一安心な朝
翌朝、AM6:00頃バーカウンターに突っ伏して眠っていた達也は目覚めると辺りを見回した。
(そっか....昨日....)
近くには美優紀も眠っていた。
(美優紀、寝顔も可愛いなぁ///、、)
達也が朝からニヤついていると美優紀も目を覚ました。
美優紀は目を覚まして早々にあくびを1つしたが、達也の姿を確認するとすぐに顔を伏せた。
(達也の前で大あくびしてもうた....)
「おはよう///」
「おはよ〜、って、私の寝顔見てたやろ?」
「見てないよ!」
「ふーん、まぁええわ。」
美優紀はイタズラっぽい顔をして達也の顔を見ていた。
「なぁ、美優紀。遥香は?」
「ちょっと病室行ってみよ?」
「うん。」
達也と美優紀は身支度を済ませると、遥香のいる、病室に行くことにした。
「こっちやで。」
(ホントの病院みたいだな....)
美優紀に案内されて遥香がいる部屋の前にやってきた達也は横開きのドアを薄く開けて覗くように病室内を見た。
すると、そこには何と普通に立ち歩いて鏡を見ている遥香の後ろ姿があったのだった。
「遥香っ!!」
達也は遥香の姿を確認すると、一気にドアを開けて遥香の元に駆け寄った。
「お兄ちゃんっ!!」
遥香は達也に気付くと思いっ切り達也に抱きついた。
「わっ!遥香、大丈夫か?」
達也も遥香をしっかりと受け入れ、抱きしめた。
「うん....ちょっと熱があるけど....大丈夫だよ....グスン....」
兄に会えたことで安心したのか遥香の目には涙が溢れて泣いていていた。
「グスッ...(貰い泣きしてまうわ....、兄妹愛やな…)」
強く抱き合う2人を見た美優紀は、空気を読んでかその場を離れていった。
「うわぁぁん、ごめんね....お兄ちゃん....」
「いいんだよ。泣くな。。」
二人が長時間抱き合ってると、突然白衣を着た男性が部屋に入ってきた。
「失礼します。」
その男には神山という名札が付けられており、彼が入ってくると達也は遥香から離れたが、遥香は達也の腕に引っ付いていた。
「あ....医者の方....妹をありがとうございました。」
「お礼なら、お嬢様に言ってください。それと、熱が下がるまではご自宅で安静にお願いいたしますね。」
達也と遥香は帰宅する事が出来ると知り、顔を見合わせて喜んだ。
そして達也は遥香を引っつけたまま、病室を後にすると、そこには見慣れた制服姿の美優紀が立っていた。
「あー、腕組んどるやん、人ん家でイチャイチャしちゃって〜」
「え....///いやこれは違う、遥香が勝手に....こら、離れろよ!」
「むー、やーだよ♪離れない。えいっ!」
腕に引っ付く遥香を剥がそうとした達也だが、遥香に抱きつかれてしまった。
「遥香ちゃん、可愛ええなぁ。」
そんなやり取りをしていると、あのリムジンを運転していた鹿野という人物がやってきた。
「渡辺様、登校のお時間です。」
「....分かった。今日は達也と遥香ちゃんも乗せてくから。」
「かしこまりました。」
「美優紀、本当にありがとう。」
「ありがとうございました。」
「ううん、気にせんといて。それより遥香ちゃんお大事にな。」
こうして達也と遥香は無事に島崎家に帰っていった。
達也はこの日は学校には行かずに遥香の熱を下げるための看病をするために欠席を取ることにしていた。
そして達也と遥香が下車した車内....
(遥香ちゃん....、ホンマに羨ましいな....、)
美優紀はそんなことを考えながら、達也に一通のメールを送ったのだった。