新学期二日目
新学期が始まって二日目。
希美杉学園では一年生以外の生徒はごく普通の一日授業が始まる。
時はAM8:30。朝のホームルームが始まる前の時間。
朝練をしていた部活の生徒たちも続々と教室に集まって来ている頃だ。
「おはよー。」
「あぁ、おはよ。」
大輝、達也、俊太、花音のサッカー部組も朝練を終えて教室にやってきた。
「大輝おはよー。」
「おはよう。そうだ、明音、宿題ありがとな!」
「うん。」
「お礼何すればいい?」
「うーん。。考えとくよ!」
「達也おはよう。」
「わたな……美優紀、おはよう。」
「よし!"美優紀"定着やな!」
昨日から名前で呼び合うようになった達也と美優紀にクラス中の注目が集まった。
「ちょっと、何だよ。みんな。」
「お二人さんはもうそういう関係なのー?」
いたずらっぽく尋ねて来たのは珠理奈。
「いやいや、違うから!」
達也は否定をする。しかし……
「ヒュ〜、達也羨ましいぜ、みるきーちゃんだなんて。」
クラスの男子達から冷やかしのヤジを浴びせられた。
「だから〜//」
焦ったような口調で達也が言い返した。
(照れちゃって、顔真っ赤やん。達也可愛いとこあるんやなー。)
美優紀は微笑みを浮かべながらで達也の顔を見ていた。
「だから、違うって!」
「ふーん。じゃあみるきーちゃん、どうなんだ?」
「さぁどうやろうな〜。」
(美優紀……否定しないのかよ!)
達也はクラスの男子達と言い合っていたが担任の柏木が来て、ホームルームが始まったところで騒ぎは収まった。
「じゃあ、今日から授業だからみんな頑張ってねー。」
朝のホームルームが終わるとすぐに一時間目の授業が始まった。
そしてこの日の四時間目の授業に大輝にとってあるきっかけになることが待っているのだった。
「お、もう四時間目か今日は授業短く感じるな。次は…体育か。」
「大輝はほとんど寝てただろ。」
「昨日宿題で疲れたんだよ。」
「そういえば体育、俺達の種目サッカーみたいだぜ?」
「マジか!それは最高じゃん。早く外行こうぜ!」
大輝と達也はテンションが上がり体操服に速攻で着替えてグランドに飛び出していった。
準備運動を終えアップのためグランドを走る二人。
「なぁ、達也。実際渡辺さんとはどうなんだ?」
「(大輝まで……)別に何でも無いよ。」
「本当に?俺と明音はお前らが一緒に帰ってるところ見たぜ?」
大輝の一言に達也は目を丸くする。
「(見られてたか……)まぁさ、ここだけの話、実は俺、美優紀のこと気になってはいるさ。」
「そうかそうか、じゃあ良いところ見せられるといいな、この時間で。」
声のトーンを下げる達也に大輝が水をさした。
「う…うるせ。余計なこと言うなし。」
「あはは、まぁ少しは協力してやるからさ!」
「協力?」
「ま、お楽しみだよ。」
クラス全員がグランドに集まったところでサッカーの授業は始まった。