欅共和国の罠 ― 捕らわれた男たちの記録 ―

















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<番外編>神出鬼没のイケメン・井上りなお
手篭めにされた田村保乃
 ある日の欅ハウス。
 前回、森田ひかるで味を占めた井上りなおが、今宵、次の獲物を狙う。
「保乃ぉ?ちょっと来てぇや、保乃ぉ」
 と執拗に名を呼ぶ井上に対し、
「もぉ、何よ?」
 と面倒くさそうに返事をする田村保乃。
「いいから来てって。早く早くっ!」
「いや、何でか言ってよ。保乃、忙しいねん」
「大丈夫、すぐ終わるから!」
「もぉ…全っ然、保乃の聞いたことの答えになってへんし…」
 と、ぶつぶつ文句を言いつつも、先日の森田同様、仕方なく声のする方へ足を向ける保乃。
 うんざりされつつもちゃんと構ってもらえるのが愛されキャラである井上の特権だ。
 ツカツカと近寄ってくる足音。
「なになに?どうしたん?」
 と無防備に部屋に入ってきたところで、死角の壁に張り付いて待ち構えていた井上が、すかさず背後から例のスプレーを噴霧。

 プシュッ、プシュッ…♪

 と、まずは幻覚スプレー。
「きゃっ…ちょ、ちょっとぉ!何してんの!髪、濡れてやんかぁっ…!」
 と文句を言ったのも束の間、すぐさま目がとろんとして立ち尽くす保乃。
 その効果、効き目が出るまでにかかる時間などは既に森田で何度も実証済み。
 超即効性は何度使っても面白いように効き目が早い。
「━━━」
 立ち尽くす田村保乃に、続いて惚れ薬のスプレーを噴霧。

 プシュッ、プシュッ、プシュッ…♪

 と吹きかけてから、
(あ、しまった…間違って一回多くかけちゃった…ま、いっか…♪)
 と可愛く舌を出す井上。
 そして怪しまれないように二本のスプレーはすみやかに胸ポケットにしまい、例のオシャレのなパーマ頭のカツラを被って、
「よっ、保乃♪お待たせっ♪」
 と、ここでようやく保乃の視界に飛び出す。
「へ…?お、お待たせ…?ど、どちら様でしたっけ…?」
 目が合った瞬間、当然のように困惑の色を浮かべる保乃だが、その瞳の奥には、ファースト・インプレッションでの一目惚れがハッキリと手に取るように分かった。
 井上は、さらに畳み掛けるように、
「俺やんか、俺。井上りなお!もしかして俺のこと覚えてないの?」
「り、りなお…君…?ど、どっかで会ったっけ…?」
 と少し照れたような顔で記憶を遡るも、当然、そんな記憶はいくら探してもない。
 それにもかかわらず、
「もぉ…ひどいなぁ…俺は保乃ちゃんのこと、片時も忘れてことなかったのに…♪」
 と調子の良いことを並べて、今回もチャラ男キャラで馴れ馴れしく肩を抱きに行くりなお。
「え…ちょ、ちょっと…」
 と身をよじろうとする保乃をあっさりと捕獲し、
「相変わらず可愛いなぁ…♪髪もキレイ…わぁ、めっちゃいいニオイする…♪」
「やぁっ…♪」
 ポッ…と顔を赤くする保乃。
 森田同様、振り払うようなことはせず、肩を抱かれてもそのままだ。
 そんな保乃の毛先を指に巻き、イジイジしながら、
「なぁ、保乃ちゃん?お願いあるんやけど聞いてくれる?」
「お、お願い…?な、何…?」
 髪を触られていることも気にせず、次の言葉を待つ保乃に、
「俺さ…保乃ちゃんとチューしたいんやけど…」
「え?チュ、チュー…?」
 一段と赤面が広がる保乃だが、意外に満更でもない様子で、それどころか、
「そ、それって…保乃からするってこと?それとも、りなお君が…?」
 と、口づけを交わすことは容認し、どちらから唇を当てるかを考える始末。
 りなおも、
「うーん…どうせなら保乃ちゃんからしてほしいなぁ…♪」
 と女たらしの笑みで口にすると、保乃は、
「…わ、分かった…じゃあ、保乃から…でも恥ずかしいから目は閉じといて…?」
 と甘えた声でボソボソ言う。
 普段の捕虜嬲りの際には絶対に見せないその態度…同性の井上でも思わずキュンとくるような乙女の振る舞いは、惚れ薬スプレーを一回多くプッシュした影響かもしれない。
「うん、分かった。閉じとく…♪」
 と言って目を閉じつつ、数秒してチラッと目を開けると、ちょうど保乃が唇を尖らせて顔を近づけてきたところだった。
「あっ…ちょ、ちょっとぉッ…!」
 慌てて顔を離し、
「もぉ…♪目ぇ閉じといてって言うたやんかぁ…♪」
「いや、だって…目を閉じたら保乃ちゃんの可愛いキス顔が見えへんやん?」
「嫌やって…見られながらすんのは恥ずかしいもん…♪」
 とモジモジする保乃は、
「やっぱり、りなお君からしてほしいな。保乃…♪」
 と、ここで会心の悩殺おねだり。
(うわ、ヤっバ…今の目…めっちゃ釣り師やん…)
 と思わず感心する井上。
 そして感心している間に、目を閉じて受け入れ態勢バッチリの保乃。
「分かった。じゃあ…行くで…?」
 その小さな頭を引き寄せるように手を回し、チュッ…と、保乃の唇を奪うりなお。
 唇が触れた瞬間、小さく、
「…んっ…♪」
 と甘い声を上げた保乃は、続きを誘うようにその小さな二枚貝を自ら緩ませ、その間からさりげなく小さな舌を出してきた。
 誘いに乗るようにその舌を絡め取って吸ってやると、保乃は満足そうに唇を重ね、ジュルジュル…と音を立てて唾液を交換し合う。
「んっ…んっ…♪」
 あくまでも自分はりなおに身を任せているだけ…というフリをしながら、抜かりなく次の展開へと持っていく策士っぷり。
 その一連のあざとさに、
(保乃って…嫌や嫌や言いながら実はけっこう大胆…♪)
 と、仲間の裏の顔が垣間見れてご満悦の井上。
 そのまま腰に手を添え、社交ダンスを踊るようにくるくる回りながら壁際へ。
 そこで、森田の時には効果抜群だった壁ドンを仕掛けてみると、
「きゃっ…♪」
 と、保乃に対しても効果は抜群の様子。
 堪えられない笑みを浮かべながら、
「やぁっ…は、恥ずかしい…♪」
「何が恥ずかしいの?別に普通やん…♪」
 と、再度、唇を重ねに行くと、壁ドン効果なのか、さっきよりも大胆に迎える保乃。
 ちょうど身長は同じぐらい…森田の時と違って身を屈める必要がないぶん、かなり楽だ。
 そして、夢中のキスに乗じて、ちゃっかり保乃の胸元に手を添えるりなお。
「やんっ…♪」
「ねぇ、保乃ちゃん。おっぱい触ってもいい?」
「触っていい?って、もう触ってるやん…」
 とナイスツッコミが入れつつ、
「…いいよ…♪」
 と可愛く承諾する保乃。
 それを受けて、服の上からむにゅむにゅと揉みしだくりなお。
「あっ、んんっ…♪」
 と声を上げては、その嬌声を誤魔化すように、より一層、唇を重ねてくる。
 その口をあえて離して、
「保乃ちゃん…おっぱい大っきいんやな…」
「べ、別に…普通…やけど…」
 と謙遜する保乃に、
「だつて、ほらっ…♪」
 と、両手で揉みしだき、肉を揺らしてボリュームを強調するりなお。



「あんっ、んんっ…♪り、りなお君っ…激しいってぇッ…♪」
 その男さながらのいやらしい揉み方に身をくねらせる保乃に、
「保乃ちゃんってさぁ…激しくされるの好きそうやんな…♪」
 と囁くと、図星というように顔を真っ赤にする。
 そして、さらに図に乗るりなおが服の裾から手を突っ込んでも、保乃は何も言わず、ただ棒立ちで身を任せるのみ。
 モゾモゾと手を潜り込ませ、服の中でブラを捲り上げるりなお。
 その瞬間、ぶるんっ…と飛び出した乳房の質量を手の平に感じ、
「ほらっ、やっぱり大っきいやん…♪」
 しめしめという顔で、いよいよ直で揉みしだくりなお。
「あぁっ♪はぁっ、んんっ…♪」
 と悶えたかと思うと、かアッと頬を染めて、
「もぉッ!そんな揉みながらジロジロ見やんといてよっ!」
「だって、どんな顔して感じてるのか見たいからさ…♪」
「嫌や、見せへんッ…あっち向いてッ…」
 と言って顔を背け、手で覆い隠す保乃。
 そのスネた感じもまた可愛らしい。
 すっかり触発されたりなおが、続けざまにスカートの上から内股になっている太もも、そして股ぐらにそっと手を這わすと、
「ア、アカン…そこはアカンって、りなお君…」
 と、その手を素早く掴み上げる保乃。
「えー…アカンの?」
 と、いかにも残念そうな顔をすると、
「だ、だって…こんなとこ、誰か来たら困るやん…」
「大丈夫…!」
 と謎の自信で言い切ったりなおは、スッと保乃から離れ、部屋の戸を閉めて内側から施錠をして、
「ほら、これでもう誰も来ぇへんで…♪」
「━━━」
 再び壁ドンのポジションに戻り、愛撫を再開。
 再度、股ぐらに…しかも次は大胆にスカートの中に手を突っ込んでも、今回は制止してくる様子はなく、そのかわりに、
「あっ、んんっ…んんっ…♪」
 と可愛い嬌声を耳元で聞かせてくれる。
 そんな保乃の耳元に顔を寄せ、スッと長い髪を耳に掛けながら、
「ねぇ…?何かパンティ濡れてない…?保乃ちゃん…♪」
「━━━」
 黙ったまま、さらに顔を高調させた保乃。
 苦しまぎれに力の無い声で、
「…き、気のせいやって…」
「えー?そうかなぁ?だって、ほら…♪」
 パンティの上からでも的確に捉えた女性器の位置。
 そこに置いた指を「く」の字に曲げて軽く抉ってやると、
「あっ、ああっ♪んひゃぁつ…♪」



「ほら、やっぱり濡れてる…♪指を置いてるとこ、ヌルヌルやもん♪」
「ひ、ひぃぃっ…♪んあぁっ♪」
 股ぐらに潜ったりなおの手を挟むように締まる太もも。
 長らくバレーボールに打ち込んでいたというだけあって、よく引き締まった太ももだ。
 その太ももプレスをはねのけ、さらにクチュクチュと秘部を弄ってやると、
「あんっ♪あんっ♪」
 と、だんだん口から発する声もリズミカルになってきて、やがて、立ってられずにりなおに抱きついてきた。
 その身体を受け止め、耳元で、
「俺の指でされるの、そんなに気持ちいい…?」
「う、うん…何でやろ、めっちゃ声出る…」
「ええんやで、もっと声出して…♪ほら、次はおっぱいと同時責めっ♪」
「あぁっ、んんっ…♪り、りなお君っ…ひゃあぁッ…♪」
 ぴくぴく身体を揺する保乃は、より一層、りなおの細長い首に腕を巻きつけ、グッと密着して、
「ア、アカン…そ、そんなにやったら…イ、イクっ…」
「…いいよ♪イキそうになったら我慢せんと、いつでも…♪」
 と、りなおが囁くのと同時に、急にぴょんぴょんと跳ね、
「んんっ…!」
 とだけ声を漏らして、ぶるぶる身体を震わせた保乃。
 その後には、
「はぁ…はぁ…」
 と呼吸を乱し、暑苦しいぐらいの抱擁をしたままイッてしまった保乃は、少しの間、呆然とした後、我に返ったのか急に巻きつけた腕を剥がし、スカートの裾を引っ張っって何事もなかったかのように振る舞うが、それはさすがに苦しい。
 その強がる表情を覗き込み、
「イッちゃったね、保乃ちゃん…気持ちよかった?」
 とニヤニヤしながら聞くと、保乃は頬を膨らませて小さく頷き、
「何か…保乃だけ一人で恥ずかしい…」
「じゃあ…俺のことも気持ちよくしてくれる?」
 と聞くと、保乃は急に目を輝かせて顔を上げ、
「うん…♪してあげる…♪」
 と言って、りなおの手を取り、部屋の隅にあるベッドへと誘導する。
「ほら、寝て!」
 と言って放り投げるように寝かされると、嬉々としてその上に飛び乗ってくる保乃。
 無邪気に、
「はい、マウント〜♪」
 と笑みを浮かべると、身を屈め、まだ恥じらいが残っていたさっきまでとは別人の大胆なキスで覆い被さる。

 チュッ…チュッ…♪ジュルジュル…♪

 部屋に響く濃密な接吻の効果音。
 そして、そのどさくさに紛れながら、追い剥ぎのごとく、りなおの服を脱がしにかかる保乃。
「あっ、ちょ、ちょっと…!」
 りなおになりきる井上も、さすがに服を脱がされるのは少し恥ずかしい。
 ボタンを外す手を掴み取ろうとしたのをもう一本の腕で固められ、
「んー?どうしたん?急に暴れて…アカンで?今は保乃のターンやから♪」
 と、ニンマリする保乃。
 そのまま素早くボタンを外し終え、ハラリとシャツの前を開いたものの、急に目をぱちくりさせて、
「りなお君…これ、タンクトップ?何か、丈、短くない…?」
(ち、ちゃんねん…スポブラやねん、それ…)
 ここにきて、りなおのミス発覚…男になりきるなら下着も男モノにしておかなければならなかった。
 幸い、今日は動きやすさを重視してスポブラだったが、これがもし普段通りブラジャーを着けていたら変な空気になっていたところ。
「…ま、いっか♪」
 気にせず、ひと思いに捲り上げる保乃。
「ちょ、ちょっと、保乃ッ!」
 と慌てるりなおを無視して露出する胸板…もとい、乳房。
 そこでも保乃は、
「あれぇ…?りなお君、おっぱい…?」
「━━━」
 赤面が増す井上だが、そこでも保乃は、
「ま、いっか♪たまにそういう男の人おるもんな。大胸筋がタプタプしてる人…♪」
 と意に介さず、そんな不審点よりも、胸の先端の小粒を指でなぞることが最優先。
 クリクリ…クリクリ…と、細い指と巧みな手捌きで乳輪をなぞられ、ここまで主導権をとっていた井上も、つい、
「んっ…んっ…」
 と吐息を漏らす。
 それを見て、
「ふふっ…♪りなお君、ピクピクしてる…可愛い…♪」
 と笑みを浮かべ、胸キュンに任せてキスを見舞った保乃は、その唇を、頬、顎、首筋、鎖骨とゆっくり下降させ、そしていよいよ指愛撫で少し膨らんだ井上の乳首に迫る。

 ぺろんっ…♪

「んんっ…♪」
 思わず身を揺する井上に、
「アハハ♪めっちゃ反応いいやん♪りなお君、乳首弱いん?」
 と、ご満悦の保乃。
 味を占め、ペロペロと愛撫を続ける保乃に、
(ちょ、ちょっと待って…!何で梨名がいいようにやられてんの…!)
 と、よもやの展開に慌てる井上。
 さらに保乃は、井上の胸の膨らみを掴んで、
「んー…ホンマにおっぱいみたい…井上より大きいかも…」
(う、うるさいなっ!もぉッ!)
 それが本人であるとも知らず、比較に持ち出されてついムキになる井上だが、依然、保乃の舌技には不覚にも反応してしまう。
(な、何とか…注意を別のところに向けんと…!)
 乳首を舐められて悶絶する中、ゴソゴソとパンツを下ろし、前回同様、前もって仕込んでおいたペニスバンドを引っ張り出した井上は、
「ほ、保乃ちゃん…見てよ、ほらっ…保乃ちゃんがすごくエッチだから、僕のオチンチン、もうこんなに…」
「…わぁ♪ホンマやぁ…♪」
 疑似男根が本物に見えて目を奪われ、乳首舐めを中断する保乃。
 その隙に保乃のお腹の下からスルスルと身体を抜きとって、
「ねぇ、こっちもペロペロしてよ…してくれるでしょ?」
「…うん、いいよ…♪いっぱいしたげる…♪」
 いとおしげな目をして、股間の疑似男根にしゃぶりつく保乃を見て、
(ふぅ…危ない、危ない…)
 と、標的が移ったことで安堵する井上は、それと同時に、触らせるのはペニスバンドだけにしなければいけないことを学んだ。
(ペニスバンドは巻いてるだけやけど、他は梨名のままやもんな)
 日頃、捕虜の男を性技で嬲り殺しにしているぐらいだから、幻覚スプレーで男に見えていたとしても、惚れ薬スプレーで乙女になっていたとしても、プレイの主導権を渡すのは何かと危険だ。
 ましてや、井上自身、貧乳のわりに乳首は敏感な体質だから尚更である。
 その教訓を踏まえ、疑似男根以外には目を向けさせないよう、
「あぁっ…いいよ、保乃ちゃん…めっちゃ気持ちいい…♪」
 と口にしながら、保乃の頭を引き寄せ、よしよしと頭を撫でているように見せかけて手元で管理する。
「んぐっ♪んぐっ♪」
 と美味しそうに頬張る保乃に、
「ホンマに上手…♪なぁ?そのフェラで、今まで何人の男をヌイてきたん?」
「え…うーん…いうても二、三人ぐらいかなぁ…?」
 …はい、ダウト。
 まったく、森田といい、保乃といい、一目惚れした男の前ではやけに可愛いこぶってくる。
(これはお仕置きやな…!)
 と決めた井上は、
「じゃあ、俺からもお返ししてあげる。お尻をこっちに向けて、俺の顔を跨いで寝そべってよ」
 と促し、シックスナインへの移行を提案する。
「やぁっ…恥ずかしいわぁ…♪」
 と、照れる保乃に、
(よぅ言うわ!いつも無理やり顔面騎乗して窒息寸前まで強制クンニさせてるくせにっ…!)
 と、呆れる井上。
 そんな井上の小さな顔の両脇に膝をつく保乃。
 むっちりした太もも、顔に掛かるスカート。
 そのスカートを暖簾のように払いのけ、パンティに滲む楕円形のシミの上をカリカリと引っ掻いてやると、
「んんっ♪ぐっ…ぐっ…♪はふぅっ♪」
 と、疑似男根を口に含みながら悶絶する保乃。
 ギリギリ耳に届くぐらいの声量で、
「あーあ…もうヌレヌレやん、保乃ちゃん…いやらしいお汁が止まらないみたい…♪」
「や、やぁっ…♪」
「汚れちゃうから脱がせてあげるね」
 と言ってパンティのゴムを掴み、スルスルと下ろしていくりなお。
 引き締まった尻肉が飛び出るとともに、たちまちスカートの翳りの中に、ムッとした湿気と発情したオンナのニオイが立ち込める。
 その湿気とニオイの元を探るように指を這わせ、意地悪に、
「どこかなぁ…どこかなぁ…♪」
 と呟きながら肉付きの良い脚の付け根を撫であげる。
「ひっ…ひぃっ…♪んっ、んっ…」
「んー?どうしたん?まだ触ってへんで…?」
「だ、だって…りなお君の手つき、めっちゃエロいんやもんッ…んっ、んんっ…」
 待ちきれずに背筋がゾクゾクしているのが手に取るように分かる。
 そこで軽くひと撫で、粘液に守られた割れ目をなぞってやると、それだけで、
「ひぃぃっ…♪」
「当たった?」
「う、うんっ…あっ、んんっ、そ、そこぉっ♪」
 スッ…スッ…と、まるでスマホをタップするように人差し指で上へ下へと擦ってやると、保乃は、井上の小顔の両脇に置いた太ももの肉をぷるぷる震わせながら悶絶し、負けじと、より一層、反撃のフェラも激しくなる。
 もっとも、ペニスバンドをいくら艶かしくしゃぶられても、神経が繋がっていない井上にはノーダメージ。
 適当に息を荒くして感じているフリだけしておいて、終始、自分のペースで保乃の陰部をじっくり、ねっとりと責め落としていく。
「んんっ、あっ、ああっ…♪」
「保乃ちゃん、何かしてほしいことあるんやったら恥ずかしがらんと言ってみ?」
 と促すと、保乃は、井上には見えない角度で顔を真っ赤にして、
「え、えっと…ほ、保乃のマンコ…ペロペロして…?」
 その恥じらいながら口にする表情は強さを忘れた一人の乙女。
「へぇ…♪オマンコ舐めてほしいんやぁ?…こういうこと?」

 ぺろ…ぺろ…♪

「ふひぃぃっ♪」
 仰向けのりなおの上で四つん這いのまま飛び上がる保乃。
 ジュクジュクになっている保乃の性器は感度も抜群。
 同性の性器を舐めることへの抵抗は、これまで森田を相手に何度も繰り返しているうちにすっかり薄れ、今では慣れてしまった。
 何なら、少しテクニックが身についてきたぐらいのところ。
 突き出した舌を尖らせ、皮の剥けたクリトリスを嬲るように上下左右に弾いてやると、
「あんっ♪あんっ♪り、りなお君ッ…それ、めっちゃ気持ちいいッ♪ヤ、ヤバいって、それぇっ♪」
「逃げたらアカンやん、ほらっ♪」
 浮き上がりかける尻肉を鷲掴みにして引き戻し、顔を埋める。
「ひ、ひぃぃっ♪あぁっ、ヤ、ヤバいっ…イキそう…!そんなしたら、またイッてまうってぇっ♪」
 すっかりフェラは中断し、下から来るりなおのクンニを堪能する保乃。
 そして、
「ええやん、イッちゃいや…♪」
 ぼそっと呟いたりなおの囁きを合図に、
「あぁっ、イ、イクっ…!イっクぅぅっ…♪ひゃぁぁっ…♪」
 と、絶叫と同時に二度目のオーガズム…ビクビクと全身痙攣を起こす保乃。
 そして、身体を支える力を失い、ぐったりとりなおの身体の上に落ちてくる恵体。
 マン土手が鼻っ柱にクリーンヒットし、思わず、
「痛った…!」
 と小さく声を上げるりなおは、再度、スルスルと身体を抜き取ると、衰弱したカエルのように丸まった保乃のバックを取り、
「保乃ちゃん…俺、そろそろ挿れたくなってきたわ…挿れるで?」
 と、思った以上に唾液まみれになっていた疑似男根を握り締め、突き出されたお尻の割れ目にあてがい、ゆっくり下降させる。
「んっ、んっ…♪」
 と、その密着だけでも声を上げる保乃。
 そしていよいよ、目標となる穴の入り口をロックオン。
「行くで?」
「うん、来て…♪おもいっきり突いて…♪」
「…えいっ♪」

 …ぐじゅッ…!

「うぁぁっ…♪き、来たぁっ…んんっ、す、すごぉっ…♪」
 本物なら巨根の部類に入るサイズの疑似男根を難なく咥え込む保乃の淫熟マンコ。
 それに対し、はじめはゆっくり…そこからだんだん速さを増しながら抜き挿しを開始するりなお。
 グッと保乃の肩を掴んで身体を起こさせ、
「なぁ、どうかな?俺のチンポ…気に入ってもらえてる?」
「う、うん♪めっちゃ気持ちいいっ…太いし、硬いし…最高のチンポぉっ♪」
 と歓喜する保乃に対し、
(ふふっ…今のスケベな絶叫、録音しといたら今後しばらく保乃のことコキ使えるかも…♪)
 と悪いことも考えつつ、さすがにそれは可哀想なのでやめておく。
 そのぶん、激しいピストンでもっともっと鳴かせてやる次第。
「あっ、あっ♪んんっ、あぁっ♪あんっ♪あんっ♪」
 突き出されてぷるぷる震える乳房。
 乱れる長髪を眼前に見据えながら、上ずった喘ぎ声を絶え間なく聞かされれば、
(すごいな、保乃…めっちゃ感じてるやん…)
 と感心し、突き上げるりなおの鼻息もさらに荒くなる。
「ふんっ、ふんっ…!」
 と、りなお自身も汗だくになるがむしゃらピストンに、
「イ、イクっ…イクぅっ…♪」
 と、四つん這いのまま三度目のオーガズムに達する保乃だが、もうここからはイッてもノンストップ。
 余韻に浸っている隙に、ごろんと保乃の身体を反転させ、次は正常位。
「次は、保乃ちゃんの感じてる顔を眺めながら突いたげる…♪可愛い表情、いっぱい見せてな?」
 と口にすれば、
「い、嫌やぁ…そんなん恥ずかしい…あっ、あっ…んぁぁっ♪」
 照れながらも、快楽でくしゃくしゃに歪む乙女の表情を見せてくれる保乃。
 普段とのギャップはもちろん、主導権を手放して受け身に徹した時の表情は、森田とはまた違うセクシーさ、可愛さがあった。
 そして最後はイキ顔。
「あぁっ、イ、イクっ…またイクってぇぇっ…♪」
 と絶叫、痙攣しながら見せたその表情もまた格別。
(うーん…♪ひかるのイク時の顔も可愛いけど、保乃もなかなかええなぁ…♪)
 と、変態オヤジのように凝視して楽しむりなお。
 無論、一回きりでは満足できない。
 それを、四回、五回と目を焼きつけるまで行為は続いた。

「あぁっ、り、りなお君っ…りなお君、大好きぃぃっ…♪」

 …こうして、また一人、強き女が乙女心を射抜かれ、オトされた。
 神出鬼没のイケメン、りなお。
 これ以来、三階の空き部屋からは、週に数回、ある時は博多弁、またある時は関西弁の甘えた声が漏れ聞こえてくるそうな…。
 そして…。

 ……

(五月雨よ〜…♪教えてくれ〜…♪)
 ある日の午後、井上がご機嫌に鼻歌を唄いながら廊下を歩いていると、前から賑やかなトリオが近づいてきた。
 増本綺良、大沼晶保、幸阪茉里乃…。
 普段から仲良しな三人組だというのは知っているが、それにしてもやけに楽しそうなので、すれ違いざま、
「お三人さん、やけに楽しそうやん。どっか行くの?」
 と聞くと、足を止めた増本が、
「茜さんからお下がりのオモチャ貰ったんです。ほら、これ…♪」
 と、挿れたら前立腺まで届くようなサイズのアナルパールを無邪気に示す増本。
 そのいかつい形状に、
「そ、そうなんや…」
 と少し引き気味の井上をよそに、続けて大沼が、
「これを今から行きつけの地下牢で誰かに試そうと思って…あ、よかったら、いのりちゃんも来る?」
「い、いや…ウチはええわ…」
 と断り、
「じゃあ、まぁ、楽しんで…」
 と切り上げる井上。
 その後も背中越しにワイワイ盛り上がる三人の声は止まらないが、数歩進んでふと立ち止まり、静かに振り返る井上。
 遠ざかる三人の横並びの背中を見ながら、

(そういえば…茉里乃ちゃんって、恋したらどんな感じなんやろ…?)

 井上の視線がロックオンしたのは、三人の中でも一人だけ異質な幸阪の後ろ姿。
 増本や大沼と比べると少し控えめで、ミステリアスな印象がある彼女。
 話しかけると意外に気さくだというのは知っているが、男の趣味などは全く知らない。 
 同時に、以前、武元が、

「茉里乃ちゃんって実は脱いだらけっこう巨乳って知ってた?ああ見えておっぱいで挟んで射精させんの得意なんやって…♪」

 と言っていたことも思い出してきた。
(茉里乃ちゃんか…悪くないなぁ…♪)
 まったく想像がつかない乙女な表情も見たいし、ついでのそのナイスバディーとやらも拝みたくなってきた。



 スッと胸ポケットに差し込む手。
 例のスプレーボトルを取り出すと、井上は、次の獲物を決めたようにニヤリと笑った。


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2022/09/16(金) 01:15 )