第一章〜始まりの空
極西の飛行隊〜2〜
私の目線の先にいるぱるるは一切表情を読ませないように無表情でいた


島崎遥香…最初に彼女が任官した時は、その独特な雰囲気に戸惑った


先に任官していたゆいはパイロット訓練校の同期だったらしく再開を喜んでいたが、私はその飄々とした存在にどう接していい分からなかったのだ


配属にあたって資料を先に読んでいたが、訓練校での成績はあまり良い方ではなく、同期のゆいの方が先に訓練過程を終えてしまったぐらいだ


育てろ…そういう意味で自分の部下になったのかと思ったが、実際に一緒に飛んでみて驚いた


資料とは別人なのではないかと思う天才肌な飛び方をする


実際、たかみなは模擬戦で一度だけだが後ろを取られレーダーロックをされた事がある


飛び方を含め普段の立ち振舞いからだと、彼女を掴めないのが本音だ


どこか儚げで見え方によれば無気力にも見える…

それでいて空では凶悪なマニューバーをするのだから人は見かけによらない


そんな事を思いながら彼女と視線を交わす

時間は数秒もなかっただろう


彼女も目線が合ってる事は分かっていただろうが、何を考えているかは何時もと同じで全く読めない


視線をぱるるから再び皆を見回すように動かすと話を続けた



「上ではお前たちを私の側からは離さない…」


まだ戦い方はおろか、戦闘機乗りの心構えすら完全じゃない者もいる


既に多くの犠牲を出した

これ以降の被害は防ぎたい

その為にはやるべき事は全てする…そんな覚悟だ


特に…


「ぱるる!」


再び彼女に目線を向け名前を呼ぶと、彼女は「はい」と返事をする


だが表情は変わらず…


「あんたは私の2番機よ。目を離すと何をやらかすか分からないからね」


その言葉にぱるるは一瞬だけ目が動くが、それでも表情は読めない


私はまた視線を皆に戻し


「すぐに琉球本島の大隊本部から増援がくる。それまでの辛抱だ」











何も起こらなければそれでいい…

本当にそう思っていた

だがそうはいかなかった


多分もう外れてはいけないタガが外れたのだ


スクランブルは唐突に起きた…

私の願いを無視して…

地上誘導員の指示に従い機体を滑走路へと移動させる


『トレボーよりクウガ1…発進を許可する…幸運を』


「了解…クウガ1…発進する」


私はスロットルを押し上げた



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どらごん ( 2013/12/03(火) 01:27 )