欅共和国外伝 女王陥落物語 ― 悪魔の襲来 ―










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菅井友香の陥落物語
4. (※分岐点あり)

 カチャ…

 扉から出てきた菅井の佇まいは、一言でいえばエレガントだった。



 髪を束ね、バスローブを纏ったその姿はセレブそのもの。
 そんな彼女を見て、思わず彼自身も、
(ほぅ…!)
 と満更でもない表情になってしまっていたのかもしれない。
 ふいに、菅井の視線が彼に向いた。
「あなたが…鮫島…?」
 鋭く射抜くような視線にも見えるし、警戒を強める怪訝な視線にも見える。
 菅井が着替えている間に、こちらサイドも準備を終えていた。
 部屋に持ち込まれた施術台。
 大広間は、あっという間に即席エステサロンに早変わりしている。
「さぁ、ここからは俺が相手だ。では、まず、ここに仰向けに寝てもらおうか。その時点でゲームはスタートだ」
 と鮫島の言葉を聞いてから、
「…それはいったい何のつもり…?」
 と、施術台の横に配置された定点カメラを見て身構えた表情をする菅井に、ナンバー2が、
「言い忘れましたが、この戦いの模様は、これより、我々のチャンネル、シャークチャンネルにて動画サイトで生配信させていただきます。もしかしたら、あなたの仲間たちも釘付けで応援してくれるかもしれませんねぇ?」
「━━━」
 配信されるなんて聞いていない…そんなことを言いたげな表情だが、人質の命を考えた末、抗議の言葉を飲み込んだ。
「さぁ、どうぞ」
「どうした?怖いのか?」
「━━━」
 ナンバー2と手招きと鮫島の煽りに誘われ、ゆっくり施術台に腰かける菅井。
「では、もう一度、ルールを説明しましょう…」

 これより、女体拷問師・鮫島が、菅井の身体にオイルを塗りたくり、性感エステを施す。
 性感エステといっても決してイカセはしない、いわば寸止めマッサージだ。
 制限時間は一時間。
 きわどい快楽を与え続けて理性を溶かし、その先を懇願するような言葉を口にさせれば鮫島の勝ち、菅井の負け。
 逆に、どれだけ手を尽くしても菅井の口から屈服の言葉を引き出せなければ鮫島の負け、菅井の勝ちとなる。
 鮫島が女体拷問師のプライドの下に女王軍団のリーダーをも陥落させるか、それとも菅井が女王のプライドを保って鮫島の魔の手に耐えきるか…それ以外の結果はない。
 そして、その結果が、今後、様々なものの明暗を分けることとなる…!

「では、まず、そのバスローブを預かりましょう。…ほら、早く脱ぎなさいよ」
 少し躊躇いつつも、紐を解き、纏ったバスローブを脱ぎ去って、小馬鹿にした敬語が癇に障るナンバー2に向かって放り投げる菅井。
(フッ…いい顔をしてやがる)
 これまで幾多の生意気な女を、中にはSMクラブの女王様や暴走族の女総長をも快楽の虜にして堕としてきた女体拷問師にとって、その気にさせてくれる強気な態度は、俄然やる気が出るし、何より、
(これは素晴らしい…!)
 と、思わず感嘆の声を漏らしてしまいそうなぐらい美しく、健康的な肢体が眩しい。
 ちょうどいい具合に引き締まった腹筋、二の腕、そして太ももは、今すぐむしゃぶりつきたいほど。
 ペーパーブラに覆われた胸の膨らみも、不釣り合いに大きすぎず、かといって小さくもなく、体型に見合ったちょうどいい大きさと窺える。



 そして何より、目が行くのは紙パンツ。



 隠れる部分が少ないものにもかかわらず、しっかりその中に毛を全て納め、ツメの甘いハミ毛など一切見当たらない。
 さすが、オンナとしての意識の高さが窺えるが、実際のところはどうだろう?
 キレイに処理してあるのか、それとも毛の範囲が元から狭いのか、はたまたパイパンなのか…。
(その答えは、後ほど確かめるとしよう…)
 ほくそ笑む鮫島をよそに、
「では、そのまま横になってもらいましょう。仰向けで、リラックスしていただいて結構ですよ」
 とナンバー2に言われ、ゆっくり横になる菅井。
 枕に後頭部をつけた瞬間、先ほど地下牢の様子を映していた大画面に大きくタイマーが表示され、施術台の菅井に向けられた定点カメラも、録画中の赤いランプが灯った。
 収めた映像は、これよりライブ配信が開始され、この欅共和国の国民すべてが視聴可能だ。
「さぁ、運命の60分間を始まりです!では、ボス、お願いします」
「うむ…」
 と小さく頷いた鮫島。
 その瞬間、画面の、

<60:00>

 が、

<59:59>

 に変わり、さらに秒のところが、58、57…と減っていく。
「では、始めよう」
 満を持して施術台に、もとい、横たわる菅井に歩み寄る鮫島。
 近寄っただけで、一段と香るいいニオイ…。
(欅共和国の女どもを束ねるリーダー、菅井友香…!その毅然とした表情の裏に隠したオンナの本性を、俺のテクニックで表に引きずり出してくれる!)
 と不敵な笑みで手にしたオイルの瓶のフタを開け、手の平の皿に注いでいく。
「さて…まずは全体的に、だ」
 と、揉み手をして両手を擦り合わせ、光沢たっぷりのオイルハンドを作って、そのテカテカの手の平を、菅井の肌に這わせていく。
「……」
 無表情で物言わぬ菅井。
 構わず、スリスリと妙に優しい手つきで全身に塗り込んでいく。
 腕から肘、二の腕から肩…
 ふくらはぎから膝、太ももから付け根…。
 さらには首筋、鎖骨、土手っ腹に脇腹まで、とにかく全身だ。
「くすぐったくはないかね?」
 と茶化すように聞くと、
「…ふん…」
 と、そっぽを向かれてしまった。
(フッ…さすが、男の前では高飛車だな。いけ好かん。…が、そんなヤツほど、ここからが楽しみだ!)
 こういう女ほど、快楽漬けにして狂わせ、卑猥な言葉で懇願させた後、自慢の巨根に跨がらせて鳴かせてやるのが画になるというもの。
 一方、そんな屈辱のシナリオは演じまいと、無言の瞳の奥に固い決意を見せる菅井。
 その眼には、強き女の尊厳、国の命運、仲間の命と、いろんなものを背負っているに違いない。
 唇を真一文字に縛って、ツンとした表情を貫く菅井。
 まるで睨み合う竜と虎のように物言わぬ両者。
 そんな張り詰めた空気のまま、最初の5分を贅沢に使ってオイルの塗布が完了。

(さて…ここからどうしてやろうか…)

 と考える鮫島。
 オイルまみれの手で、彼が導き出した拷問の構成とは…?

 ↓

・(まずは、このスラリとした二の腕あたりからいたぶってやるか!)  → 「NEXT」で「5」へ

・(いや…この引き締まった生脚を堪能させてもらうぜ!)  → 「INDEX」に戻って「6」へ


(※)
 惰性で「NEXT」を押すと必然的に「二の腕」編に進みますので、「脚」編を希望の方は、焦らずに落ち着いて、一度「INDEX」に戻ってください。

鰹のたたき(塩) ( 2021/10/12(火) 11:32 )