乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第五部‎ 第三章・秋元真夏の場合(地獄の一丁目編)
3.秋元真夏 性欲爆発プロジェクト -レベル2-
 西野七瀬、与田祐希、岩本蓮加…。
 心配していた仲間たちとの思いがけぬ再会に驚いているヒマもなく、取り囲まれ、両手首を後ろに回される真夏。
 深夜帯、客もまばらな女性専用車両にもかかわらず、真夏の周囲にだけ人口密度が高い。
 まるでおしくらまんじゅうのように密着され、
「ま、待って…!何をする気…!?」
 と声を上げる真夏に、すかさず、
「静かにしいや、真夏。人質とられてるんやろ?」
 と不敵な笑みで囁く七瀬。
 同時に両脇の二人の表情にも笑みが浮かぶのを見て、
(ダメだ…三人とも正気じゃない…!)
 ということだけは理解できた真夏。
 完全に一味の傀儡(くぐつ)…となれば、ここで変に抵抗してしまうと一味への反抗したと判断され、人質に危険が及ぶことになる。
 グッと唇を噛むようにして声を絞ると、正面の七瀬はニヤリと笑い、
「そうそう、それでええねん…さすが真夏…自分の立場、よう分かってるやん…♪」
 と納得の表情とともに何やら両脇の二人に目で合図を送る七瀬。
 それを受けてゴソゴソと自身のポケットを探る与田と蓮加。
 二人がポケットから取り出したのは、なんと、とびっこローター…!



「動いたらアカンで?真夏…♪」
 と釘を差しておいて、いきなり、真夏の着ているブラウスの襟元を引っ張る七瀬に、
「ちょ、ちょっと…!」
 思わず小さく声を上げる真夏を無視して上から3つまでボタンを外し、胸元をはだけさせる七瀬。
 それをガバッと大胆に開いては、
「ふーん…白なんや?てっきりピンクとかつけてるんかと思った」
 とブラの色を寸評しつつ、再度、アイコンタクトを送ると、おもむろにそのブラを摘んで浮かせ、その出来た隙間にローターを落としてくる与田。
「くっ…」
 と表情を強張らせると、
「ほら、こっちもやで…♪」
 と反対側にも今と同様、蓮加の手によってブラの中にローターを落とされ、そこでようやく外されたブラウスのボタンが再び七瀬に留められていく。
「━━━」
 こうして、まんまとブラの中にローターを仕込まれた真夏。
 なおも両手首を後輩二人にしっかりと掴まれて動けない真夏の顔の前に、
「じゃーん♪」
「見てくださいよ、真夏さん。ほら…♪」
 二人がちらつかせる遠隔コントローラー…。
 それを見た瞬間、思わず赤面して、
「や、やめて…二人とも…」
「んー?これ見ただけで何されるか分かったん?さすがやなぁ…♪」

 ブィィン…♪

「あっ、んっ…♪」
 早速、小手調べのスイッチオンとともに、ブラの中で一瞬だけ震えたローター。
「あ、声出た…♪」
「なに?今の声…めちゃエロい…♪」
 後輩たちの笑みとともにすぐにスイッチが切られ、
「…うん。とりあえず電波は良好みたいやな♪」
 と満足げの七瀬は、スッと真夏の耳元に顔を近づけ、
「ウチな…ずっと前から思っててん…真夏って実は案外むっつりスケベなんちゃうかなって…♪」
「そ、そんなこと…!」
 両脇の後輩の手前、声量を抑えつつも食い気味で声を上げる真夏だが、それを嘲笑うように、

 ブィン…♪ブィン…♪

 と、オン、オフを巧みに切り替え、小刻みな振動を下着の中に送りつける与田と蓮加。
 まるで玩具を与えられた子供のような無邪気さで、そのたびに、
「あっ、あっ…♪」
 息を乱す真夏。
 そして、その、つま先立ちするように小さく跳ねる姿を両脇から眺めて、
「アハハ…感じてる、感じてる…♪」
「ブルブル震えてますよ?真夏さん…♪」
 とニタニタしながら煽ってくる与田と蓮加。
 特に蓮加の生意気な笑みは、思わず突き飛ばしてやろうかとも思うが、そんなことをしても情勢がまずくなるだけ…。
 それに真夏自身も、

(くっ…お、おかしい…こ、こんな…こんなことぐらいで声が出る筈は…)

 と、思いがけず口から出てしまう甘い吐息に困惑気味。
 確かに先刻、後輩が出演するAVを2本続けて見て、やむをえず少し性的な興奮をしてしまったのは自覚している。…が、それを加味しても、この感度は何かおかしい。

(ま、まさか媚薬…知らぬ間に媚薬を盛られた…?でも、いつ…?どこで…?)

 混乱のあまり、個室ビデオで差し出されたコーヒーを疑わず口にしたことすら、すっかり忘れている真夏。
 そして、それを思い出すよりも、まず、この振動への対策が先。
「んっ…んんっ…!」
 唇を結び、右へ左へ顔を背ける真夏に、
「んー?どうしたん?真夏…何か我慢してる…?」
 七瀬が持ち前のS性を存分に発揮し始めれば、それに呼応するように両脇の後輩二人も、
「ちょっと真夏さん、しっかり立ってくださいよ…♪」 
「なに前屈みになってるんですか?脚も内股だし…」
「ほら、開いてくださいよ…♪」
 と、左右から絡めるように脚を掛けてきて、それでグッと開く二人。
 それによって不格好なガニ股になってしまい、さらに顔を赤らめる真夏。
「ちょ、ちょっと…やめてよ、二人とも…」
 と口にするも、もはや二人は真夏の注意に耳を貸す様子はない。
 今この状況で二人が従うのは真夏ではなく七瀬。
 そして、その七瀬はニヤリと笑って、
「まだあるで、真夏…♪」
 と次は七瀬のポケットから、さらにもう一つ、新たに刺客の振動具が登場。
 しかも次のは、ブラの中に仕込んだローターに比べ、陰部にフィットする形状…。



 それを真夏の顔の前で見せびらかすようにした後、
「動かんといてや…?」
 と釘を差し、ふいに身を屈めた七瀬。
「ちょ、ちょっと…!やぁっ…!」
 いきなり無造作にガニ股のスカートをめくられ、中に潜り込まれる真夏。
 小さな声で、
「うわ…めっちゃ蒸れ蒸れ…♪めっちゃいやらしいニオイする…♪」
 と言われただけで赤面が増す真夏。
 そんな車中堂々とした如何わしい行為も、他の客は見向きもせず、音楽にスマホ、会話と、それぞれ自分の過ごし方に夢中。
 それをいいことに、まんまと潜ったスカートの中で真夏のパンティを横にズラし、そこに、

 フッ…フッ…♪

「んんッ!あっ、んんっ…♪」
 暗がりの中、晒された秘肉に息を吹きかけられ、抑えた声とともに身を固くする真夏。
 その様を股下、そして左右からクスクスとほくそ笑む刺客の三人と、そこでもまた、

(や、やっぱりおかしい…いくらAV見せられた後だからって、息だけでこんなに感じちゃうなんて…)

 と自身の感度に戸惑いを隠せない真夏。
 この後も七瀬は、何度も息を吹きかけてS性を満たし、そしてご満悦の顔でスカートの中から這い出てきたその手には、持っていた筈の玩具はなくなっていた。
 まんまとパンティの中に仕込んできて、ニタニタが止まらない七瀬。
 立ち上がると、それのコントローラーを手に、
「こっちも試しに何回か動作チェックしとかんとなぁ?」
 と早くも身構える真夏の顔を覗き込むようにして言った後、
「行くで?真夏…♪スイッチオンっ♪」

 ブィン…!プィィン…♪

「はうぅッ…♪んっ、あぁっ…♪」
 パンティの中で振動を開始したローターに思わず声が抑えきれなかった真夏。
 それを、震わせては止め、震わせては止め…と繰り返して満面の笑みの七瀬。
「ちゃんと入念にチェックしとかんとなぁ…♪次は少し長めにしてみよか…♪」
 そんな不吉に予告と同時に、

 ブィィィィン…♪

「あぁっ、んんっ…ダ、ダメっ…と、止めてッ…!うぁぁッ…♪」
 おしくらまんじゅうの中で途切れ途切れに吐息を漏らす真夏に、すかさず、
「アカンやん、真夏…ガラガラとはいえ、他にも人おるんやから、もうちょい静かに…♪」
 と微笑みながら囁く七瀬。
「くっ…!」
 最悪な状況の完成…こうしてパンティの中のローターは七瀬が、そして左右のブラの中に仕込んだローターは蓮加と与田がそれぞれ操作の権利を保持し、そして三人で顔を見合い、ニタニタしながら、
「ほな始めよか…♪」

 ブィン…♪
 ブィン、ブィン…♪
 ブィィン…♪

「あっ、あっ…♪んっ、んぁぁッ…♪」
 不規則に、そしてランダムに振動し始めた三ヶ所のローター。
 三人それぞれが、裏の裏のそのまた裏をかくように巧みに操作し合うことで、タイミングが重なる時もあれば各所バラバラの時もあり、一向に対策ができない真夏。
 その間にも、一つ、また一つと、環状運転で駅を消化していくが、幸か不幸か、この車両の客はせいぜい一増一減。
 今の時代、エアポッツをつけた客も多く、こちらに見向きすらしない。
 もっとも、見向きされてもそれはそれで困るのだが…。
 そしてコントローラーを操る三人に共通しているのは“小刻みな操作”。
 その魂胆は、ズバリ、イカせることが目的ではなく、あくまでも真夏の理性への審判…。
 まずは強制AV鑑賞で脳を、そして巧みに盛られた媚薬で体内を、極めつけはこうして肌の表面から性興奮を促す性欲爆発プロジェクト。
 なおも振動のオン、オフを使い分けつつ、七瀬が、
「どうする?真夏…もっと長くオンにしてほしいなら、ウチらにお願いしてみ?」
「くっ…だ、誰が、そんなこと…んっ、んっ…♪」
 突っぱねた真夏に対し、
「へぇ…さすがやな。でも、そのわりにさっき見たらマンコぐしょぐしょやったけど…?」
 と、柔和な笑みから鋭い口撃を浴びせる七瀬。
 たまらず、かァッと赤面して、
「う、うるさいッ…!」
 ついムッとした顔を見せると、両脇の二人が、
「そうそう。そうこなくっちゃ…♪」
「先輩の意地、見せてくださいよ…♪」
 と煽る。
 なおも加速、減速、停車を繰り返し、停まる駅を一つずつ営業終了にしていく最終地下鉄。
 その中で、発情した女体をいたぶるローター遊びは、スタートから環状路線のおよそ半周に渡って続いた。
「んっ、くっ…!くぅっ…♪」
 みすみすイカせるようなことはしない…ただ執拗にいたぶり、興奮を促すのみ。
「ほら、だんだんキツなってきたやろ?素直になりぃや、真夏…♪」
「声が我慢できなくなってきてますよ?」
「イキたいって言えばイカせてあげますから。真夏さん…♪」
 そんなことを延々と正面、左右から囁かれても必死に自我を保つ真夏。

(ま、負けないッ…私は…こんなことでは…絶対に負けないッ…)

 その一心で火照る体温、襲い来る淫靡な振動に耐え続ける真夏だが、こんな状況にもかかわらず、さらに試練を与えてくるのだから神様というのは本当に残酷だ。
 減速…そして次の駅にホームに滑り込んで窓の外が明るくなり、ホームドアの停止位置に近づいたところで、ふいに七瀬がクスクス笑って、
「真夏、見てみ…♪」
 と目線を誘う。

(ウ、ウソ…!)

 つられて目をゃった真夏の顔に走る動揺。
 なんとホームには、これまでの閑散としていた駅と打って変わり、五、六人の女子大生の集団が…。
 青ざめる真夏と対照的に、しめしめと笑みを浮かべる与田と蓮加。
 七瀬も同じような顔で、
「珍しいなぁ。こんな辺鄙な駅で、こんな時間に…近くで飲み会でもやってたんかなぁ?」
 と白々しく囁く。
 確かにほんのり赤ら顔が数人いて、テンションも高めで騒がしい。
 それは電車が停まり、ドアが開いてぞろぞろと乗り込んできてからもだ。
 しかも不運はさらに重なり、車内がガラガラにもかかわらず、わりかし真夏たちの近いところの座席に陣取った女子大生たち。
 たまらず遠ざかろうとした真夏の身体はあっさりと押さえつけられ、
「どこ行くんですか?真夏さん…♪」
「ダメですよ。勝手に動いちゃ…♪」
 と笑う与田、蓮加。
 そして、
「残念やなぁ、真夏…今までどうにか誤魔化せてたけど、ここからはそうもいかんみたい…♪」
 と言いつつ、そんな中でも意に介さずに振動オンにする七瀬。

 ブィィィン…♪

「ッ…!」
 とっさに血が滲むほど唇を固く食い縛ってもかすかに漏れた吐息。
 便乗して、与田と蓮加も再びオン、オフを再開すれば、
「んっ…んんっ…んっ、んっ…!」
 これまで以上に必死に声を堪える真夏。
 少しでも気が緩めば、雑談に花咲く女子大生たちに聞こえてしまう距離。
 声を堪えながら、

(こ、この娘たち…いったいどこまで…?お、お願い…せめて…せめて早く降りて…)

 チラッと目をやり、それを願うしかない真夏。
 幸い、こちらには目もくれず、仲間内での談笑に夢中なのがせめてもの救いだが、いつ、この状況を不審に思い始めるか分からない。
 そんな中、ふいに与田の操る左胸のローターが振動しっぱなしになった。
「んっ、くっ…!」
 目を伏せて堪える真夏の耳元で、
「小刻みなオン、オフも飽きましたよね?ここからは少し長めにしてあげますね…♪」
「や、やめて…与田ちゃん…あうぅッ♪」
「あれぇ?真夏さん、今の声…もしかして今、乳首に直撃してます?乳首、勃起しちゃってるんじゃ…?」
 あどけない顔をして軽々と「乳首」や「勃起」と卑猥なことを言い放つ与田。
 そして、それに触発されて蓮加も、
「じゃあ、蓮加も…♪」
 と与田に倣ってローターのスイッチを入れっぱなしに。

 ブゥゥゥゥン…♪

「あっ、あっ…ダ、ダメぇッ…♪」
 と、そこで、ついこれまでにない声量で声を上げてしまった真夏。
 咄嗟に、

(し、しまった…!)

 と赤面するも時すでに遅し、談笑していた女子大生たちが一斉に不審な目で真夏の方を見ている。
「くっ…」
 慌てて何食わぬ顔…澄ました表情を心がける真夏だが、そこに七瀬が、真夏にしか聞こえない声で、
「なあ、真夏…ウチのもスイッチ入れっぱにしていい?」
「ダ、ダメ…ホントにダメ…絶対ダメ…」
 小声で、言い聞かすように連呼する真夏。
 それを、
「んー…どうしよかなぁ…♪」
 と、はぐらかして楽しむ七瀬。
 その間も、左右のブラの中に仕込まれたローターは震えっぱなし。
 特に左胸のは、与田の指摘通り、ブラの中でずり落ちて乳頭にピンポイントで当たっているから刺激が強い。

(こ、これでもし、今、反対側も同じことになったら…)

 という危惧が真夏を包む。…と、その時!

 ブィィィン…♪

「ひぃぃッ♪」
 つい、胸のローターに気が逸れた隙を見抜いたかのごとく、絶好の…いや、最悪のタイミングでパンティの中のローターも振動した。
 これまでの小刻みなオン、オフではない、恥辱プレイ開始から初めて三ヶ所で断続的な振動が揃い踏み。
「あっ、あっ…んんっ、ま、待って…ひぃぃッ♪」
 真夏にすれば、その輪の中で留めているつもりの声量だが、それはもはや、この女性専用車両全体に轟いていた。
 それを聞き、まず近くに陣取った女子大生の一団から向けられる白い目…。
 ドン引きしたような顔をされながら、そそくさと別の席を求めて遠ざかっていく。
 そして、その奥の小説を読みふけっていた文学的な女性も、いかにも迷惑そうな顔…。
 そんな、自尊心めがけて鋭利に突き刺さる軽蔑の視線を浴びながら、真夏は、
「と、止めて…三人とも…お願い…一回スイッチ止めて…」
 と繰り返すも、
「えー?何でですかぁ?」
「止めなきゃどうなるんですか?真夏さん…♪」
 と、ここぞとばかりに意地悪な両サイドの後輩たち。
 そして、内股、つま先立ちで美脚をぷるぷるさせて悶える真夏に対し、
「えー…どうしよかなぁ…♪止めてほしい?」
 と、わざわざ聞き直して時間を稼ぐ性悪七瀬。
「と、止めて…止めて…あぁ、ダメっ…!」
 口にしたのはそこまで…続きは脳内で、

(あっ、イ、イクっ…!イッちゃうっ…!こ、こんなところで…電車の中でこんなことされてイッちゃうッ…!あぁッ!)

 と叫ぶも、その思惑は外れ、あと一歩のところで一斉に停止する振動。
「んっ!くっ…!ハァ…ハァ…」
 まさかの寸止め…それは押し寄せる痙攣を覚悟して身構えていた真夏からすれば肩透かし…。
 そして呆然とする真夏の耳元で、七瀬が、

「真夏…残念やけどウチらの役目は真夏をイカせることちゃうねん…♪」

(…!?)
 その言葉の真意を問い直すヒマもなく、この後も、延々、車内でねちっこくローター焦らし責めにされた真夏。
 悶え狂わされているうちに、いつの間にか終点まで、あと5駅。
 一つ前の学生街の駅で訝しげな顔をしていた女子大生たちもやっと降り、この駅でやっとその奥の読書していた女性も降り、ようやく車内に残るのは一番奥のずっと爆睡している女性だけになった。…が、こうなると、あとは三人の独壇場。
 ラストスパートといわんばかりに、
「ほら、もう気にせんと声出して大丈夫やで。真夏…♪」
「じゃあ、また同時のやつ、やってあげますね…♪」
「まぁ、イキそうになるまで、ですけど…♪」
 と三人揃って不敵に笑みで、また一斉にスイッチオン。

 ブィィィン…♪

「あっ、あっ♪ダ、ダメっ…ひ、ひぃぃッ♪やぁっ、あぁっ…♪」
 クネクネと身をよじって屈辱の卑猥ダンス。
 そして、とうとう真夏は脳内だけで抑えきれず、声にも出して、
「ぁぁっ、イ、イクっ…んぁぁッ…♪」
「はい、おしまーい…♪」
 またもや到達寸前で無情のスイッチオフ…。
 これを短いスパンで繰り返され、つい、
「くっ…!い、いいかげんに…!」
 うらめしげな目で睨む真夏だが、その視線を意にも介さない七瀬。
 そしてここで、ドア上の液晶モニターをチラッと見て、
「…よし。蓮加、祐希。そろそろ片付けよか」

(え…?か、片付けるってどういうこと…?もしかして、…終わり…?)

 突然の打ち切りに、戸惑い…そしてほんのわずかな失望の中、再びブラウスのボタンを外し、胸元をはだけさせ、自分も再度、身を屈めて真夏のスカートの中へ潜り、パンティをズラして仕込んだローターをせっせと回収する七瀬。
 それと同時に、ブラの中のを回収する蓮加と与田だが、その際、ブラの中を覗き込んでは、
「ふふっ…見て、与田。真夏さんの乳首…♪」
「わぁ…めっちゃ勃ってる…♪エっロ…♪」



「い、嫌っ…!」
 ブラの中を覗かれ、執拗な振動責めで不覚にもビンビンに突起したトップを見られて恥じらう真夏。
 そしてまた列車が減速…チラッと液晶モニターに目をやると、とうとう、先刻、真夏がミッションとともに乗り込んだ駅の一つ手前まで来ていた。
 もぞもぞとスカートの中から這い出てきた七瀬、そして回収を終えて再びブラウスのボタンを留め直す与田と蓮加。
 それと同時にこれまでずっと真夏を包囲してきたトライアングルも解除され、不本意な形ながら束の間の再会だった三人は、どうやらここでお役御免のようだ。
 そして、
「じゃあ、真夏さん…♪」
「またそのうち…♪」
 と不敵な笑みを見せる後輩二人に、思わず、
「ま、待って…!」
 と声をかけ、去りゆく腕を掴もうとしたが、そうはさせまいと立ちはだかったのは七瀬。
 相変わらずミステリアスな笑みで、
「ミッションはまだ終わってないで、真夏。次はコレ…♪」
 と言って、ポケットからカードを取り出し、真夏に手渡す。
(ま、まだ続くの…?)
 と思いつつカードを受け取ると、ちょうどそのタイミングで列車が完全に停車し、目の前のドアが開いた。
 さっさと降りていく与田と蓮加。
 その背中を軽く目で追いつつ、受け取ったカードに視線を向けると、そこには、

<ミッションB:24時ちょうどにここを訪ねよ。遅刻した場合や勝手に逃げ出した時点で二人の命は保証しない。>

 という文字とともに、グーグルマップを印刷、貼り付けした地図が添えられていた。
 この次の駅、ほんの一時間前にいた「にぎわい大通り」駅から徒歩3分ほどの場所。
 そして七瀬の、
「今ここでウチらを追って列車を降りたら、そのミッションは達成できひん…言いたいこと分かるやんな?」
 という忠告。
「くっ…!」
 悔しそうに唇を噛むも、結局、従う他なく、ホームに降り立った三人の背中を黙って見送る真夏。
(くっ…三人を本部に連れ帰るチャンスを、みすみす…)
 悔しいが、なにぶん、人質に関わることなので踏みとどまるしかない。
 そこに無念の発車放送とドアチャイム…そして閉まるドア。
 三人をホームに残し、真夏の乗った列車はゆっくりと動き出した。
 おそらく、この後すぐに行方をくらますだろうから、至急、応援を要請して今の駅に向かわせても間に合わないだろう。
 そして残念がっているヒマもなく、駅間わずか2分で元いた「にぎわい大通り」駅に、1時間ぶりに帰還。
 よたよたとホームに降り立てば、放送でけたたましく、
「この電車は本日の最終列車です!お乗り遅れのないよう、ご注意ください!繰り返します!2番線の列車は本日の最終列車です!お乗り遅れにご注意ください!」
 とアナウンス。
 この後、2つ先の駅止めで車庫に入ってこの環状地下鉄の本日の営業は終了。
 よって、ここで降車した真夏も、階段を上がってひとまず駅から出るしかない。
 そして、
(…!)
 改札階に上がったところで、チラッと目についたトイレ。
 一瞬、駆け込もうかと思った。
 理由は二つ…若干、肌触りが気持ち悪いパンティの湿りをどうにかしたいのが一つと、もう一つ…。

(少しだけ…少しだけでいいから自分で触りたい…)

 環状地下鉄ほぼ一周ぶん、ローター責めで執拗に焦らされ、脳内や体内だけでなく、身体の表面にまで性興奮を植えつけられた真夏。
 それを一度、ここで収めるには、手っ取り早く自分で処理するしかない。…が、残念ながら、

(くっ…!時間が…!)

 次のミッションは24時までに指定の場所へ行くことで遅刻厳禁。
 腕時計の針は、現在、23時55分…いくら素早く済まそうにも余計な時間をとっている余裕はない。
(くっ…!)
 一切の隙を与えず、綿密に計画された真夏へのミッション…。
 結局、トイレには行かずに改札を出て、そのまま足早に階段を上がって地上に出た真夏。
 夜風に当たっているヒマもなく、地図で指定された場所へ急ぐ。
 幸い距離は近く、迷うこともなかった。…が、辿り着いて、再び、真夏の顔が曇り、そして戦慄した。

(こ、ここは…)

 次なるミッション…第三の指令で真夏が行かされた場所…そこにはなんと「“女性用風俗”案内店」の文字が…。



(つづく)

■筆者メッセージ
不機嫌モードから復活←
読者の皆様、このたびはたいへんご迷惑をおかけしました。…とはいえ、不機嫌モードから明けたからって更新ペースが早くなるワケではなく、依然、これまでのようなマイペース更新になると思います(野球も開幕したし…)ので、皆様もあまり過度には期待せず、お気楽に読みに来ていただければ幸いです。
鰹のたたき(塩) ( 2023/04/03(月) 00:53 )