episode-8_5 【ANOTHER】急襲されて捕らわれた佐々木美玲の末路
ひなたサーキット。
モトクロスレースに出場した富田鈴花の応援をサボってキッチンカーの焼きたてパンに舌鼓を打っていた河田陽菜、濱岸ひより、佐々木美玲の三人は、佐々木久美からの無線連絡を受けてようやく、不穏な空気を感じ取った。
「ひよりと陽菜はコースに入って菜緒たちと合流!美玲も二人の後方支援よろしく!」
という指示を貰い、
「了解っ!」
と、食べかけのカレーパンを口に押し込んで駆け出す三人。
仕切りのロープを跨いでコースに入り、逆走するように駆けていく。
既にレースは終了していて無人のコース内。
走りながら、
「菜緒たち、どのへんにいるんだろう?」
「さぁ…?でも、とりあえずこうやってコース内を走っていけば自然と鉢合わせするんじゃない?」
「確かに」
と、こんな時でもマイペースのひよりと陽菜。
そして、そんな二人をまるで母親のように見守りながら半歩後ろをついていく美玲。…と、その時、
「きゃっ…!」
ふいに陽菜が、足がもつれて転んだ。…いや、違う。
突如、地中から生えてきた手に足を掴まれたのだ。
そして、
「陽菜ッ!」
「大丈夫!?」
と、ひよりと美玲が足を止めて駆け寄ると同時に、
「イーッ!」
陽菜の足を引っ張った犯人…地中から飛び出してきた三体のガーナ兵たち。
すかさず、
「出たな、ヒナガーナっ!」
と転んだ陽菜を抱き起こし、身構えるひより。
ここで現れたのを見ると、どうやら、これより先に進まれると困るらしい。
ということは、つまり、この先で連中が何かを企んでいるということになる。
事実、その三体のガーナ兵は通せんぼをするように進路を塞いで立ちはだかった。
「くっ…この急いでる時にッ…!」
と思わず舌打ちをしたひよりだが、そのひよりの前にスッと身体を入れ、
「ここは私が引き受けるッ!二人は早く菜緒のところへ!」
と、ついさっきまで仲良くパンにかぶりついていた柔和な表情から一転、先代レンジャーの一員の目に変わった美玲。
それを受けて、
「はいッ!」
「お願いしますッ!」
と言って、二人で、
「とうッ!」
戦士の跳躍力で軽々とガーナ兵たちのバリケードを飛び越えて駆け出す二人。
すんなり言われた通りに任せたのも、二人が美玲を信頼している証拠。
そして、慌てて回れ右をして二人を追いかけようとするガーナ兵の肩を掴み、引き倒すようにして追尾を妨害した美玲。
「私が相手よ!」
と見得を切って、いざ交戦開始。
いかにも雑兵らしい大振りなパンチを軽くかわし、華奢な体型でありながら、
「やぁッ!それッ!」
と、相手の向かってくる力を利用して華麗に投げ飛ばす玄人の戦い方を見せる美玲。
3対1でも対等に渡り合えるあたり、さすがは元・戦士。
一方、苦戦するガーナ兵たちは、体術では分が悪いと見るや、たまらず距離を取り、手榴弾を取り出してそれを投げつける戦法にシフトチェンジ。
「くっ…」
ドゴォォン…!
ドゴォォン…!
荒野に次々に起きる爆炎。
右往左往してかわす美玲だが、次の爆発で、
「きゃぁッ…!」
悲鳴とともに爆炎に飲み込まれた美玲。
「イーッ!」
仕留めてガッツポーズのガーナ兵。
そして、煙が薄れていくのを待ってから死体の確認へ。
爆発で少し地形が変わった荒野のへこみに横たわる美玲…。
そこにゆっくりと近づき、息があるか確かめようと身を屈めたガーナ兵だが、その瞬間、
「…てやぁッ!」
見事な死んだふり作戦…ムクッと起き上がると同時に繰り出したパンチがクリーンヒットし、尻餅をついて倒れるガーナ兵。
それでまず一体…続いて華麗な投げ技でもう一体…。
そして最後は軽やかなキックで最後の一体も片付け、見事に返り討ちにした美玲。
「…ふぅ…あと少し反応が遅れてたら危なかったかも…」
と頬についた土を払い、その点は少し反省。
そして自分も、先に行かせた二人を追いかけようとしたところで、ふいに視界の隅に奇妙な蝶が飛来したのが見えた。
黒字にピンク色の斑点で、その斑点がハート型という見たことのない蝶…。
一瞬、見とれつつも、まるで包囲するように自分の周りを飛び回るその蝶に、戦士の勘がはたらく美玲。
(さては、ヒラガーナのモンスター…?)
と思い、反射的に身構えた美玲だが、やがてその蝶が光を放ってヒト型になると、
「え…?お、女の子…?」
光の中から現れたのはロリータファッションの可愛らしい女の子…。
思わぬ展開に、豆鉄砲を喰らったような顔になる美玲だが、一方、その女…ヒラガーナの大幹部・小悪魔メミーはクスッと笑って、
「ふーん…♪なかなかやるじゃない。元・戦士さん…♪」
その瞬間、再び警戒色を強くする美玲。
(私が元・戦士だと知っている…!やっぱりヒラガーナの手先だ…!)
そう確信し、半歩下がって間合いを取ると、メミーは、
「ネルネル様からのお達しよ。あなたたち奴隷船員が一気にいなくなって船内での暮らしが不便で仕方ない。これを聞いた者から順に、すぐに戻っていらっしゃい。…ってね♪」
「━━━」
そのメミーの言葉に、露骨に嫌そうな顔を見せた美玲。
奴隷船員…それは、加藤史帆、高本彩花、影山優佳ら、先の戦いに敗れて捕らわれ、ヒラガーナ海賊団の捕虜となった佐々木久美以外の先代レンジャーの面々のこと…。
もちろん美玲もその一人…つい先日まで自分も奴隷船員の一人だった。
脱走を企てたり、逆らえば仲間を殺すと脅され、泣く泣く、故国を侵略した忌まわしき連中の言いなりになって過ごした地獄の一年間。
そして、ある時、一同は呼び出され、長らく没収されていた変身ブレスレットを返却された。…が、そのブレスレットは既に、悪の科学者・Dr.アモンによって魔改造が施されており、それを無理やり装着させられた美玲たちは、不本意にも黒い光に包まれ、悪の戦士・ダークレンジャーへと変身を遂げた。
その後のことは覚えていない…自分の意思とは裏腹に身体が勝手に動き、かつての自分たちに容姿が似た女戦士たちをいたぶり、苦しめるという奇妙な悪夢を延々と見せられていた。
そして、その悪夢はブレスレットを破壊されたところで真っ暗闇へと変わり、次に視界が開けた時には、美玲をはじめ、ともに地獄を見た盟友たちは、皆、見知らぬ宇宙船の船室で治療を受けた。
そして、そこで一年ぶりの生き別れになっていた佐々木久美と再会。
闇堕ちして悪の戦士となった自分たちを殺さずに保護してくれた次世代の戦士たち…彼女らの活躍によって、美玲たちはやっと、一年間にわたる地獄の日々から解放されたというのに…。
「さぁ、早く戻ってらっしゃい。ネルネル様が肩を揉んでほしいんだってさ」
「ふ、ふざけないで…!あなたが誰か知らないけど、私はもう二度とあんな地獄の日々に戻るのはごめんだわッ!」
と吐き捨てて身構える美玲だが、メミーは肩をすくめて、
「残念だけど、そういうワケにもいかないのよねぇ…このまま収穫なしで戻ったら私が叱られちゃうんだから。いつも叱られてばかりのイグチ魔女の二の舞はごめんだわ」
苦笑するメミーに対し、
「い、行かないわ…アンタたちの船になんて二度と戻らない…!」
「あ、そう…まぁ、いいわ。断るのなら力ずくで連れ戻すだけッ…!」
そう言って、それまでの柔和な笑みが一変、キッと目を見開いたメミーと、その強い語気に、慌ててさらに一歩、距離を取る美玲。
初めて見る女…どんな能力持ちかも分からないが、
(今ここで逃げだしたとして、簡単に撒けるような相手ではなさそう…!)
ということだけは空気で察する。
となれば、残る選択肢は一つ…イチかバチか、やぶれかぶれで特攻あるのみ。
無謀と知りつつも、意を決して、
「…行くわよッ!」
と威勢よく駆け出した美玲。…だが、やはり、生身の人間に対して、いくら見た目がロリータファッションとはいえ相手は大幹部。
当然、太刀打ちできる筈もなく…。
……
「…うぅ…」
鈍い頭痛とともに目を覚ました美玲。
拘束は何もされておらず、ただ冷たい床に横たわっていた。
そして、ムクッと起き上がって周りを見渡したところで、美玲は言葉を失った。
(こ、ここは…!)
見覚えのある部屋…。
そう…そこは忌々しい記憶の片隅に今もハッキリと残るヒラガーナの侵略艦隊の艦内牢獄…。
かつて、けやき星での戦いに敗れた美玲たちは、ここに収監されていた。
そして、日々、代わる代わる連れ出されては、逃げ延びた佐々木久美の逃げ込みそうな場所を吐かせるための拷問にかけられた。
ある時は電気責め…ある時はムチ責め…ある時はサンドバッグにされ、またある時は高圧電流を瀕死になるまで浴びせられた。
身体にアザができた日もある…あまりの苦痛に失神してしまった日もある…しかし、それでも彼女らは決して口を割らなかった。
…いや、正確に言うと、自分たちも知らないから言いようがなかった。
結局、いくら拷問を続けても進展がなく、本当に誰も知らないとようやく気付いたイグチ魔女は彼女らを一挙に死刑にしようとしたが、そこて待ったをかけたのがネルネルだ。
「今日からあなたたちは我々の船の奴隷船員になってもらう。誰か一人でも拒否すれば、見せしめに一人ずつ殺していく。仲間の命が惜しいのなら全員揃っておとなしく従いなさい」
そんな冷酷な条件を突きつけられ、提案を呑まざるを得なかった美玲たち。
全員が、
(自分は死んでもいい…でも、自分が拒否したことで仲間が殺されるのは嫌だ)
という思いがあったし、そこにまんまと付け入ったネルネルの狡猾な条件提示だった。
そして、それからは拷問を受けることはなくなった。が、その代わりに、まるで召使いのごとく、船内の雑用を次々に命じられた。
食事の用意に船内の掃除…さらには憎きネルネルの身体をマッサージさせられたこともある。
だが、そんなのはまだ可愛い方…。
中でも最も過酷だったのは…。
「くっ…!」
忌まわしい記憶…そのフラッシュバックが浮かんでくる前に急いで起き上がり、鉄格子を掴んだ美玲だが、
バチバチっ…!
「あうぅッ…!」
掴んだ手の平に流れる電流…。
顔をしかめると、その鉄格子の向こうから、
「あらあら。その鉄格子には絶えず電流が流れていて、閉ざされると中から脱出は不可能だってこと…一年もいたくせに、もう忘れたの?」
「くっ…!」
姿を見せたのは、先刻、美玲を妖術で圧倒し、失神KOさせた幹部のメミー。
クスッと笑って、
「どう?安息の地へ戻ってきた感想は?」
「こ、こんなところ…!安息でも何でもないッ…!」
と、すかさず言い返す美玲に対し、
「そうかしら…?脱出できないかわりに、あなたたち奴隷船員の安全圏でもあった筈よ。だって、そうでしょ?ひとたび外に連れ出されたら朝から晩まで雑用ばかり…それに、持ち回りで“アレ”の当番もしてたんでしょ?」
「い、嫌ッ…!」
メミーの意味深な指摘とともに途端に怯えたような目をする美玲だが、メミーは笑って、
「戻ってきて早々だけど、早速、ネルネル様が久々に見たいそうよ。“アレ”を…♪」
「━━━」
「さぁ、出なさい。ネルネル様が大広間でお待ちよ」
と、美玲が痛がった電流をものともせず、鉄格子に手をかけて格子戸を開くメミー。
それによって、うまくやれば脱出の糸口になりそうな隙間が出来たにもかかわらず、後ずさりして壁に背中を貼りつける美玲。
「い、嫌ッ…あんなこと、もう二度としたくないッ…!」
と、いわくありげに首を振るが、
「奴隷船員に拒否権なんてあるっけ?ほら、早く来なさい」
「嫌ッ…ホントに嫌ッ…」
まるで背後の壁に吸い込まれるぐらい身体を擦りつける美玲に対し、
「もぉ…しょうがないわね。自分の足で行けないなら私が連れてってあげる…♪」
そう言って手を宙にかざすメミー。
その瞬間、五指から糸状のものが発射され、あっという間に美玲の身体にぐるぐると巻きついた。
「くっ…!くっ…!」
もがく美玲。
一見、簡単に切れそうな細さの糸だが、これがなかなか断ち切れない。
メミーが笑って、
「無駄よ。この糸は私の妖力で作りだした妖糸…そう簡単には切れないわ」
と説明し、
「さぁ、いらっしゃい」
と、そのまま妖糸を引っ張って歩きだす。
「くっ…い、嫌ッ…嫌ぁぁッ…!」
引きずり出されるようにして牢から出た美玲は、そのまま大広間までメミーに引っ張られていった。
牢と同様、忌々しい記憶が蘇る大広間の景色…。
入り口からレッドカーペットが敷かれ、その奥の小上がりの上に置かれたおどろおどろしい玉座にネルネルは脚を組んで座っていた。
そんな彼女からの第一声は、
「ふふっ…おかえりなさい。久しぶりね、美玲…♪」
と、声だけ聞けば悪の親玉とは思えない優しい声色。
しかし、その声色のまま、二言目には、
「束の間の外界は楽しかった?今日からまた奴隷としてこの船に滞在してもらうからね」
「い、嫌ッ…く、くぅッ…」
必死にもがくも、メミーの妖糸で捕縛された状態で身動き取れずの美玲。
そしてネルネルは、
「さーて…挨拶もほどほどにして…♪メミーから聞いてるでしょ?ほら…久々に見せてよ。アレ…♪」
「嫌ッ!絶対に嫌ッ…!」
と、取り乱すように否定する美玲に
「何でよ?当時はそこそこ本気でやってたでしょ?アンタと潮紗理菜は特に激しかったもんねぇ…♪」
「や、やだッ…!ホントに嫌ッ!」
「ほら、渋ってないで早く見せなさいよ。私を興奮させるための見せつけオナニー…♪」
「━━━」
…そう。
船内の雑用だけ留まらず、ネルネルの身の回りの世話も奴隷船員の役割。
マッサージなど可愛い方で、当時、美玲たちが最も苦慮していたのは、ずばり、ネルネルの性欲処理である。
そして、そのために美玲たちに課せられたのは、同じ境遇となった仲間たちが持ち回りで一人ずつ大広間に呼ばれ、ネルネルの前で自慰行為を見せつけて性興奮を促すことだ。
その当時を回想するように、
「みんな良かったわよ、個性があって…♪さっきも言ったようにアンタと潮紗理菜は激しい系…♪中より外派だからって火がつくぐらいゴシゴシ擦ってたよねぇ?」
「━━━」
「あと、あの見た目通り、加藤史帆もかなり激しい系だったわ。といっても、あの娘はナカ派だったからズポズポ指を挿れて掻き回すタイプだったけど…♪それに比べて、斉藤京子と高瀬愛奈はねっとり系…♪優しくクリをいじっては甘い声でアンアン言ってたわ。高本彩花もねっとり系だけど、あの娘はまず自分の唾液でベタベタにしてから触ってた。あれもなかなか興奮したわ…♪」
「━━━」
他の仲間たちがどんなやり方をしていたかなんて聞いたこともないし、知りたいとも思わない。…が、それをあえて聞かせてくるネルネル。
「あと、東村芽依は…」
と悪趣味な思い出話はなおも続き、
「あの娘はすごく潮吹き体質なの。自分でしててもすぐに噴いちゃう…♪一回、私の脚にも飛ばしてきたことがあって、その時にお仕置きとして下の毛を全部剃り上げてツルツルのパイパンにして辱めてあげたっけ…♪多分、今もツルツルの筈よ」
「━━━」
「それと影山優佳はすごかったわよ。あの娘ね。自分でまんぐり返しの体勢になってするの。その方が指が奥まで届くとかなんとか言って…さすが頭脳派は考えることも普通じゃないのね…♪」
と、ひと通り語り終えたところで、
「じゃあ、美玲。早速、始めてくれる?あの頃のように、卑猥な姿を見せつけて、私を興奮させて…♪」
そう言って、スッと玉座の後ろに手を回したネルネル。
取り出したのは男根を模した玩具。
それを手に、組んでいた脚をほどき、玉座の肘掛けにひょいと乗っけてM字開脚を見せつけ、もう待ちきれんとばかりに玩具の切っ先を股間にスリスリと擦りつける。
「━━━」
「ほら…早く始めなさいよ…♪アンタたちに逃げられてた間のぶん、けっこう溜まってるんだから…♪」
「い、嫌ッ…!」
確かに当時、呼び出されてはネルネルの眼前で自慰行為を披露させられていた。
しかしそれは、断れば仲間に危害が加えられるという状況にあったから、不本意ながら泣く泣く見せていたもの。
よって今は状況が違う…突っぱねても危害が及ぶのは自分だけ…。
その思いから、
「す、するワケないでしょッ…!もう、あの頃の私じゃない…あんなこと、二度としないわ!断固お断り!それが気に食わないならさっさと私を殺しなさいッ…!」
と、あの頃には言えなかった思いの丈をぶちまけた美玲。…だが、すると、それまで妖糸を手にして黙っていたメミーが、
「あーあ…♪そんなこと言っちゃっていいのかなぁ…?」
と、何やら不穏な笑み…。
そして、
「後ろを向いて同じことが言えるのかしら?」
(う、後ろ…?)
言われるがまま背後を振り返った美玲だが、次の瞬間、
「━━━」
絶句する美玲…そこで見たのは、なんと、メミーの配下のバッタの怪人・グラスホッパーが、気絶した富田鈴花を肩に担いで仁王立ちしている姿だった。
「す、すずちゃん…!」
と呼びかけても、グラスホッパーの肩で干された布団のようになってぴくりとも動かない鈴花。
着ているライダースーツがどろどろに汚れているのを見ると、相当、痛めつけられたらしい。
さらに、
「この娘だけじゃないわよ。ほらっ…♪」
と次は壁に掛かる巨大モニターを指差すメミー。
つられて美玲も目をやると、その瞬間、パッと映像が点いたモニターには、交戦の末の敗北か、捕らわれた小坂菜緒、松田好花、濱岸ひより、河田陽菜と、その巻き添えで捕らわれた山口陽世が牢屋に詰められている光景が映った。
「…どう?これを見てもノーと言えるワケ?」
「━━━」
数秒前、見得を切ったのがウソのように、青ざめて固まる美玲の顔。
そしてネルネルが、なおも自らの開いた股ぐらに玩具を擦りつけながら、
「ほら、早く私にオカズを見せなさいよ。出戻り奴隷、佐々木美玲の公開オナニー…♪」
「━━━」
以前までは盟友たちだった人質が、今度は後輩に変わった。
史帆たちでさえ見捨てることが出来なかった美玲にとって、自分たちの無念を託した後輩たちを見捨てることなど出来る筈がない…。
すると、まるで息を合わせたように、それまできつく身体に巻きついていたメミーの妖糸がスルスルと緩み、ほどけていった。
「さぁ、これで身体は自由…♪早く始めなさい♪」
とメミーに言われたのを合図に、覚悟を決め、縮こまるように身を屈め、レッドカーペットの上に尻餅をつくように腰を下ろした美玲。
そして、屈辱と絶望でぷるぷる震える脚をゆっくりと開き、ネルネルと鏡写しのようにM字開脚になって、その中心に手を持っていく。…が、そこですかさずネルネルが、
「何やってんの?まさか服の上からするつもり?そんなのを私が欲してると思う?」
「━━━」
叱られた子供のように黙り込んだまま、伸ばしかけた手の行き先を着ている服の裾に変更。
そして玉座の上のネルネルからの見下ろしの視線を感じながら、赤面のストリップ…。
透き通るような色白の二の腕と美脚…みるみる増えていく肌の露出とともに、横でクスクスと笑うメミー。
そして、上下とも水色の下着姿を晒せば、
「へぇ…可愛いの着けてるじゃない…♪でも、それも邪魔だからさっさと脱いで、素っ裸で始めなさい」
とネルネルに言われ、泣く泣く、その下着も上下とも脱ぎ去る。
こうして本人の無念の表情とともに露わになった桃色極小乳首を携えた美乳と、キレイに逆三角形のアンダーへア。
そして、ネルネルに凝視される中、下着を放り投げた手を左右の胸にそれぞれ派遣し、ゆっくりと握力を込めていく。
「…っ…」
まだ声は出ない。…出たのは小さく、悔しさを噛み殺した唇の音だけ…。
むにゅっ、むにゅっ…揉みしだく自身の胸。
まずはそれで気分を作る…黒歴史として脳の奥に封印し、最後にネルネルに見せつけた時以来、戦線復帰後も頑なに拒絶していた自慰行為を久々の再演…。
やがて、
「…んっ…んんっ…♪」
と声が漏れだすと、すかさず、
「フフフ…嫌そうな顔をしても身体はしっかり覚えているじゃない。火がつくまでの最短距離を…♪」
そう言って、より強く股ぐらに押し当てて摩擦する男根玩具。
そして美玲の手が先端の突起へと移り、硬化し始めた乳首を摘まんでクリクリ転がす頃には、ネルネルの口からも、
「ハァ…ハァ…♪」
と息の乱れが顕著に。
摘まんだ指の間でみるみる存在感を示しだす乳首。
その前と後では感度も段違いで、次第にネルネルに続いて美玲の口からも、
「あっ、んんっ…♪んっ、んっ…♪」
と艶やかな声が。
その声に触発されてか、一旦、玩具を横のサイドテーブルに置き、モゾモゾと下着の中に手を突っ込んだネルネル。
そして、いよいよ美玲も、その長い腕を脚の間へ移動させる。
地べたと小上がりの玉座の上…ともにM字開脚で、やや高低差のある見つめ合いのまま互いに自身の割れ目を刺激し、揃って、
「あぁっ…♪」
「んんッ…♪」
と上ずった声を上げる。
なおも卑猥な指遣いをしながら、
「ねぇ、美玲…そこが今どうなってるか教えなさいよっ…♪」
と声をかけるネルネル。
それに対し、赤面しながらも断れず、小さく、
「…ぬ、濡れてる…」
と呟く美玲。
そして、その潤ってきた割れ目を、より本格的に愛撫すれば、たちまち、
「あっ、あっ、あっ…♪」
開いて折り曲げた脚をクネクネさせながら悶える美玲の横で、
「ふふっ…エロい…♪そんなの見せられたら、私までしたくなってくるじゃない…♪」
と苦笑いのメミー。
ネルネルの手前、軽率に参戦できないのがもどかしそう…。
そして次第に、美玲の手は、先ほどネルネルが言及した通り、火が出るほどの高速スクラッチへと切り替わり、それに合わせて声も、
「あんっ、あんっ…♪あぁんっ…♪」
と本気のものに変わっていく。
さらに、横のメミーから、
「ほら、触りながらもっと『気持ちいいっ♪』とか言いなさいよ。本音でも演技でもいいから。ネルネル様を昂ぶらせることを意識しながらしなさい」
と命じられた美玲は、言われるがまま、
「あぁっ…んんっ…き、気持ちいい…気持ちいいッ…♪」
九分九厘、本音と思われるその喘ぎで、ネルネルも、
「あんっ、あんっ…♪も、もっと…もっと聞かせてッ…!喘ぎ声をもっと聞かせなさぁいッ♪」
と指を加速させてご満悦。
どちらからか…いや、よくよく聞けばどちらからも、
ぬちゃっ、ぬちゃっ…♪
と卑猥な濁音が奏でられ、やがて、決して相まみえない筈の二人で仲良く、
「あぁっ♪イ、イクぅぅッ♪」
「イ、イッちゃうっ…!あぁっ、イクぅッ!」
M字開脚のままビクビク震えて果てた二人。
絶頂に達してもなお、ズポっ…ズポっ…と指を突っ込んで余韻の間も刺激を欲する強欲なネルネル。
一方、美玲は絶頂とともに背徳感が押し寄せ、我に返って茫然…。
(こ、これじゃ以前と何も変わらない…せっかく久美と再会できたのに…!せっかくこんな生活から脱することが出来たのに…!)
こうしてまた、自身の醜態をオカズとして提供する恥辱を受け続けなければならないのか…。
そしてネルネルが、
「…ふぅ♪よかったわよ、美玲。久々にすごく興奮したわ。その証拠に、ほら…♪」
と茫然自失の美玲に声をかけ、見せつけるように下着から抜き取った手の平をかざせば、その指先には粘度の高い愛液がべっとりと付着し、糸を引いていた。
それを見せつけ、
「これを舐め取ってキレイに出来たら今日は下がっていいわよ」
「━━━」
以前からの流れ…オカズとして使ってもらった後、その汚れた指の舐め掃除するまでがセット。
(い、言う通りにしないと…どうせまた脅される…)
それが分かっているかぎり、拒否するという選択肢は自ずと消える。
身体を起こし、ヨタヨタと四つん這いで玉座に歩み寄る美玲。
差し出されたネルネルの指を、仔猫のような舌遣いでキレイにしていく。
(ひとまず今日は…今日はこれで終わる…)
ただ、その一心で、吐き気を押し殺してネルネルの指を舐めた美玲。…だが、そこで突然、メミーが、
「お待ちください、ネルネル様!」
(…?)
ぽかんとした顔でいると、
「ネルネル様。久々のオーガズムが今のたった一回きりで満足ですか?私は何も気の利かないイグチ魔女とは出来が違います。ここからさらに面白いものをご覧に入れましょう…♪」
と不敵に笑ったメミー。
その自信満々の発言にネルネルも興味津々で、
「へぇ…面白いもの?何かしら…♪」
と前のめり。
するとメミーは、
「グラスホッパー、出番よ!こっちへ来なさい!」
と背後でずっと仁王立ちだったグラスホッパーに声をかけた。
その声を受け、それでずっと肩に担いでいた鈴花を下ろし、メミーの元へ歩み寄るグラスホッパー。
そしてメミーはグラスホッパーの隆々とした身体に手をかざし、何やら呪文を唱えて最後に仕上げのウインク。
すると次の瞬間、見ていたネルネルが思わず、
「あら…♪」
と声を上げ、同じく見ていた美玲は驚愕のあまり目を見開いた。
なんと、グラスホッパーの股間にムクムクと生殖器が生えてきたではないか…!
しかも、そのサイズ…並の男性とは比べ物にならない巨根…。
こうして性器生成の妖術でグラスホッパーに男根を与えたメミーは、さらに、
「んー…どれぐらいの性欲にしとこうかなぁ…♪ひとまずオナ禁して一ヶ月の高校生ぐらいにしとこっか…♪」
と独り言を呟き、続いて性欲増幅の妖術を重ねがけ。
メミーの妖しく光る瞳に共鳴して、生えたての男根がみるみる赤く変色し、そして閃光を放つとともにギンギンに膨らんだ赤黒い男性器の完成。
すると、それと同時に、それまで寡黙でクールなモンスターだったグラスホッパーが、
「フゥゥゥ…フゥゥゥ…!」
と急に息を荒くして、そして次の瞬間、雄叫びとともに美玲めがけて襲いかかってきた!
「きゃッ…!」
覆い被さられ、逃げる間もなく押し倒された美玲。
慌てて押しのけようとしたが、わずかに早く、美乳を荒々しく鷲掴みにされて、
「んんッ…!い、痛いッ…!あっ…!」
痛みと刺激で、一瞬、動きを止めたのがまずかった。
すかさず、もう一方の手でも美乳を揉まれ、そして自身が尖らせた先端の突起を愛撫されると、
「んんッ♪」
甘い声を漏らして震え上がった美玲を見て、
「さぁ、グラスホッパー。その乳首をもっともっといじってあげなさい。その娘、そこが特に弱いみたいだから…♪」
と、その突起が美玲の性感帯であることをあっさりと看破し、入れ知恵のように伝えるメミー。
それをよって、人外のゴツゴツした指で擦られ、弾かれ、そして摘まみ上げられる美玲の勃起乳首。
「い、嫌ッ…!あぁッ♪」
必死に押しのけようとするも、淫靡な刺激を送られるたびに力が抜けて思うように抵抗できない。
それどころか、
「その手が邪魔ね。封じちゃおっと…♪」
と、メミーがまた新たな妖術を発動。
その瞳の妖しい輝きとともに今度は美玲の両手首が急に重くなり、レドカーペットの上にドスンと音を立てて落ちると、それっきり上がらなくなった。
「くっ…くぅッ…!」
くくりつけられた見えない重石…寝転びながらバンザイした形で両手を封じられた美玲は、もはやまな板の上の鯉。
胸だけでは飽き足らず、いよいよ股ぐらにも手を伸ばすグラスホッパー。
くちゅっ、くちゅっ…♪
「あっ!ダ、ダメっ…やぁぁッ…!あっ、あっ…♪」
ここもまた、自身が湿らせたのを引き継いで愛撫され、仰向けバンザイのまま身悶える美玲。
そして、気付けばその喘ぎ声にハモってくるアニメ声…。
「あっ、んんっ…♪んっ、んっ…♪」
と、玉座の上のネルネルがグラスホッパーに嬲られる美玲を眺めながらオナニーの二回戦を始めていた。
なおも、
「フゥゥゥ…フゥゥゥ…!」
と息を荒げ、性欲が爆発寸前のグラスホッパー。
我慢できずに、とうとう、美玲の割れ目に生やされた男根をグリグリ押しつけ、擦りつける始末。
「んっ、んんっ…♪やぁッ…!あぁッ…♪」
触れ合う角度がかなり際どい…人外のモンスターとの性交など絶対にありえないと必死に拒絶しているつもりが、口から出るのは吐息混じりの嬌声…。
するとメミーが、
「こらこら。我慢できないのは分かるけど、焦らずにまずは口でしてもらいなさい」
メミーの言うことには忠実なグラスホッパー。
泣く泣く擦りつけていた肉棒を遠ざけて立ち上がり、仰向けバンザイ状態の美玲の顔の横に立つと、フリーフォールのように急降下で身を屈め、その勢いのまま、
「んぐッ…!」
小さな口めがけて巨根を突っ込まれた美玲。
頬張った瞬間から、
(デ、デカすぎるッ…!顎が…顎が外れそうッ…!)
と眉をひそめるも、グラスホッパーに配慮など皆無。
「んごッ…んごッ…!」
イラマチオでまずは口内から犯される美玲。
そして、その苦悶の呻き声と抜き挿しの濁音をオカズに、
「あっ、あっ…や、やらしいッ…♪そんな根元まで頬張って…見てる私もすごく興奮しちゃうッ♪」
と、サイドテーブルに置いた男根型玩具を再び手に取り、それを疑似フェラで口に咥え、
「んぽっ♪んぽっ♪」
と音を立てながら、美玲のイラマチオに合わせて抜き挿しして、みるみるうっとりした目になるネルネル。
一方、ジュポ、ジュポ…と巨根を抜き挿しされるうちに溢れ出た唾液が頬を伝い、みるみる顔が汚れていく美玲。
そしてメミーが、
「さぁ、グラスホッパー!そろそろハメてあげなさい。お互い、もう我慢の限界の筈…仕上げよッ♪」
と命じるとともに腰を上げ、美玲の口から男根を抜き取るグラスホッパー。
再び脚の間に戻ると、美玲の左右の太ももを脇に抱え、またさっきのようにズリズリと割れ目に擦りつけてくるが、たっぷり強制採取された唾液のヌメりによって滑りが段違い。
にゅるんっ、にゅるんっ…♪
とグラスホッパーの腰が前後するのに合わせて、
「あっ、あっ…♪ま、待ってッ…♪んんッ…♪ダ、ダメぇっ…!あぁぁッ…♪」
両手首は重くて動かないし、抱えられた両脚も振りほどけない。
唯一動くのは腰だが、ヘタに動かせば事故的に入ってしまう…。
(う、動けないッ…!ど、どうすれば…!)
と、望まぬ嬌声を上げながら必死に考える美玲。…だが、今さら何を考えようと無駄だ。
「ふんッ…!」
と鼻息荒く前に突き出したグラスホッパーの腰の動きとともに、
ぐじゅっ…♪
「はうぅぅッ♪」
仰け反るように背筋が伸びた美玲を見て、
「ふふっ…♪入っちゃったみたいね…♪どう?大きいでしょ?人間にはいないサイズよ。しっかり堪能しなさいね♪」
と笑みを浮かべるメミー。
そして、今しがたメミーの言った通り、堪能させようとグラスホッパーが腰を振り始めれば、
「ひ、ひぃぃッ!?ま、待って!動かないでぇぇッ!ひゃぁぁぁッ♪」
ズドンっ、ズドンっ…と、バケモノじみたサイズの男根で掘削されていく美玲の性器。
もはや美玲に周りを見る余裕などないが、その挿入とともにネルネルも頬張っていた男根型玩具を濡れそぼる自身の割れ目に突っ込み、抜き挿しして夢心地に浸っている。
そして、スレンダーな体躯に不釣り合いな太さのピストンに、思わず、
「やぁぁッ!さ、裂けるッ…!私のアソコ壊れちゃうからぁぁッ!」
と絶叫する美玲だが、その訴えはグラスホッパーにはこの密着同然の距離からでも届かない。
なおも、
「ふんッ、ふんッ、ふんッ…!」
と息を荒げて打ち込まれる巨根。
悲鳴を上げる美玲の様子を見て、発散が捗るネルネルは、
「あっ、あっ…♪そう、その調子…♪もっとパコパコ突きなさいッ…♪突きまくるところ私に見せてぇ…♪」
と、セルフ玩具ピストンの快感でとろんとしてきた目で焚きつけると、たちまちグラスホッパーの腰遣いは深くて重いピストンから小刻みな速いピストンへと変わっていき、それに合わせて美玲も、
「あっ、あっ、あっ…!ダ、ダメぇ…!は、速すぎッ…!激しすぎぃぃッ!ひぃぃッ♪」
突かれる反動でぶるんぶるん揺れる美乳と、円を描く左右の勃起乳首。
もはや完全に詰み…美玲から出来ることは何もなく、ただひたすら夢中で犯され、そして、
「あぁぁっ、イ、イクっ…ダメっ!イッちゃうッ…!あうぅッ…!」
ビクビク痙攣しても止まらない発情グラスホッパーの腰。
絶頂の余韻に包まれながら、なおも、
「あんッ、あんッ、あんッ…♪」
と追撃ピストンの餌食となった美玲。
ピストンマシーンと化したグラスホッパーからは、時折、
「グ、グォォォっ…!」
と咆哮にも似た呻き声が上がり、それとともにお腹の奥に熱いものをたっぷりと注がれるが、それですら止まる気配は無し。
結合部から白く泡立ったメレンゲのようなものが溢れ出ても止まらず、連射で射精しながらでも休まずに続く怒涛のピストンは、たちまち美玲の理性も焼き払い、気付けば美玲も、
「あっ、あっ…♪ぎ、ぎもちぃぃいッ…♪お、おかしくなるぅぅッ…んほぉぉぉッ…♪」
とタガの外れた声とともに顔面崩壊…。
そして最後は、何とも下品なまんぐり返しの体勢で真上からプレスされる圧殺ピストン。
「おぉッ…♪おぉッ…♪イ、イグっ…イグぅぅッ…♪」
と叫んで、もはや累計で何度目かも分からない絶頂。
この後もメミーの妖術によって底なしの性欲になったグラスホッパーが満足するまで犯された美玲。
やがてネルネルが先にお腹いっぱいになって疲れ果てた後もオカズの提供だけは延々と続き、美玲は、膣内がキャパオーバーになるまでモンスターザーメンを注がれ続けた。
(おわり)