日向高校




























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第15章
監督の歌声
合唱祭まて残り数日を切った。練習は日に日に厳しくなっているが、生田さんの楽曲が1つの形になっていくのが日々感じとれている気がして、とても嬉しく思う。今日は白石先生が用事があって部活に来れないので、部活は休みになっているが、私達は自主練としてみんなで集まった。和君は自分のクラスのピアノの練習をしてくるので遅れてくるそうだ。部活の準備をしていると、私はふっと疑問に思ったことがあった。
史帆「ねぇ、ちょっと気になったことがあるんだけどさ」
久美「としちゃんどうしたの?」
史帆「和君の歌っている所って聴いたことある?」
美玲「そういえばないかも。ちょっと聴いてみたいよね」
京子「うん。どうなんだろうね?ピアノ弾けるから音痴ではなさそうだよね」
美穂「前、先輩と話した時に、一回音を聴いたら、なんとなくだけど弾けるって言ってました」
美玖「先輩は絶対音感を持ってるのかな?」
菜緒「絶対音感かぁ〜。なんかかっこいいなぁ〜」
陽菜「そうだ!今度、師匠に絶対音感教えてもらお!」
ひより「ひよたんも〜!」
明里「なら明里も〜!」
鈴花「いや、教えてもらって身につくものじゃないよ」
好花「そうそう。生まれ持った才能だからね」
愛萌「話それましたが、先輩の歌聴いてみたいですね」
彩花「そうだ!今日練習終わったらカラオケ行かない?」
東村「カラオケ?いいね〜!」
ひなの「日向町にカラオケ屋さんあるんですか?」
高瀬「それがあるんだよ!ちょっとボロいけど」
優佳「よし、監督が来たら誘ってみよ!」
史帆「うん!和君早く来ないかなぁ!」
そして、30分ほどして和君となっちょが練習を終えて部室に来た。
史帆「和君、今日は暇かな?」
和也「えっ?部活が終わったら何も予定はないけど」
京子「自主練が終わったらカラオケ行かない?」
和也「カラオケ?どうしていきなり?」
美玲「あれだよ、歌の練習?」
久美「そうそう!やっぱマイク持った方が雰囲気が出るしね」
和也「そうなんだ。いいよ、行こっか」
史帆「やったぁ!よし、自主練頑張るぞぉ〜!」
私は和君の歌声が聴けることが嬉しくて、凄くやる気が出た。そして、自主練が終わってカラオケ屋に向かう。
和也「日向町にカラオケ屋あるんだね。知らなかったよ」
菜緒「さっき、なのちゃんも同じこと言ってたよ。和君はカラオケとか行かないの?」
こしゃが今回の目的について、さり気なく探りを入れている。
和也「んーあんまり行かないかな?でも、みんなの歌声を聴くのは好きだから凄く楽しみ」
美玲「好きって、和君ったら〜!」
史帆「よし!としちゃんが和君の為にいっぱい歌うぞぉ〜!」
久美「としちゃん、目的を忘れないでね?」
私は和君に好きと言われて、本来の目的を忘れていた。カラオケ屋に着いて、みんなで中に入る。人数が多いので大きな部屋に案内してもらった。
彩花「誰から歌う〜?」
高瀬「1番はじめって毎回揉めるよね〜」
京子「なら、私から歌おうかな〜」
京子が選曲して歌い始めた。すると、みんなは次々に歌を入れ始める。みんなが盛り上がっている中、私は和君の横に座った。
史帆「和君は歌わないの?」
和也「うーん。みんなの歌聴くの好きだし、なんか恥ずかしいな〜」
史帆「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、和君の歌聴いてみたいなぁ〜だめかな?」
和也「そうだな〜、なら一曲だけ歌おうかな」
和君は選曲し始めた。私はドキドキが止まらなかった。そして、遂に和君が歌う番になり歌い始めた。みんなはさっきまで盛り上がっていたが、一気にシーンとなった。
美玲「ねぇ、凄いね」
史帆「うん。これは凄いね。めちゃくちゃ上手なんだけど」
和君の歌声はとても優しくて聴いていて居心地が良かった。そして、和君は歌い終わった。
和也「めちゃくちゃ緊張した〜!なんでみんな静かになってるの?」
和君は緊張がほぐれたのか笑顔になっていた。
彩花「和也君、めちゃくちゃ上手じゃん!」
京子「えっ?普通にびっくりなんだけど!なんで今まで隠してたの!?」
和也「隠してたってか、歌うタイミングなんてなかったし」
史帆「さすがとしちゃんの和君だぁ〜」
私は和君に抱きついた。
美穂「いつからとしさんの先輩になったんですかぁ〜!」
美玲「そうだぁ!離れろ〜!」
みんなが全力で離そうとしてくる。私は負けじと和君にくっついた。するときくちゃんが何かに閃いて大声をだした。
久美「そうだ、いい事思いついた!」
鈴花「いきなりどうしたんですか?」
久美「合唱祭の時に、和也君のソロパート入れない?」
好花「先輩のソロパートですか?」
美玖「それ、めっちゃいいですね!」
和也「えぇ!それはちょっと」
菜緒「いいじゃん!和君歌ってよぉ〜!」
和也「うーん。ならやってみようかな?」
史帆「なんか和君はこしゃに甘いな〜」
私はちょっとだけヤキモチを妬いて拗ねていると、和君は私に飲み物を差し出してきた。
史帆「えっ?これって?」
和也「さっき買う時に悩んでたでしょ?飲みたいかなっと思って買っといたんだ」
それは、カラオケに入る前のこと。カラオケにドリンクバーはないので、各自で持ち込むか注文することになったいるので、コンビニでお菓子を買うついでに、飲み物も一緒に買うことになった。いつも通り私は2つの物で悩んでいた。でも、それは和君には言っていなかった。
史帆「和君・・・見ててくれたんだ」
和也「いつもかとしは悩むからね?だから、今回も半分こ」
和也は私の大好きな優しい笑顔でそう言ってくれた。
史帆「和く〜ん!ありがとぉ〜!」
私は嬉しさのあまりまた和君に抱きついた。
彩花「あっ!またこの子抱きついたよ」
京子「史帆は和に甘え過ぎ〜!」
陽菜「なら陽菜はこっちから〜!」
菜緒「あっ、こらっ陽菜だけずるいぞ〜!」
美穂「てか、先輩はとしさんに凄い甘いですよね?」
和也「えっ?気のせいだよ。みんな一緒だって」
和君はいつも通りそう言っているけど、気のせいでもいいんだ。和君がちょっとでも私のことを見てくれたら、私はこれからもずっと頑張れるんだ。だか、現実はそう甘くないもので、残りの時間は和君と私の間に何人ものメンバーが座ったのだった。

■筆者メッセージ
今回はかとし目線のストーリーにしてみました!
しゃもじ ( 2021/06/15(火) 00:14 )