1.負けず嫌いの陥落ゲーム -開始-
猿轡を噛まされて磔にされた愛季。
身長が低すぎて拘束が映えないからといって、足の下にブロックを積まれて嵩上げされているのが地味に屈辱…。
そして、そんな愛季の悔しそうな顔を眺めながら、
「さてさて…では、始めていこうか。お嬢ちゃん…♪」
そんな、子供扱いするような声かけとともに鮫島が目配せをすると、
「へいッ…♪」
ニヤリと笑った配下の男たちが手に持っていたのはハサミ…!
そして、そのハサミで愛季が着ている服を、
ジョキ…ジョキ…
「く、くぅ…!」
猿轡の奥から小さく漏れた無念の声。
この国の統治メンバーの証である神聖なる衣装が、ものの数分でズタズタに…。
生地の削減に反比例して増えていく白い肌の露出。
そして、いっそひと思いに全て剥ぎ取ればいいものを、上は袖だけ切ってチョッキに、下のスカートも前面だけ少し残してふんどしのように恥ずかしくアレンジをされてしまう始末。

そんな小生意気な娘に相応の辱しめを与え、
「どうだぁ?だいぶ涼しくなったろう?女王様のクールビズだ」
してやったりという笑みを浮かべる鮫島に対し、
「……」
どうせ猿轡のせいで声にならないなら挑発に乗る必要は無し…恥辱を堪えて無言でいるのが正解と、見かけのわりにそういうところは意外と打算的な愛季だが、そんな彼女も、
「ククク…では、まず、手始めに…おい!例のを持ってこい!」
と、鮫島が配下の男に声をかけると、さすがに、
(な、なに…?何を持ってこさせる気…?)
と、少し緊迫。
そして男たちが持ってきたのは、執事が着けるような白の手袋とジュラルミンケース。
まず手袋から受け取り、それをしっかり両手に装着した鮫島。
そして、続いて受け取ったジュラルミンケースを愛季の目線の高さで掲げ、
…パカッ…
(…!?)
開いた瞬間、レッドカーペットのような真っ赤な裏地の上を這う奇妙な色の蜘蛛と目が合い、思わず絶句する愛季。

その妙な蜘蛛を、手袋を着けた手の平でスッと掬い上げながら、
「ククク…なぜ俺が手袋をつけたと思う?答えは簡単…コイツが毒を持っているからさ」
と不敵に笑った鮫島。
そして、たった今、毒を持っていると説明したその蜘蛛を愛季の首筋に放つ。
「んーッ!んーッ!」
毒持ちと聞いた手前、血相を変えてもがく愛季。
限られた可動域の中で懸命に身体を揺するも、その小さな蜘蛛は振り落とされることもなく…いや、それどころか、逞しく愛季の皮膚の上を這い、そして、するりとチョッキ化した衣装の裏へ。
(や、やだッ…!気持ち悪いッ!)
カサカサと蜘蛛が這う感触が肌を伝うと、みるみる顔が青ざめ、ぞわっと全身に鳥肌が立つ愛季だが、そんな彼女をよそに、その虫『淫蟲』は、手始めにまず、ブラに護られた胸の膨らみへ一直線。
そして、まるで障害物競走の網くぐりゾーンに差し掛かったかのごとく、モゾモゾとブラの中に潜り込むや、
…チクっ…!
(痛ッ…!)
乳房の先端に携える突起の部分にチクリとした痛みを感じ、眉をひそめる愛季。
そのリアクションを見逃さず、
「ククク…まず一箇所目。毒が打ち込まれたようだ」
そう言ってニヤリと笑った鮫島。
なおも淫蟲はカサカサとブラの中を這い回り、反対側の胸へと移って、そちらも同様に、先端の突起に小さな痛みを残す。
そして、それで終わりかと思えば、当然そんなことはなく、網くぐりゾーンを抜け出したようにブラの下の方から這い出ると、さらに下降。
(ひゃッ…!)
おへその上を這われたくすぐったさに、磔のまま、思わず腰が引ける愛季。
(ちょ、ちょっと…!何なの、この虫…!)
困惑するのも無理はない。
まるでルートを記憶した精密機械のごとく、ブラの次はパンティの中へと一目散に潜り込んできたからだ。
下の毛の中をカサカサと這われる不快な感触…そして、その茂みを抜けて股の下へと滑り落ちるや、とうとうそこにも、
チクっ…!
「んんッ…!」
女の大事なところにもさっきと同様のチクッとした痛み…
こうして愛季の身体、計三箇所に毒を注入した淫蟲は、ここでお役御免。
パンティから這い出てくると、来た道をUターンし、今度はロッククライミングをするように愛季の身体を登り、務めを終えたように首筋へと帰還。
それを、待ってましたとばかりにスッと差し出した手の平に乗せ、またジュラルミンケースの中に戻し、パタリと閉じた鮫島。
そこでようやく着けていた白手袋を外し、
「よし。戻しておけ」
と、ジュラルミンケースと一緒に配下の男に手渡した後、愛季に、
「ククク…これでもう、お前は破滅が約束されたようなものだ」
「━━━」
キッと睨み据え、
(は、破滅…?どういう意味よ?それ…)
と目で問う愛季に対し、その視線を汲み取って、
「あの蜘蛛は、俺が独自に品種改良して生み出した対女性捕虜に特化した生物兵器だ。体内で強力な媚薬成分を生成し、それを毒針の先から標的に注入し、たちまち淫乱に変えてしまう。森田先輩もその毒でやられたのさ」
「━━━」
「…ククク。眉が震えているぞ?今のを聞いて怖くなってきたか?だが、もう遅い。既に毒はお前の身体に打ち込まれた。じきに効いてくるだろう」
「━━━」
この男の言う通り…現に、計3回、チクッとした痛みを感じたのは事実。
「くっ…!くっ…!」
取り返しのつかなくなる前に…再度、繋がれた手足を揺する愛季だが、状況は変わらず…。
一方、鮫島は、そんな愛季の焦りを不敵な笑みを浮かべて見ながら、ふと、胸ポケットの中をガサガサ…。
(つ、次は何…?)
と、怪訝そうな表情をする愛季の眼前に突きつけてきたのは、一見、目薬のような容器。
それを愛季の顔の前で揺らめかせ、
「見ろ。コイツぁ、さっきの蜘蛛の毒を浄化できる解毒剤だ。今ならまだ打ち消すのに間に合う…どうだ?欲しいだろ?」
「━━━」
とにかく負けず嫌いの愛季。
鮫島の聞き方が癪に障るので素直には頷かない。…が、内心は、そりゃもちろん欲しいに決まっている。
そして鮫島は、フッと笑って胸ポケットの中に戻すと、入れ替わりに次は5枚ほどのカードを取り出した。
(…?)
何のつもりかという愛季の視線に、
「ククク…この中に一枚だけアタリのカードがある。見事、そのカードを引けたら、今の解毒剤をくれてやるとしよう」
(チッ…!)
猿轡を噛まされているので音は鳴らせないが、心の中で舌打ち。
くだらないゲームの提案にイラッとしてしまう愛季だが、鮫島は、そんな彼女の表情を見据えて、
「おいおい、そんなキツイ視線を向けられる筋合いはないぞ?あの蜘蛛の毒は、現状、この解毒剤以外に打ち消す手段はない。それを引き運次第でくれてやると言ってるんだ。願ってもない救済のチャンスを貰えて、むしろ感謝されるべきだと思うがなぁ?」
「━━━」
蜘蛛を放したのも自分のくせに、いったい、どの口で言ってるのか…とにかく息を吐くようにイライラさせてくる鮫島の言動。
そして愛季の繋がれている右手の前でカードを扇状に広げ、まるでババ抜きのように差し出し、
「ほら、引けよ。5枚のうち、一枚だけがアタリで解毒剤ゲット。運が良ければ一発で助かる」
「━━━」
「ん?何だ?引かないのか?放っておいても毒が回るだけだぞ?」
「くっ…」
確かに、意地を張って突っぱねたところで窮地に陥るだけ。
よって、お言葉に甘えて…というワケでもないが、機嫌よく差し出してくるので、クネクネと手首を返し、扇の中から一枚を摘まんで引っこ抜いた愛季。
すると、その引いたカードをスッと回収し、一足先に確認する鮫島。
「ククク…」
と不敵な笑み…そして、そのカードを愛季の顔の前に持ってきて、サッと裏返すと、そこには、
<羽根>
の文字。
それを見て、
(は、羽根…?なに?どういうこと…?)
見ただけでは何のことか分からず、きょとんとする愛季に、
「フッ…残念。ハズレだ」
と告げた鮫島は、続けて、
「おい!羽根だ!羽根が出たぞ!」
と声を上げると、それを聞いた配下の男たちが二人、ササッと磔の愛季の両脇にポジションを取った。
その瞬間、反射的にその二人の手元に目を向けた愛季に見えたのは、まさしくカードに書かれていた文字の通り、羽根…。

そして鮫島が、
「ククク…言い忘れたが、ハズレのカードを引いた時はちょっとした罰を用意している。それを受けてもらおうか」
(くっ…!コ、コイツ…!)
絶対に確信犯…何とも白々しい事後説明に、またもイラッとさせられる愛季。
そして、そんな愛季を無視して、
「では、罰の時間だ。よーい、スタート!」
と合図を出すと、その瞬間、両脇の男たちが手に持つ羽根で、愛季の首筋と二の腕を、ファサファサ…ファサファサ…。
「んッ!?んーッ…!」
羽根の先端が触れた瞬間、磔のまま、軽く身体を跳ねさせた愛季。
その開始早々の好反応に、
(ほぅ…なるほど。いいぞ、ひかる。注文通りだ)
しめしめという顔で笑った鮫島。
注文通り…というのも、最近、女王軍団に加わった新米の中から一人、新たな獲物を連れてくるように森田ひかるに命じた鮫島。
既にひかるは調教済み。
快楽に依存して、いまや鮫島の言いなりとなっており、ご褒美セックスのためなら後輩を罠にかけるのも厭わない。
そして、その送り出す際に、一つ付け加えて、
「くすぐりに弱いヤツがいいな。その条件で見繕ってこい」
と条件を出したところ、ひかるが連れてきたのが愛季だったというワケだ。
当のひかるは、
「もう一人、純葉(いとは)っていう娘もけっこうくすぐりに弱くて、どっちにするか迷ったんですけど、愛季ちゃんの方が誘いに乗ってきそうだったんで…♪」
とか何とか言っていたが、それは別にどちらでも結構。
とにかく、くすぐりに弱くて嬲り甲斐のある小娘が手に入れば今はそれでいい。
なおも、
「んーッ!んーッ!」
と猿轡を噛んだまま悶絶する愛季に、
「とりあえず3分ぐらいとしておこうか」
と腕時計を見て、時間を計りつつ、くすぐり担当の男たちに、
「おい、お前ら。せっかく腋が丸出しになってるんだ。遠慮せずにくすぐってやれよ」
と指示する鮫島。
彼の言う通り、無様にチョッキにされた衣装からは白くて細い腕が伸び、それが斜め上のところで留められているため、キレイな腋が全開。
そこに羽根が近づき、汗腺を優しくなぞるようにソフトにくすぐれば、
「んッ…んッ…んッ…!」
どうやら、腕を下ろして腋を閉じたいようだが、拘束によって叶わない愛季。
ちょくちょく下がり眉になって悶絶しているのがいい気味だ。
そして、楽しければ3分なんてあっという間。
「…よし。まだ最初だからな。ひとまずそのへんにしておけ」
と男たちに声をかけ、今の「羽根」と書かれたカードも再び混ぜ、よく繰ってから再び扇状に広げる鮫島。
それを再度、愛季の手元へ差し出し、
「ククク…ハズレを引いてくすぐられてる場合じゃないぞ?さっさとアタリを引いて解毒剤を手に入れてみろ。手遅れになっても知らんぞ?」
「くっ…」
アタリが本当にあるとすればハズレは4枚。
そのうち1枚は今の「羽根」だから、あと3枚、得体の知れない罰が用意されているということだ。
早く次のカードを引けとばかりにニタニタ笑う鮫島の顔は愉悦一色。
それは、いつもの、だんだん地獄の淵へと追い詰められていく女を見る時の顔だ…。
(つづく)