日向高校




























小説トップ
第9章
迷子の陽菜
トイレから戻ると陽菜がいなかった。
周りを見渡してもいない。そもそも、人が多くて簡単には見つからない。陽菜に電話したがでなかった。携帯を握りしめて周りを探す。すると、陽菜から電話がきた。
陽菜「すみません。人が多くて携帯出せませんでした。」
和也「陽菜!今どこにいる?」
陽菜「今、お・・・」
「プッ、プゥ、プゥ」電話が切れた。もう一度かけ直したが、「おかけになった電話は・・・」電源が入っていない。昨日寝落ちしていたので、携帯を充電していなかったのだ。
和也「おってなんなんだ。」
急いでパンフレットを取りにいき、確認するが「お」からはじまる動物がいない。動物園の中にいるのは間違いないので、とりあえず探すことにした。30分は探したが、どこにも陽菜の姿が見えない。和也は焦っていた。何か事件に巻き込まれているのではないか、もしかしたら怪我をしているのではないかなど、最悪な展開が頭をよぎる。
(だめだ。冷静になれ。)そして、フッとあることを思い出す。
陽菜「あっちに大きいゾウさんがいます!」
(そうだ!大きいゾウだ!!)和也はゾウのエリアまで走る。ゾウのエリアに着き、周りを見渡す。(どこだ、いてくれ!)すると、ゾウの説明かんばんの前で俯いてる陽菜を見つけた。
和也「やっと見つけた。」
陽菜が顔を上げた。
和也「何でいなくなるんだよ。めっちゃ心配したんだぞ。」
心配のあまり、普段の優しい口調とは違い、強い口調で言った。
陽菜「ごめんなさい。」
泣きそうな顔で俯く。和也も冷静さを取り戻した。
和也「とりあえずあそこに座ろう。」
陽菜は黙ってついてきた。
和也「どうしていなくなったの?」
陽菜「思い出がほしくて。」
陽菜はポケットから、2つのパンダのキーホルダーを出した。
陽菜「和君には、いつもお世話になってて、動物園も連れてきてくれて、本当に楽しかったから思い出を残したくて。」
陽菜は必死に泣くのを我慢して喋る。
陽菜「待ってる時にお土産屋さんがあったから、買いに行ったんだけど、キーホルダー買ったら落としちゃって。たまたま、誰かが蹴っちゃって探していたらここまで。」
和也「そういうことか。」
陽菜「嫌いにならないでください。」
和也「大丈夫。嫌いにならないよ。ありがと。」
そう言って陽菜の頭を撫でる。
陽菜は安心したのか泣いて、和也に抱きついた。少ししたら陽菜が泣き止んだ。
和也「時間もあんまりないし行こっか」
和也は陽菜の手を握った。
和也「もう離れないでね?」
陽菜「はい!!」
陽菜は笑顔で答えた。
出口まで向かっている時に
和也「ちょっとだけ寄り道していい?」
急に方向を変える。着いた先は陽菜が買ったお土産屋さんだ。
和也「ちょっと待ってて。絶対動かないでね!」
和也はお土産さんの中に入っていった。
数分して和也が出てきた。
和也「よし!帰ろ!」
陽菜は部活のメンバーにお土産を買ったと思っていた。
最寄駅に着き、電車にのった。何回か乗り継ぎ、日向町に向かう電車に乗った。
陽菜「和君これ。お揃いです。」
陽菜がパンダのキーホルダーをくれた。
和也「ありがと。大切にするね。」
すると、肩に重みを感じて隣を見ると、陽菜が寝ていた。
和也「いっばい動いて、泣いたもんね。」
和也はそう呟き、陽菜に肩を貸していた。
日向町に着き、陽菜を起こす。電車を降りて陽菜を送っていく。
陽菜「今日はありがとうございました。楽しかったです。でも、迷惑かけてごめんなさい。」
和也「俺も楽しかったよ。いつか迷子になったことも思い出話になるよ。」
陽菜の家に着いた。
和也「そうだ。これ渡さなきゃ。」
和也は動物園のお土産屋さんで買った袋から何かを出した。
和也「これ。今日の思い出。お揃いだよ?」
袋から出したのはパンダのぬいぐるみだ。陽菜は固まってる。
和也「陽菜?」
すると、陽菜は和也に抱きついた。
陽菜「嬉しいです。本当に嬉しいです。」
和也「喜んでもらえて良かった。」
陽菜にぬいぐるみを渡すと、目に涙を溜めたがらお日様のような笑顔で笑った。
和也「それじゃまた学校でね?」
陽菜「はい!ありがとうございました!」
陽菜は家の中に入っていった。こうして、陽菜との動物園デート?は終わった。

■筆者メッセージ
次の更新はかわださんsideのデートストーリーをサイドストーリーにのせようと思います!
しゃもじ ( 2021/05/09(日) 21:47 )