乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第四部 ANOTHER-07 佐藤璃果&林瑠奈 -defence(守備)-
1.カルテの作成
「くっ…さ、触らないでっ…!」
「や、やめなさいよ、このっ…!」
 同時に伸び、お腹の上に置かれた手の平に揃って声を上げる二人。
 ともに目隠しをされたまま、右へ左に胴体をよじり、払いのけようとする仕草でシンクロしているのが俯瞰で眺める只野にしてみれば微笑ましい。
 まるで供え物のようにベッドに拘束された二人の生贄…その身体の上を、只野が自慢した通り、精密機械のように同じ力、同じ動きで手を這わす双子たち、LとR。
 向かって右のベッドの林はRが、そして左のベッドが璃果はLが相手をする。
 視界を奪われて真っ暗の中、
「さぁ、まずはくすぐりだ!手始めに脇腹あたりからやってやれ!」
 と命じる只野の声が聞こえ、それと同時にお腹の上を置かれていた双子の手の平が揃って脇腹へ。
 蜘蛛が歩くような手つきで、Rは林のスリムな脇腹を、Lは璃果の肉付き抜群の脇腹を、それぞれくすぐり始める。
「くっ…や、やめろ!うざったいんだよッ!」
 と林が荒ぶる一方、璃果は、
「んっ、くっ…やぁっ、や、やめっ…ひぃぃッ…!」
 と、いきなり二人で反応の差が…。



 それを、すかさず、
「ほぅ。どうやらこっちのムチムチ姉ちゃんはくすぐりが苦手みたいだな。開始早々、暴れてやがる。それに対して、こっちの生意気ショートカットはくすぐりは全くと言っていいほど効果なし…早くも体質に違いが出ているぞ、お前たちっ!」
 と口にして寝そべる二人に浴びせる。
 その解説によって、それぞれ、
(相方はお前と違う反応をしているぞ…!)
 ということを暗に伝えているのだ。
「やめろっ…やめろっつってんでしょ!気持ち悪いっ!」
 と強気に身体を振るう林に対し、
「んっ、くっ…やんっ…ひゃはぁッ…」
 と抵抗を口に出来ず、苦手なくすぐり攻撃に上ずった声で悶える璃果。
 そこに、
「よーし、次は腋の下だ!その全開になった腋の下もくすぐってやれっ!」
 と只野の次なる指示。
「ふ、ふざけんなっ…やめろ、触んなッ!あっ、くっ…」
 と、脇腹では全然だった林ですら少し唇を噛む腋へのくすぐり攻撃は、脇腹で既に苦悶していた璃果にとっては大問題。
「ひ、ひぃぃっ!や、やめっ…あっ、あっ…くっ、や、やめろってばぁっ…!」
 もがく身体とシーツとの衣擦れの音が対岸の林にも聞こえようかという好反応。
「おいおい、ムチムチ姉ちゃんの方は早くもピンチじゃねぇのか?始めてまだ一分だぞ!もっとも気合い入れて頑張れよ!ガハハっ!」
 と高笑いでご満悦の只野。
 隣の林からも、
「り、璃果っ…しっかりッ…!」
 と言われてしまう始末だが、そう言う林だって、たまたま今は“璃果に比べると”耐えられるだけで、次の展開次第ではどうなるか分からないという恐怖…。
 そして、その恐怖を現実とするように、
「よし、その流れで耳だ。耳に息でも吹きかけてやれ」
 と命じる只野。
 揃って二人の髪を掻き分け、まず耳を露出させる双子たち。
 そして露わになったそれぞれの耳に、ふぅ…と、これもまた全く同じ肺活量で吐いた息を吹きかける。
 すると…。
「あぁぁっ…!」
 次は、これまで強気だった林が声を上げた。
 当然、只野は見逃さず、
「おっと!どうした、生意気ショートカット。お前さんは耳が弱点か?えぇ?」
「う、うるさいっ…んっ、あぁっ…だ、誰が生意気ショートカット…はぁぁっ…!」
「誰が、ってお前に決まってんだろ?それにしても、なかなかイケメンじゃねぇか。その強気もサマになってるぶん、オンナの声が出始めた時のギャップが楽しみだなぁ?ククク…」
「く、くぅッ…!」
 煽られて唇を噛みつつ、内心、
(え…り、璃果は平気なの…?反応してるの私だけ…?や、やだっ…恥ずかしい…!)
 と妙な恥じらいを覚え、心なしか頬が熱くなる林。
 隣の璃果が耳責めに関しては特に大きな反応を示さないぶん、室内に聞こえるのは林の漏らす吐息だけだから尚更…。
 そして、当然、今さっきのくすぐり責めの時は逆に璃果がそういう思いをしていただろう。
(くっ…こ、これがコイツの思惑…!こういう底意地の悪い辱しめで私たちを…!こ、こんなヤツの思い通りになってたまるものか…!)
 と口を堅く結んで吐息を堪える林だが、そんな彼女の耳に、すかさず、
「んー?どうした?唇を噛み締めてるじゃねぇか…隣のムチムチ姉ちゃんはそんなことしねぇで平気そうだがなぁ?」
(う、うるさいっ…いちいち比べるな!あ、あと…それを口にするなッ!)
 と目隠しの下で睨みの目をして抗議をする林だが、その思いが伝わることはない。
「さーて…次はどうするか…?」
 と只野が口を開くたび、身構える癖が身につき始めた二人。
 少し考える間があったのち、
「女ってのはいろんなヤツがいるからな。中には脚の指をねぶられるだけで感じるようなヤツもいる…お前らはどうだ?脚の指を舐められたら感じるのか?」
「くっ…へ、変態っ…!」
「そんなことあるワケ…うぁぁっ!?」
 よく飼い慣らされた双子たちにとって主君の只野の命令は絶対。
 只野のフリに間髪入れずに反応し、揃って二人の拘束された右の脚首を掴み、まずは親指から順にねぶり始める。



「くっ…や、やめろぉっ…」
「き、気持ち悪いぃぃっ…!」
 指…それもよりによって脚の指を一本ずつ、おしゃぶりにされる嫌悪感。
 当然、その舌遣い、吸引の強弱も寸分違わず同じ。
 シンクロして上がる悲鳴に、
「ほぅ…さすがにこれは二人ともイマイチか。とはいえ、今後の調教の仕方次第では開眼する可能性は大いにある。どう仕上げるかはクイーン次第だな」
 と、独り言も全て口にして聞かせる只野。
「や、やめ…やめろっつってんだろぉッ!」
 と、たまらず声を荒げる林と、かたや、
「くっ…こ、このっ…!」
 と蹴散らそうとムチムチした脚を必死に突き出す璃果だが、可動域ゼロのガチガチ拘束のせいで思うようにヒットさせることが出来ない。
 こんなにも目の前に顔があるのに…いや、もっと言えば既につま先に頬が触れているのに…悔しいかぎりだ。
 さらに只野の指示は続き、
「よーし、そのまま舌を這わせて上がってこい!足の甲、くるぶし…すね、ふくらはぎ…膝、そして内もも…どこに性感帯が散らばってるか分かんねぇからな。ゆっくり、じっくり確かめながらだぞ!」
「ラジャー…」
 と一言、感情の起伏もなく口にした双子たち。
 ねっとりした舌が、線を引くようにして二人のそそる脚を登ってくる。
 それも、どちらかが少し前に出たり、そういうことは一切なく、完全な横並び…同着狙いの同時進行。
 そして、時折、
「んんっ…♪」
 と、どちらともなく反応があれば、すかさず左右どちらの舌もそこで停留する。
 おかげで反応の主は妙な性感に艶めかしい吐息を漏らし、対するもう片方は、その間、嫌悪感をに耐える羽目になる。
 やがて、ゴールの太ももまで到着した双子たちの舌。…だが、間髪入れず、
「それじゃ、次は反対側の脚だ。中には左足は別にで右足のココだけが異様に感じる…ってヤツもいるからな。一点たりとも逃すな」
「ラジャー…」
 徹底された性感帯の探索…只野の指示で次は反対側の脚も、再び指しゃぶりから始まって美脚登山の開始。
「くぅぅっ…」
「い、いいかげんにしなさいよぉっ…」
 二人の額に浮かぶ脂汗…嫌悪感によるものでもあれば、性感帯を見つけられてしまった焦りで噴き出たものもあるかもしれない…。
 そしてようやく両脚の舌先登山が終了、もとい、生き地獄の時間が終了。
 まるでカタツムリが這ったように残る一筋の道…舌が登った道筋に付着して光る唾液が何とも生々しい。
 これ以上ないような精神的苦痛で心なしかぐったりの二人。
 双子たちの舌が離れていったので、
(…お、終わった…?)
 と思いきや、
「よーし、同じように次は腕だ!まず右、そして左…これも隅々までやってやれ!」
 と非情な只野の命令。
 結局、次は左右の腕にも指先から肩口まで丹念に唾液の道をつけられ、すっかり全身に鳥肌が立ってしまった二人。
 時折、
「んんっ…♪」
 と、不本意な吐息が漏れてしまい、そのたびに互いに堪える顔をする二人。
 すると只野は、
「ちなみに、お前ら、さっきからそうやって反応したことをすぐ無かったことにしようとしてるが、無駄だからな?それぞれ、良い反応を示したところは、すかさず俺がこっちでちゃんとメモってやってるからよ」
「くっ…!」
「こ、このゲス野郎…!」
 相変わらず気丈な林だが、
「なに?ゲス野郎だと?このガキ…」
 怒りではない…むしろニヤニヤしているのが見なくても分かる不敵な含み笑いとともに近寄ってくる気配がして、目隠しの顔の上から、
「ゲス野郎で何が悪いんだよ?耳とふくらはぎ、さらには二の腕にも性感帯を秘めている林瑠奈ちゃんよ!」
「くっ…き、貴様あッ…」
 確認済みの性感帯を口に出して羅列するという意地悪な反撃をされ、つい赤面してしまう林。
 それも、以前から自分で把握していた部分もあれば、今、言われて初めて知った部分もあるだけに複雑だ。
「ククク…いいんだぞ?違うなら違うって否定してくれて。実証実験だって時には間違いってこともあるかもしれねぇからよ…いや、さすがにないか。だって“実証”されたんだからよ。ギャハハハ!」
「…く、くそっ…」
 唇を噛む林を豪快に笑い飛ばした只野は、そのままクルッと反転し、
「お前もだぞ?佐藤璃果。全体的にくすぐり攻撃に弱め…さらに膝の皿と内ももが性感帯…なぁ?当たってるだろ?黙ってないで何とか言えよ、おい」
「うぅっ…」
 林に続いて璃果も赤面し、ぐうの音も出ない…。
 そんな二人の反応にご満悦の只野。
 目隠し状態の二人には見えていないが、その手にある調査結果をまとめたバインダーを高く掲げ、
「このカルテは、あとでお前らの取扱説明書としてクイーンに渡しておいてやる。これを元に、後日、しっかり開眼させてもらうといい」
 と楽しげに声を上げ、そして、

「さーて…こっからはわざわざ調べるまでもない“女なら誰でも感じるところ”も触っていこうか!」
 
 室内に響き渡った次のステップへの移行宣言。
 それと同時に、
「きゃっ…!」
「つ、冷たい…!」
 目の見えない中、いきなり二人のへその穴めがけて垂らされたオイル。
 すかさず双子たちの手が這い回り、依然として同じ動きをしながら、二人の身体をまずは下着の上から全身オイル漬けにしていった…!



 ひんやりとしていて思わず身震いをしてしまうが心配ない。
 すぐに熱くなるのだから…。


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2022/11/17(木) 00:00 )