けやき坂46
*1 柿崎芽実 the 2nd half
「ひっ、日向くん?!」

急に現実に戻る私。
バイト先のオーナーのお家で何をやってるんだろう…後悔と恥じらいでいっぱいになる。

声をかけてきた日向くんは、なぜか顔が赤い。

「ごっ、ごめんね。起こしたんだけど、よっぽど疲れてたのか全然反応がなくて。とりあえず風邪引かないように毛布掛けといた。」

目線が合わない…
なぜか私の顔よりも下を見ていて…

「ひゃっ!」
日向くんの目線は、私の胸元に向いていた。
ついさっきまで中に手を入れていたため、Yシャツははだけ、胸の谷間が見えてしまっていた。

「やだっ!」
慌てて胸元を隠すと、日向くんは「ごめんっ」と後ろを向いた。

「毛布、暑かったかな?」
と後ろを向いたまま聞いてくる日向くん。
よかった、バレてない。

「もうこっち向いても大丈夫だよ、毛布ありがとう」
私が声をかけても、日向くんはこっちを向こうとしない。

「どうしたの?」
声を掛けようとしてハッとする。
ガラス戸に反射する日向くんのパジャマ姿、ズボンが薄いせいもあって股間が…

もしかして…

「起こしてごめん、今日はこのまま寝ちゃって大丈夫だから!」
そう言って部屋に戻ろうとする日向くん

「待って」
気付いたときには呼び止めていた。立ち上がって彼に後ろから抱きつく。

まるで火に油を注いだかのように、劣情が燃え上がる。
胸を彼の背中に押し付ける。

少し落ち着きはじめたかに見えた彼の股間は、瞬く間に大きくなる。

「芽実ちゃん、だめっ」

「何がダメなのっ?こんなにしちゃって」

「止まらなくなっちゃうから」

「私は…いいよ」


その瞬間、これまでてこでもこっちを向かなかった日向くんがものすごい勢いで振り返った。

唇を奪われたと思ったら、すぐに舌が口内を蹂躙してくる。
舌先が触れては離れ、離れては触れあう。

(気持ちよすぎて何も考えられない…)

もう10分は経っただろうか。

(そろそろ、もっと触ってほしいな…)

私の欲求とは裏腹に、躊躇する日向くん。

劣情はときに人を大胆にする。

私はおもむろにシャツのボタンを一つ外して彼の手をとり、服の中に導いた。

「お願い、触って?」

彼の理性がぷつんと切れる音がした。
荒々しく胸をまさぐり、ブラをずらして直接胸を揉んでくる。

「もっと、もっとシて?」
私の言葉が聞こえたのか、聞こえてないのか、シャツも脱がされ、ブラも剥ぎ取られた。

胸の先端にしゃぶりつく彼、片方を吸ったと思ったら、もう片方を指で転がしてくる。

「あぁ…うますぎ、気持ちいい」

脳を支配する快楽に身を委ねる。
もうここまで来たら、次の刺激を期待している自分がいる。
足をよがらせるたびに、自分でもビックリするくらい下着が濡れていることがわかる。

今度は日向くんのほうから手を出してきた。
優しいソフトタッチでも、敏感になっている私は反応してしまう。

切ない吐息が喘ぎ声に変わる。

「あん、あぁぁぁっ」

その喘ぎ声に興奮してくれたのか、日向くんが指を早める。

「あっ、だめっ、待って待って、イッちゃう…」
脳に溜まっていた快楽が一瞬にして体を駆け巡った。

「はぁ、はぁ、気持ちいい」
肩で息をしながら、彼の動きに身を委ねる。

スカートも、びっしょりになった下着も脱がされた。

「綺麗だね」
一心不乱に私の体を味わっていた日向くんか久しぶりに言葉を発した。

「恥ずかしいよ、嬉しいけど」

「いい?」

言葉はいらなかった。

日向くんが私の中に入ってきて、動き回る。
二人とも押し寄せる快楽の波に抗えず、体位も変えずにただ抜き差しを繰り返した。

やがて私の限界が来て、ほぼ同時に彼の限界もきた。

「ごめん、獣になってたかも」

「日向くん、全然しゃべんないんだもん!どんだけ夢中なの!(笑)」

「芽実ちゃんが可愛すぎて…」

「もう!」

どちらからともなくキスをして、私たちはまた体を重ねた。



彼が元アイドルの柿崎芽実を知るのは、もうちょっと先の話。






豊後水道 ( 2021/05/24(月) 21:08 )