4.忌まわしき拷問マシーン -序章-
「ククク…どうした?表情が強張っているぞ?」
「う、うるさい…!」
浴びせられる柴崎の憎たらしい笑み。
未央奈の目の前に運び込まれた忌まわしきハケ水車、そして分娩台。
「よし、移せ」
という柴崎の指示で、ザッ…と未央奈の周りを取り囲む男たち。
「へへへ…暴れたけりゃ暴れてみろよ」
という挑発とともに一つずつ手足の拘束が解かれた。が、いざ暴れると、
「おらっ!往生際が悪りーんだよッ!」
「一人でどうにかなると思ってんのか!?」
「おとなしく俺たちのオモチャになりゃいいんだよ、コラ」
「くっ…!」
すぐさま周りの男たちの次々と伸びる手に押さえつけられ、満足に抵抗もできない。
そして、あっけなく四肢を担ぎ上げられるようにして分娩台に移された未央奈。
カチッ、カチッ…と、再度、拘束具の留められる音がすると、
「へへへ。残念、サービスタイムは終了だ」
「逃げ出すチャンスだったのにな」
「気合いが足りなかったんじゃねぇか?へっへっへ」
「き、貴様ら…!」
ぐるりと周りの男たちを睨みつける未央奈。
多勢に無勢…そもそもかなり無理があるほんの束の間の抵抗だった。
こうして、左右の手は顔の横、あられもない開脚状態での分娩台拘束が完成。
そして、その今にも裂けそうなスーツパンツの股ぐらの部分にあてがうようにセットされるハケ水車。
柴崎は、そのハケの毛先を指でなぞって、
「ククク…前回はここにたっぷり媚薬が含んであって、そのせいで、つい、あんな醜態をカメラの前で晒してしまったということだったな?」
「…そ、そうよ…変なクスリさえ使われていなければ、あんなことには…」
「なるほど。では、今回はお前の言い訳に免じて、クスリは使わずにやってみよう」
「━━━」
「…どうした?まだ自信なさげだぞ?」
「…そ、そんな筈ないでしょ…クスリさえなけりゃ、こんなくだらない装置、余裕に決まってるでしょ…!」
「そうかい。では、健闘を祈る」
と、余裕たっぷりの含み笑いを残し、一歩下がる柴崎。
「よし、始めろ!水車を回せ!」
の号令とともに、下っ端の一人がスイッチを入れ、ハケ水車を稼働させる。
カタカタ…カタカタ、カタカタ…!
最初はゆっくりと回転を始め、そこからだんだんスピードに乗ってくるハケの回転。
その柔らかな毛先が、未央奈の大きく開いた股間を次々になぞっていく。
「…くっ…」
ふと、小さく声を上がったのを柴崎は見逃さず、
「おや?早くも唇を噛むのか?まだ序盤も序盤、それも服の上からなんだから、もう少し無表情を守ってもらいたいねぇ」
「う、うるさいわね…別に何ともないわ…」
と気丈に振る舞う未央奈だが、それを聞いて柴崎は、
「フッ…だったら構わんが」
と笑っただけ。
ファサファサとスーツパンツの股ぐらを高速ですり抜けるハケに、嫌でも思い出す前回の醜態。
(…ダ、ダメだ…思い出しちゃダメだ…心を無にしないと…身体が…思い出してしまう…)
天井からぶら下がる裸電球を見て誤魔化す未央奈だが、そんな彼女を逆撫でするように、横で再び再生される裏ビデオ。
「あぁん♪ダ、ダメぇっ…!ア、アソコが…アソコがくすぐったい…♪」
と、まさに今と同じ状況、ハケ水車責めに悶絶する自身の嬌声をスピーカーで聞かされ、つい気が散ってしまう未央奈。
たまらず、
「い、いつまで流すつもり…!?は、早く消しなさいよ…!」
と文句を言うも、柴崎は意に介すこともなく、
「周りを気にするより、自分のことに集中した方がいいんじゃないか?これは私が好きなシーンだから流しているだけだ。ここからもっといいシーンだから、むしろ静かにしてもらいたいねぇ」
「くっ…!こ、この…」
いちいち癇に障る男だが、さすが一派の長、神経を逆撫でして冷静さを失わせるのが上手い。
そして、いかなる女体拷問にも共通する未央奈の致命的な弱点、クスリ抜きでも敏感すぎる感度…!
「んっ…んんっ…!」
股を衣服越しに優しく刺激する毛先の感触に、次第に吐息が漏れ始める未央奈。
すかさず男たちが、
「へへへ…ボス。見てくださいよ。さっきまで偉そうなこと言ってたわりに、このザマですぜ」
「甘い声が聞けるのも時間の問題ですかねぇ?」
「だ、黙れっ!誰が…!あっ、うぅっ…」
威勢のいい啖呵すら最後まで言い切れなくなってきた未央奈に、
「ククク…あまりヘタに身体を揺すらない方がいいぞ?何かの間違いで、予想外に気持ちいい当たり方をしてしまうかもしれんからな」
悔しいが、それは確かにその通りだ。
挑発に乗ってヘタに身体を動かすと、思いもよらぬ刺激に襲ってくる…そんなハケ水車の脅威を未央奈は前回も身にもって体験している。
「んっ、くっ…く、くぅっ…」
唇を噛み、右へ左へ首を振るう未央奈。
手足の拘束具を揺する力も強くなってきた。が、
「無駄だ。いくらもがいても絶対に逃げられんよ」
と、現実を突きつける柴崎の冷静な一言。
そこに輪をかけて、
「おらおら、どうしたぁ!」
「まだ服の上からだぞ!下着だって残ってる。そんなことじゃ先が思いやられるなぁ?」
「さっきまでの威勢はどこ行ったんだよぉ!?」
と一斉に浴びせられる野次。
「くっ…くっ…」
と、わずかな可動域で必死に身体を捻る未央奈に対しても、
「おいおい、なに動いてんだよ」
「ここに当たんなきゃ意味ねぇだろ、ここによ」
と、わざわざ分娩台の背後に回って身体を押し出す男たち。
なおも回転するハケはスーツパンツ越しの股ぐらにクリーンヒット状態。
やがて、
「んっ、あぁっ…あっ、あっ…♪」
「おぉ?可愛い声が出てきたんじゃねぇか?んん?」
「ほら、もっと聞かせろよ」
と、取り囲んで一斉に耳を澄ます。
「あぁっ、や、やめろっ…うぁぁぁっ…!」
徐々に見え始めた明らかな焦りと頬を伝う脂汗。
いくらリハビリに励んでも、いくら立ち直って戦線復帰しても、いくら威勢よく振る舞っても、生まれつき敏感な感度は変わらない。
股ぐらを延々とかすめる繊細な毛先の連打に、
(んっ、くっ…ダ、ダメっ…イッちゃうっ…!)
と、唇を噛み締める未央奈。
真夜中の薄暗い廃工場。
仲間の助けも届かないケダモノたちの巣で、とうとう、復讐を誓った筈の未央奈は、あっけなく、
「…んんっ…♪んっ、んっ…!」
と声を殺したまま、分娩台の上で拘束された身体をビクビクと震わせた。
それを見て一気に沸く男たち。
「おぉ!?早くも来たか!?」
「イッたべ?今、確実にイッたべ?」
「まったく情けねぇヤツだ。あれだけ大口叩いといて、あっさりイキやがった!」
「━━━」
盛り上がる男たちとは対照的に、みるみる頬が紅潮する未央奈。
なおもハケ水車は回転し続ける中、柴崎も笑みを堪えきれず、
「フッ…ビデオで見た通り、媚薬抜きでも敏感なヤツだ。思っていたより早かったぞ」
「…だ、黙れ…くっ…」
小さく吐き捨て、そっぽを向く未央奈。
あの時とまるで同じ…こんな悪趣味なマシンで、結局またイカされた…。
それだけでも消え去りたいぐらい屈辱なのに、柴崎は、依然ハケが当たり続ける股ぐらを覗き込んで、
「ほぅ。これでも少しは成長したようだな。
まだ、おもらしまではしていないようだ」
と、前回、むず痒さのあまり失禁してしまったことを引き合いに出して痛烈な皮肉。
(コ、コイツら…ホント、マジで殺したい…!)
と、恥に震える未央奈に対し、
「ということで…罰だな」
と、呟く柴崎。
イッてしまったら罰がある…初耳だ。
「くっ、んんっ…な、何をする気…?」
と、警戒する未央奈に、
「なに…一回イクごとに、装備を一つずつ剥いでいくだけさ」
と言った柴崎は、
「時間はたっぷりある。じっくりと行こう。まずは…最初だからヒールにしておくか」
拘束された未央奈の右脚からヒールを脱がせ、無造作に放り投げる柴崎。
片足だけヒールを脱がされ、滑稽な未央奈だが、なおもハケ水車地獄は続く。
「んっ…んんっ、あっ…」
「ククク…さて、ちゃんと厚着はしてきたか?少しでも時間を稼げるといいなぁ?」
と煽り、むず痒さに悶える未央奈を舐め回すように見る柴崎。
未央奈に課せられたハケ水車による拷問プログラムその1、一回イクごとに装備が奪われていくイキ嬲りストリップは、まだ始まったばかりだ…!
(つづく)