日向高校




























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サイドストーリー
鈴花の誕生日
ある日の夜、好花からメッセージが届いた。

好花「先輩!やっほっす〜!今、大丈夫ですか?」
和也「うん、大丈夫だよ?どうした?」
好花「先輩って、今週の土曜日何していますか?」
和也「特に予定はないけど」
好花「ならよかった!それじゃデートしましょ?」
和也「デート?俺でいいならいいけど」
好花「先輩がいいらしいですよ!なら、10時に駅に集合で!それでは!」

好花とのメッセージが終わった。
和也「先輩がらしいってどういう事だ?」
好花とのメッセージに疑問を思いながらも、和也は別のことを考えていた。
(鈴花の誕生日プレゼント、好花に一緒に選んでもらお)
そんなことを考えながら眠りについた。

迎えた土曜日。和也は少し早めに駅に向かった。
休日なので、駅にはいつもよりたくさんの人がいた。
和也「あっ、ごめんなさい」
人混みを避けながら歩いていたが、誰かにぶつかってしまった。
「私もすみません。って、あれ?先輩?」
和也「えっ!鈴花!?」
ぶつかった人は鈴花だった。

鈴花「先輩はどこかにお出かけですか?」
和也「まぁ、そんな感じ。鈴花も?」
鈴花「はい!このちゃんとお出かけする予定です」
和也「えっ?好花と?俺も好花と遊ぶなんだけど…」
鈴花「先輩?あっ!もしかして!」
鈴花は何か思い当たる節があったのか、バックからスマホを取り出し、電話をかけた。

鈴花「もしもし、このちゃん!今、駅に着いたけど、先輩が…」
電話の相手は好花みたいだ。
鈴花「やっぱりか…。うん、ありがとう!楽しんでくるね。それじゃまたね」

好花との電話が終わったみたいだ。
和也「好花はなんだって?」
鈴花「このちゃんは今日来ないみたいです」
和也「んっ?どういうこと?」
鈴花「あのですね…」
鈴花は数日までの出来事を話し出す。

好花「先輩のこと誘えばいいじゃん!」
鈴花「えぇーっ、でも、誕生日だよ?なんな重く思われない?」

鈴花は自分の誕生日に、和也とデートに誘うかを好花に相談していた。

好花「ウチやったら誕生日に誘ってもらえたらうれしいけどなぁ〜!それに、先輩が鈴の事を重いなんて思わんやろ?」
鈴花「そうかもだけどさぁ〜」
好花「鈴は変なとこでまじめやなぁ〜。そこが可愛いんやけど!そうや!ウチに任しといて!」

好花が何をしたのか、鈴花は知らされていなかったが、和也の事を誘ってくれたみたいだ。

鈴花「ということです」
和也「なるほどね〜!」
鈴花「それで…私、今日、誕生日なんですけどデートしてくれますか?」
鈴花は不安だったのか俯いていた。
和也「もちろん!俺で良ければ喜んで」
和也の返答を聞くと、鈴花はパァッと笑顔になった。

鈴花「ありがとうございます!私、行きたい所あるんです!」
和也「そうなの?なら、そこに行こ」
鈴花「はい!あっ、ちょうど電車きましたね!早く行きましょ!」
鈴花は和也の手を握って駅のホームに向かった。

そして、30分程電車で移動して電車を降りた。
鈴花「ん〜っ!座ってばかりだと疲れますね〜!」
鈴花は電車から降りると身体を伸ばしている。
和也「そうだね。それで、どこに行くの?」
鈴花「お買い物です!先輩、私に似合う服を選んで下さい!」
和也「えぇ!俺が!?」
鈴花のまさかのお願いに、和也はびっくりしている。
鈴花「はい!先輩がです!」
和也「女の子の服分からないし、そもそもセンスないよ…」
鈴花「そうですか?私は先輩のファッション好きですけどね〜!」
和也「女と男って違うし…」
鈴花「大丈夫です!私は先輩に選んで欲しいんです!」
鈴花の真っ直ぐな視線に断れない空気になる。
和也「わ、わかった。変なのになったらごめんね?」
鈴花「ううん!どんなのになっても、先輩が選んでくれたなら、私はみんなに自慢できますから!」
鈴花は笑顔でそう答えた。

そして、普段、鈴花が買い物に来る店に向かった。
鈴花「ここです!入りましょ〜!」
和也「めっちゃ女の子の店じゃん。入るの気まずいな…」
鈴花「私と2人だからいいでしょ!はい、入りますよ〜!」
鈴花に背中を押されて店内にはいる。

鈴花「なら、私は小物を見に行くので、先輩は選んでて下さいね〜!」
和也「えっ!一緒にいてくれるんじゃないの!?ちょっと鈴花!?」
和也の声を無視して鈴花は行ってしまった。
和也「まじか…」
1人取り残されて呆然としていると、「どうなさいましたか?」と店員が声をかけてきた。

和也「あ、あの。今、流行りのファッションってどんなのですか?」
店員「彼女さんに頼まれましたか?」
一部始終を見ていたのか、店員は少し笑っていた。
和也「まぁ、そんな所です」
店員「さっきの方ならこういうのがお似合いになると思いますよ?」

店員が選んだ服を取る。
和也「ん〜」
和也はあまりピンっとこなかった。
店員「それなら、他のなら〜」
店員も和也が納得してないのを感じ取ったのか、他の服を勧めてきた。

鈴花「先輩!ちょっと!」
店員と話していると、戻ってきた鈴花に呼ばれる。
和也「どうしたの?」
鈴花「どうしたの?じゃありません!」
何故か鈴花は頬を膨らませて怒っている。
鈴花「私は先輩に選んで欲しいんです!店員さんに選んで欲しいわけじゃありません!」
和也「でも、ダサいのを着てもらう訳にもいかないし…」
鈴花「さっきも言いましたよね?先輩が選んでくれるなら、ダサくてもいいんです!」
和也「うーん。わかった。俺、1人で考えてみるね」
鈴花「はい!なら、私はまた他のを見に行ってきます!浮気しないで下さいね!」

鈴花と再び離れて、店員に事情を説明して和也は服を選び始める。

悩み始めて1時間。ようやく鈴花に似合いそうな服が見つかった。
和也「すみません。これ下さい」
和也は近くにいた店員にお会計をお願いする。

お会計を済ませて、袋を受け取って鈴花の元に向かった。
和也「鈴花、これ。誕生日プレゼントです」
鈴花「えぇ!まさか、買ってくれたんですか!?」
和也「うん、誕生日プレゼント用意出来てなかったから。気に入らなかったらごめんね?」
鈴花「先輩が私の為に選んでくれるだけで最高のプレゼントだったのに!すごく嬉しいです!」
鈴花は目から涙が溢れそうになっていた。

鈴花「先輩、ちょっと待ってて下さいね!」
鈴花はプレゼントを持ったままどこかに行ってしまった。

鈴花を待つこと5分。「お待たせしました」後ろから声をかけられて振り向くと、先程買った水色のニットセーター着た鈴花の姿が。
鈴花「どうですかね?」
和也「俺的には似合っているけど…鈴花はどうかな?」
鈴花「私的には最高です!」
鈴花は満面の笑みでそう答えた。

そして、買い物が終わり、暗くなるまで2人は遊んだ。

鈴花「こういう時にお隣さんはいいですね〜!」
日向町に帰ってきて、2人の家に向かう。
和也「そうだね。でも、遅くなっちゃったけど、おばさん心配してない?」
鈴花「さっきメッセージして、先輩と一緒って言ったら、それなら安心って言ってましたよ〜!」
和也「そっか。ならよかったよ」
鈴花「先輩はウチの母からも信頼されてますからね〜!」
和也「そうなんだ。なら、信頼を裏切らない様にしなきゃね」
鈴花「ふふっ、そうですね!じゃないと、将来、スムーズにいかなくなっちゃいますからね〜!」
和也「んっ?将来?」
鈴花「なんでもないですよ〜!お家着きましたね!今日はありがとうございました!楽しかったです!」
和也「こちらこそ。すごく楽しかったよ」
鈴花「誕生日プレゼントも嬉しかったです!最後にプレゼントのお返ししますね?」

鈴花は和也にキスをした。
鈴花「あれ?これは私にとってのプレゼントかな?」
顔を赤くして笑っていたのであった。

しゃもじ ( 2022/01/22(土) 18:30 )