8.意地の戦い
若月は、身体を起こされ、体勢を膝立ちに変えられた。
依然、陰部にはバイブが挿入された状態で固定され、振動を続けている。
「んんっ!あうっ!」
起き上がったことでバイブの挿さる角度が変わると、それだけでも声が漏れる。
全身、そして膣内に塗り込まれたオイルのせいで、若月の身体は恐ろしいほど敏感になっていた。
非道な男たちは、そんな若月の両乳首に吸引ローターを装着し、スイッチを入れた。
「んああっ!やあっ!ああっ!」
手首を繋ぐ鎖をジャラジャラと揺すり、膝立ちで身体を振り乱す若月。
「謝る気になったか?」
「はあっ、やっ、んっ!だ、黙れ…この、ゲスめ…!んんっ…があっ!」
若月の信念は変わらない。
ただ、着実に追い込まれているのも確かだ。
鮫島も含め、男たちの手は、一切、身体に触れていない。
今、若月の身体を責めているのは股間のバイブと乳首の吸引ローター2個、たった3つの玩具のみだ。
それらの振動音と、それに連動した若月の艶かしい声が部屋に響く。
標本のように固定された身体は左右に揺れ、振り乱した髪と裸体からは汗の玉が飛び散った。
「んああっ!イ、イクっ!イクぅぅぅ!!」
ガクン、ガクンと身体が跳ね、何度目かの絶頂に達した。
だが、両手を吊り上げる鎖が前にも後ろにも倒れ込むことを許さず、気をやってもなお膝立ちを強制し、また、玩具の振動が失神することも許さない。
「はぁっ!と、止めて…!んんっ!ああっ!」
息を切りながら懇願する若月。
「止めてほしかったら、さっきのセリフを言え」
「くあぁぁっ、い、言わない…言うものか…んんっ、そ、それだけは、し、死んでも言わない!ああっ!ああぁぁっ!」
強がりとは裏腹に、若月は、また身体を痙攣させた。
振動するバイブの周囲から、ブシュッ、ブシュッと液体が漏れる。
しかし、エンドレスの快楽地獄は、イキ潮を撒き散らしても終わる気配がない。
鮫島は、一旦、部屋を出ていったが、すぐに戻ってくると、手にビデオカメラを構えていた。
(…!!)
レンズを向けられる。
上部に「録画中」を示す赤いランプが灯った。
「や、やめろ…撮るなっ、んんっ!ああっ!や、やめろぉぉ!はああっ!」
「ククク…」
鮫島は笑みを浮かべながらカメラを片手に近寄り、
「これを桜井に送りつけてやろう。親友の痴態にアイツはどんな顔をするだろうなぁ?」
(なっ…!)
若月は鬼のような目をしてカメラを睨みつけ、
「くっ…!この外道め!んあっ、こ、殺してやる!絶っ対に殺して…んっ、あっ、はうっ、んぁぁっ!」
振動し続ける機械のせいで、言葉もままならない。
そして、そのビクビクと痙攣する身体を舐めるようにカメラを向ける鮫島。
(嫌だっ!こんな姿、玲香に見られたくない!感じちゃいけない!感じちゃ…!)
そう言い聞かせるが、心と裏腹に、身体は反応してしまう。
カメラは陰部をアップで捉え、グジュグジュと膣を掻き回すバイブ、そこから滴り、下のマットに糸を引いて垂れる愛液をしっかりと収める。
「んんっ!ダ、ダメ…イクっ!またイクっ!いやぁぁっ!」
絶頂する瞬間まで、ばっちり撮影されてしまった。
「ここらで頭を下げたらどうだ?その後の態度次第では俺の女にして気が済むまで愛してやってもいいぞ」
鮫島が勝ち誇った顔で言い、
「悲観するな。今に桜井も同じ目に遭わせてやるさ。親友同士、仲良く俺の奴隷になればいい」
「――」
(れ、玲香…ごめん…)
若月は、覚悟を決めたような目になり、何かを言いたそうに声を上げる。
「何だ?聞こえないぞ?」
鮫島が笑みを浮かべながら耳を近づける。
「さぁ、言え!屈服の言葉を自らの口で言うのだ!」
そして次の瞬間、
「ぺっ!」
鮫島の顔にかかる唾。
「……」
「ハァ…ハァ…わ、私たちを甘く見るな…!このゲス野郎…!殺せよ…私は、死んでも言わないから…」
若月は見上げるようにして鮫島を睨みつけた。
鮫島の顔が、みるみる紅潮し、ふいに、強烈な張り手が頬を目掛けて飛んできた。
「ぐっ…!!」
乾いた音とともに、打ちつけられる若月。
鮫島は鬼のような形相で、
「お前の気持ちはよく分かった…遊びは終わりだ!今、この場で犯し、望み通りに殺してやる!」
と叫び、若月の拘束具を乱暴に外した。
ドサッ…と音を立ててマットに崩れ落ちる若月。
(玲香…後は任せた…私、先に行くわ…)
身体が自由になっても、もう抵抗する余力がない若月は、既に死を覚悟していた。
鮫島は、ビデオカメラを下っ端に渡し、
「一部始終を映せ!コイツの死体と一緒に桜井に送りつけてやるっ!」
鮫島は喚きながら、若月の腰を掴み、無理やり四つん這いにした。
後ろから一気に突き挿してくるつもりだろう。
若月は観念し、ゆっくりと瞼を閉じた。
(さよなら…玲香…)