日向高校




























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サイドストーリー
愛萌の誕生日
愛萌「先輩、あーん?」
ある日の昼休み、愛萌が作ってくれたお弁当を食べている。

和也「いや…ここ学校だし、みんないるし…」
屋上なので、他の生徒がいる。
しかし、「あーんっ?」愛萌に見つめられ、和也は断りきれない状況に。
和也はフォークで刺した卵焼きを素早く口の中に入れる。

愛萌「うふっ、美味しいですかぁ?」
和也「うん。美味しいよ…」
愛萌「嬉しいです!」
愛萌はウインクをして微笑んでいる。
(なぜウインクを…)愛萌の行動に困惑する。
1個下とは思えないほど愛萌には色気がある。そして、食べ方が妙にエロかった。
しかし、それは一般な人が見たらの話だ。
超が付くほどの鈍感な和也には色気を感じ取る事が出来ない。

愛萌「せーんぱい?どうしたんですかぁ?」
(ち、近い…)距離が近く身体が触れ合う。

和也「な、なんでもないよ…。お弁当ありがと。美味しかったよ」
愛萌「喜んでもらえて嬉しいです!お礼と言ってはあれなんですけど、お願い聞いてもらっていいですか?」
和也「もちろん。俺に出来ることであればなんでも言って?」
愛萌「うふっ、やったっ!なら、今度のお休みの日に私と神社をまわりませんか?」
和也「神社?そういえば、愛萌は神社に行くの好きって言ってたね?」
愛萌「覚えててくれたんですかぁ?嬉しい!」
手をグーにして、両手を顎の近くに持っていきニコッとする。

和也「みんなのことは忘れないようにしてるんだ」
愛萌「みんなかぁ〜。私だけだったら嬉しいのになぁ」
和也「ん?何か言った?」
小声で呟いた愛萌の声を聞きそびれた。

愛萌「なんでもないですよ〜!それで、土曜日はどうですか?」
和也「うん、いいよ。最近、暖かくなってきたし、なんか気持ち良さそうだしね!」
愛萌「やったぁ〜!なら、また時間とか決めましょうね?」
愛萌と出かける約束をして、2人は教室に戻った。

午後の授業中、菜緒からメッセージが届いた。

菜緒「まなと出かける約束できた?」

和也「うん。愛萌の方から誘ってくれたから助かったよ」

菜緒「そうなんだね。あれだけどうやって誘うか考えたのにね!笑」

和也「菜緒も一緒に考えてくれたのに無駄になっちゃったね。ごめんね?」

菜緒「ううん!今度、和くんとお出かけできるもん!それじゃ、まなのことよろしくね?」

菜緒とのメッセージを終えて、和也は愛萌と出かける日の事を考えていた。
その日は愛萌の誕生日。どうお祝いしたら喜んでくれるのか、和也は菜緒に相談していた。


そして、迎えた誕生日当日。
待ち合わせ場所で愛萌を待っていると、「せーんぱいっ?」と愛萌が到着した。

愛萌「ごめんなさい。遅くなっちゃいました…」
和也「大丈夫だよ。待ち合わせ時間は間に合ってるし」
愛萌「ありがとうございます。それじゃ、早速行きましょ?たくさんまわりたいので!」
愛萌に腕を掴まれて歩き出す。

愛萌に連れられて、まずは日向神社に着いた。
愛萌「ここはいつ来ても落ち着きますね〜!」
田舎の町ならではの古風な神社。

和也「そうだね。初詣の時とはまた違う雰囲気なんだね」
初詣の時は出店で賑っていたが、今回は落ち着いており、また違った良さがあった。

日向神社を参拝して、電車に乗り隣町に行く。
その後、小さな神社から少し大きな神社まで、時間の許す限りまわった。

愛萌「時間的にここで最後ですね?」
和也「そうだね。結構行けたね」
愛萌「最後のお願い事しなきゃ!」
愛萌と和也は今日最後のお願い事をする。

(みんながこれからも幸せでありますように)
和也は1日、全部同じお願い事をした。

愛萌「先輩は最後なんてお願いしたんですか?」
和也「ん〜、内緒かな?」
愛萌「えぇ〜、教えてくださいよぉ〜!」
和也「だーめ!愛萌はなんてお願いしたの?」
愛萌「私ですか?えーっとですね…」
愛萌が急に真剣な顔になる。

愛萌「私は先輩とお付き合いできます様にとお願いしました」
和也「えっ…」
愛萌のお願い事を聞いて、和也はびっくりする。

愛萌「なーんてね!冗談ですよぉ?」
愛萌は舌をペロッと出して、イタズラな笑みを浮かべた。
和也「冗談か!びっくりした〜」
愛萌「ふふふっ、私のお願い事も内緒です!」
愛萌はクルッと反転して歩き出した。
愛萌「いつか叶うといいな…」
和也には聞こえない小さな声で呟いた。

そして、日向町に戻り、愛萌を家まで送っていく。
愛萌「今日はありがとうございました!」
愛萌の家に着いて、愛萌が得意と言っていた最敬礼をする。

和也「こちらこそ。あと、これプレゼントなんだけど」
和也は鞄から袋を取り出す。
愛萌「えっ…」
和也「誕生日おめでとう」
愛萌「覚えててくれたんですか…?」
和也「メンバーのことは覚えてるって言ったでしょ?」
愛萌「嬉しい…嬉しいです…」
愛萌は和也に抱きついた。

和也「幸せな一年にしてね?」
愛萌「はいっ!先輩が居てくれたらずっと幸せです!」
愛萌は涙を溜めて目でニコッと笑った。

しゃもじ ( 2022/04/29(金) 16:21 )