欅共和国の罠 ― 捕らわれた男たちの記録 ―

















小説トップ
<番外編>同姓師弟の秘め事
3.窮地の鬼軍曹
「くっ…んっ…」
 悔しそうに唇を噛みながら声を抑える茜。
 麗奈のしなやかな五指と紅葉のような手の平が、ローションを纏って全身を這い回る。
「ヌルヌルを足してほしいところがあったら遠慮なく言ってくださいね〜♪」
 と笑みをこぼす麗奈だが、もちろん茜が自らそんなことを言う筈がない。
 耐えているうちに、みるみる光沢を出されていく身体。
 やがて、
「…オッケー、塗り終わりました♪分かりますか?茜さん。全身、テッカテカですよ♪」
「━━━」
「さぁ…それじゃあ、まずはどれから使っていこうかなぁ…?」
 とアイマスク越しに囁かれる不穏な一言。
 ガチャガチャと物色する物音が聞こえる。
「な、何をするつもり…!?」
 と牽制する茜の声も無視して、持ち込んだワゴンに並べた淫具を順に手に取る麗奈。
 かわいいモノから物騒なモノまで…地下の倉庫から手当たり次第にかき集めてきた大人のオモチャの山…。
「…よし、決めた!じゃあ、まずはこれ♪」
 という声とともに、

 ブィィィン…!

 と聞こえ始める振動音。
 ここ、欅共和国で造られた改良ローター…それを2つ手にした麗奈は、分娩台の背後に回ると、端を摘まむように持った振動部を、まずは茜の耳に、ぺろんっ…と当てた。
「くっ…!そ、そのローターは…!」
「あはっ♪すごいっ!さすが茜さん!よく分かりましたね♪」
「や、やめてよ…くっ…」
「なに言ってるんですか。茜さんにとっては、こんなの、まだ序の口ですよね」
 と、ぶるんぶるん振動して暴れるローターを耳から首筋、肩から二の腕へと下ろしていき、やがて腋から横乳へと移動する。
「んっ…くっ…」
 振動部が横乳に触れ、たまらず声を漏らした茜に、
「ここ、気持ちいいでしょう?スペンス乳腺っていうみたいですよ♪」
 と囁き、
「博識な茜さんなら、もちろんご存知ですよね?開発されれば、たちまち揉まれるだけで気をやるぐらい感度が上がるとか…」
「くっ…!」
「せっかくだからぁ…茜さんのスペンス乳腺、私が開発しちゃおっかなぁ♪」
 と、甘い小悪魔の囁きとともに、ローターを押し当てる麗奈。



 事前に調べ、ちゃんと知識を入れてきただけあって的確に茜のスペンス乳腺を刺激した。
「んっ…ちょ、ちょっと…」
「ダメですよ、動いたら」
「んっ、んんっ…!くっ…あっ…」
 と、一段と艶っぽい声で悶える茜。
 むず痒い感覚が押し寄せ、思わず、拘束された分娩台の上でモゾモゾと身体を揺すった。
 拘束具がカチャカチャと音を立てるたび、
「ん〜?どうしたんですかぁ♪」
 と、耳元に息を吹きかけながら聞いてくる麗奈。
「早く振りほどいて逃げないと、私みたいな新入りにこの自慢の身体を開発されちゃいますよぉ?揉まれるだけでイッちゃう恥ずかしい身体にされてもいいんですかぁ?」
 と、ネチネチと言葉で嬲ることも忘れず、だ。
 次第に額に汗が滲む茜。
(た、単なる悪ふざけじゃない…ほ、本当に責めてきてる…!)
 と、責める手つきから麗奈の本気度を感じ、徐々に焦りを感じ始める。
「くっ…んんっ、あっ…」
 漏れだす吐息。
「じゃあ、ここからは“揉み”もつけていきますね♪」
 と言った麗奈は、強力ローターを手の内に仕込み、次はその手で茜の胸を、むにゅ、むにゅ…と揉み始めた。
「んっ…あっ…」
 振動をまとった五指が乳肉に食い込む。
「どうですか?茜さん。ブルブルして気持ちいいですか?」
「べ、別に…!気持ちよくなんか…な…い…」
「あれぇ?否定が途切れ途切れになってますよぉ?本当に気持ちよくないですかぁ?むしろ気持ちよさそうに見えますけど?」
「き、気持ちよくないって言ってるでしょ!いいかげんに…はうッ!?」
 ふいの嬌声。
 胸を揉みながら、震える人差し指で先端の乳首を引っ掻いたのだ。
「ん〜?今の声は何ですかぁ?もっとして、ってことですかぁ?」
「ち、違っ…!」
「分かりました。分かりましたよ。たぁ〜っぷりしてあげますよ♪今の責め方を、ほら、こうやって左右同時に…♪」

 カリカリ…カリカリ…

「あっ、んっ!ちょ、ちょっと…や、やめっ、あんっ!んんっ…!」
 ギシギシと分娩台を軋ませて悶える茜。
 その色っぽい吐息と比例するように、美乳の先端に位置するピンク色の突起が、みるみる肥大し、硬化する。
 そして、その突起に刺激が走れば走るほど胸全体の感度が高まり、山自体を震わせる振動が活きてくる。
「ひゃぁっ…♪んはぁっ…♪」
「ふふっ…♪可愛い声が出てきましたよ?茜さん…♪意外に、おっぱいが敏感なんですね。覚えておきますよ…♪」
 と不敵に笑う麗奈。
(く、くそっ…!)
 完全に弄ばれていることに怒りすら覚える。
 新入りのくせに…そんな思いが、茜の気高いプライドに傷をつけ、ふるふると唇を震わせる。
(か、感じちゃダメ…!ここで感じたら…この娘の思うツボ…!た、耐えなきゃ…絶対に…!)
 と思い、必死に、
「く、くぅぅっ…!」
 と、血が滲むほど唇を噛む茜。
 だが、耳元には、
「ふふっ♪必死に声を我慢してるんですね…可愛い…♪」 
 と、まるでペット扱いの囁き…そして、
「んぷっ…!?」
 また重ねられる唇。
「次は歯を立てたりしないでくださいよ?茜さん…♪」
 と、閉ざした門をこじ開けるように小さな舌がチロチロと唇を這う。
「くっ、や、やめっ…んんっ…!」
 必死に髪を振り乱して逃げるも、麗奈の舌は完全追尾でついてくる。
 それをしながら、
(ふふっ…♪そろそろ…)
 と、茜が目隠しで見えないのをいいことに、手の内に仕込んだローターで固くなった乳首を狙う麗奈。
「んっ、んっ…!」
 視界を遮られた茜は、今、麗奈のナメクジ舌の相手で頭がいっぱい…そっちに気を反らしておいて、ふいに、ローターの振動を乳首に押しつけた。
「んひぃっ!?」
(開いた…!)
 突然の刺激に思わず門を開く茜と、すかさずそこに潜り込んだ麗奈の舌。
 突然の突入に逃げ惑う茜の舌を絡めて捕らえ、外に引っ張り出すと、

 ズッ、チュッ…ズッ、チュッ…

 と卑猥な濁音を立てて吸い上げた。
 それを続けながら、
「ほら…♪茜さんからも絡めてくださいよ。いつも男にしてるみたいに、激しく…♪」
「んっ、んっ…!」
 不思議と、先ほどのように舌に噛みつく気力は鳴りを潜めた茜。
 ここまでのいたぶりで、麗奈に対し、その甘い声の裏に隠された、自身と同様の真性のS気質を感じたからだ。
 ヘタに不興を買うと、さらなる責め苦が振りかかる予感がするし、そうなった時には今のままでは対処ができない。
 とにかく目隠しと手足の拘束をどうにかしないと…この分娩台から下ろしてもらえないことには反撃もままならない。
(ひ、ひとまず…おとなしく従って油断させるしか…)
 と、不本意ながら絡みつく舌に、自らも舌を絡ませる茜。
 だが、相手は、この欅ハウス内で「鬼軍曹」という異名を持つ副リーダーに対し、新入りにもかかわらず、早くも謀反を企てるほどの野心家。
 当然、一筋縄ではいかない。
「ん〜♪いいですねぇ♪さっきと違って、やけに素直じゃないですかぁ♪」
 と言いつつ、耳元で、
「これだけ急に態度が変わると、頭が冴える茜さんのことだから、何か企んでるんじゃないかと疑っちゃいますねぇ…♪」
(…!)
「とりあえず無抵抗のフリをして油断させよう…って腹なら、そうはいきませんよ?」
「くっ…!」
 咄嗟に力が入る左右の腕に、
「あれぇ?何ですか?この握り拳…もしかして図星でしたか?」
「んっ、んっ…」
「そんなこと考えてるうちは、その拘束…絶対に外しませんからね♪」
 と麗奈は不敵な笑みまで、わざと耳元で聞かせ、
「さぁ、続けますよ♪」
 と、より力強く、茜の美乳を揉みしだき、そして乳首を嬲る。
「ふぁぁっ…!?あぁっ…!」
 逃げるように身体を揺すり、身を固くする茜に対し、
「さぁ、いっぱい感じちゃっていいですからね♪鬼軍曹が本気で感じてる声、いっぱい聞かせてくださいよ…♪」
 と、麗奈は、その甘い声色とは裏腹に、新しいオモチャを手に入れたようにキラキラした眼で囁いた…!


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2021/08/14(土) 12:16 )