episode-0_2 【ANOTHER】敗れた影山優佳の末路
『けやき谷の合戦』
それは、かつて佐々木久美率いる九人の戦士たちとヒラガーナの侵略軍が、けやき星の明暗をかけ、鬱蒼とした山林と峡谷を舞台に戦った激闘の一夜のことを指す。
そして、史実上、結論からいうと、戦士たちはこの合戦で惨敗を喫し、壊滅した。
圧倒的パワーを誇るゴリラの怪人・コングの猛攻に加え、ヒラガーナの軍師を務めた悪の科学者、Dr.アモンの計略によって戦力を分散化。
彼女らの生命線でもあったチームワークを乱されたことで形勢は一気に傾き、そして遂に、けやき星は陥落、ヒラガーナの植民地と化した。
故国を失い、さらに憎きヒラガーナの捕虜にされてと、戦士たちにとってはまさに地獄の幕開け、悪夢の一夜となったこの合戦。
これは、その激闘の一幕である。
……
木立の連なる山中。
戦力を分散されて散り散りになった戦士たちを追い詰めるために差し向けられた無数の追跡部隊…その捜索の目から逃げ回る中、突如、空から、
「我々ヒラガーナに楯突く者たちに告ぐ!たった今、お前たちの仲間、齊藤京子と高本彩花が我々の手に落ちたわ!この二人の命が惜しければ、残りの面々は、おとなしく変身を解いて姿を見せ、我々に降伏しなさい!…繰り返す!齊藤京子と高本彩花は…」
と女の声が、超能力か何かを用いて、付近一帯に轟いた。
この少しばかりヒステリックな甲高い声色と、鼻につく上から目線の口調…声の主は、憎き女幹部・イグチ魔女に違いない。
それと同時にマスク内無線で、
「こちら影山…!久美ッ!今のは本当なの?」
「分からない…!ただ、二人が無線に応答しないのは事実…!」
「ウソでしょ…?京子とあやがやられたってこと…?」
と、影山優佳と佐々木久美の会話が聞こえた。
さらに、そこに割り込む形で、
「どうしたらええの?久美…!このままやったら二人の命が…!」
と問うてきた東村芽依に対し、久美は即答で、
「ダメよ、めいめいッ!ヤツらに降伏なんて絶対にできない…!それは…私たちの敗北を…この星の終焉を意味することよ…!」
と叱りつけるように返事。
そして、その後すぐに、
「くッ…!」
どうやら追っ手と遭遇してしまって交戦が始まった様子で、そこで久美との無線は途切れた。
そして、それから数分後…再び山全体にイグチ魔女の声が轟き、
「虫ケラどもに告ぐ!ここでまた新たな報告が入ったわ!我々にとっては朗報…お前たちにとっては絶望的な話よ。さっき言った二人に加えて、佐々木美玲と高瀬愛奈、この二人も我々の手に落ちたとのこと!つまり、これで人質は四人になったというワケよ。…さぁ!残る五人はさっさと降伏して出てきなさい!」
なんと…京子と彩花に続いて、美玲と高瀬まで…。
ここでも、すぐに無線で、
「…ダメだ!みーぱんとまなふぃも応答しないッ!」
「そんな…!じゃあ、イグチ魔女の言った通り、その二人まで捕まったってこと…?」
加藤史帆と潮紗理菜の緊迫する無線でのやり取り。
追っ手から逃げ回りながらの必死の会話。
そして、ひとまず現状を整理するためか、
「こちら久美ッ!とりあえず、今、無事な人は何か一言でいいから応答してッ…!」
と、どうやら先ほどの追っ手は何とか撃退した様子の久美から声が飛び、それに応じて、
「加藤は無事だよ!」
「潮も!」
「こちら東村、今のところは…」
と矢継ぎ早に三人の声が聞こえてきたが、ふと、
「…カゲ?カゲは…?カゲ、無事なら応答してッ!カゲっ!」
動揺を隠せずに声を荒げる久美だが、いくら呼びかけても影山からの返事がない。
「ウソ…」
「まさか、カゲまでやられたってこと…?」
無線内で広がる動揺。…だが、こんな苦境の時ほど、戦意の喪失は絶対に禁物。
それを分かっている久美は、どうにか仲間たちを鼓舞しようと、
「カゲなら大丈夫っ…!とにかく、どうにか私たちで、もう一回、合流しよう!私は今、西側の『昇竜の滝』の近くにいる!みんなは…?」
「私、加藤も『昇竜の滝』に近いところにいるよ!じゃあ、どうにか頑張ってそっちの方まで行ってみるッ!」
「潮は、その滝には少し遠いかも…私は今、東の『月影の吊り橋』が見えるところにいるんだけど…!」
「やったら芽依はなっちょのところに行くわ!ちょうどさっきその吊り橋を渡ったから…!」
と、それぞれ落ち合う算段をつける戦士たち。
散り散りで一人きりでは心もとないし、いざ追っ手と相対した時も戦力的に不安…せめて二人一組がいい。
「なっちょとめいめい、落ち合えたらまた無線で知らせて!あと、戦力が整うまで、絶対に一人で戦ったらダメ!それをやるとヤツらの思う壺…分かった!?」
「オッケー!」
普段、あれだけ冷静沈着な久美ですら、今のような早口で、しかも息を切らしながら話す緊迫感…。
その隠しきれない焦りが、まさに劣勢を物語っていた。
……
一方その頃…。
茂みの中に身を潜め、今の仲間たちの無線のやり取りを黙って聞いていたにもかかわらず、あえて加わらずに無言を貫いていた影山優佳。
(みんな、心配させてごめん…私も無事だよ。まだ今のところは…)
と、まずは心の中で謝り、そして、
(今から私がやろうとしていること…打ち明けたら久美は必ず止めようとする…多分、追っ手を蹴散らしながらでも駆けつけて止める筈…でも、やらなきゃ…!)
と、ある決意を固める影山。
そして、ちょうどそこに追っ手の足音…ガサガサと枯れ葉を踏みにじる音が聞こえてきたことで、一度、大きく深呼吸…。
息を潜めながらタイミングを計って、
(…よし、今だッ!)
意を決して茂みから飛び出す影山。…といっても何も策を持たず、完全に丸腰。
すると、その物音に気付いて振り返り、
「いたぞッ!」
「緑色の戦士…!影山優佳だ!」
「捕まえろッ!」
と声を上げる、追跡部隊として個体を組んだ三体のガーナ兵たち。
そして、こちらへ向かって駆け出す連中に向かって、
「待ってッ!話を聞いてッ…!私はもう戦う気はない…!」
と両手を掲げ、降伏の意を告げる影山。
それを聞いて飛びかかろうとした足を止め、駆け足が徒歩に変わってゆっくりと三角形で影山を取り囲むガーナ兵たち。
互いに顔を見合わせてはヘラヘラと笑って、
「ほぅ…なるほど。降伏するために出てきたワケか」
「さすが影山優佳。悪あがきをしても無駄だと冷静に察せるあたりが賢い」
と言いながら立ち尽くした影山の左右をぴったりと張り付き、
「よーし…まずは変身を解け」
「それが降伏の意思の証明だ」
「…分かったわ」
ブレスレットの変身解除ボタンを押し、緑色の強化スーツをまとった姿から人間体へと戻る影山。
そして、すかさず左右から腕を組むようにして確保され、
「さぁ、来い!」
「イグチ魔女様のところへ連れていく!」
と連行されていく影山だが、もちろん、みすみす降伏などする筈がない。
引っ張るようにして歩かされながら、
(京子…あや…みーぱん…まなふぃ…待ってて!今、助けに行くから…!)
形勢逆転を目論み、捕らわれた仲間たちの奪還を目的に降伏を装った潜入作戦…非常に危険な賭けだが、もはやこうするしか自分たちに勝機はない。
それが、秀才戦士・影山優佳の頭脳が導き出した答えだ。
……
目論み通り、捕らわれの身となった優佳が連行されたのは、けやき谷の中腹に位置する少し開けた広場。
こんな、この星の運命を分けるような激闘の舞台となってなければ、ここ、けやき谷はハイキングのメッカ。
いくつかベンチが置かれ、休憩スペースとして設けられたその広場でヒラガーナの侵略軍は陣を張っていた。
そして、そこに連行された優佳が見た光景…それは、立ち並ぶ大木に縛りつけられた捕らわれの仲間たち。
その光景に、思わず、
(ごくっ…)
と息を呑んだ優佳。
左から順に齊藤京子、高本彩花、佐々木美玲、高瀬愛奈…。
優佳と同様、変身解除されて人間体に戻っているが、その衣服はどれもボロボロ…。
それは、降伏を告げて自ら変身解除した優佳と違い、交戦の末に敗北し、ダメージによって自然と変身解除したことを物語っている。
そして、そんな彼女らも、この状況での影山との再会に、
「カ、カゲ…?」
と困惑気味。
自分たちと同様、痛めつけられた状態で現れたのなら同じように敗北したと分かるが、見たところ、そうではない…。
すると、そこにツカツカと現れたイグチ魔女が、
「フフフ…お前たち。なぜ影山優佳はお前たちと違ってキレイな身なりでいると思う…?それはね。お前たちのような聞き分けの悪いバカと違って、素直に我々に降伏することを選んだからよ」
「━━━」
あくまで作戦とはいえ、そういう言い方をされると優佳にとっても少し気まずい。
現に高瀬は、木にくくりつけられたまま、
「な、何やて…!カゲっ…!ウソやろ?何でこんなヤツらに降伏なんかすんねんッ…!」
と優佳を叱責し、他の三人の目にも明らかに戸惑いの色が浮かんでいた。…が、そんな気まずい視線に晒されても、まだ今は事情を説明するワケにはいかない。
仲間たちからの何とも言えない目を甘んじて受けながらも、一方で、さすがは切れ者。
顔の向きはそのままにチラチラと目線を散らし、周囲の状況の把握を急ぐ優佳。
そして内心、
(よし…まだ望みはある…)
と思ったのは、捕らわれた四人の手首にまだブレスレットが残っていたこと。
今は人間体だが、腕をクロスすれば再び強化スーツを纏って戦士の姿になれる。…となれば、ネックなのは、その仲間たちの身体を大木に縛りつけて何重にも巻きつくロープ。
(まずはあれをほどかないと、みんな、腕をクロスすることが出来ない…)
とはいえ、全員を一斉に解放するのはどう考えても不可能。
その時点で降伏がウソであることはバレるだろうし、交戦に発展する筈。
幹部のイグチ魔女もいる中、優佳一人では打開できない。
(…となれば、四人のうち、誰か一人を先に解放し、時間を稼いでもらってる間に残りの三人を…)
ならば必然的に、それ相応の立ち回りを任せられる者から。
(あや…?それとも、みーぱん…?)
だが、そんな悠長に悩んでいるほどヒマしてるワケでもない。
「フフフ…影山優佳。さすがは秀才…さっさと降伏することを選んだのは英断よ。仲間からは裏切り者と思われるかもしれないけどねぇ」
と笑みを浮かべて近寄ってくるイグチ魔女。
そんな彼女の所作をよく見ながら、
(次にイグチ魔女が背中を向けた時…その一瞬がチャンス…!)
彼女のお決まりのコスチュームである大きなマント…あのサイズではきっと真後ろが死角となっている筈だと瞬時に見抜く秀才の頭脳。
そこに虚を突いた体当たりを見舞って突き飛ばし、その混乱に乗じて、まず彩花のロープをほどく…それで決まりだ。
緊張で自然と高鳴る鼓動。
それを鎮めるように平静を装う優佳。…だが、肝心のイグチ魔女がなかなか背中を見せてくれない。
依然、優佳に向けてベラベラと笑顔で何か話しているが、もはや内容は右から左で完全にスルー…あの大きなマントを翻す瞬間にしか興味がない。
(早く…早く…!そんな話どうでもいいから早く向こう向いてよッ…!)
まだ戦いは続いている。
今この瞬間も、この渓谷のどこかで窮地に立たされている久美たちのことも心配だ。
(早く…早く…!)
と焦りを募らせては、
(待って…焦っちゃダメ…焦って失敗した瞬間、全てが終わる…)
と、それを自戒して打ち消すことの繰り返し。
依然として続くイグチ魔女の一人喋り…そして、ようやく話が終わったかと思えば、ふいにイグチ魔女は、腰に差したサーベルを抜き、それを優佳に手渡すように差し出した。
「…え…?」
突然のことに、きょとんとした顔をしてしまう優佳に、
「あらあら、聞いてなかったの?今、言った通りよ。我々、ヒラガーナに降伏するのなら、まずはその意思の証明として、この四人の中の誰か一人の心蔵を、あなたの手で貫いて息の根を止めて見せなさい」
(な、何ですって…!?)
これは誤算…優佳にとって全く予想外の展開だ…。
「━━━」
絶句して硬直する優佳だが、なおもイグチ魔女は、
「ほら…ほら…何をしてるの?早く手に取りなさいよ」
と自身の愛用のサーベルをグイグイと差し出す。
持たないワケにはいかない…拒否すれば、その時点で降伏などウソで、作戦だとバレてしまう。
よって、急に震えだした手で、仕方なくサーベルを受け取る優佳。
「さぁ、誰にする?自分で選びなさいよ。この際だから日頃の不満とか口にしながら貫いてもらおうかしら?」
「━━━」
会話を放棄し、必死に巡らせる頭の中。
とにかく考えていた作戦は変更…四人の救出は一旦置いておいて、ひとまず、この状況をどう打開するか、だ。
なかなか、勝算の見込める案が出ない。
やがて、しびれを切らしたイグチ魔女が、
「…あー、もうッ!優柔不断ね!じゃあ、私が決めてあげるわ!齊藤京子、この娘をしなさい。この娘の血で私のサーベルを赤く染めるのよッ!」
と指示し、立ちすくむ優佳の肩を持って京子の前へといざなう。
背後を取りたかった相手に背後に回られるという皮肉…。
そして、大木に縛られたまま、優佳と相対し、
「カ、カゲ…!ウソでしょ…?え…?ウソだよね…?」
青ざめる京子…そして、
「カゲ!バカなマネはやめてッ!」
「考え直してッ!」
と、横で喚きだす彩花と美玲。
もちろん、実行する気などないに決まっている。…それよりも必要なのは打開策。
そして、追い詰められた末に優佳が絞り出した一つの結論…。
(イグチ魔女を倒す…いや、倒すことは無理だとしても、とにかく痛手を負わせる…もうそれしかない…!)
幹部クラスのイグチ魔女がここにいるということは、おそらく彼女が今回の合戦の陣頭指揮を執っているのだろう。
その彼女を負傷、撤退させれば、侵略軍の士気も少しは下がるし、それで多少なりとも戦況が変化する筈。
それに、幸い、イグチ魔女の愛用のサーベルが、今、優佳の手にある。
警戒している様子もなく、それよりも、
「ほら、早く…!さっさと殺っちゃいなさいよ!心配しなくても恨まれるのは一瞬だけよ?すぐにあの世行きなんだから」
と急かすことで頭がいっぱい。
(…ごくっ…)
息を呑む優佳。
そして覚悟を決めた。
意を決して構えるサーベル…じっと背後の気配に集中して距離を計り、そして、
「…てやぁぁッ!」
それはまるで、るろうに剣心、斎藤一の牙突零式…。
サーベルを握った手を前に伸ばす直前にクルッと反転し、目の前の京子ではなく、背後のイグチ魔女の心の蔵めがけて突き出す切っ先。
そして優佳の目に映ったのは、虚を突かれて自身に迫るサーベルに戦慄するイグチ魔女の表情。
一瞬の出来事ながら、その表情で、自分でも、
(捉えたッ…!)
と確信した会心の突き。
そして…。
…パリィィィン…!
(…!)
その広場に響いた破砕音。
見事、イグチ魔女の左胸を捉え、背中まで貫いたと思ったサーベルの刀身は、残念ながらイグチ魔女のコスチュームに触れた瞬間、粉々に砕け散った。
一瞬、時が止まる広場。
優佳の手の中に残る、刀身のなくなったサーベルの柄。
そして、沈黙を破るように、
「…フフフ。残念だったわね、影山優佳。切れ者のアンタが真っ先に降伏したなんて、そんなこと鵜呑みにするワケないでしょ?疑っていて正解だったようね。こんなこともあろうかと、お前に渡したサーベルは刀身が飴細工で出来たニセモノよ」
「━━━」
茫然としてしまう優佳。
そして、まんまと一杯食わされた秀才も、そこでようやく、罠を仕掛けたつもりが仕掛けられたのは自分だったと気付く。
「くッ…!」
柄だけになったサーベルを放り捨て、身構える優佳に、
「フフフ…まんまと自分から次の人質になりに来てくれたことは感謝するわ。そのお礼に、それなりのおもてなしをしてあげる…♪いでよ、コングっ!」
イグチ魔女の張り上げた声とともに、頭上の木から、
「ウホっ!ウホっ!ウホっ!」
と鳴き声が聞こえ、そして優佳が見上げると同時に、ゴリラの怪人・コングが颯爽と飛びかかってきた。
「きゃッ…!」
慌てて避ける優佳。
その巨体は着地と同時にこの渓谷全体の地盤を震わせ、そして、一目散に優佳へ突進。
「くっ…!」
まともに対峙できるような体格差ではないと、紙一重で身をかわす優佳だが、避けて正解。
誤爆した背後の木が傾いてしまうほどの威力を有するコングの殺人タックルは、小柄な優佳なら一撃死でもおかしくない。
なおも、
「ウホウホっ!」
と胸板を叩いてドラミングし、脳筋戦術でタックルを繰り出すコング。
一発目で傾いた木が二発目を喰らうと、ひしゃげてそのまま真っ二つに折れてしまう。
コングのタックルに加え、倒れてくる大木からも逃げて大忙しの優佳。
「カゲ、危ないッ!木がッ!」
「また来てるッ!気をつけてッ!」
と、口々に声で知らせる四人も木に縛りつけられたままでは何も援護できない。
そしてまた間一髪、すんでのところで身を翻し、誤爆を誘発した優佳。
折れた木が降ってきたことでコングが起き上がるのにもたついているのを見て、
「今だ…!」
とにもかくにも変身しないと、生身のままでは全く打つ手なし。
広げた手をクロスし、いざ変身。…というところで、
ビビビビっ…!
「はうぅッ…!」
突如、浴びせられる感電光線…その光線の出処はイグチ魔女。
「フフフ…ダメよ?変身しちゃ。秀才なんだったら強化スーツに頼らず、その自慢の頭を使って戦いなさいな」
と、意地悪な笑みで戦況を見守るイグチ魔女に、
(む、無茶を言わないでッ…!こんなの…変身せずにどうにかなる相手じゃない…!)
そして、今の感電光線のダメージで足がふらつきだしたのが運を尽き。
「ウホウホっ!」
また一目散に迫ってくるコングに対し、これまでと違って明らかに一歩目が遅れた優佳は、そのまま、はっけよーいで組み合った相撲取りのように捕まり、そして軽々と持ち上げられてサバ折りに。
「きゃぁぁぁッ…!」
広場に轟くような悲鳴を上げる優佳に対し、
「ぐヘヘ…ちょこまか逃げ回りおって…やっと捕まえたぞ。さぁ、もっと締め上げてやるッ!そらッ!」
ぎゅぅぅぅッ…!
「んぎゃぁぁッ…!」

お腹周りを圧迫されて息が苦しい…背骨が折れそうだ。
必死にもがいて手足を揺するも、抱えて持ち上げられていては逃げ場がない。
そんな優佳を、
「アハハ♪いい気味よ!もっと苦しみなさい!」
と嘲笑うイグチ魔女。
そして、さらにこの後、優佳が苦しみながらでも思わず耳を疑った衝撃の一言が飛び出す。
「フフフ…それにしても、降伏するフリして捕まった仲間を取り返そうとするなんて、そんなセコいこと、よく思いつくわね。そんなひねくれた考えしか出来ない娘は、一度、人外のモンスターにボロ雑巾のように犯されることをオススメするわ…♪」
(な、何ですって…!)
一瞬、聞き間違いかと思ったが、どうやらそうでもなさそう…。
「ぐへへ…許可が出た。青空の下だが、構わずに楽しませてもらうとしよう!」
そこでようやくサバ折りは解除。
地面に下ろされるも、逃げる隙はなく、すかさず二体のガーナ兵が優佳の身体を押さえつけてきた。
「くっ…は、離せッ!」
掴まれた身体を右へ左へ振ってもがいているうちに、コングの野太い腕が優佳の服を掴み、一気に、
ビリビリっ…!
「くっ…な、何するの!きゃっ…!」
コングの馬鹿力の前では、着ている衣服など紙切れ同然。
お気に入りのシャツを、そしてハーフパンツを次々に破られ、戦士としてではなく、一人の女として焦りだした優佳。
そして華奢な両肩を剥き出しにされると、いよいよ顔も赤面しだして、
「や、やめなさい…!嫌ッ…嫌ぁぁッ…!」
「ぐへへ…さぁ!ボロキレは全部、没収だ!よこせ!」
と、ビリビリに破いた衣服を次々に回収。
その結果、優佳は、こんな野外にもかかわらず、地肌の大部分を人目に晒した下着姿に。
しかも、よりによって今日の下着はあまり優佳のキャラに無い薄ピンク色…。
「ガハハ!なかなか可愛いのをつけているじゃないか。さぁ、それもよこせ!」
「い、嫌ッ!さ、触るなぁッ!やぁッ…!」
伸びるコングの手を払おうにも、どちらの腕もガーナ兵に捕まってしまっている。
しかも相手はゴリラの遺伝子が入った人外のモンスター…。
力任せに引きちぎるようにして、まずブラを奪われ、そして、
「さぁ!秀才戦士はいったいどんな裸をしているのか、もっとよく見せてもらおうか!」
コングのいやらしい言い回しとともに、身体を押さえつけているガーナ兵が優佳の胴体をグッと前に突き出す。
「やぁぁッ…」
見せつけるように仰け反り、それと同時に、ぶるんッ…と弾んだ優佳の乳房。
華奢で小柄なわりには案外ボリューミー…そして、その中心の突起はてっきりピンク色なのかと思いきや、ここは意外と褐色がかっていて、それがまた妙にそそる。

遠巻きにそれを確認したイグチ魔女からも、
「あらあら…アンタ、意外に使い込まれた身体してるのね。正義の戦士、しかも秀才キャラのわりに、実は遊び人なのかしら?」
「う、うるさいッ!余計なお世話ッ…!」
と、ついムキになって言い返す優佳だが、乳首の色をイジられ、顔だけでは収まらず身体全体が真っ赤に染まる。
もちろん遊び人なんかではない。…いや、遊び人というほどではない筈…。
色についても原因は色素沈着などであって、別に大勢の男に吸われたからとか、そういうことでもない…筈…。
そして、
「どれどれ…手触りはどんなものか…♪」
むにゅっ…♪
「んんッ…!」
曝された乳房を無遠慮に揉みしだくコングの手。
ひと揉み、ふた揉み…と力を加えては、
「ふむ…なかなかいい感触だ。こんな胸をしてたら身体目当ての男がよく周りに現れるだろう?えぇ?」
「う、うるさぁいッ…き、汚い手で触るなぁッ…んんっ!あぁッ…!」
さらにコングは、
「さぁ…続いて、こっちの感度はどうかな?」
と、中心の突起を指を弾けば、
「あッ…んんッ…♪や、やめてッ…あぁッ♪」
必死に制しながらも、ついつい嬌声…それにはイグチ魔女も、
「あーら、なんて可愛い声ッ…♪そんなあからさまに声を変えてちゃ、そこが性感帯って白状してるようなものよォ?」
「ち、違うぅッ…ひぃぃッ…♪」
笑ってしまうぐらい説得力がゼロの否定。
そして、大判の手の平を持つコングにかかれば、小柄な優佳の胸部そのものを掴むことも可能。
人差し指から小指の四本で背中を支えながら、親指でクリクリと左右の乳首を押し込んで愛撫してやれば、
「ふぁぁッ♪あぁッ…♪あぁッ♪」
「フハハハ!どうだ?人間には出来ない触り方だ。存分に堪能するがいい」
確かに人間では出来ない芸当…まるでポータブルゲーム機を操作するようにして優佳の乳首を愛撫するコング。
たちまち、本人の意思とは裏腹に、褐色がかった乳首はその太い親指の下でみるみる硬化し、そうなることでさらに、
「あぁんッ♪んっ、んっ…♪」
指の腹での摩擦に、どんどん艶っぽくなっていく優佳の反応。
そして、ふと、イグチ魔女が、大木に縛りつけた四人の元へ歩み寄り、
「あらあら…なに興味深そうに眺めてるの?あなた達。さては、あの娘と同じことされたいワケ?」
と、気付けばすっかり視線が釘付けになっていた京子たち四人をからかうと、四人は慌てて、
「だ、誰がそんなことッ…!」
「そ、そうよッ…変なこと言わないでッ…!」
「そんなこと思うワケないでしょッ…!」
「それは盛ってるで、絶対…!」
と一斉に反論する四人だが、その慌て方がかえって怪しい。
中でも特に京子と彩花…この二人の赤面は明らかに図星というレベルで、
「はいはい。焦らなくても、あとであなた達にも順番に、あの触り方、体験させてあげるから…♪」
とイグチ魔女に笑われる屈辱…。
そしてイグチ魔女は、視線を戻し、
「さぁ、コング!遊んでないで、あと一枚もさっさと脱がせちゃいなさい!乳首がその感じだとアソコの色も気になってきたわ。相当、使い込んだアソコだったりして…♪」
「…イエッサー…♪」
幹部のその配下…さしずめ上司と部下という間柄だからか、イグチ魔女の言うことに対して聞き分けがいいコング。
握っていた優佳の身体をスッと離し、いよいよ残された最後の防具…パンティに太い指が掛ける。
たまらず、
「ダ、ダメっ…!そこはッ…!」
我に返ったように必死の形相で制するも、依然、左右の腕はガーナ兵に押さえつけられていてガードに回れず、使えるのはクネクネとした腰遣いのみ。
すると、
「ぐへへ…ほら、もっと腰を振って粘ってみろ。その腰の動きを止めた瞬間、生まれたままの姿を大公開だ。それが嫌なら振り続けろ、ほら…♪」
その気になれば一瞬で剥ぎ取れる筈…それをあえて泳がせ、脱がされてたまるかと必死に抵抗する優佳の妙に艶めかしい腰遣いを見て楽しむ性悪モンスター、コング。
さらにイグチ魔女からも、
「ふふっ…♪男に跨る時もその腰遣いを見せてあげるのかしら?」
と羞恥心に直撃する意地悪な野次を飛ばされ、そして、
「往生際が悪いわよ?さっさと見せなさい。ほらっ…♪」
と、再度、感電光線を飛ばすイグチ魔女。
しかも今度は、それが、よりによってツンツンに突起したての乳首に直撃。
ビビビビっ…♪
「ひゃうぅッ…♪」
絶妙に加減された光線がかえって効果てきめん。
飛び上がるような反応とともに可愛らしい声を上げ、その刺激に思わず動きが鈍ったその瞬間、
「そぉら!いただきッ!」
と、それまで優佳を泳がせていたコングが、掴んだパンティを一気にずり下ろした。
晒されるアンダーヘア、生尻、そして股下の女性器。
「嫌ぁぁッ…み、見ないでッ…!」
とうとう憎きヒラガーナの一味の前に晒された秀才戦士の一糸まとわぬ素っ裸…しかも野外で…それも仲間たちの見てる前で…。
そしてコングは、
「ほら、脚を開け!もっとよく見せろ!」
と、内股になった優佳の脚を馬鹿力であっさりとこじ開け、身を屈めて覗き込んでは、
「ほぉ…こっちはまだキレイなピンク色を保っているぞ。遊び人という疑いはグレーといったところか」
と、いやらしくほくそ笑み、そして、ついでに、
「フフフ…やめてと言いつつ、こっちはもうその気になってるじゃないか…♪」
その下卑た言い回しだけでも、そこが今どんな状態か、ある程度、察することが可能…。
そして、股下を覗き込まれて赤面しているところに、いよいよ、
スリスリ…スリスリ…♪
「んんッ…♪あっ、あっ…♪」
ゴツゴツした指を添えられ、ゆっくりと摩擦が開始されると同時に脚が震えだす優佳。
この青空の下、人外のモンスターから受ける屈辱的な指愛撫…。
やがて、
くちゅ…くちゅ…♪
この渓谷の醍醐味である滝や渓流からではなく、優佳の股の下から立ち始める水音。
さらにその水気を、
ペロペロ…ペロペロ…♪
「ひぃぃッ♪」
ザラザラとしたケモノの舌で舐め取られて悶絶する優佳。
戦い方は脳筋だったくせに、舌遣いにかぎっては妙に技巧派なコング。
ビラビラのシワの間まで残さず入り込んでくる丹念な舐め方に、やがて、
「あっ、あっ…♪ダ、ダメっ…!あぁッ、ダメっ!んんッ…♪はぁぁッ…♪」
ハッキリと口にはせずとも、その声の上ずり…身体の仰け反り…下半身の震え…あっけなく絶頂に達したことは火を見るより明らか。
その証拠に、
「んッ…♪んッ…♪」
と、余韻と思わしき一定間隔の震えが続いている。…が、コングは構わずに、
「ぐへへ…舐めても舐めても出てくる…♪キリがないぞ、影山優佳…♪」
と、余韻の最中でも舌遣いを継続。
こうして、今にも脚が折れて尻もちをつきそうなフラフラの状態のまま、三回ほど絶頂を押し上げられた優佳。
繰り返しになるが、野外で…しかも仲間たちの見ている前で、だ。
そしてようやくコングの舌が離れていく頃には、もう優佳の脚は自身の分泌した粘液とコングの唾液で内ももからふくらはぎ、くるぶしまでテッカテカ…。
(も、もう無理っ…頭が真っ白…な、何が何だか…)
と優佳の目が虚ろになってきたところで、いよいよイグチ魔女から、
「さぁ、コング!遊びはそこまでにして、そろそろ貫いてやりなさい!そいつのその小さな身体を、アンタのそのぶっといイチモツで!」
「…イエッサー…♪」
お決まりの返事とともに、そのテカった脚を抱え、軽々と持ち上げた優佳の身体。
秀才戦士にとどめをさす体位…それは、ズバリ、M字開脚での駅弁…!
「フフフ…最初のうちは少し痛いだろうが、すぐに忘れて夢中になる…なぜなら、我々ヒラガーナのモンスターが出すカウパー液の成分は、人間の女にとっては媚薬に他ならないからだ。…行くぞッ!」
その声を合図に、抱え上げた状態からフッと落下させられる優佳の身体。
重力に従い、真下で待ち受けていたコングの巨根が優佳の膣穴にナイスインを決めた瞬間、
「…ぐぎゃぁぁぁッ…!」
断末魔のような声を上げ、思わず目を見開いた優佳。
(さ、裂けるッ…!私のアソコ、裂けちゃうぅッ…!)
と戦慄する優佳だが、構わずに抱えた優佳の身体をゆっさゆっさとジャグリングしながら突き上げるコング。

「ウホっ!ウホっ!ウホっ!」
と遺伝子のベースであるゴリラを彷彿とさせる大胆なピストンを展開するコングの前に、普段の知性的な表情はすっかり消え失せ、
「がぁぁッ…んごぉぉッ…!おぉぉッ…!」
と呻き声を上げながら顔面崩壊。
時折、白目を剥き、顎の力を失って閉じられなくなった口から、泡を吹いたように唾液が溢れる。
それがボタボタと垂れ落ちて、ぶるんぶるんと弾む乳房をテカらせていくのを、
「アハハ♪いい気味♪さぁ、コング!もっと下から突き上げて狂わせてやりなさい!我々ヒラガーナに楯突いた代償をそいつの体内に存分に叩き込んでやるのよ!」
「…イエッサー…♪」
イグチ魔女の煽りによって、どんどん加速するコングの駅弁ピストン。
すると、先ほどコングの言った通り、次第に優佳の表情と反応に変化が生まれてくる。
モンスターカウパーに含まれる媚薬成分が膣内の粘膜にこびりつき、溶かすような熱を発して疼かせる。
たちまち、鬼気迫るようなキマリ顔だったのがみるみる蕩けて穏やかに…そして喉を潰すような呻き声の絶叫だったのも、だんだん、
「あんッ♪あんッ♪あんッ♪ダ、ダメぇっ…♪ひぃぃぃッ♪」
その変貌の末に現れたのは、性行為に浸る一人のオンナとしての…いや、交尾に浸る一匹のメスとしての優佳。
「ほら、どうなの?気持ちいいの?」
というイグチ魔女の問いに、とうとう、
「あっ、あっ…♪き、気持ちいいッ…気持ちいぃぃッ♪」
と素直に答え、下から延々と打ち込まれる巨根ピストンに酔いしれる。
そして、そんな優佳を抱えて、
「そぉらッ!犯されているその姿を仲間たちにも見てもらうがいい!」
と、駅弁ファックを続けながら大木に縛りつけられた四人の前へ足を進めるコング。
まずは一番左、齊藤京子の前に立ち、そこで、
「ウホっ!ウホっ!ウホっ!」
と夢中で杭打ち。
すると、ものの数秒で、
「ひぃぃッ♪イ、イクぅッ…!イクぅぅッ♪あぁぁッ♪」
と、モンスターペニスを膣に咥えたまま、京子の目の前で豪快に果ててカクカクと痙攣する優佳。
その姿を、生唾を飲んで、しかと見届けた京子は、いつの間にか内股になって、縛りつけられているその身体を意味深にモゾモゾと揺すっていた。
さらにコングは、続いて一つ隣の高本彩花の前に横移動し、今のと同じ要領で再び優佳に激しい突き上げを見舞い、イクところを見せつける。
「━━━」
彩花も、京子とよく似た反応…。
そして、さらにまた一つ隣、佐々木美玲…そして高瀬愛奈と、順に優佳のイクところを見せつけたコング。
最後は、そのコングの駅弁ファックに向けて左の手の平を、そして頭上の青空に右の手の平をかざし、何やら念を送るイグチ魔女…。
すると、次の瞬間、超能力によって青空にでかでかと優佳の犯されている光景が投影され、そして、
「まだ逃げ回っている佐々木久美、加藤史帆、潮紗理菜、東村芽依の四人に告ぐ。無駄な抵抗はやめて、おとなしく我々に降伏せよ。…繰り返す。無駄な抵抗をやめて今すぐ我々に降伏せよ。さもなくば、このように貴様たちの仲間が順にモンスターに犯されていくことになるぞ。それに、まもなく影山優佳の体内にはこのモンスターのとびっきり濃い精液が大量に注がれることとなろう。善は急げ…ともに戦ってきた仲間にモンスターの子を孕ませたくなければ今すぐにでも降伏することを薦める…」
山全体に響き渡る声高らかな最後通告…。
そして、この後、優佳の膣内にコングのザーメンが注がれたのか否か…その後もいったい何人がコングのザーメンを子宮内に注ぎ込まれたか…はたまた、久美たちは観念して姿を見せたのかどうか…その最終的な結末については、読者の皆さんの想像に託すこととする。
(おわり)