乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































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第四部 ANOTHER-07 佐藤璃果&林瑠奈 -defence(守備)-
プロローグ -余興-
「り…か!…ねぇ、璃果っ!璃果ってば!起きてよ、璃果ッ!」
「…うぅ…」
 名前を何度も連呼され、ようやく目を覚ました佐藤璃果。
 寝ぼけ眼…頭がぼんやりしてここが何処かも分からない中、ひとまず目を開けた時点で視線は天井を向いていた。
 そして顔を横に倒すと、谷を挟んだ隣のベッドには相棒の林瑠奈がいたが、彼女は手足を拘束されて動けずにいた。…いや、違う。自分もだ。
 自分も林と同様、ベッドの上で「X」の字に拘束されて身動きが取れない状況なことに気がついた。



「な、何これ…!」
 ベッドの四隅に繋がれた手足の拘束。
 しかも、いつの間には自分も林も服を脱がされ、あとはブラとパンティを残すのみの下着姿にされているではないか。
「くっ…!くっ…!」
「くそっ…びくともしない…!」
 必死にもがく二人だが、四方に伸びるロープは、璃果と林、それぞれ二人の身長を加味した上で限界まで引っ張られているため、可動域はほぼゼロ。
(やられた…完全に裏をかかれた…)
 と、もがきながら悔やむ自分たちの不覚…。
 捕らえた男から情報を聞き出そうと嬲り殺しにしていたまではよかったが、その獲物にした男が実は体内に追跡チップを埋め込まれた囮役だったとはさすがに想定外だった。
 二人はなおもジタバタもがきながら、 
「と、ところで、ここは何処…?」
「分かんない…私も今さっき目を覚ましたばっか…」
「と、とにかく脱出しないと…」
「う、うん…それは分かってるんだけどさッ…」
 一向に離れない拘束具。
 そんな中、部屋の外から聞こえる足音を耳にした林。
「しっ…誰か来た…!」
 と呟くと同時に、ガチャ…と部屋のドアが開き、男たちが入ってきた。
 先頭にいるのは、さっき、二人が男を嬲り殺しにしていた部屋に、突然、踏み込んできた男、只野…。
「おっ!仲良く起きてるじゃねぇか、お前たち…♪」
 とニヤニヤしてベッドに拘束された二人を見比べる只野。
「木島が世話になったようだな。それに関しては改めて礼を言っておくぜ。いやぁ、それにしても聞けば聞くほど恐ろしいヤツらだ。まさか二人がかりで男のケツを掘るとはねぇ…♪」
「くっ…!だ、黙りなさい…!アンタも同じ目に遭いたいの!?」
「いいから早く外しなさいよ、これぇッ!」
 と文句を言う二人だが、只野は笑って、
「クイーンが今から来る。あと一時間ほどで着くそうだから、少なくともそれまではそのままでいてもらおうか」
「ク、クイーン…?」
「だ、誰よ。それ…!」
「おっと失礼。クイーン…今日からお前たちを引き取って面倒を見てくれる女だよ」
 と只野は口にしながらチラッと腕時計を見て、
「…とはいえ、およそ一時間、ずっとその状態で待ちぼうけも退屈だろう?今回はお前ら二人ともクイーンに譲ってやることにしたが、捕らえたのは俺の手柄だ。手放す前に少しぐらいツバをつけてもバチは当たるまい」
「くっ…!」
「よ、寄るなっ…!」
 万事休すの拘束状態でも咄嗟に身構える二人。
 只野は、そんな二人のベッドの間の谷間に歩みを進めると、それぞれの顔の上にアイマスクを示し、それをまずは林に、そして対岸の璃果にも装着していく。
「や、やめろっ…何をする…!」
「は、外しなさいッ…!」
 と喚くのも虚しく、あっさり視界を奪われる林と璃果。
 こうしてガチガチに拘束されたまま目を塞がれ、あとは耳だけが頼りとなった二人に、

「いいか、よく聞け…今、ここに二人の男がいる。どちらも俺の舎弟で双子なんだが、ずっと手塩にかけて育ててきた甲斐あってめでたく女体拷問のスペシャリストとなった。クイーンが到着するまでまだ一時間あることだし、コイツらを交えてちょっとした余興で楽しませてもらおうじゃないか」

「よ、余興…?ふ、ふざけんなっ…!」
「勝手なこと言ってんじゃないわよ…!」
 目隠しのまま言い返す二人に構わず、只野は語りを続け、

「この双子は俺の熱心な指導により、ある“特殊な技能”を習得した。それを今からお前たちに味わってもらおう」

「と、特殊な技能…?」
「ど、どういうこと…?」
 揃って戸惑う二人に、只野は自慢げな声色で、

「名付けて『シンメトリー(左右対称)』…この2つのベッドの谷間を境に、まるで鏡に映したように、指…そして舌…そしてチンコの大きさからピストンの速さまで、女体への愛撫を二人まったく同じ力で、まったく同じ動きで行うことが出来るのさ」

(な、何ですって…?)
(そ、そんなこと可能なの…?)
 千差万別と言われる性のテクニック…指遣い…舌遣い…そしてアソコのサイズからピストンの速度まで、世の男性すべてが十人十色、唯一無二の筈だ。
 それを、ロボットならともかく、いくら双子とはいえ、生身の人間同士で、動き、力の強弱、全く同じ動作が出来るなんて、そんなことが果たして可能なのかと半信半疑ながら絶句する二人。
 只野は、さらに意気揚々と語り続け、 

「これで何が分かると思う?全く同じ動き、力、テクニックで同時に責められるお前たち二人…つまり、個々の性感帯や感度ももとより、どっちがより敏感で、よりスケベか…乳首が弱いのはどっちか、クリトリスが感じやすいのはどっちか…そんなことも全て丸裸にできるというワケだ」

「くっ…!」
「ふ、ふざけたマネを…!」
 と口では悪態をつきつつ、内心、戦々恐々としている二人だが、それも当然。
 これより、お互いの感度や性感帯が全て白日の下に晒されてしまうというのだ

「ククク…さぁ、クイーンが到着するまでの間、心地よい嬌声のハーモニーを奏でてもらうとしようか!」

 と声高らかに口にした只野。
 顎をしゃくって合図を送ると、差し向けられた双子たちは、それぞれ林と璃果が拘束されたベッドの脇に陣取り、ゆっくり、互いに同じ角度で二人の身体にその手を伸ばしていった…!
 


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2022/11/10(木) 00:35 )