
好花「えっ・・・。先輩なんで?」
和也「好花が入院したって聞いて、心配で来ちゃった」
好花「えっ?でも、学校は?」
和也「体調不良で休んでるはず」
好花はベットから出て和也に抱きついた。
好花「はずってなんですかぁ〜」
好花は顔を和也の胸に当ててるので、泣いているかはわからないが、涙声になっていた。
和也「いや、みんなにはそう言っといたけど、どうなってるんだろう?」
好花「もう、先輩は本当にそそっかしいなぁ〜。でも、ありがとうございます。嬉しいです」
和也「あははっ、本当だね。しかも、かばんを学校に忘れたから携帯も、財布も持ってないよ!」
和也は笑いながら自虐ネタを話す。
好花「えっ?ならどうやってここまで来たんですか?」
和也「走ってだよ?病院の場所が分からなかったから、交番に行って聞いてきた」
好花「ぐずん。もぉ〜先輩ずるいですぅ〜」
好花が急に泣き始めた。それを見て焦り出す和也。
和也「えっ?どうしたの?俺なにかした?」
好花「先輩、ほんまにありがとう〜」
和也「えっ?感謝されてるの?」
しばらく好花は和也の胸で泣いていた。そして、泣き止んでベットに横になる。
好花「ただの検査入院やから、そんなに大事じゃないですよ〜!すぐに退院できますから!」
和也「そっか。よかった〜。入院って聞いたからひどい病気なのかと」
好花「最近疲れが取れなかったので、念のためにってやつですよ!」
和也「そっか。体調が悪かったのに、気づいてあげれなくてごめんね?」
好花「いえ、私の管理不足です。だから、先輩は悪くないですよ」
和也「ごめんね、ありがとう」
好花「でも、部活のみんなには迷惑かけちゃいますね。今日からもう一つの楽曲の練習に入るのに」
好花が言うように、「キュン」は新メンバーが入ったフォーメーションで仕上がってきたので、もう一つの楽曲の「ドレミソラシド」の練習を今日からすることになっていた。
和也「大丈夫。迷惑なんてだれも思わないよ?だから、安心して休むんだよ?」
好花「でも、部活に戻って自分だけ遅れてて、ちゃんと居場所ありますかね?」
和也「あるに決まってるよ?好花の居場所は絶対あるよ。好花の帰ってくる場所を絶対作っておくからね」
好花「先輩・・・。ありがとうございます」
和也「だから、まずは元気になろうね?」
和也は泣いている好花の頭を撫でた。
好花「先輩?一つお願いしていいですか?」
和也「うん。いいよ、どうした?」
好花「早く元気になりたいので、チューしてくれませんか?」
和也は頷いて好花にキスをした。
好花「嬉しい。これですぐ元気になれます!」
好花はいつもの明るい笑顔になった。しばらく、好花と話して帰ることにした。
好花「先輩、走って帰るんですか?」
和也「ん〜、散歩がてら歩いて帰ろうかな」
好花「いやいや!だめですよ!待ってて下さい!切符代渡しますから!」
和也「いや、いいよ!そんなの申し訳ないよ!」
好花「逆に私が申し訳ないですよ!」
好花と揉めていると、病室のドアが開いた。病室に入ってきた人は今の和也にとって最悪な人だった。

しゃもじ ( 2021/06/28(月) 00:04 )