日向高校




























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第10章
息抜きの散歩
和也の家での勉強会も終わり、休日になる。和也は中々自分の時間が出来なかったので、休みは勉強することを決めていた。時々メンバーから、勉強でわからない所があると連絡が来る。すると、鈴花から電話が来た。
和也「もしもし、どうしたの?」
鈴花「1人じゃ勉強に集中出来ないので、先輩の家に行っていいですか?」
和也「いいよ。てか、ちゃんとやってるんだね」
鈴花「私もやる時はやりますよ〜!それじゃすぐ行きます!」
鈴花との電話を切り、勉強道具を持ってリビングに向かう。インターホンが鳴り鈴花がきた。
鈴花「先輩ありがとうございます!あれ?今日ママは?」
和也「いいよ。なんか用事があるからって出かけた。」
鈴花「そっか。なら2人きりですね!」
和也「そうだね。それじゃ勉強しようか」
鈴花「なんか私に冷たいなぁ〜」
鈴花はぶつぶつ言いながら、勉強をし始めた。時々分からない所を聞く程度で、普段の鈴花からは想像出来ないぐらい、静かに集中している。
1時間ほど勉強したら、休憩することにした。
和也「すごい頑張っていたね?」
鈴花「私もやれば出来るんですよね〜!」
鈴花はそう言ったが、内心は和也と2人きりということで、緊張を隠すために勉強に集中し、気を紛らわせていた。
鈴花「あっ!になちゃんの散歩行かなきゃ!」
和也「になちゃん?」
鈴花「犬の名前です!先輩も一緒にどうですか?」
和也「息抜きに行こうかな!」
鈴花「じゃあ行きましょ〜!私はになちゃんを迎えに行くんで、先輩は着替えてください!」
そう言って鈴花は家に戻っていった。和也も着替えて家の前で鈴花を待った。
鈴花「お待たせしました〜!」
鈴花が家から出てきた。
鈴花「あれ?になちゃんが静かだ」
和也「静かじゃだめなの?」
鈴花「になちゃんは人見知りするので、家族以外の人には吠えるですよね。先輩には吠えない。」
和也はしゃがんでになちゃんを撫でる。になちゃんは応えるように、和也の手を舐めた。
鈴花「あらら〜。犬にまで好かれるんですね〜。」
和也「犬まで?あと何かに好かれてたっけ?」
鈴花「さすがですね〜!こりゃみんながわかりやすくアピールする訳だ!」
和也「ん?なんのこと?」
鈴花「なんもないですよ〜!行きましょう?」
鈴花はになちゃんと歩き出した。和也もその後をついて行く。
しばらく散歩していると事件が起きた。
いつもと違う散歩コースを歩いていると、近くの家の敷地から大型犬が吠えてきた。鈴花はびっくりしてリードを離してしまい、になちゃんもびっくりして逃げるように走り出した。
鈴花「あっ!になちゃん!!」
2人でになちゃんを追いかけるが、犬の速さに追いつけず、見失ってしまった。
鈴花「どうしよう、どうしよう、になちゃん」
鈴花はになちゃんが居なくなったことで、動揺している。
和也「俺が周りを探してくるから、鈴花は、家に帰ってになちゃんが帰ってくるか待ってて」
鈴花「でも・・・」
和也「大丈夫!俺が絶対見つけるから!」
そう言って和也は走り出した。しばらく探したがになちゃんは見つからない。
和也は水を飲む為に近くの公園に行った。水道で水を飲んでいると、「クゥーン」と鳴き声が聞こえた。
和也「になちゃん!?」
和也は近くを探す。茂みを探すとになちゃんがいた。
和也「やっと見つけたぁ〜!」
和也は鈴花に電話しようとしたがある事に気づく。(携帯を家に置いてきたんだ)散歩するだけなので、すぐに家に帰ってくると思い、携帯を家に置いてきたのだ。そしてさらに重大なことに気づく。
和也「ここ何処だ!?」
和也は引っ越してきて間もないので、まだ日向町の地形に詳しくないのだ。
とりあえず、になちゃんを連れて歩き出そうとすると、になちゃんが和也を引っ張って歩き出した。和也はになちゃんの行きたい方について行くことにした。
しばらく歩くと見慣れた風景が目に入る。
和也「あっ、ここ通学路だ。」
になちゃんがわかる道まで連れてきてくれた。ここまでこれば家まで帰れる。
家の近くまで来ると、家の前で待ってる鈴花がいた。
鈴花「先輩!にな!」
鈴花がこちらに気づき走ってくる。
和也「ごめんね、遅くなっちゃったよ。」
鈴花「になちゃんごめんね。怖かったよね。先輩!ありがとうございます。」
鈴花は泣いていた。
和也「になちゃんはすごいね。見つけた所が何処か分からなくて、俺が迷子になっちゃったけど、になちゃんが案内してくれたんだ。」
和也はしゃがんでになちゃんを撫でる。
和也「になちゃんありがと。助かったよ。」
鈴花はこのやり取りを見て、胸がドキってした。になちゃんを助けたのは先輩なのに、自分が助けられたとになちゃんにお礼を言う。もしかしたら、当たり前のことをなのかもしれないけど、鈴花の胸には何故か響いた。
和也「人の顔見てどうした?」
鈴花「あははっ!何もないです!何も!先輩汗でびっしょりだな〜って」
鈴花は和也と話すのに緊張してしまい、焦った口調になってしまった。
和也「そうなんだよね〜!やっぱ夏に走るのは暑いね!お風呂入ってくるよ!」
鈴花「私はになちゃんを家に戻してから、勉強道具取りに行きますね〜!」
2人は一回別れてそれぞれの家に入る。和也はシャワーを浴びると、鈴花がリビングにいた。
和也「暑いね〜何か飲む?」
和也はそう言うと冷蔵庫に向かった。すると、「うわぁ」鈴花が後ろから抱きついてきた。
和也「どうしたの?」
鈴花「先輩、になちゃんを見つけてくれてありがとうございました。になちゃんがいなくなるかと思ったら、凄く怖かったです。」
和也「見つけれてよかったよ。迷子になった時は焦ったけどね」
和也はそう言うと笑った。
鈴花「先輩。しばらくこのままで居させて下さい。」
和也「気が済むまでどうぞ?」
少し時間が経つと、「ただいま〜!あれ誰か居るの?」玄関から母さんの声が聞こえた。鈴花はすぐに離れた。
母「あら、鈴ちゃんいらっしゃい!」
鈴花「ママ、こんにちは!先輩に勉強教えてもらってました!」
母「そうなのね!鈴ちゃん顔が赤い気がするけど気のせいかしら?」
鈴花「今日暑いからですかね〜!それでは私用事があるので帰ります!」
母「あら残念。ゆっくりしていってほしかったのに。」
鈴花「また今度ゆっくりさせて下さい!先輩、ありがとうございました!」
和也「うん。またね!」
鈴花は自分の家に帰った。この時、鈴花は、みんなが先輩にアピールする気持ちを理解するのであった。

■筆者メッセージ
ルウさん
遅くなりましたが鈴花エピソード作りました!今後も発展させる予定です!
しゃもじ ( 2021/05/14(金) 08:15 )