欅共和国の罠 ― 捕らわれた男たちの記録 ― - 戦争勃発編 長濱ねるに捕まった男
2.尋問開始
 その男、五郎は、ぼんやりと目を覚ました。
 天井の間接照明を見つめる視界はまだ揺れている。
「こ、ここは…?」
 部屋には見覚えがある。
 女と一緒にチェックインしたホテルだ。
 だが、なぜ、そこで、自分が今、ベッドに四肢を縛りつけられ、身動きがとれなくなっているのか?
 しかも、いつのまにかパンツ一丁。
 脱がされた服はベッドの脇に乱雑に捨ててあった。
(ま、待て…よく思い出せ。確か、女にワインを勧められて、それから━)
 淡い記憶を遡っているところで、シャワーから揚がった女が顔を出し、
「もう起きたと?思うたより早かね」
 と言った。
 長い髪に童顔で長崎弁を話すバスローブ姿のその女性だが、五郎はその女に見覚えがない。
「だ、誰だ…?」
 と困惑して訪ねると、その女、長濱ねるはクスッと笑って、
「うちんことはよかけん、うちの質問に答えんね」
 と長崎弁全開で、まだ濡れた髪のまま、いきなり五郎の上に覆い被さった。
 そのまま前屈みで、ぐっと顔を寄せて、
「最近、アンタん周りで何か変わったこととか起きとらん?」
「か、変わったこと…?」
「人ば、ようけ集めて、何か良からぬこと企んどーような人間おらん?」
「━━━」
「はい、図星」
 ねるは、クスッと笑うと、急に悩ましい目をして、
「その人んこと、詳しゅう教えんね」
「え…?い、いや…俺は何も…」
「ホントに…?ホントに何も知らん?」
 前屈みのバスローブの隙間から覗く胸…。
「正直に教えてよ。教えてくれたら、私のおっぱい、好きにさせちゃるよ?」
 と上目遣いで目線を送られると、思わず判断が鈍りそうになって、つい、顔を背けてしまう五郎。
「ふーん…そういう態度とるったい?仕方なか」
 ねるの指が蜘蛛のように妖しく蠢き、五郎の胸板を這う。
 乳輪を取り囲み、人差し指がその中心にある尖りを弾く指。
「うぅっ…!」
「教えてくれんなら、こがんことして無理やり聞き出すことになるばい。それとも、こがんこと実は嫌いやなかと?」
 ねるは小悪魔的な笑みを浮かべ、さらに乳首を弄っては、その反応を窺うように五郎の顔を凝視する。
「ぐっ…そ、そんな目で見ないでくれよ…!」
「何ば言いよーと?自分がやらせてるんやろ?」
「うぅっ…あっ、くっ…!」
「ふふっ。感じてる顔、可愛い」
 と、まるで恋人のような表情を見せるねるだが、実際は尋問。
 単なる愛撫だけでなく、時折、ぎゅっとつねり上げたりもして飴と鞭を忘れない。
「ほら、早う教え」
「━━━」
 押し黙る五郎。
(い、言えない…!)
 脳裏によぎるあの男の冷たい目。
 ヘタなことを言うと報復が怖い。
「ねぇ、早く〜」
 口を割るのを急かすねる。
「しらばっくれても、何か隠しとんは分かっとーと」
 と言って、五郎の乳首に唇を押し当てる。

 チュッ…ズッ、チュッ…ジュル、ジュル…

「うぁぁっ…!」
 ねるの生温かい舌がナメクジのように五郎の乳首をねぶり、唾液まみれにしては指で擦る。
「…見て?こんなに固うなったっさ」
 という無邪気な状況説明がたまらなく恥ずかしい。
 じっとしていられずに腰を浮かせるも、手足の拘束によって、すぐにベッドに戻される。
「ふふっ…暴れてる。その顔、可愛さぁ」
 ねるはクスクスと笑って、
「まだ言わん…?」
「━━━」
「これでも教えてくれんのなら、こっちもいじめるしかなかねぇ…」
 と、蜘蛛の指があばらから下腹部へ下り、唯一の防具の上で躍る。
「や、やめろぉ…!」
 と口にする五郎だが、ねるは笑って、
「やめろ…?ホントは嬉しいくせに」
 と、あっさり一蹴し、そこに出来た山を登っては、
「あれぇ?ここ、こんなにボコボコしとったかなぁ?」
 と、わざとらしく口にする。
「んっ、くっ…がぁっ…」
 魅惑のソフトタッチと、なおも目を逸らさない妖艶な上目遣い。
 幼さの残る顔立ちとは裏腹の痴女テク、そのギャップがたまらない。
 そして、いよいよ、そんなねるの指がパンツのゴムに掛けられた。
 びよん、びよん…と引っ張っては、指を離して、ゴムが戻るのを楽しむねる。
「ねぇ?言う?」
 と問いかけ、いい返事がないと見るや、ゆっくり、最後の防具を脱がしにかかる。
 太ももまで引きずり下ろすと同時に、勢いよく飛び出る五郎の男根。
「アハハ…何これ?もうこんなになってしもうて!」
 と、ねるは笑い、その指を竿に絡ませて、
「ほら、早う言わんと、このままシコシコして情けない声いっぱい出させちゃうよ?出すものが声だけで済むうちに早う言うたら?」
「くっ…」
 なおも口を噤んでいると、宣言通り、竿を掴むねるの指がゆっくりと上下に動き始める。
 はじめはゆっくり…だが徐々にリズムに乗り、そこに捻りと、さらに親指の付け根で亀頭を擦る動きもミックスされる。
 さらに、併せて乳首舐めも再開され、
「んんっ…はぁっ、あっ…はうぅッ…」
 と、悶える五郎。
「ふふっ…すごい声が出とう。もう限界じゃん?」
 ねるは添い寝をするように隣に身体を移動させ、
「ほら、見える?勃起したオチンチンの先っぽからエッチなお汁が溢れとーよ?何でこんなに出しとーと?ほら、そのお汁をローション代わりにしてシコシコされてるところ、自分で見て?」
 と淫語を交えた羞恥責め。
 巧みに男の性感をコントロールし、手玉に取るねる。
 その至極の乳首舐め手コキに、五郎は早くも陥落寸前だ。
「ほら、早う言わんね」
「うぅっ…!うぁぁっ!?」
 我慢汁まみれの手の平で亀頭を包まれ、そのまま、グジュッ、グジュッ…と扱かれると、さらに悶絶する五郎。
(ダ、ダメだ…!こ、こんなに気持ちいい手コキ…た、耐えられない…!だけど…!)
 流されそうになるたび、あの、人を刺すような冷たい目と淡々とした口調が脳裏に蘇る。

 数日前、五郎の元に現れた見知らぬ男から持ちかけられた復讐兵団への勧誘。
 意気地のない五郎は、この国を治める強き女たちへの復讐など夢のまた夢、絵空事に近いと思い、誘いを断った。
 男は、五郎が誘いを断ったことには別に嫌な顔はしなかった。
 ただ、最後の別れ際に言われた一言が、今も頭に残る。

「俺の誘いを断った以上、俺と会ったこと、俺の言ったことは全て忘れた方がいい。でないと、後々、この誘いに乗っておけばよかったと、そっちの意味で後悔することになる…」

 その瞬間は何も感じなかったが、後になって、だんだん怖くなってきた。
 だから、言われた通り、何も見ていない、何も聞いていないで通し、今後も生きていくつもりだった。
 そんな矢先のハニートラップ。
 恐怖と快楽の狭間で五郎の心は激しく揺れ動く。

「ほら、また腰が浮いてきたっさ。血管も浮き出とーし、キンタマまでパンパン!…もう限界やなか?隠し事もそろそろ潮時ばい!」
 手コキを速め、最後通告のように問うねる。
「うぅっ…!や、やめてくれぇっ…!」
「すごいビクビクしとぅ…!イクん?イッちゃうと?よかよ、イッて。ほら、私の手コキでいっぱい出しんしゃい!」
「がぁぁっ…!」
(ダ、ダメだ…!で、出るっ…!)

 ドピュッ…!ドピュッ…!

 二回に分かれて飛び出した白濁汁は、勢いよく胸板へと着弾した。
 我ながら、まるで熱湯をスポイトで垂らされたような熱さ。
 スラム街の住人に落ちぶれる以前は、欅ハウスにて統治メンバーの中でも特に悪名高い守屋茜、小林由依に飼われていた五郎。
 二人のドSで乱暴な手コキとは全く違うタイプの手コキによって、五郎は為す術もなく果ててしまった。
「アハハ!すごーい!いっぱい出たよ、ほら」
 と、指に付着した精液を見せびらかすねる。
 そして、
「はぁ…はぁ…」
 と荒い息をして余韻に浸る五郎に対し、
「あーあ、こんなに出してしもーて…でも、まだ終わらんよ?知っとーこと洗いざらい聞き出すまでヌイてヌイて、干からびるまでヌイてあげる」
(…!)
「今に快楽よりも苦痛が上回るけん、早う吐いた方が身のためばい」
 と言って、再び竿に指を、それも精液まみれで少しヌルヌルする指を絡ませるねる。
「んっ…!がぁっ…!」
「ふふっ…何回目ん射精で素直になるやろかぁ?」
 小悪魔ねるの不敵な笑み。
 堰を切ったように、上下運動の第二幕が始まる…!

鰹のたたき(塩) ( 2020/08/08(土) 00:32 )