14.
ふと、鮫島の指が一点を捉えた。
まるで宝石を探すような手つき…その指先が軽くスッ、スッ…とかすめただけで、
「ふぁっ…!」
と声を上げ、反射的に、
「や、やめなさいっ…んっ!あっ、あっ…!」
「ククク…なかなか良い反応するじゃないか。まだ軽く触れた程度なのに、よほど敏感なんだな」
と笑った鮫島は、その標的…クリトリスに狙いをつけ、
「まずは身ぐるみを剥いでやるとするか」
と、指の腹で包皮を押し上げて、そのまま、ぷるんっ…と葡萄の皮のように剥き上げた。
それだけで、つい、
「ひゃぁっ…♪」
と上ずった声を上げてしまった菅井。
慌てて表情を引き締めるも、女の弱点に直撃する刺激に耐えるのは決して容易ではない。
「ほらっ…ほらっ…」
「あんっ、んんっ…!」
神々しく鎮座する菅井友香のクリトリスが、いいように嬲られ、みるみる固さを増していく。
その様を眺めて、
「ほーら、勃ってきたぞ。女王様の可愛らしいクリちゃんがよぉ!」
「あっ、や、やめろぉっ…触るなっ、うぁぁっ…!」
拘束の可動域の中でジタバタと暴れる菅井。
鮫島はニヤリと笑うと、
「どれどれ、もっとよく見せてくれよ」
と、立ち位置を移動し、開脚状態の菅井の脚の間に身体を入れ、身を屈めて覗き込む。
「や、やだっ…!見ないでっ…!」
「ククク…『見ないでっ…!』か…さっきまでの毅然とした態度はどうしたぁ?可愛らしくなっちまってよぉ。いくら女王様でも勃起してズル剥けのクリトリスを凝視されるのは恥ずかしいのか?んん?」
と笑う鮫島。
そんなもの、恥ずかしいに決まっている。
だが、四肢を固定された今の菅井は、脚を閉じて隠すことも、この男を突き飛ばすことも出来ない。
ふいに、
フッ…フッ…フゥ〜…
「んあぁっ!?い、息ぃっ…!や、やめっ…!」
「ハッハッハ!ちょっと吹いただけでそんなに感じてしまうのか!こりゃ面白い!」
ねちっこい拷問師は、いい反応が聞けたものを執拗に続けてくる。
纏った愛液が乾くぐらい、吐息で責められる菅井の陰核。
百戦錬磨、数多の女を性調教で淫女に変えてきた悪魔は息遣いさえも巧みで、上手く菅井を翻弄し、そして追い詰める。
たかが吐息…されど吐息…。
なおも鮫島は続けながら、
「降参するなら早めにしてくれよ。でないと、このままじゃ俺が酸欠になってしまうからなぁ?」
と、口ではそう言いつつも余裕の表情を浮かべる。
「んっ…!はぁっ…!?あぁっ…ひ、ひいっ…!」
(くっ…こ、こんな…たかが吐息だけで負けるワケには…!)
必死に唇を噛んで声を押し殺そうとするも、不規則なリズムで吹きかけられる吐息に乱され、不本意な嬌声が漏れる。
そして、そんな自分の声のせいで、菅井は、鮫島の囁きを聞き逃した。
「…吹きすぎて乾いてきたな。よし、もう一度、濡らしてやるか…」
と舌なめずりをして、剥き出しの淫芽を舐めにかかる鮫島。
舌先が触れた瞬間、
「んひぃぃっ!?」
虚を突かれ、思わず施術台の上を飛び跳ねる菅井。
慌てて腰を振るって追い払おうとするも、
「おっと…!そうはさせん」
と、腰を捻るのを封じる太ももロック。
そして、いよいよ本格的に鮫島のクンニ責めの開始だ。
頭ごと潜り込むように、菅井の股間に顔を埋め、卑猥な音を立ててむしゃぶりつく。
ジュルジュル…ジュルジュル…
「んほぉぉっ♪おぉっ♪んあぁっ♪」
「ククク…さすがの女王様もたまらんだろう、焦らされまくった末に味わう俺のクリ爆撃クンニは!」
そんな自信満々のセリフも成立してしまう菅井のよがりよう。
「あぁっ、ダ、ダメっ!んあぁっ!?は、離れてっ…んっ、んほぉぉっ♪」
「捕らえた男を使って欲を満たしていたような女だ。舐められるだけじゃ物足りんだろう」
と、舐めた次はチューチューとクリトリスの吸引責め。
たまらず、
「んぎゃぁぁっ!?」
と、絶叫して悲鳴を上げる菅井の指は空気を掴み、ふくらはぎはこむら返りを起こしかねないほどピーンと伸びている。
その反応、声、そして表情…どれを見ても、劣勢、大ピンチなのは火を見るより明らか。
「んひぃっ♪ひゃぁぁっ♪あぁっ、ダメっ!ダメぇぇっ!それダメぇっ!」
太もものロックを振りほどくような暴れっぷり。
それを“活きの良さ”と形容するなら、海から引き揚げられて船の甲板で暴れるカジキマグロを想像してもらえれば分かりやすいが、菅井の場合は、四肢を繋がれている。
カジキマグロのように、跳ね回った挙げ句、甲板を飛び出して海へとエスケープするようなことは出来ない。
「が、がぁぁっ!?」
ふいに腰がブリッジのように浮き上がる。
「お?何だ?イクのか?イキそうなのか?」
笑みを浮かべる鮫島は、その寸前まで追い詰めておいて、
「ダメだよ、お前。タダでイカせるワケねぇだろうがよ」
と、あっさり吸引を離す。
「はぁ…はぁ…」
引いていく快感の波。
そして、息が整いかけたところで再び、鮫島の唇が吸いつき、ジュルジュルと吸い上げる。
そして、また、
「んほぉぉっ♪んおぉぉっ♪」
と、快楽の沼に落とされて狂い哭き。
それでも決して絶頂へは行かせない鮫島によって、二回目…三回目…四回目と、焦らしクンニの地獄ループが始まる。
「ククク…相当、敏感になってやがる。だが、貴様が敏感になればなるほど、それは俺にとって好都合。焦らす回数が増えるんだからなぁ!」
「ひ、ひぃっ!?」
彼の言う通りだ。
上り詰める間隔が短くなるほど、押し上げて焦らす回数が増える。
過敏になればなるほど、自らの首を絞めることになるのだ。
「んんっ、がぁっ…!や、やめてっ!もうやめてぇぇっ!んっ、んおぉぉっ♪」
「ククク…やめるものか。貴様が負けを認めないかぎり、終わらないぞ。そらっ!」
「んあぁぁっ♪あぁっ、ダ、ダメぇっ♪それダメだってばぁっ♪」
とても対立しているとは思えない甘えた嬌声。
無意識にそんな声を上げてしまうぐらい、菅井は崖っぷちへと追い詰められていた。
(い、一回イケば…せめて一回イクことが出来れば…)
少しは楽になるかもしれない。…が、それをさせてもらえない。
たったの一回すらも絶頂に達することを許されず、溜まっていく快楽に悶え狂う菅井。
そして、そんな菅井の胸中を見透かしたように、
「イキたいだろう!イキたくてたまらんだろう!ならば負けを認めろ!そうすればイカせてやるぞ!」
「い、嫌ぁっ!嫌ぁぁっ!」
「ならば、ずっとこのままだ。十回、二十回と俺の舌の上で焦らし続けてやろう」
「ひ、ひぃっ!?」
(嫌ぁっ!それも嫌ぁっ!)
女王のプライドと目の前の欲を天秤にかけて苦悩する菅井。
まだわずかにプライドの方が勝る。が、その理性を削り取るように悪魔の必殺クンニが股ぐらで猛威を振るう。
ふと、鮫島の舌がクリトリスを離れた。…が、それも束の間、ほんの今までネチョネチョの肉芽に巻きついていた舌が石器のように尖って硬化し、その少し下、愛液を垂れ流す秘泉めがけて飛び込んだ。
「んほぉぉっ♪」
指や男根に比べると長さは足りない。が、そのぶん、ザラザラした質感と舌先の微妙なくねり…そして何より、熱した鉄のような熱さがキツツキのように打ち込まれる。
とろけた秘肉にとどめをさす舌ピストンに、たまらず、
「あぁっ!ヤ、ヤバイっ!それヤバイぃっ!イッちゃうっ!すぐイッちゃうぅっ!」
と絶叫し、そしてまた、痙攣寸前で焦らされる菅井。
鮫島は、下顎周囲に付着した愛液を器用に舐めとりながら、
「…イケよ。イキたいんだろ?一言、『参った』と言うだけでイケるんだ。何も難しいことじゃない」
「で、でも…!でもぉっ…!んひぃっ…!」
「チンケなプライドがいったい何をしてくれるというんだ?そんなものより、イッた瞬間、どんな快楽が待っているかを想像してみろ。脳がバグるほどの気持ちよさが全身を駆け巡るぞ」
と、悪魔の囁きでいざなう。
それを聞いて押し黙り、苦悶と悦びの狭間のような表情を見せる菅井。
効いている…残りわずかな理性が溶け落ちるのも時間の問題。
「さぁ、もう一度、行くぞ!」
と、再び、尖らせた舌を菅井の膣に打ち込む。
「あんっ♪あんっ♪」
ジュルジュル…と溢れ出てくる蜜を音を立てて味わいながら顔を擦りつけてやると、チクチクする髭で秘肉も、さらに鼻の頭で勃起したクリトリスも同時に愛撫が行き届き、追い詰める。
「んっ、んっ…あぁっ、す、すごぉいっ♪んひぃっ♪」
どうやら、もう、声を我慢するのは諦めたらしい。
施術台の上をのたうち回る菅井だが、いつしか、その表情は恍惚を表現するようになっていた。
(あぁっ、た、たまんないっ…!もうヤバイっ…イ、イキたいっ…イキたいよぉっ…!)
強固に建てられていた筈のプライドの塔が、度重なる快楽の津波に、少しずつ傾いていく。
「んあぁっ!?イ、イグっ!イグぅぅっ!ひぃっ…!」
またオーガズム寸前で離れていく舌。
そして、その瞬間、菅井が浮かせた腰で離れる舌を追いかけようとしたのを鮫島は見逃さなかった。
「んん?何だ?今の動きは…?」
「━━━」
目を逸らす菅井に、
「フッ…いいじゃないか。今の動きをもっと見せてもらおう。焦らして焦らして、焦らし抜いてやる」
「い、嫌ぁっ…あんっ♪んんっ♪や、やめてっ…もうやめてぇ…んひぃっ♪ひゃぁっ♪」
また戻ってきた舌にあっさり蕩けてしまう菅井。
「ククク…もう、とんでもないことになっているぞ。この有り様、視聴者にも見てもらうがいい」
と、ゴープロで女王の股間を接写。
大洪水の女性器をじっとりと捉え、
「こんな状態でいつまで粘るつもりだ?素直に負けを認めればイカせてやるぞ」
「ひ、ひぃっ…ひぎぃっ…♪」
撮られて恥じらう気持ちの陰に、もっと舐めてほしいという本音が混じり、もはや太ももを擦り寄せることもしなくなった菅井。
もう、濡れた性器を大公開されてもいい。
彼女の体勢は、明らかに鮫島がクンニをしやすい形を維持していた。
(な、舐めて…早く舐めて…さっきみたいに…)
がに股でクネクネと腰を揺する菅井。
「ククク…どうやら、もう限界のようだな」
と笑みを浮かべた鮫島。
「楽にしてやるぜ…!」
と言うと、再び、菅井の無防備な股ぐらに顔を埋め、ここでとどめの一撃…!
勃起して剥き出しのクリトリスをすり潰すように甘噛みしたのだ…!
「んひぃぃっ!?ダ、ダメっ!それダメぇっ!イッちゃうっ!すぐイッちゃうぅっ!んほぉぉっ♪」
飛び上がって絶叫した菅井に、
「さぁ、言え!言ってみろ!」
と促すと、たまらず、
「ま、参りましたっ…!参りましたぁっ!ひぃっ、も、もう無理っ!もう許してぇっ!あぁっ、ダメっ、イクぅっ!んはぁっ…!」
と、とうとう降参を口にした菅井。
「ククク…やっと素直になったか」
褒美とばかりに、噛みついたまま、クリトリスを引っ張り上げると、
「んごぉぉっ♪おぉぉっ!?がぁっ、はぁっ…んはぁっ…」
と呻くような声を上げ、指の先からつま先までを痙攣させて果てた菅井。
敗北を刻まれた女体は、その後もピクピクと震え、ワンテンポ遅れて、
ブシュッ…!プシュ…プシュ…
と、イキ潮を吐き出し、垂れ流す始末。
あられもない、白目を剥いて失神した姿が生配信で晒されるとともに、
「ククク…見たか、諸君。これが欅共和国を治めるリーダー、菅井友香のイキ様だ。イク寸前の『参りました』というセリフ、確かに聞いて頂けただろう。それにより、たった今、この瞬間、この女は女王の座を失脚した。このゲーム、我々、復讐兵団の勝利である!」
と、声高らかに主張する鮫島。
「━━━」
四肢を繋がれたまま、死人のように物言わぬ菅井。
最後にフェードアウトするように映された全身の画は、殺到する称賛コメントによって瞬く間に隠されていった…。
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