欅共和国の罠 ― 捕らわれた男たちの記録 ―
















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<番外編>渡邉理佐に捕まったヲタレッド
1.敗北と絶望
 彼の名は赤井五郎。
 日本を守る特命戦隊ヲタレンジャーのリーダー、ヲタレッドだ。
 日本制圧を目論む悪の組織『欅坂46』との死闘は最終盤となり、熾烈を極めた。
 次々と市街地に送り込まれたモンスターを撃破し、いよいよヲタレンジャーたちは、敵の本拠地『欅共和国』に乗り込んだのだ。
 目的は、女帝『ヒラテ』を倒し、この日本の平和な夜明けを取り戻すため。
 それを目指し、要塞『欅ハウス』に突入した五人の戦士だったが、ここまでくるとヤツらも必死だった。
 建物内の各階に配置された大幹部五人衆『MARRY』の面々によって戦力を分散されるヲタレンジャー。

「ここは俺に任せて、みんなは先を急げ!」
 と、一階ではヲタイエローが、大幹部ユウカと。

「こいつは俺が引き受けた!あとは頼んだぜ!」
 と、二階ではヲタグリーンが大幹部アカネと。

「ここは私が食い止める!二人は早く上へ!」
 と、三階ではヲタピンクが大幹部リカと。

「レッド、後は任せた!お前が、この戦いを終わらせるんだ!」
 と、四階ではヲタブルーが大幹部マナカと対峙し、終局への道を作った。

 そして単身、最上階に辿り着いたヲタレッド。
 統治者『ヒラテ』がいる部屋は目前だが、その扉の前に立ちはだかる因縁の女がいた。
「そこまでよ、ヲタレンジャー!」
 レッドと同じ赤いコスチュームを纏った『MARRY』の最後の一人、大幹部リサだ。
「よくも今まで、散々、邪魔をしてくれたわね…ヲタレンジャー!意気揚々と乗り込んできたのが運の尽き!ここをお前たちの墓場にしてやるわ!くらえっ!」
「くっ…!」
 リサの電撃鞭の連打に劣勢のレッド。
 必死にかわして距離を詰めるも、リサの風を操る特殊能力によって作り出された突風で押し戻されてしまう。
「くそっ!」
 こうなると遠隔攻撃しかないと考えたレッドは、腰に掛けた専用銃・ヲタシューターを手にとり、迫るリサに狙いを定める。
「くらえっ!ヲタショット!」
 引き金を引く。
 だが、リサは、
「こざかしい!そんな豆鉄砲がこの私に通用するとでも思っているのかしら!」
 と一蹴し、目の前に竜巻を起こしてバリアを張った。
 竜巻のバリアによって跳ね返った光線がレッドに命中する。
「な、なにぃっ!?…ぐわぁっ!」
 火花とともに吹っ飛ぶレッド。
 手から離れ、床に転がるヲタシューター。
「く、くそっ…!」
(ここまできて負けるワケにはいかない…!)
 必死に床を這い、ヲタシューターを拾おうとするレッドだが、あと数センチというところで、その伸ばした手をリサのブーツが踏みつけた。
「ぐわぁっ!」
「フフッ…お似合いよ、ヲタレッド。地べたを這う姿がよく似合ってるわ」
「だ、黙れ…!」
 目の前のリサのブーツを掴み、脚を持ち上げて掬ってやろうと力を込めるレッド。
 だが、リサはその手をあっさりと振り払い、
「往生際の悪いヤツめ。これでもくらいなさい!」
 振り下ろされた電撃鞭がレッドの背中を打つ。
「があぁぁっ…!」
 裂けるような痛みと同時に高圧電流が全身を駆け抜けた。
 がくっと肘を折り、床に這いつくばって物言わぬレッド。
「口ほどにもない。その程度の力で私やヒラテ様を倒そうなんて百年早いわ」
 勝ち誇り、高笑いをするリサ。
 この最終局面で痛恨の敗北…。
 どうやら、日本に平和な夜明けはまだ来ないようだ。
 
 ……

「うぅ…」
 五郎は目を覚ました。…が、動けない。
 薄暗い部屋の中、彼は変身が解けた人間体の状態で十字架に縛りつけられていた。
 目の前にはおどろおどろしい玉座。
 そして、その玉座に腰掛けるのは妖しい笑みを浮かべたリサだった。
 妖艶なコスチュームを纏い、骸骨を象ったグラスで勝利の美酒を口にしながら、
「気分はどう?ヲタレッド。…いや、赤井五郎」
「くっ…!」
「気を失っていたアンタに教えてあげる。この欅ハウスでの戦いは我ら『MARRY』の完全勝利。敗れた他の四人は地下牢に幽閉してある。順番に一人ずつゆっくり処刑にしてやるとして、まずはお前から血祭りに上げてやるわ」
 リサの口から告げられる絶望。
(み、みんなが負けた…?ウソだ…!これで終わってしまうのか…?俺たちの戦いは…)
 終わるワケにはいかない。…が、どうしようもない。
 とにかく、この十字架から脱出しないことには変身できない。
 だが、よしんば変身できたとしても、再び一人で戦って、この女を倒せるかどうか…。
 他の仲間たちもそれぞれ敗北したというし、五郎自身も、まさに文字通り、手も足も出ずに完敗だった。
(あの完敗の中に果たして勝機があったのだろうか?たとえばコイツなら、まずは風を封じて…)
「つまらない考え事はやめなさい」
 リサは、五郎の思考を一蹴し、
「私にかかれば、お前たち人間ごときの頭の中を読み取ることなど造作もないこと。仮に私の風を封じたところで勝ち目はない。考えるだけ無駄よ」
「くっ…殺るならさっさとやれ!」
 と吐き捨てる五郎。
 だが、リサはクスクスと笑って、
「殺すのは容易い。しかし、それで済ますのも味気ない…」
 と呟きながら、立てた指先に風の力を集める。
 風を自在に操る特殊能力を持つリサは、その集めた風を、十字架の五郎に向け、かまいたちにして発射した。
「うわぁぁっ!」
 風の刃に切り刻まれ、布きれとなって飛び散る衣服。
 一瞬にしてパンツ一丁にされてしまった五郎。
「フフッ…正義の戦士、ヲタレンジャーのリーダーともあろう者が、情けない格好になっちゃって」
「く、くそっ…!」
「ほら、悔しかったら変身してみなさいよ」
 リサは玉座に座ったまま脚を伸ばし、ブーツのつま先でコツコツと五郎の脚を蹴る。
 だが、いくら挑発されても、両手のブレスレットを合わせないと強化スーツを纏ったヲタレッドには変身できない。
 つまり、十字架に縛りつけられ、両手が離れたこの体勢では変身不可能なのだ。
 それを分かっていながら、無抵抗の五郎を足蹴にするリサ。
「愉快だわ。これまで散々、私の邪魔をしていた正義のヒーローが、今、手も足も出ず、目の前でパンツ一丁で立っているなんて」
 スラリとした長い脚が、五郎のすね、ふくらはぎ、ひざをなぞっていく。
「ほらぁ、まだ変身しないの?早く変身して強化スーツを纏わないと、ずっと情けないパンツ一丁のままよ?」
 と、煽り続けるリサ。
(し、したくても出来ないんだよ!くそっ…!)
 リサのブーツの先が、五郎の脚を上ってくる。
 そして太ももまでなぞったところで、ふと、リサの目が留まる。
「…あら〜?これはどういうことかしらねぇ?」
 リサが注目した箇所…。
 それは、パンツ一丁の五郎の不自然な股間の膨らみだった。

鰹のたたき(塩) ( 2020/04/29(水) 17:15 )