3.決戦の火蓋
菅井を乗せたリムジンが、目的地である復讐兵団のアジトに到着した。
アジトという響きから、てっきり山間にある人の近寄らない洞窟のようなものを想像していたが、実際は市街地からそう遠くもないレトロな洋館。
減速するリムジンの窓から外観を眺め、
(まさか、こんなところを根城にしていたなんて…)
と、菅井も少し驚いたぐらいだが、いざ車から降り立つと、ただの古い洋館ではなかった。
仰々しい門には夜でも鮮明に映る高性能暗視カメラ、柵には侵入者撃退用の高圧電流が張り巡らされており、よしんば柵を上手く飛び越えたとしても庭には二匹の獰猛なドーベルマンが歩き回るなど、外敵の侵入を一切許さない厳戒態勢が敷かれている。
門の前に車をつけた運転手は、ドアマンのようにドアを開けると、
「さぁ、着きましたよ。無事に出てこれるといいですねぇ。ひっひっひ…」
と、癇に障る言い方で煽る。
それを無視して降り立つと、重厚な門が開き、
「ようこそ、ミス菅井。お待ちしておりましたよ」
と次は黒いマントに仮面をつけた男が出迎えた。
どこかで聞き覚えのある声…先日の小林由依の凌辱動画にて、司会者のように振る舞っていたあの耳障りな男の声だと思いだした。
ちなみに彼は復讐兵団のナンバー2。
ボスである鮫島に最も信頼されている側近でもある。
「さぁ、どうぞ。こちらへ…」
あの動画と同様、妙に丁寧な口調で洋館の中に案内するナンバー2。
通されたのは大広間。
(…!)
アンティーク家具にシャンデリアが目につく中、高貴なソファーにふんぞり返る男たち。
その顔ぶれを見渡し、緊張した面持ちの菅井に、
「どうです?見覚えのある男たちばかりでしょう?…そうです。これまで貴女が奴隷にして可愛がってきた男たちですよ。そんな彼らには、あなたが悶え苦しむところを特等席で見せてあげようと、我々の厚意で招待しておきました」
「━━━」
ニヤニヤ笑い、早くも勝ち誇ったような表情の元・奴隷たちのツラが気に障る。
彼らの目からは、
(よくも今まで散々、嬲り者にしてくれたな…!)
(調子に乗りやがって…!)
(今からお前さんが辱しめに遭うところ、しかと見届けさせてもらうぜ…!)
という空気が滲み出ていた。
そんな彼らに目をやり、
「どうです?何か再会の言葉でもかけられますか?」
「…いいえ、結構」
と一蹴し、
「そんなに長居する気はないの。さっさとゲームとやらを始めてちょうだい」
と口にする菅井。
そんな強気な態度にナンバー2はクスッと笑って、
「分かりました。ここに来るまでの車内で、ゲームのルールは聞いてきましたね?寸止め快楽拷問チキンレース…決められた制限時間、快楽に流されずに耐え抜けば貴女の勝ち。逆に、快楽に流され、焦らし責めに耐えきれずに絶頂を懇願するようなことになれば貴女の負け…いいですね?」
ナンバー2の問いにコクリと頷く菅井だが、返す刀で、
「捕らえた五人は何処にいるの?五人の安全を確認しないことには、まだ、そのゲームには応じられないわ」
「フフフ…そう言うと思ってましたよ…」
マントからひょこっと腕を出したナンバー2。
その手に握られたリモコンを部屋のテレビに向けた。
電源が入り、映し出された大画面に言葉を飲み込む菅井。
それは、おそらくこの洋館の地下だと思われる牢屋のモニタリング。
そこに、捕らわれた渡邉理佐、長濱ねる、関有美子、田村保乃、小林由依の五人の姿を確認した。
無事は無事、それは安心なのだが…。
「んっ…んっ…」
「あんっ♪き、気持ちいいっ…!」
「んひゃぁ…さ、最高ぉ…♪」
スピーカーから入り乱れて聞こえる嬌声。
よく見ると、理佐と小林は、それぞれ自らの指で股を弄くって転げ回り、

ねるにいたっては男性器を模した極太ディルドーを床に立ててそこに跨がって身体を揺すっている。

さらに、有美子と保乃は合体するように濡れた秘貝同士を擦り合わせ、互いに腰を振る始末…。

とても見ていられる光景ではなく、
「…もう大丈夫。消して…!」
と目を背けて吐き捨てる菅井。
ナンバー2は、言われた通りテレビを消すと、
「どうしました?まさか助ける気がなくなったんですか?フフフ…」
もちろん、そんなつもりはない。
ここに映るとも知らずに恥態を晒していた五人。
おおかた、理性を失うような強い媚薬でも盛られているのだろうが、
(そんなものはハウスに戻れば浄化できる…!)
と踏む菅井。
「考えは変わらないわ。五人は絶対に取り戻す」
と宣言すると、
「素晴らしいッ!さすがリーダーですねぇ…♪」
ナンバー2は、その不気味な仮面をしていても分かる不敵な笑みを浮かべ、
「では、早速、始めましょう!人質奪還を懸けたゲーム、楽しませてもらいますよぉッ!」
と声高らかに告げ、おもむろにトートバッグを菅井に手渡した。
(…?)
チラッと中を覗くと、入っていたのはバスローブにペーパーブラ、そして紙パンツ…。
「…これは…?」
「まずは、それに着替えてもらいましょう。更衣室はあちらです」
と、扉を指差した。
「━━━」
断れば人質の五人が危険に晒されることは明白。
(仲間の命には代えられない…!)
と、意を決して勧められた更衣室に足を踏み入れる菅井。
女尊男卑の国、欅共和国の尊厳を懸けたゲームが始まる…!
(つづく)