日向高校




























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第14章
鈍感な監督
昼休みが終わり、午後の授業を受けて1日が終わった。和也はゴミ出し当番だったので、体育館裏のゴミ捨て場に向かっていた。すると、ゴミ捨て場から少し離れていた所に美玲がいた。
和也「美玲!どうし・・・」
「佐々木さん!お待たせ」美玲の元に男子生徒が近寄った。和也は物陰に身を隠した。
美玲「話ってどうしたの?部活があるから、手短に話してもらえるとありがたいけど・・・」
男子生徒「あっ、うん。あのさ、俺、佐々木さんの事が好きなんだ!だから、付き合ってく・・・」
美玲「ごめんなさい!」
男子生徒「えっ?まだ全部言ってないんだけど」
美玲「私はあなたとお付き合いする事は出来ません」
男子生徒「理由を聞かせてもらっていいかな?」
美玲「私には好きな人がいます」
男子生徒「そ、そうなんだ。わかった。それじゃ・・・」
男子生徒は肩を落として帰っていった。
美玲「そこの盗み聞きしている男子!!出てきなさい!」
和也が隠れていることがバレていた。
和也「あっ、ごめん。聞く気はなかったんだけど、あの状態で動くわけにもいかなくて・・・。怒ってる?」
美玲「怒ってないよ!しょうがないもんね!」
美玲は笑顔で言ってくれた。
美玲「それに、もし、あのまま強引に言われてたら助けてくれたでしょ?」
和也「それはもちろんだよ!美玲を守るって約束したしね!」
美玲「ふふっ。ありがと!和君、ゴミ捨て当番なんだね?手伝うよ!」
和也「ありがと。じゃあお願いしようかな!」
美玲「うん!その代わりに後でジュース買ってね〜!」
美玲は和也の手からゴミ袋を取って走りだし、和也もその後を追いかけた。その日の部活はギャラリーが多く、落ち着かない部活になったのだった。
次の日。和也は日直だったので早めに学校に向かった。日直の仕事が終わったので、屋上に行き、入り口横の日陰で寝っ転がっていた。すると、誰かが屋上に来た。和也の位置は死角になっているので、入ってきた人は和也が居ることに気づいていない。そして、もう1人誰かが来た気配がした。
「小坂さん。来てくれたんだね」
(ん?小坂さん?菜緒?)
男子生徒が菜緒のことを呼び出していた。
菜緒「話ってなんでしょう?」
男子生徒「俺さ、小坂さんのことがずっと前から好き・・・」
菜緒「ごめんなさい!」
男子生徒「えっ!?はやっ、なんで?」
菜緒のあまりの返事の早さに混乱している男子生徒。
菜緒「あの・・・私、好きな人がいます」
男子生徒「そ、そうなんだ。なら、とりあえず友達からでも」
菜緒「ごめんなさい!今は部活で忙しいのでそれもちょっと・・・」
男子生徒「そっか。わかった。こんな朝早くにごめんね」
男子生徒が屋上から出て行ったようだ。
「♪〜」急にスマホが鳴り、びっくりしてスマホを落とした。急いで拾おうとすると、誰かの足が見えた。恐る恐る顔を上げると、少し怒った表情の菜緒がいた。
和也「あ、菜緒。おはよう。電話が来たからちょっとごめんね」
和也はその場から離れようとしたが、菜緒が立ち塞がった。
菜緒「電話は菜緒がかけたんだけど?和君!こんな所でなにしてんのさ!?」
和也「いや〜日直でさ、早く終わったから屋上で寝てたんだよね」
菜緒「ふーん。今の聞いてた?」
和也「えっ?何を?寝ていたから、菜緒が告白されてたのは聞いて、あっ!!」
菜緒「普通に聞いてるやんか〜!!」
菜緒は和也の肩を叩いた。
和也「ごめんって!これはしょうがないと言うかどうしようも出来なくて」
菜緒「もう!タイミングが悪いんやから!」
和也「自分でもそう思います」
和也は2日で美玲と菜緒の告白現場に遭遇してしまったのだった。
その日の放課後。体育館で練習していると、白石先生が声をかけてきた。
白石「なんかボーッとしてるけど何かあったの?」
和也「あっ、先生。いや、みんなにも好きな人とかいるのかなーって」
白石「えっ?それ本気で言ってるの?」
和也「えっ?はい。昨日と今日、たまたま美玲と菜緒の告白現場に遭遇しちゃって。好きな人がいるからって断っていたんですよ」
白石「佐藤君。ここまで来ると恐ろしいわ・・・」
白石先生は何故か呆れているようだった。
白石「その現場に遭遇して佐藤君はどう思ったの?」
和也「うーん。なんかちょっとモヤモヤしたと言うか、ちょっと嫌だったと言うか」
白石「ふふっ。そうなのね!」
白石先生が嬉しそうにみんなの元に近寄って何かを話している。すると、『えーーっ!!?』みんなの大声が聞こえた。
そして、凄い勢いで和也の元に走ってくる。何が起こっているのか分からないので、和也は身を備えた。
史帆「和君がヤキモチ妬いたってほんと!?」
美玲「あの時、ヤキモチ妬いてたの?」
菜緒「なんだぁ〜和君も案外可愛いなぁ〜」
和也「ヤキモチ?えっ?ヤキモチ妬いてたの?」
京子「えっ?私達が男子生徒から人気が出たからヤキモチ妬いてたんでしょ?」
和也「ヤキモチって言うか、なんかモヤモヤしただけだよ?」
久美「さすが監督だわ!ここまで鈍いとわ!」
美穂「でも、先輩がヤキモチ妬いてくれるのは嬉しいです!」
陽菜「大丈夫ですよ!私はずっと師匠の一番弟子ですから!」
和也「ん?なにが大丈夫なの?」
美玖「ふふっ、先輩もこっちに来て、私達の練習見ていてください!」
みんなは嬉しいそうに和也の手を引いた。みんなが何故嬉しそうにしているか、わからない和也なのであった。

■筆者メッセージ
マスターさん
ちょっとだけ絡まれましたが、ほのぼのとした感じで終われたでしょうか?笑

OGさん
影ちゃんと新3期ちゃんはもうすぐ登場予定です!
しゃもじ ( 2021/06/06(日) 22:36 )