3.唾液の雨
ズッ…チュッ…ジュルジュル…チュッ…
卑猥な音が響く。
今夜の生贄を縛る十字架に絡みつくように立つホノスが、マスクを割られ、首から上だけ生身の赤井五郎にされたヲタレッドの唇にむしゃぶりついていた。
「んっ、くっ…」
顔を背けようとすると、すぐに、
「逃げんといてや」
と叱られる。
必死に口を結ぶ五郎に対し、早く口を開けろと促すように唇の二枚貝に唾液を塗りたくってゆくホノス。
密着して香るオンナの香りと生温かい舌による愛撫が、五郎の理性を悩ませる。
やがて、苦しくなって、
「んぷっ…!」
と、隙間を開けたが最後、おっとりした顔に似合わず、ホノスの舌はその隙を逃さず、勢いよく口内に潜り込み、乱暴に、そして下品に掻き回す。
そして逃げ惑う五郎の舌を上手に絡めとり、引っ張り出すと、まるでフェラチオをするようにジュルジュルと音を立てて吸い上げるのだ。
なすがままの五郎。
最後は混じりあった唾液を無理やり口移しで流し込まれ、飲むように強要される。
そんなホノスの濃厚なキス責めを、ヒカルは、少し低い目線から見上げていた。
上背があるホノスに対し、背が低いヒカルは、背伸びをしても五郎の顔に届かない。
「いいなぁ…私もキスしたい…」
と、ぶつぶつ呟いては、つまらなさそうにしているヒカル。
それを見かねたリサが、
「大丈夫。ちゃんとヒカルも出来るようにしてあげるから」
と言って、十字架の拘束を外す。
(しめた!)
そこにチャンスを見出した五郎だが、拘束が外れた瞬間、先読みしたようにホノスの金蹴りがクリーンヒットして悲鳴を上げる。
「ふふっ…逃げれると思った?バレバレやで?」
と、してやったりのホノス。
そして、あまりの激痛に股間を押さえて前かがみになった五郎の両手をリサとホノスの二人で素早く固め、組み伏せるようにして中腰を強制する。
「はい。これでちょうどいい高さでしょ?」
と笑うリサ。
ヒカルは俄然やる気を出して、五郎の唇にむしゃぶりついた。
これもまた、可愛らしい顔に似合わず、強引で積極的なキスだった。
まるで先ほどのホノスの唾液に上塗りするように、五郎の唇を舐め回すヒカル。
「ほら。もっと、舌、べぇーって出しなよ」
と注文をつけられ、おそるおそる舌を出すと、すぐさまジュルジュルと音を立て、引き抜かれるような吸引力で舌を吸われる。
「ちょっとっ!もっとちゃんと立ちぃや!」
と隣のホノスから注意されるほど、小さなヒカルの大人のキスに腰砕けにされてしまう五郎。
ようやく吸引から解放された時には、舌の感覚がマヒしていたほどだ。
「寝なさい」
とリサに冷たく言われて背中を押された五郎は、よろけるように寝転がった。
脇腹を尖ったブーツのつま先で小突いて仰向けになるように強いるリサ。
さらに、
「口を開けなさい」
と命じられ、言われるがまま目を開けた瞬間、上から降ってきたホノスの唾液の塊が瞼に直撃した。
「あー!外れたぁー!」
と残念そうなホノス。
続いて、間髪いれずに次はヒカルの唾液の塊が降ってきて、これは頬に着弾した。
「惜しいっ…!」
と悔しそうに呟くヒカル。
その後も、二人の唾液の雨が五郎の顔面に降り注ぐ。
ペッ…ポトッ…ペッ…ポトッ…
開いた口に、次々に注がれる二人の唾液。
一つの塊のように落ちてくる時もあれば、ドロッと糸を引いて落ちてくるものもある。
「もっと、口、大きく開けてってば!」
とホノスに一喝され、慌てて大口を開ける五郎。
「あらあら、すっかり言いなりになっちゃって…」
正義のヒーローが、いまや悪の女王たちの痰壺同然の扱いで、リサはその無様な姿を笑って眺めているし、依然としてホノスは五郎の口に唾液を注ぐ。
それが口の穴から外れれば悔しがるし、入れば満足げに微笑む無邪気なホノス。
ふいに、強化スーツの胸部に冷たい感触を感じた。
目をやると、いつのまにかそっちに移動していたヒカルが、次は強化スーツの上から乳首めがけて唾液を垂らしていた。
何発か唾液の塊を落とした後、しゃがんで、
「当たったかなー?」
と言いながら、その塊を一つ一つ、指でグリグリと赤い強化スーツに塗り込んでいく。
「うぅっ…!」
ふいに吐息が漏れた。
塊を潰すヒカルの指が、右の乳首にドンピシャで触れたのだ。
「あれ?もしかして当たった?」
と微笑みながら押し当てた人差し指をクリクリと動かされ、ジタバタ悶える五郎。
「じゃあ、もう片方は…ここかな?」
と、ヒカルは、次は左の乳首の上に落ちた塊も潰して丹念に塗り込む。
「うあぁっ…!」
まるで乳輪を象ったように、円形に塗り広げられた唾液のシミ。
「じゃあ、次はこっち」
と、立ち上がったヒカルは股間に移動し、次は盛り上がる股間めがけて唾液を落とし始める。
「私も、それ、やりたい!」
と、ホノスも加わり、股間の上に次々と着弾する唾液。
それを二人の手の平で撫でるように塗り込まれると、五郎は、びくびくと身体を揺すって反応を示す。
少し湿っぽい股ぐらの中で、すっかり勃起したイチモツ。
二人は目で合図してその膨らみに狙いを定めると、おもむろに、それぞれ五郎の脚を持ち上げ、無防備な股間に脚を置いた。
「な、何をする気だ…!」
戦々恐々とする五郎に対し、ホノスとヒカルの二人は小悪魔な笑顔を見せて、
「今から二人で、ここ、踏みつけてあげる」
「ダブル電気按摩やで。嬉しいやろ?」
「で、電気…按摩…?」
恐怖する五郎をよそに、ゆっくり脚に力を込めていく二人。
強化スーツにめり込むブーツに絶体絶命のヲタレッド。
土砂崩れのような刺激が、強度が不安な股間のテントへと迫る…!