日向高校




























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第17章
不信感
アイドル部に入部して2週間が経った。先輩はもちろん同級生の子も本当に優しい。特に最近は菜緒さんが甘えてきてくれる。
菜緒「未来虹〜肩貸して〜」
菜緒さんはそうやって言うと、私の肩に顎を乗せてくる。
未来虹「菜緒さんは本当に甘えん坊ですね!」
菜緒「だって、未来虹の肩が凄いフィットして落ち着くんやもん」
すると、近くで見ていた監督が笑顔で話をかけてきた。
和也「すっかり菜緒に懐かれたね!」
菜緒「あれ〜和君、ヤキモチ妬いてるん?しゃーないなぁ〜!」
そして、菜緒さんは監督の側にいく。
和也「妬いてないよ。みんなが仲良くなって嬉しいだけだよ」
菜緒「照れんでいいって〜!和君、しゃがんで?背が高くて顎が届かへん」
陽菜「あっ!陽菜も師匠の肩に顎乗せたいです!」
ひより「ひよたんも〜!先輩、しゃがんで〜!」
鈴花「未来虹、顔が怖いけどどうしたの?」
近くにいた鈴花さんが話をかけてくれた。
未来虹「なんにもありませんよ!体育館行きましょ〜!」
監督とみんなが戯れ合っている姿を見て、私は少し不機嫌になってしまう。不機嫌と言うより、不信感の方が正しいのかもしれない。監督は入部した時から優しくしてくれた。でも、みんなに優しくて、更に学校の女の子からの憧れの的だとクラスの子に聞いた。そして、アイドル部のみんなも監督のことが好きなんだと入部してわかった。もしかしたら、女の子にモテたいから、優しく振る舞っているのではないかと最近思うようになっていた。そして、今後、アイドル部のみんなが監督に傷つけられちゃうかもしれないと思うと、居ても立っても居られなくなった。部活が終わって1人で掃除をしている監督に近寄った。
未来虹「あの、ちょっといいですか?」
和也「あっ、高橋さんどうしたの?」
未来虹「監督はどうしてみんなに優しくするんですか?モテたいからですか?どうせ、他の女子生徒にも優しくしているんですよね?」
和也「えっ?いきなりどうしたの?」
未来虹「入部して2週間しか経っていませんが、私はアイドル部のみなさんが大好きです。もし、監督がみんなを傷つけたら私許しませんから!」
和也「た、高橋さん!!」
私は言いたいことだけ言って、その場を立ち去っていった。部室に戻ると鈴花さんが待っててくれた。
鈴花「未来虹どこ行ってたの〜?帰ろ!ん?なんかちょっと不機嫌?なにかあった?」
未来虹「ちょっと監督のことで」
鈴花「監督?先輩のこと??先輩のことで怒ってるの?」
未来虹「はい。監督はモテたくて、みんなに優しくしていると思うんです。絶対アイドル部の人以外にも、ちょっかい出してると思います」
私がそう言うと鈴花さんは笑っていた。
鈴花「先輩がアイドル部以外の人に?ないない!それはないよ〜!」
未来虹「でも、それじゃなんでアイドル部の監督になったんですか?アイドル部の人達が目的で入ったとしか思えません!」
私はつい感情的になってしまった。
鈴花「そっか、今の未来虹には先輩がそういう風に見えるんだね」
鈴花さんはちょっと悲しい顔をしていた。
鈴花「私が先輩のことを良く言っても、今は信じられないと思うから、未来虹が本当の先輩に気づいたら、今までのことを全部話すね?」
未来虹「今までのこと?なんですか?」
鈴花「まぁ、アイドル部も色々あったわけよ!それじゃ帰ろ!」
鈴花さんはいつもと同じ笑顔に戻った。私はさっきの鈴花さんの言葉が、どうしても腑に落ちずモヤモヤしていた。しかし、鈴花さんの言っていた意味が、翌日全て分かったのだった。

■筆者メッセージ
2話続けて未来虹ちゃんsideの話にします!
しゃもじ ( 2021/06/26(土) 10:14 )