日向高校




























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サイドストーリー
茉莉と陽世の誕生日
ある日、ひなのと未来虹が和也に謎な絡みをする。

ひなの「先輩!いや、陽菜さんと一緒で師匠と呼ばせていただきます!」
和也「な、なに?」
ひなのの真剣な表情に少し身構える。

未来虹「和也先輩!私となのちゃんに料理を教えて下さい!」
和也「……料理?」
ひなの「はい!もうすぐまりぃちゃんとはるよちゃんの誕生日なので、お料理のプレゼントしたいんです!」
未来虹「私達、料理の腕が絶望的なので…」
和也「なるほど。でも、俺じゃなくて、料理上手な美玲とかの方がいいんじゃない?」
ひなの「美玲さんはお忙しいと思うので!」
未来虹「和也先輩は暇ですよね?」
和也「……。俺でいいならいいけど…」
和也は少し腑に落ちない部分があったが、茉莉と陽世の誕生日をお祝いしたかったので承諾した。


その日の放課後、帰りにスーパーに寄って材料を買って和也の家に向かった。

和也「んー、まずは薄焼き卵を作ろうか?」
家に着いた3人は台所で調理を始める。
茉莉と陽世は共通してお寿司が好きなので、手巻き寿司をすることにした。

ひなの「私にできるでしょうか?」
和也「俺が教えながらやるから頑張ろうね?」
ひなのは嬉しそうに頷いて、卵を溶き始めた。

未来虹「和也先輩、どのサイズで切ればいいですか?」
未来虹にはマグロなどの具材を切る係になった。

和也「たぶんこーやって切ればいいと思うよ?」
和也の指示の元、未来虹は包丁で切っていく。

未来虹「うぅ〜、怖いなぁ〜」
包丁に慣れていないのか、未来虹は少し手が震えている。
和也「こういう風にすれば大丈夫だよ?」
和也は未来虹の後ろに回り、未来虹の手と包丁を掴んで一緒に動かした。
未来虹「あ、ありがとうございます…」
未来虹は少し恥ずかしそうにし、顔を赤く染めていた。

ひなの「先輩。ここからどうすればいいでしょう?」
卵を溶き終わったひなのが温まったフライパンの前に立っている。
和也はひなのの後ろに回り、一緒にフライパンを持った。

和也「こうやってやれば綺麗にできるよ?」
ひなのも未来虹と同様に顔を赤く染めた。

『ピーッ、ピーッ』炊飯器から音が鳴る。
和也「あっ、ご飯が炊けた!あとはよろしくね!」
和也は炊飯器がある方に身体の向きを変えた。

未来虹「なのちゃん、顔が赤いよ?」
ひなの「未来虹ちゃんこそ」
ひなのと未来虹は和也の行動でドキドキしていたが、当の本人は呑気にうちわでご飯を扇いでおり、全く気づいていなかった。

そして、手巻き寿司の準備が終わり、試食会が始まる。
未来虹「んっ!なのちゃんの薄焼き卵美味しい!」
ひなの「未来虹ちゃんの切ったマグロちょうどいい大きさで食べやすいよ!」
和也「ほんとだね。当日は大丈夫そうだね?」
和也が2人に聞いても浮かない顔をしている。

和也「どうしたの?」
未来虹「いや…自信がなくて…」
ひなの「はい。本日は先輩がいらっしゃったので大丈夫でしたが…」
未来虹「あの〜、ご迷惑じゃなければ当日も一緒に居てくれませんか?」
ひなの「私達と一緒にお祝いしてくれませんか?」
和也「うん、いいよ。俺も誕生日当日に2人のことをお祝いしてあげたいし!」
未来虹「ほんとですか!?やったぁ〜!」
ひなの「先輩が居てくれたら、まりぃちゃんとはるよちゃんも喜びます!」
2人は手を合わせ喜んだ。


そして、茉莉と陽世の誕生日当日。
未来虹の家で誕生日会をすることになっていたが、2人には内緒にしていた。
和也が茉莉と陽世を呼び出して、そのまま未来虹の家に向かうプランだった。

集合時間前に料理の準備を終わらせて、和也が2人と合流する時に、ひなのと未来虹がケーキを買いに行く。

和也「ごめん、お待たせ!!」
集合場所に行くと、茉莉と陽世が待っていた。

茉莉「あっ!先輩、お疲れ様です!全然待ってないから大丈夫ですよ?」
陽世「はい!はる達も今来たところです!」
和也「なら、よかった。それじゃ、行こっか?」
和也は未来虹の家に向かおうとすると、2人は当然のようにどこに行くのか疑問に思った。

茉莉「行くってどこにいくんですか?」
陽世「行き先を聞いてなかったですけど?」
和也は漫画の様な『ギクッ』という態度が出てしまう。

和也「えーっと、あれだよ!お寿司!お寿司食べに行こ?」
和也は聞かれた時の対処法を考えてなかったので、必死に誤魔化した。

茉莉「お寿司!!私、大好きです!」
陽世「はるも!でも、こっちの方向にお寿司屋さんあったっけ?」
和也「あ、あるんだよね。とびっきり美味しいお寿司がさ。だから、行こうか?」
そう言って和也は歩き出した。
茉莉と陽世は不思議がりながらも、和也の後をついて行った。

茉莉「なんかここ来たことあるような…」
陽世「はるも。見慣れた風景だね」
和也「あははっ、そうかもね。ここだよ?美味しいお寿司屋さん!」
未来虹の家に着いて玄関を開けると、『パーンッ』クラッカーの音が鳴る。

『happy birthday!』ひなのと未来虹がお祝いする。
茉莉「うわぁ〜!ありがとう!」
陽世「なのちゃん、未来虹!ありがとう!」
未来虹「和也先輩、案内ありがとうございます!みんな中に入って!」
家の中に入ると、リビングは綺麗に飾り付けされている。

陽世「これみんなでやってくれたんですか?」
和也「うん。ひなのと未来虹がほとんどだけどね?」
和也が笑って答えると、茉莉と陽世は涙目になっていた。

ひなの「これが私と未来虹ちゃんからのプレゼントです!」
テーブルの上には手巻き寿司の具材や酢飯。更にお吸い物も準備してあった。

茉莉「これ…なのちゃんと未来虹が?」
未来虹「こっちはほとんど和也先輩なんだけどね?」
陽世「嬉しい…先輩!なのちゃんと未来虹も本当にありがとう!!」
和也「ふふっ、大成功だね?」
和也はひなのと未来虹に笑いかけた。
ひなのと未来虹も嬉しかったのか、少し涙目になっていた。

未来虹「それじゃ、食べましょうか?」
みんなは座って手巻き寿司を食べ始めた。

茉莉「んっ!美味しい!」
陽世「うんっ!今まで食べたお寿司で1番美味しい!!」
幸せそうに食べる2人を見て、和也達3人も幸せそうな表情をしていた。


ご飯とケーキを食べた後、みんなでゲームをしたりして遊んだ。
茉莉「もうこんな時間か…」
陽世「うん。早かったなぁ…」
外も暗くなり帰る時間になると、寂しそうにする2人。

和也「そうだ。2人に渡すものがあったんだ」
和也はかばんから何かを取り出す。

和也「誕生日プレゼント。これが茉莉でこれが陽世に」
2人にラッピングされた袋を渡した。

茉莉「えっ…いいんですか?」
陽世「お寿司まで作ってくれたのに…」
和也「遠慮しないで受け取って?気にいるといいんだけど」
2人は遠慮がちに袋を受け取る。

茉莉「開けてもいいですか?」
和也「どうぞ?」

茉莉が袋を開けると、中から犬に着せる服が入っていた。
茉莉「可愛い!!先輩、ありがとうございます!!」
茉莉は嬉しさのあまり和也に抱きついた。
和也「気に入ってもらえたかな?」
茉莉「もちろんです!帰ったら早速着てもらいます!」
喜んでもらえてホッとする和也。

次に陽世が袋を開けた。
陽世「バッティンググローブだぁ!」
和也「最近バッティングセンターに行くって言ってたからさ。どうかな?」
陽世は返事をする前に和也に抱きついて、上目遣いで嬉しそうな表情をした。

未来虹「いいなぁ〜」
ひなの「今日は我慢しようね?」
未来虹「そうだね!それにしても2人とも幸せそう!」

こうして、茉莉と陽世の誕生日は2人の幸せな表情で終わったのだった。

■筆者メッセージ
ちょっと遅れちゃいました…

べみほの誕生日はべみほ目線で作ってみようと思います!
しゃもじ ( 2022/02/25(金) 19:48 )