04
連れて来られたのは、とあるファミレスだった。
きっとここで、2人の食事代を払わせられるのだろう。
両膝に手を置きながら、俯いている。上目でこっそりと、向かい側に座る彼女と、横目で隣に座る彼を見た。
「どしたん? お腹減ってない?」
「えっ、あっ、いや、その……」
お腹は減っていない事もない。だけど食べたくない。ちょっとでも、会計が安く済むように。
「安心しろ。お前に払わそうなんて、思っちゃういねぇよ」
信じられる訳がない。
見た目はヤクザ。それにサングラス。長身で乱暴な言葉遣いの人の言うことを、誰が信じるんだ……。
「僕、お腹減ってないから……」
目の前のお冷を手に取り、飲もうとしたのだが、空だった。緊張で喉が渇いている。
「はい、これ飲んでえぇよ」
微笑みながら、彼女は僕の前に、ジュースの入ったグラスを差し出した。
「だ、大丈夫……」
隣の彼が、それを飲んだ。
「なんで烈央が飲むんよ!?」
「豆が喉に詰まった」
頬を膨らませた彼女は、ドリンクバーに向かって行った。
怖い彼と2人きりになり、僕の緊張は高まっていった。
背もたれに寄りかかり、両手をポケットに入れながら天井を見上げる彼が、口を開いた。
「お前、生きてて楽しいか?」
不意の質問だった。
思わず顔をあげ、彼を見てしまった。
「新崎の従兄弟なのに、お前は暗いよな」
ハッキリと言う人だ……。
「お前は、何の為に生きてる?」
「えっ……」
「お前には、生きる意味はあるのか?」
生きる意味……。
そんなもの、ある訳ない……。
「生きる意味が無かったら、お前はとっくに死んでるよな」
「……何が、言いたいの?」
小声で聞き返すと、急に胸ぐらを掴まれ、詰め寄られた。
「てめぇの欲望の為に、生きてみろ」
この人は、僕が虐められているのを、僕が生きるのを辞めようとしているのを、まるで知っているようだった。
「あ、あんたは、何の為に生きてるの……?」
勇気を出して尋ねた。
胸ぐらを離し、距離を取った彼は、中指の爪をいじりながら答えた。
「金だ……」
「お、お金……?」
「この世にはな、まだまだ見たことのねぇ大金が、俺を待ってるんだ……」
不適に笑う彼が、不気味だった。
ドリンクバーに行っていた彼女が、戻って来た。
「烈央、あんた何か言ったやろ?」
「あぁ?」
「怯えてるやん?」
生きる意味というのは、そんなものでいいのだろうか……。
自分の欲望の為に生きる……。