後編
スティングレイが制圧した発電所。
夜になって、幹部のイグチ魔女が視察にやってきた。
妖艶なセクシーコスチューム…華麗にマントを靡かせて、
「で、どうなの?作戦の進捗は?」
と相変わらず女王様口調のイグチ魔女に対し、
「はい、いたって順調でございます」
と、この女の前では平身低頭のスティングレイ。
イグチ魔女を送電室に案内し、
「ご覧ください」
と言って送電ケーブルに触手を巻きつけ、目をチカチカ光らせると、機器のメーターの針がみるみる振れだし、やがて端の「DEAD」と記されて赤く塗り分けられたところへ到達。
そして、それを10秒ほど続け、ケーブルに巻きつけた触手をほどくとメーターの針が元に戻り、
「いかがでしょうか?これで今頃、また街のどこかの火事が起きている筈です」
と豪語するスティングレイ。
さらに続けて、
「今はまだ元々のケーブル自体が私の高圧電流に耐えれるものではないため、一度に多くの建物に送電することはできませんが、これからケーブルを改良し、街中に一斉に過剰電流を送電できるようにしてまいります。そして、それが出来たあかつきには、街を一瞬にして火の海に変えてご覧にいれましょう」
「うん、素敵ッ♪頼んだわよ♪」
と満面の笑みで上機嫌のイグチ魔女。
さらにイグチ魔女は、ツカツカとヒールの音を響かせ、足取りも軽やかに発電所内の中を歩き回った末、ある一室で、捕らわれて変身解除され、気絶したまま椅子に縛りつけられている宮田愛萌を見つけ、
「へぇ…♪コイツは確か…」
「はい、ヒナタピンクでございます。難なく生け捕りにしてやりました」
と、自慢げなスティングレイに対し、
「やるじゃない…♪リーダーのレッドなら私が直々にとどめをさしたいところだけど…ピンクなんて眼中にないわ。焼くなり煮るなり、アンタの好きにしなさい」
「かしこまりました」
「で、いつ始末するの?やるなら今晩のうちにさっさとしちゃいなさいよ」
と言うと、スティングレイは、
「いえ…実は私にちょっと考えがありまして…」
かくかくしかじかと耳打ちされ、それを聞いて、
「へぇ…なるほどぉ…それは名案ね♪いい知らせを期待しておくわ♪」
「はい。かならずや…」
と最後は深々と頭を下げ、ワープで消え去ったイグチ魔女を見送ったスティングレイ。
そして、完全に気配が消えたところで、ここからはお楽しみの時間。
「…おい、起きろ。こら、起きんか」
と帯電を解いた触手で愛萌の垂れ下がった顎を持ち上げ、声をかけるスティングレイ。
「…うぅ…」
と目を覚まし、そして今の状況の気付いてハッとする愛萌に、
「ごきげんよう。お目覚めはいかがかな?ヒナタピンク」
「こ、ここは…くっ…!くっ…!」
慌てて立ち上がろうとするも、手はそれぞれ肘掛けの上に、そして左右の脚も、それぞれ椅子の脚に固定されていて動けない。
幸い、大事な変身ブレスレットは没収されておらず、腕に巻かれたまま。…とはいえ、この状態では腕をクロスできず、変身できそうにない。
そんな愛萌に、
「おい、ヒナタピンク…いや、宮田愛萌。目覚めて早々だが、貴様に聞きたいことがある」
「き、聞きたいこと…?」
もがいても無駄と悟り、身体を揺するのはやめたものの、俄然、警戒した目を向ける愛萌に、
「貴様ら、ヒナタレンジャーの基地はどこにある?それを、なるべく速やかに吐いてもらおうではないか」
「そ、そんなこと…聞いてどうするつもり…?」
「フフフ…決まっているだろう。そこをめがけてオレ様の高圧電流を送電し、邪魔なヒナタレンジャーを基地ごと壊滅させてやるのだ」
「━━━」
その恐ろしい一言に、一瞬、絶句した愛萌。
そしてキッとした眼になって、
「そ、そんなの…教えてたまるものですかッ!」
「フフフ…はじめは誰でもそう言うだろう。だが、これでもそう言ってられるかな?」
(…?)
ウネウネと視界の隅から持ち上がってくるスティングレイの触手。
そしてその触手の先端が、愛萌が縛りつけられている椅子の背もたれ、ちょうど顔あたりの横にある奇妙な穴にすっぽりと装着されると同時に、
ビビビっ…!
「きゃぁぁぁッ…!」
突然、椅子全体に電流が流れ、それが愛萌の身体を駆け巡る。
それが10秒ほど続いた後、にゅるっ…と通電口から触手を抜かれると、
「ハァ…ハァ…」
一瞬にして汗だく…まだ小刻みな痙攣が収まらない愛萌に、
「フフフ…どうだ?これがオレ様の特製、拷問電気椅子だ。早く洗いざらい喋らないと、どんどん電圧を強くしていくぞ?」
「くっ…い、言うものか…」
「そうか…では、もう一度…♪」
抜き取った触手を、再度、通電口に挿し込むと、
ビビビっ…!
「ふぁぁぁッ!?」
「こんなのはまだ序の口だ。早く言った方が身のためだぞ!」
「くっ…うぁぁぁっ…い、言わない…あぁっ…!」
「ほぅ…さすがヒナタレンジャー、口が堅いな。では望み通りに…ボルトアップっ!」
ビビビビっ!
「きゃあぁぁッ…!」
電圧が上がり、歯を食いしばったまま天を仰ぐ愛萌。
そのうちに、
「あぁっ…あぁっ…ぐっ、がぁぁッ…!」
普段おしとやかな愛萌らしからぬ呻き声…全身が焼けるような電流にじっとしていられず、右へ左へと身体を揺するも、拘束されていて動けない。
そんな苦悶の様子を嬉々として眺め、
「ガハハ!基地の場所を白状するのが先か、それともこのまま感電死しておっ死んでしまうのが先か、楽しみだなぁッ!オレ様はどっちでもいいぞ!貴様が死んだら、また別のヤツを捕まえて同じ拷問にかけるだけだ!あの赤いヤツか、はたまた青いヤツか…何なら二人まとめてでもいいがなぁッ!」
「うぁぁぁッ…そ、そんなこと…させるものかぁッ…ひ、ひぃぃッ!」
「まだだ!まだまだ上げるぞ!ボルトアップっ!」
送電を示すスティングレイの目がチカチカ光るとともに、
ビビビビビっ!!
「ぎゃぁぁぁッ…!」
目を見開き、その可憐な顔立ちからは想像もつかない雄叫びで絶叫する愛萌。
そんな彼女に対し、
「さぁ、吐け!吐くのだ!」
と促すスティングレイに、
「くっ…こ、殺しなさい…いっそ…いっそ殺せぇ…がっ、がぁぁぁッ…!」
「フフフ、バカめ。そう簡単に殺したら楽しめんだろうが。秘密を聞き出すのはもちろんのこと、この拷問は我々ヒラガーナに楯突いた貴様を苦しめる意味合いもあるのだ!」
と笑うスティングレイ。
そして絶叫する愛萌の顔を覗き込み、
「苦しいか?ん?苦しいだろ?なら、舌を噛んだらどうだ?そうすれば秘密を守ったまま、この苦しみからも解放されるぞ?」
と残忍に舌切り自決を促すが、実際はしたくても出来ない。
全身に流れる電気によって、顎に力が入らなくなっているからだ。
それを分かっていながら、
「ほら、苦しいならいっそ舌を噛め!どうした?噛まんのか?ならばまだ続けていいってことだなぁ!ガハハ!まだ上げるぞ?これ以上はいよいよ人体にとってヤバい電圧になってくるが上げてしまうぞぉッ♪ボルトアーップっ!」
バチバチバチっ!
いよいよ響き渡る音も変化し、椅子のいたるところから火花が飛ぶ。
それを受ける愛萌も、
「うぁぁっ…や、やめッ…やめてぇぇッ…があぁぁッ!」
日頃、ヒナタベースに集う子供たちをもドキドキさせる小悪魔っぽい妖艶で可憐な顔が崩壊寸前。
そして、このまま感電死させては面白くないと、ここで一度、通電口から触手を抜き取るスティングレイ。
その瞬間、悲鳴は収まるも、余韻の感電でピクピクと全身が震え、目が虚ろな愛萌。
「うっ…ぐっ…うぅっ…」
「フフフ…さぁ、どうする?強情を張るなら今のをもう一回するぞ?とても耐えられるレベルではないのはよく分かった筈だ。素直に吐け」
「…い、嫌だ…は、話すことなんて…何も…ない…」
「なに?今のは聞き間違いか?もう一度、言うぞ?基地の場所を吐け。さもないと、今度は今より長く電気を流す。死んでも知らんぞ」
「くっ…す、好きに…しなさい…わ、私も…ヒナタレンジャーの一員…な、仲間を売るほど…落ちぶれては…ない…」
「チッ…この小娘が」
どうやらいくら電気椅子で拷問しても吐きそうにはない模様。
「そうか…よく分かった。ならば続きは貴様の仲間に聞くとしよう。どうせまた連中はコソコソとお前を助けに来るに決まっている。次はあの赤か、もしくは青…他のヤツでもいいが、同じように捕まえて続きをしてやる!お前はその様子をあの世からじっと指を咥えて見てるがいい!」
チカチカと目を光らせ、いよいよ致死量の高圧電流を溜めた触手が通電口へと伸びる。
(み、みんな…ごめん…私が不甲斐ないばっかりに…な、菜緒…あとは…よろしく…)
そんな辞世の句を頭に、死を覚悟して目を閉じた愛萌。…だが、その時。
ドタドタと一人のガーナ兵が部屋に飛び込んでくるなり、
「スティングレイ様っ!ヒナタレンジャーが現れました!」
「チッ…やはり来おったか。ちょうどいいところで」
舌打ちとともに触手を下ろされたことで、何とか命拾い。
そして、
「よーし…おい、お前っ!そいつを見張っておけ!」
と豪語し、部屋を出ていくスティングレイ。
こうして失神しかけの愛萌の見張りを命じられたガーナ兵。…だが、何を思ったか、そのガーナ兵はスティングレイが去っていったのを確認するや、電気椅子の拘束を一つずつ外し始めた。
(…?)
電気責めですっかり疲弊し、朦朧としている愛萌自身も自然と目をぱちくりさせたほど。
そして、そのガーナ兵は、全ての拘束を解いて電気椅子から愛萌を下ろすと、その愛萌の耳元で一言、
「よく頑張ったね、愛萌…♪」
「え…?だ、誰…?」
変声器を介さず、地声で囁かれた声は女の声…戸惑い、ハッとした愛萌に、
「私だよ、私…♪」
とガーナ兵のマスクを剥ぎ取ったその下から現れた顔は、なんと…!
「こ、好花ッ…!?」
これは驚いた…なんと、変装が得意な松田好花がガーナ兵に化けていたのだ。
「立てる?」
「な、何とか…」
肩を貸してもらって、ヨタヨタと立ち上がる愛萌。
「み、みんなは…?」
「表で戦ってる。といっても私が忍び込むための陽動作戦だけど」
「あ、あの怪人を倒す方法は…?」
と心配そうに聞く愛萌に対し、好花は笑みを見せて、
「大丈夫。隊長が思いついた名案…きっと上手くいく筈…♪」
と思わせぶりに微笑んだ。
……
発電所の入口では乱戦が起きていた。
ヒナタレッド、ヒナタブルー、さらに今回はヒナタイエロー(美玖)とヒナタパーブル(鈴花)も加勢し、群がるガーナ兵たちを蹴散らしていく。
そこに建物の中から出てきて憤るスティングレイ。
前回も対峙したレッドとブルーに目をやり、
「貴様ら!性懲りもなくやってきおって!」
「ヒラガーナ!愛萌を返してもらうわよッ!」
「もちろん発電所もねッ!」
「やかましいッ!仲間を連れてきても一緒だ!片付けてやるッ!」
と、パチパチ、火花が漏れる帯電触手を構え、振り下ろすスティングレイ。
それをスッとかわすレッド、ブルー。
さらに触手は初の対峙となるイエロー、パープルにも向けられるが、その危険性を伝え聞いている二人もしっかり見切ってかわす。
その間にもガーナ兵は着々と一掃されていき、たちまち迎え撃つ兵はスティングレイだけになった。…とはいえ、この大将こそが難敵。
直接攻撃は接地面を介して電流カウンターの餌食にされるし、ヒナシューターも通じない。
「そらっ!そらっ!」
「くっ…!」
ムチのように振るわれる触手を代わる代わる避け続ける四人。
そして、前回り受け身で地面を転がった後の、立ち上がるために体勢を整える一瞬の隙を狙われたのはイエロー。
「くらえっ!」
と伸びた触手を首に巻きつけられた!
ビビビっ…!
「きゃぁぁッ!」
電気を流されて悶絶してひざまずくイエロー。
そこに、
「美玖ッ!…うぁぁッ!?」
と、背中を支えたパープルにも電気が伝わり、二人して感電。
悶絶する二人に、
「フハハ!バカめ!逃げ回るだけではこのオレ様を倒すことは出来んのだ!」
と勝ち誇るスティングレイだが、それはイエローとパープルによる捨て身で気を引く作戦だった。
触手が二人の相手をしている隙に、
「美穂!今よ!」
「オッケー!」
とレッドとブルーの二人が揃って取り出したのは何やら黒いケーブル…!
それを手にスティングレイの左右に陣取り、
「てやぁッ!」
と、そのケーブルをスティングレイへ投げつける二人。
事前に投げ縄のごとく先端を輪っかにしてきたことが功を奏し、二人とも抜群のコントロールですっぽりとスティングレイの頭部に引っ掛けることに成功。
イエローとパープルの苦悶する様子に夢中だったスティングレイも、
「んん?何だ?これは」
と自らの首に掛けられた二本のケーブルに困惑。
そしてレッドとブルーは、そのケーブルをピンと張り、
「かかったわね、怪人!」
「これでもうお前の電気は使い物にならない!」
と、その投げたケーブルの対極についた鉄製の杭を揃って地面に打ち込んだ。
その瞬間、
「ぐっ、がぁぁッ…!な、何だ、これは…!で、電気が…俺の身体の電気が抜けていくぅぅ…!」
と、ふらつき始めるスティングレイ。
〜
それは偶然の閃き…。
ヒナタベースにて、難しい顔で作戦を練っていた一同。
強敵スティングレイへの対策もだし、どうにかして街への過剰電流を遮断できないかと考えていた時の一コマだった。
重い空気をまとった静寂…戦士たち、そして久美がそれぞれ宙を仰いで策を講じるが、
「…ダメだ。いくら考えても、やっぱり一刻も早くあの怪人を倒すしか方法が思いつかない」
「発電所からの電線を切って、ライフラインを遮断するワケにもいかないし…」
となると、本題は怪人の攻略法。
これに関しては実際に対峙した菜緒と美穂が、特に要点を抑えていて、
「問題はヤツが体内に蓄電している電気…」
「これをどうにかしないことにはヤツに攻撃も出来ないし、ヒナシューターもバリアで跳ね返されてしまう」
と繰り返す。
それを聞いて、
「隊長。絶縁体を使った防具とかは作れませんか?」
と提案したのは美玖だが、久美は肩をすくめて、
「作れないこともないけど、そんなしっかりしたモノを造ってるほど時間もないでしょう?かといって急造なら強度も限られる。もし仮に、その強度を上回る電圧で攻撃されたら、それは無いものと同じだから…」
と慎重派で、なおかつ美穂も、
「あの怪人…その気になれば、まだまだ電圧を高めることも出来そうな感じだったし…」
と消極的。
そこで菜緒が、
「何とか…何とかして、ヤツの体内の電気を“一時的にでも吸い取ることが出来れば”いいんだけど…」
と独り言のように呟いたのを久美はしっかりと聞いていた。
宙を睨んだ久美。
そして急に、
「そうだッ!アースだッ!」
と言って立ち上がり、戦士たちを驚かせた。
「ア、アース…?」
ぽかんとする戦士たちを尻目に、スッと部屋を出ていき、早足で倉庫へ向かった久美。
高身長を活かし、棚の高いところも難なく手を伸ばし、脚立いらずでガサガサと漁る。
後を追ってきてその様子を眺める菜緒たち。
そして、
「あった…!」
と取り出したアース線を菜緒に授け、
「これを使えば、その電気怪人を弱体化させれる筈よッ!」
と言って送り出した。…というワケだ。
〜
「ぐっ…ど、どうしたことだ…俺の体内の電気が…」
ふらつくスティングレイ。
巻きつけたアース線を伝い、杭を打ち込んだ地面へと電気が逃げていく。
「よーし!成功だッ!さすが隊長!」
とガッツポーズのブルーに対し、
「くっ…こ、小癪な…エ、エレキビームっ…!」
と得意な稲妻光線を撃とうとするも、電力不足で上手く出せず、出ても届かない。
しまいには、触手を首に巻きつけ、電気責めにしていたイエローがスッと立ち上がり、スルスルと自分で触手をほどいてしまう始末。
既に直に掴んでもノーダメージ。
すかさず、
「とぉっ!」
「やぁっ!」
と息の合ったダブルハイキックを見舞うイエローとパープル。
「ぐわっ…!」
全身の帯電バリアもなくなり、モロに喰らって後ろにひっくり返るスティングレイ。
「お、おのれ…!」
なおも雁字搦めに巻きつくアース線をほどこうともたついている間にも、レッドのキレのいいチョップ、さらにブルーの重いパンチが続けざまにヒット。
こうしてノーダメ完封勝ちだった前回と違い、確実にダメージを受け、よろけてきたスティングレイ。
「ぐっ…く、くそっ…アースとはぬかったわ…覚えていろ、ヒナタレンジャー…勝負はひとまずお預けだ…!」
と、地面に刺した杭を身体全体で引っこ抜き、そのまま背を向けて発電所の中に逃走…しかけたところで、
「そうはいかない!」
「逃さないわよ!」
と立ちふさがるヒナタグリーン(好花)、そして散々いたぶられた恨みの募るヒナタピンク(愛萌)。
「くっ…!」
退路を断たれて足が止まるスティングレイに、
「さっきはよくも好き放題してくれたわね!倍にして返してあげるわ!」
と怒りに満ちたピンクの一喝とともに投げつけられた小銭ほどの大きさでピンク色のハートの形をした無数の弾。
それが次々に身体に貼りつき、たちまちハートの斑点だらけになったスティングレイ。
「な、何だ、これは…!くっ…は、剥がれんッ…!」
貼りついたハートが剥がせずに困惑するスティングレイに対し、一言、
「…お・し・お・き♪」
投げキッスの仕草とともに桃色のマスクの中であざとさ全開のウインクをして見せた愛萌。
その瞬間、スティングレイの身体に貼りついた無数のハートが一斉に発火して爆発。
「ぐぁぁぁッ…!」
刺激強めのセクシーな一言とともに手痛いお仕置きを喰らい、一瞬にして満身創痍に陥るスティングレイ。
そして最後は、スティングレイを六角形に取り囲むレッド、ブルー、イエロー、パープル、グリーン、ピンクによるヒナシューターの一斉射撃、
「レインボー…ショットぉッ!」
それぞれのカラーに合わせたレーザー光線を一身に受け、
「ぐわぁぁッ…イ、イグチ魔女様ぁ…お、お許しをぉぉッ…!」
と断末魔の遺言を残し、爆発四散したスティングレイ。
「よしっ!」
「やったね!」
思わずガッツポーズが出るレッドとプルー。
復活したピンクも安堵の様子で何よりだ。
そして最後は、発電所内に軟禁された所員たちの解放。
指揮する怪人を失ったガーナ兵たちに戦意はなく、所員たちを人質に取られる間もなく電光石火で蹴散らしたヒナタレンジャーたち。
全てが片付く頃には東の空にうっすら朝陽が昇り、ちょうど半島の切っ先に位置する発電所からは絶景の日の出だ。
それを人間体に戻って横並びで眺め、ひと時の余韻に浸る戦士たち。
一方、そんな戦士たちを小高い丘の上から睨みつけるように見下ろしているのはイグチ魔女。
「おのれ、ヒナタレンジャー…まさかと思って来てみたら、またしても邪魔を…くっ、覚えてなさいッ…!」
と悔しさの滲む表情と眼差しで舌打ちとともに吐き捨てた後、そのままテレポートで姿を消した。
戦士たちの戦いはまだまだ続く…。
(つづく)
〜次回予告〜
戦士たちも時には息抜きが必要…隊長の久美に連れられ、街にショッピングをしにきた菜緒たちだが、そんな束の間の休息すらも楽しませないヒラガーナの一味。
そして、襲いかかってきた連中の顔ぶれを見て途端に動揺する久美。
「京子…!芽依…!彩花…!」
生き別れとなったかつての仲間たち…そして…。
「し、史帆ッ…!」
親友でもあった史帆と思わぬ形での再会…そして彼女たちが腕のブレスレットをクロスすれば、たちまち黒ずんだ光とともに見覚えのない強化スーツを纏った戦士が愛弟子たちに襲いかかる地獄絵図に…!
次回、『苦悩する久美!悪の戦隊ダークレンジャー出現!』に、ご期待ください!