日向高校




























小説トップ
第16章
豪速球を投げる女の子
その日の放課後。部室にみんな集まった。
久美「今日だけで60人の入部希望者の紙が集まったね」
紗理菜「すごいね。こんなに入りたがってるのに、3人までなんてちょっと申し訳ないなぁ」
芽依「なぁなぁ、どうやって3人選ぶん?」
美玲「それはね〜、オーディションしようと思ってるんだ!」
『オーディション??』前回の和也達と同様みんなはキョトンとしていた。
史帆「としちゃん達で直接会ってお話しするの!本当に入りたい人を確かめたいから」
彩花「なるほど!誰かさん目当ての人も居そうだからね!」
みんなはジロっと見てくる。
和也「えっ?みんなどうしたの?」
優佳「本人は自覚ないのが怖いなぁ」
好花「それはそうと、先輩、スカウトどうなりましたか?」
久美「そうだ!どうだったの?」
和也「あの〜それがですね、失敗しました」
史帆「えぇー失敗しちゃったの?」
和也「うん、部活に興味ないみたいなんだ」
京子「それで、簡単に引き下がっちゃったの?」
愛奈「他の部活はしつこく誘ってるみたいだよ!」
和也「なんかしつこくするのは申し訳ないなくて」
菜緒「和君の優しさが出ちゃったね」
鈴花「フランス帰りの美人さんは諦めるしかないかなぁ〜」
ひなの「あの〜、もしかして森本茉莉ちゃんのことですか?茉莉ちゃんなら入部希望の紙でていますよ?」
『えぇ!!』みんなはびっくりしている。
久美「ほんとだ!森本茉莉って書いてある!」
美玲「和君、スカウト出来てるじゃん!」
史帆「和君も嘘つくなんて人が悪いなぁ〜!」
和也「えぇ?昼休みはほんとに断られたんだけど、気が変わったのかな?」
みんなで喜んでいると、白石先生が部室に入ってきた。
白石「みんな〜!野球やるよ〜!」
『野球!?』白石先生の発言に驚いている。
京子「なんでいきなり野球なんですか!?」
白石「なーちゃんとも話してて体力がまだ足りていないから、野球で体力作りしまーす!」
和也「ソフトじゃだめなんだ・・・」
菜緒「菜緒、野球やりたい〜!」
久美「私も〜!やったぁ〜!」
史帆「としちゃんが4番ね〜!」
みんなは思いのほか盛り上がっていた。そして、グラウンドに集合する。
白石「今日は野球部が休みみたいだから、思いっきり出来るからね!それじゃ1年生対2年生で試合しましょ」
試合が始まる。和也はベンチに座って試合を見ることになった。2年生が後攻でピッチャーは久美がやるようだ。バッターには明里が入る。
明里「今日は先輩、後輩関係ないですからね〜!」
久美「おっけー!丹生ちゃんには負けないからね」
久美が球を投げると明里はバットを振った。『カキーン』振ったバットにボールが当たり、三塁線にボールが飛んでいくがファールになった。
久美「和也君ごめーん!ボール取って〜」
和也はボールを追いかけると、目の前に女の子がいて、ボールを拾ってくれた。
和也「ごめんね!ありがとう」
???「この学校は女子野球部があるんですか?」
和也「えーっと、俺達はアイドル部なんだけど、体力作りの一環で野球をやってるんだ」
久美「和也君〜!ボールあったぁ〜?あったら投げて〜!」
すると、彼女が持っていたボールを投げた。「えっ?」彼女が投げたボールは凄いスピードで、久美のグローブに入った。
久美「うわぁ!ナイスボール!」
彼女はボールが久美の元に届いたのを見届けて立ち去っていった。そして、しばらくして、2年生の勝ちで試合が終わった。何故か2年にスラッガーが多かったのが勝因だった。
久美「和也君、さっきの子誰だったの?」
史帆「凄いボール投げてたね!」
和也「それが1度も見たことがない子だったんだよね」
ひなの「彼女は今日転校生してきた、山口陽世ちゃんです!鳥取から転校してきたそうですよ」
和也「あ、あの子が3人目の転校生か」
ひなの「私と同じクラスなんですけど、まだしゃべったことなくて。今日1日、1人でいたんです。私も遅れて入学したから、ちょっと気持ちが分かるんです」
和也「そうなんだね。あの子アイドル部に入らないかな?」
美玲「和君、あの子が気になるの?」
和也「うん。俺も転校した時不安だったからさ。あの子もアイドル部に入って、みんなと関われば不安がなくなると思うんだ」
史帆「さすが和君!優しいですなぁ〜」
ひなの「私からもお願いします!」
和也は頷くとひなのは微笑んでいた。そして、次の日のお昼休み。みんなでチラシを配っていると、中庭のベンチに1人で座っている山口さんがいた。和也は話をかけに近づこうとすると、ひなのがテクテクと彼女に近づいた。
ひなの「山口さん。よかったらこれ差し上げます」
ひなのはチラシを山口さんに渡した。山口さんは微笑みながら受け取った。
山口「上村さんはアイドル部なの?」
ひなの「うん。そうなんです!」
山口「アイドル部ってなにするの?」
ひなの「えーっと、歌ったり、踊ったり、アイスを食べたりかな?」
ひなのは一生懸命説明しているが、中々伝わりそうになかった。和也は近づいてひなのの話に捕足をした。
和也「本格的なアイドルを目指してるんだ。ライブとかもしてるんだよ」
山口さんは少しびっくりしていた。
久美「山口さーん!一緒に野球やろ〜!」
ひなの「あっ!久美さん!」
山口さんは久美の大きな声にびっくりして身を引いてしまう。
山口「あの、すみません!失礼します!」
山口さんは慌ててその場から離れていった。
和也「いっちゃった。てか、なんで野球なの?」
久美「だって昨日の野球楽しかったんだもーん!」
こうして、お昼休みが終わって放課後になって部活を行う。和也は明日のオーディションの準備をしていた。ゴミを捨てにゴミ捨て場に向かうと、壁に向かってボールを投げている山口さんがいた。
和也「1人でやってるの?」
和也が話しかけると山口さんはびっくりしてボールを取り損ねた。
山口「あっ、あの時の。昨日、転校生してきたのでまだ友達がいないから・・・」
和也「そっか。なら、俺とキャッチボールしない?」
山口「えっ!?いいです、いいです、それじゃあ失礼します」
彼女は慌てて立ち去っていった。和也はその後ろ姿をしばらく見ていたのだった。

■筆者メッセージ
いつの間にか閲覧60.000いってましたね。いつもありがとうございます!
しゃもじ ( 2021/06/20(日) 15:50 )