思い出の場所で
二人が懐かしいというこの公園。
その公園には良く二人が幼い時に遊びに来ていた。
「へぇ、すごい久々に来たけど何も変わらないな。」
「でもさ、シーソーが無くなってるじゃん。」
「そんなのあったっけ。」
「うそー、大輝覚えてないの?」
二人は懐かしさに浸りながら決して広くは無い公園内をゆっくり歩き、気付けばベンチに腰掛けて昔話に花を咲かせていた。
「そういえばさ、明音、昔ジャングルジムから降りれなくなって泣いてたよな。」
「うん。小学校1年生のときね、あの時大輝助けてくれたよね。」
「そりゃ、あんなに泣くとは思わなかったからな。」
「私が木から落ちたの覚えてる?」
「あの木だろ?鳥さんだーとか行って上って……」
「そうそう。よく私打撲だけで済んだよね。」
「そうだな。今見ても結構高さあるし。」
「お、見て見て!今日も鳥がいるよ。」
「上ってきたら?」
「上りません!」
二人が話しをしていると高柳はいつの間にやら、ブランコに乗っていた。
「やっほー!」
「何してんだよ。」
「いいじゃん、別に。大輝も乗れば?」
「スカートの中見えてるけど…」
「え……きゃっ//」
大輝の不意を付くような一言に高柳は慌ててブランコから飛び降りた。
「変態!//」
顔を真っ赤にして、涙目になっていた。
「乗る前に考えろよ。」
「もぅ……馬鹿……」
高柳は恥ずかしさのあまりに砂場の方に走って行った。
(今日、私が大輝を遊びに誘った理由……、まぁ馬鹿だから気付いてないだろうな……、本当に昔から変わらないな、大輝は。この公園にたまたまきて改めてわかったよ……私は大輝のことが好きなの、、男としてね。)
砂場にしゃがみ込んで聞こえない声を並べる高柳。
そう、彼女が宿題のお礼に一緒に遊ぶことを希望したのは、幼なじみの彼、大輝に自分の気持ちを伝えるためだった。
そして今日一日ここまで一緒に過ごしてドキドキし続けて、彼女の心中に秘めた気持ちは我慢の限界に達していた。
「明音……ごめん。」
背を向けてしゃがみ込み、下を向く高柳に大輝はそっと歩みより、とりあえずの謝罪の言葉を口にした。
「別に…怒ってないから…」
しゃがんで背を向けながら、低い声で言葉を返す高柳だったが、大輝はそっと手を差し出した。
「またそんなこと言って、いつもそうだよな明音は……、悪いのは俺だがお前の暗い顔は見たくない。ほら、立って。」
(やっぱり、凄く優しいよ……)
高柳は手を張り詰める気持ちに震わせながら、大輝の手を借りて立ち上がった。
その時、大輝は始めて見せる彼女の表情を見たのだった。