第三章 幼なじみの関係
映画見て、懐かしの場所に
「間に合ったな……」

「はぁ……急に大輝走り出すから……」

二人は割とギリギリな時間に映画館に入り、早足で来たために高柳の額にはうっすらと汗が滲んでいた。

「ごめんごめん。意外と時間ギリギリだったな。」

「うん……、早く入ろ。」

二人は映画館の奥のスクリーンの部屋に入っていった。

「明音、席はここだ。」

「うん。そうだね。」

二人が席に着くとすぐに開始のブザーが鳴り響き、証明が落ちて映画は始まった。

それから物語は普通に進んで行き、映画は終わった。

「グスッ……(切ない……)」

高柳は映画のクライマックスのシーンに思わず涙していて、証明が再び点いてもハンカチで涙を拭っていた。

「めっちゃ泣けたね、大輝。」

「Zzzzz……あ、おはよ。」

映画の最中から大輝はすっかり夢の中だったようだ。

「おはよって……、寝てたの?最低。」

「ごめんごめん。明音泣いてたの?」

「見てない人にはわかんないよ!」

「うん!まったく。さ、早くここを出ようぜ。」

「もー、せっかく見たのにー。」

二人は映画館を出て、外に出た。


「明音、これからどうする?」

「うーん。もう帰るで良くない?」

「よし、じゃあ帰ろ。」

時刻はPM15:30分、二人はショッピングモールを後にして帰りのバスに乗るべく、バス停のある方に向かって行った。

「なぁ、明音。腕組んで歩くのやめないか?」

「えー、じゃあ手繋ぐ?」

「いや、そうじゃなくて……ほら、学校の人が見たらさ。」

「いいじゃん、みんな幼なじみだって知ってるし……、」

「そういう問題じゃないだろ。どうするんだよ、付き合ってるとか噂になったら。」

「(大輝は嫌なのかな……)そ…そうだね、また噂になったら大変だよね。。あはは。」

実は過去に大輝と高柳の二人は幼なじみとして一緒に遊んでいたところを目撃されて噂になったことがあった。


そして二人はバス停に来ていた、バスに乗り込んで普段過ごしている地域に帰ってきた。


それから二人は家路を歩いた。

さすがに学校の地域になると、高柳は腕を組んだりはせずに静かにしていた。

……………

そのまま二人は黙々と歩いていたが、突然高柳が大きな声を出した。

「あー!鳩がいる!」

「鳩?あ……鳩か。」

高柳は路上にいた鳩を見つめて追いかけ始めた。

「ちゅんちゅん♪」

その鳩は人慣れしているようで、鳥の鳴き真似をしながら高柳が追いかけても飛び立つことはなく、千鳥足で高柳から逃げていき、高柳はそれをひたすら追いかけた。

大輝はその様子を見て、別に呆れるような顔はせずに高柳に付いて行った。

(相変わらず、鳥が好きだな。)

「ちゅんちゅん♪ちゅんちゅん♪あー、待って〜。」

バサバサッ

高柳が執拗に追いかけ回した鳩はしばらく逃げ回った後、空に飛び立ってしまった。

「やだー、待ってよ〜。むぅ……」

「追いかけたら逃げるに決まってるだろ。」

「そうだよね…あ、大輝…//」

高柳は大輝に話し掛けられて始めて、鳥を追いかける姿を見られたことが恥ずかしくて赤面した。

「てか、ここ懐かしいな。」

「ん?あぁ!懐かしいね!」

高柳が鳩を追いかけて二人はいつの間にか、とある公園に来ていたのだった。


バステト ( 2013/11/26(火) 10:36 )