日向高校




























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第8章
宣戦布告
午前の部、最後の競技は女子リレーだ。
史帆「和君。手握って?」
かとしがお願いしてきた。かとしの手は少し震えていた。恐らくリレーのアンカーだから緊張をしているのだろう。かとしの手を握る。
和也「かとしなら大丈夫。頑張れ」
史帆「うん!ありがと!頑張る!」
かとしは入場口に向かった。
「位置についてよーい、パァン!」女子リレーが始まった。2年生は練習でのバトン練習が功を奏したのか、現在は1位だ。しかし、中盤で1年に抜かれる。抜いたのは菜緒だ。次の走者が美玖でさらに差を広げる。終盤になり、3チームほとんど差がない状態になる。
そして、アンカーにバトンが渡った。1年生は渡邊さんがアンカーだ。かとしも速いが渡邊さんも速い。アンカーは1年と2年の対決になった。残り数十メートルになり、渡邊さんが少しリードしている。かとしが2年生の応援席の前を通る。
和也「かとし頑張れー!!」
かとしに届く様に大声で応援した。すると、ゴールライン手前で、かとしが渡邊さんを抜き1位でゴールした。2年の女子は、かとしの周りに集まり喜んでいる。1年生は渡邊さんの周りで、泣いている渡邊さんを慰めている。みんなが応援席に戻ってきた。かとしは嬉しさのあまり和也に抱きつく。
和也「かとしよく頑張ったね。かっこよかったよ!」
史帆「和君の声聞こえたよ?力出た。」
彩花「今回だけは監督に甘えるのは許そうかな?」
美玲「そうだね!史帆頑張ったもんね」
「ただいまからお昼休憩に入ります。」
アナウンスが流れる。みんなは休憩のために移動する。親がいるところに行く。
母「和也は午前中何もしてないのね?」
和也「そうだね。昼から出るんだ。」
父「なんか、借り物競争が終わった後、みんなと楽しそうに話してたな〜」
(ここからだとあの地獄が楽しそうに見えたのか。)
「先輩違いますよね〜?怒られてたんですよね?」隣から声が聞こえたので見ると富田さんがいた。
母「あら怒られてたの?」
鈴花「相手チームなのに陽菜にアドバイスして、菜緒と一緒にゴールしちゃいましたから。」
母「あぁ!陽菜ちゃんが、師匠が教えてくれました。って車の鍵を借りにきたけど、和也がアドバイスしたのね?」
和也「あははっ。そうなんだよね〜。」
鈴花「応援席からでも先輩が怒られてるの分かりましたよ〜♪」
和也「なんか楽しんでない?」
鈴花「心配してるんですよ〜!」
富田さんにからかわれていると
「和也お兄ちゃん!!」声の先には、夏帆ちゃんとかとしがいた。
史帆「夏帆が和君に会いたいって聞かなくって。」
和也は夏帆ちゃんを抱っこする。
母「史帆ちゃん最後凄かったわね〜!」
史帆「和君の応援のおかげで力出ましたぁ〜」
父「この子は史帆ちゃんの妹かい?和也がお兄ちゃんって?」
史帆「妹です。この子が前迷子になっているのを和君が助けてくれたんです。それから懐いちゃって。」
父「そうなのか!和也もなかなかやるな!」
史帆「夏帆。お姉ちゃんも休憩したいから戻るよ」
夏帆「はーい。お兄ちゃん頑張ってね?夏帆応援する!」
和也「ありがと。ばいばい!」
鈴花「ほほーう。遂に子どもまで虜にしましたか。」
母「子どもまで虜って?」
和也「富田さんもういいから!休憩して」
和也は慌てて止めた。ご飯も食べ終わりトイレに向かう。すると、前には美玖が怪我した時に揉めた後輩がいた。
何事もなく通り過ぎようとしたら
後輩A「ちょっと待ってくださいよ。」
和也「なんでしょう?」
後輩A「あんたのせいであの時恥をかいたんだ。」
和也「恥?美玖の時のこと?それとも菜緒のやつかな?」
後輩A「馴れ馴れしく2人を呼び捨てしないでくれませんか?」
和也「は、はぁ」
後輩A「先輩は選抜リレーアンカーなんですよね?俺もアンカーなんで勝負しましょう?」
和也「勝負とは?」
後輩A「俺が勝ったらあの時のことを謝ってもらいます。美玖ちゃんと菜緒ちゃんの前でね」
和也「俺が勝ったら?」
後輩A「その逆はどうでしょう?」
和也は考え込んだ。
和也「それはやらないとどうなるの?」
後輩A「俺、菜緒ちゃんにビンタされたこと根に持ってるんで。」
和也は何が言いたいか察した。
和也「いいよ。ただし、内容変更していいかな?」
後輩A「いいけど、何でしょう?」
和也「俺が勝ったら、美玖と菜緒。というより、アイドル部全員に手を出すな。」
後輩A「わかりました。なら俺も変更します。俺が勝ったら先輩はアイドル部辞めてください。」
和也「わかった。」
後輩A「それじゃ楽しみにしています。」
後輩は言ってしまった。このやりとりを物陰で聞いている人がいた。

■筆者メッセージ
少し長くなっちゃいました〜!
しゃもじ ( 2021/05/06(木) 16:44 )