小林由依の陥落物語
プロローグ
「おらっ、ちゃんと歩け!」
「くっ…さ、触んな…離せ…!」
 屈強な男に脇を抱えられ、拘束された罪人のように無理やり歩かされる由依。
 そんな由依の身体を品定めするように見つめる鮫島…。
(生意気な女だ。こいつを意のままにするのは相当な調教が必要だが、持っているものは確かに素晴らしい…)
 美脚、美尻、美乳の三拍子が揃ったその身体は、これまで幾多の女体を嬲り殺しにしてきた鮫島でさえ、ぐっと眼を引くものがある。
 捕らわれ、骨抜きにされた侵入者が奴隷として飼い慣らされるのも無理はないだろう。
 事実、彼自身もあの形勢逆転がなければ危ないところだった。
 自分ともあろう者が快楽責めにされた挙げ句、あわやペニスバンドで尻穴を貫かれる寸前だったのだ。
(俺をあんな目に遭わせたのはお前が初めてだ。この落とし前はきっちりつけさせてもらおう。アイツのようにな)
 チラッと部屋の隅に目をやる鮫島。
 そこにはベッドに横たわり、身体中が精液まみれのまま失神した保乃の姿があった。
 あれと同様に…いや、あれ以上の責め苦を与え、生意気な鼻を、そしてプライドをへし折って屈服させてやらないと気が済まない。
 ヨタヨタと歩く由依に、
「ほら、どうしたぁ?歩くことも出来なくなったかぁ?」
「情けねぇなぁ、由依様よ!」
 と男たちの煽る声が飛び、
「そんなに二足歩行が辛けりゃ、四足歩行でもいいぜ?狂犬って異名があるぐらいだからなぁ?」
「ついでに首輪もつけてやろうか?んん?」
 由依の脇を抱える男たちが笑う。
「う、うるさい…奴隷の分際で…あ、あとで覚えてろ…!ひ、一人残らず、全員、殺してやる…!」
 と途切れ途切れになりながらも啖呵を切る由依。
 だが、元・奴隷の下僕たちも、さすがにこの形勢では怯む様子もなく、
「へへへ。相変わらず生意気な女だ。だがな、素っ裸にアイマスクだけの姿で突っ張っても何も怖くねぇんだよ!」
「まだ女王様気取りとは能天気なもんだ。お前が俺たちの上に君臨する時代はもう終わったんだよ。まもなく立場逆転するんだから、わきまえてもらおうか」
「くっ…き、貴様ら…!」
「いいから歩け!おらっ!」
 と、由依を歩かせる男たち。
(どこへ連れていく気…?)
 アイマスクの暗闇の中では、皆目、見当もつかないし、男たちも教えてくれない。
 そんな中、無理やり歩かされながら、時折、唇を噛み、何かに耐えるような表情を見せる由依。
 一言でいうなら欲情、火がついたような全身の火照り。
 先刻、保乃が拷問に遭っている間、並行してずっと媚薬ハーブ蒸しにされていた由依。
 その長時間に渡る施術により、全身の毛穴という毛穴から催淫効果を含む蒸気を為す術なく大量に吸収してしまった。
(あっ…!)
 ふと内股で立ち止まる由依。
 だが、
「止まるな!歩け!」
 と急かす男たちに無理やり引っ張られ、再び歩みを進める。
 そこを境に、ポツ…ポツ…と床に落ちる水滴。
 微量なので男たちは気付かない。が、当の由依はアイマスク越しでも床にマーキングをしているのは自分だとはっきり分かっている。
 スラリとした美脚の内側を伝う一筋の川。
 その出処は、脚の付け根、綺麗に処理された陰毛の守られた縦一閃の亀裂。
 ハーブの効果により、何もしなくても愛液が溢れてしまった股ぐらから流れ落ちたものだ。
「よし、ここで止まれ」
 という声とともに、突然、左右から伸びた手が由依の手首を掴み、持ち上げた。
「くっ…!」
 抵抗しようにも、力が入らない。
 そのまま、

 ガチャン…!ガチャン…!

 と重厚な金属音で手枷をはめられると、その状態から腕を動かせなくなった。
 続いて足も、無理やり開かされ、同じように足枷をはめられる。
 こちらも閉じられなくなり、立ったまま「X」の字で拘束された由依。
 それにより、これまで内ももを伝っていた愛液は糸を引いて真下に垂れるようになった。
 その様子を見て、クスクス笑う声が聞こえ、
「見ろよ、あの粘り気…さすがの由依女王様も、あのハーブにかかればマン汁を垂れ流してこのザマか」
「胸もマンコも、ケツの穴も丸見え。女王様の素っ裸ってのは絶景だなぁ」
「おらっ、何か言ってみろよ!お願いしてくれりゃ、触ってやってもいいんだぞ?」
「くっ…だ、黙れ…」
「へっ、相変わらず口が悪い女だ。手も足も出ねぇくせによ!なぁ!?」
 と由依の髪を掴み、捻り上げる男。
 すると、そこに、
「おい、まだ待て。段取りというものがあるだろう」
 と鮫島の声がかかり、言われた男も、
「す、すいません。つい…」
 と、態度を改め、慌てて髪を掴む手を離した。
(だ、段取り…?段取りって…?)
 不穏な一言に引っかかる由依だが、手足を動かせず、アイマスクのせいで状況も分からない。
 ただ唯一、分かるのは、周囲で着々と“何か”の準備がされていること。
 カチャカチャと機械を組み立てるような音がするし、
「予定時刻まで、あと3分です」
「間に合うか?」
「大丈夫です」
 という謎のやり取りも聞こえた。
 その間を、
「はぁ…はぁ…」
 と息を乱しながら待つ由依。
 何としても冷静を装いたいところだが、熱を帯びた身体が一向に収まってくれない。
 特に熱いのは胸全体、そして股ぐら。
 ハーブの催淫効果が、女の性感帯を見事に直撃していた。
 そして、
「ボス!まもなくです。あと30秒!」
「よし、配置につけ!用意しろ!」
「へい!」
 ドタドタと男たちの足音が由依の周りに集まる。
 まず、口元にテープを貼られた。
(くっ…!)
 そして、

 バサッ…!

(…!?)
 ふいに、頭から大きな布を被せられた由依。
 一反木綿のような長い布は頭から胸、股間まで、そして後ろも背中とお尻を隠し、その布から細い手足だけが四方に出ている状態。
「んっ…!んんっ…!」
 声が出せない。
(な、何…?何をする気…?)
 彼らの企みがなかなか掴めず、困惑する由依。
 そして、
「10秒前!…8…7…6…」
 と、突然、カウントダウンが始まった。
 何が起きるかも分からないまま、とにかく身構える由依。
 痛みが走るのか、はたまた爆発か…いや、コイツらの目的は暴行や殺害ではない筈、となると残るはこの火照った身体への愛撫しかない。
 指か、舌か、それとも玩具の振動か。
(くっ…!)
 この高まった感度でどこまで耐えられるか。
 まもなくカウント0!…だが、特に何も起きなかった。
 身体を触られる気配もない。
(な、何も…ない…?)
 …いや、違う。 
 布の向こうで男たちが何か喋り始めている。
 被せられた布の厚さのせいで、何を喋っているのか聞き取れない。
 ようやく聞き取れたのは、
「それでは、ご覧いただこう!今日の主役の御尊顔、そしてその美しい身体を!」
 という声高らかな言葉。
 そして、その瞬間、被せられた布が取り払われ、アイマスクも外された。
 ようやく光を取り戻した視界。
 だが、その視界に映った数々の機材を見て、由依は思わず目を見開いた。
 身体を照らすライト、三脚に立てられたカメラ、足元の大きなモニター。
 そして、そのモニターに文字が流れるのを見て、由依の背筋が凍った。

<おおおおお!>
<キターーー!>
<由依様、全裸で登場!>
<本物だー!>
<マジじゃねーか!>

 右から左へと流れていく無数の文字とともに、左下の数字が2桁から3桁に突入、みるみる増えていく。
(ま、まさか…!)
 青ざめる由依をよそに、

「さぁ、女性上位の恐怖政治を打破するために立ち上がった我々がお送りするシャークチャンネル!本日は、お待ちかね、欅共和国が誇る狂犬女王、小林由依の陥落女体拷問を、チャンネル開設記念として生配信ライブでやっていきますよぉー!それでは、早速、始めていきましょう!」

 と進行役の男が声を上げ、その隣で執行役の鮫島もニヤリと笑った…!


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2021/02/19(金) 14:18 )