サッカー部マネージャー集合
大輝と高柳が2人で出かけた翌日の月曜日の朝。
大輝は通学路を全速力で走っていた。
「やばいやばい朝練が始まってしまう!」
大輝が走っていると、並んで歩く達也、遥香の兄妹に追い付いた。
「おーい、達也ー!遥香ー!」
「わっ、何だ大輝か。」
「大輝お兄ちゃん、おはよう。」
大輝は普段一緒に登校している達也に追い付けば朝練に遅刻することは無いと思い、走るのを止め、島崎兄妹と共に歩き学校に向かった。
「じゃあな、遥香。頑張れよ。」
「うん。お兄ちゃんも頑張って、練習見てるから!」
大輝と達也の2人が遥香と別れると、2人は朝練のために、部室に向かった。
それからそれぞれの朝練が終わり、クラスに人が集まり、その日の時間割が始まった。
そして時は進み午前の授業が全て終わり、昼休みの時間。
昨日の玲奈からの連絡の通り、サッカー部マネージャーの花音と5月の頭に控えた合宿の手伝いマネージャーをする予定の彩、美優紀の3人は部室に向かっていた。
「ここが部室だよ、あっ、玲奈さんが来たらちゃんと挨拶してね。」
3人は部室に入ったが、まだ誰も来ていなかった。
「へぇ、こんなんなんや。なぁ、花音。玲奈さんってあの超美人な生徒会長さんやろ?」
美優紀が花音に尋ねると花音は黙って頷いた。
「マネージャーって色々大変なんやろうな。」
目線をやや上に向けて、呟く彩に花音は言葉を返す。
「まぁ、大変だけど。楽しいよ!サッカー見れるし!」
花音はマネージャーというポジションだが、部員並みにサッカーが好きなのだ。
するとその時、3人がいる部室の扉が開かれ、玲奈と茉夏と3人には見覚えの無い小柄な女の子が入ってきた。
「玲奈さん、こんにちは!」
玲奈の姿を見た花音はすぐに挨拶をする、その様子に連れるように彩と美優紀も軽く頭を下げた。
「とりあえず、座ろ。」
玲奈がそう一同に促すと、近くにあった椅子を花音と茉夏が人数分並べて、全員椅子に腰掛けた。
「えっと、集まってもらいありがとうございます。私はサッカー部のマネージャーの3年A組の松井玲奈です。よろしくおねがいします。」
最初に自ら自己紹介をした玲奈は、花音と茉夏にも自己紹介をするように視線を送った。
「同じくマネージャーをしている、2年D組の木本花音です。」
「1年E組の向田茉夏です。」
自己紹介をした2人の様子を見て、玲奈は無言で軽く頷くと、今度は彩と美優紀と1人の女の子の方を見て口を開いた。
「とりあえず、お手伝いで来てくれた3人も順番に自己紹介してくれる?」
「は…はい。」
玲奈にそう言われ、流れで花音の隣に座る、美優紀から自己紹介を始めた。
生徒会長もしている玲奈は、別に怖い訳では無いが、それなりに気高いオーラを持っているようにお手伝いマネージャーとして集まった3人は感じていた。