乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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<番外編>Member's Private Act ━女捜査官たちの素顔━
生田絵梨花との思い出のクリスマス
 そして来たるクリスマスイブ。
 俺たちは渋谷で待ち合わせをした。
 幸い…といえば言いのか、絵梨花が懸念していた「厄介な事件」の類は特に何も起きなかったようだ。
 面倒なら、

「厄介な事件が起きちゃったから、今日、ちょっと厳しいかも…」

 と、それを理由に使えば簡単に回避に出来たものを…だ。
(やっぱり絵梨花は優しいな…)
 そんな彼女の優しさに付け入った形で取りつけた最後のデート。
 帰り際、今日を含めて今まで楽しい時間だったと思えるように、ここからは1分、1秒でもしっかり噛みしめながら過ごしたい。
「すごいね、人…」
「そうだな…渋谷だもんな」
 クリスマスイブ当日の渋谷…普段から混んでいるとはいえ、特に今日はカップルでごったがえしている。
 俺自身はこの一週間、絶えず自分に言い聞かせてきたし、おそらく絵梨花もしっかり割り切って来てくれたのだろう、二人に破局の悲壮感は一切ない。
 何なら、付き合いたての頃のあの初々しい気持ちの方が心境としては近いぐらいだ。…とはいえ、この一週間、連絡を取り合っていないから行くアテもないノープラン。
「とりあえず、どうする?どこか行きたいところある?」
 と聞くと、絵梨花は少し考えて、
「お台場…って混んでるかな?」
「混んでるんじゃない?何てったってクリスマスイブだし…渋谷でもこれなんだぜ?」
「そっか…」
「でも、いいよ。絵梨花が行きたいなら行こうよ、お台場」
 とフットワーク軽めで動き出す俺。
 どーする?こーする?と迷っている時間がもったいないからだ。
 よって、交わす会話も歩きながら。
「ちなみにだけど、何でお台場?」
 と聞くと、絵梨花は少し照れたような顔で、
「だって…二人で初めてデートしたところだから…なんとなくだけど…」
「……」
 最後のデートで、最初にデートしたところへ行く…悪くない提案だ。
 お台場というと、ゆりかもめでのアクセスが思い浮かぶが、実のところ、渋谷からなら、りんかい線直通の電車に乗った方が一本で行けて便利だ。
 ホームに行くとちょうど目当ての電車が来たところで、そこから混んでる電車に揺られること20分、「東京テレポート」という駅で降りれば、ちょうどフジテレビの建物の裏側あたりに出る。
 地下駅から地上に出ると、冷たい風に包まれた。
「うぉー、寒ッ!」
 海の近くだから渋谷よりも風が強い。
 いつも通り、何の気なしに半歩後ろの絵梨花に向かって手を差し出しかけたところで、俺は、ふと考え込んだ。
(これって…手を繋いでいいのかな…?)
 名目上は今日が最後のデートだが、厳密に言えば先週のカフェの席で別れを切り出されているから…微妙なところだ。
 そんな、どうしたものかと思っていると、意外にも絵梨花の方から、
「寒いよ…手ぇ貸して?」
 と俺の手を握り、そのまま握った手を俺のコートのポケットに突っ込んだ。
 デートの時、よくしていた恋人繋ぎ&ポケットイン。
 それを今日もしてくれたのが嬉しかった。
 そのまま、アテもなく、二人でクリスマスのお台場を散歩。
 案の定、ここもカップルだらけだが、傍目だけなら俺たちだって仲睦ましげなカップルに見えるだろう。
「そうだ、あそこ行ってみようか!ほら、初デートの時に行ったアクアシティのレストラン!」
 と提案すると、絵梨花はニコッと笑って、
「いいよ、行こう♪」
 と言ってくれた。
 そして向かったアクアシティの思い出のレストラン。



 こんな日のこんな時間だからやはり混んでいて少し待たされたものの、それでもわりとすぐに入店できた。
 注文したのはパスタとピザ、そこにお酒も少々…。
「懐かしいね」
「うん、懐かしい」
 と言い合い、笑顔で最後の乾杯を交わした俺と絵梨花。
 席につくまで、今日はこのデートだけに集中しようと決めていた。
 それを楽しむための今日だと思っていた。
 だが、いざ席について落ち着いてしまうと、つい、
「ドイツってさ、何が有名?名物料理って何?」
 と、別れた後のことを聞いてしまう俺。
 どれだけ吹っ切れたフリをしても、やっぱり別れるのは寂しい…自分に対してつくウソにも限界があった。
(ダメだ、ダメだ…!これじゃ、最後にワガママ言ってわざわざ時間を作ってもらった意味がないッ…!)
 強がりのメッキが脆くも剥がれ落ちたことで、内心、焦りだす俺。
 その焦りを何とか抑えようと、そこで酒に頼ったのがいけなかった。
 調子に乗って何杯も飲んでしまい、店を出る頃には頭がぼんやりしてフラフラ…。
「ちょ、ちょっと…大丈夫なの?」
 と最後のデートで絵梨花に心配される始末。
 酔いざましに外の風に当たろうにも、真冬の風では寒すぎて割に合わない。
「もぉッ…何であんなガブガブ飲んだの?」
 と呆れる絵梨花に対し、本音は、

(決まってんだろ…別れたくねぇからだよッ!)

 が答えだが、今日はそれは言わない約束なので、一言、
「ご、ごめん。つい…いけるかな、と思って…」
 と絞り出すのが精一杯。
 結局、最後までピエロ…カッコ悪いことこの上ない。
(せめて最後、駅までは送ってやりたかったけど…こりゃ、厳しいな…)
 と、うなだれる俺。
 もうこれ以上…最後の最後まで迷惑をかけるのも忍びないので、
「俺のことなんてほっといて先に帰りな?俺なんて別にどうとでもなるから…」
 と吐き気の隙間で声を絞り出す俺。
 それを、
「そんなワケにはいかないよ!そんなの心配じゃん!」
 と一喝した絵梨花。
 足元のおぼつかない俺の肩を抱き、ヨタヨタと道路に出ると、ちょうど運よく走ってきた流しのタクシーに向かって手を挙げた。
 ドアを開ける運転手。
 酔客だからイヤそうな顔をされるのも仕方ない。
(とりあえず、ウチの住所、言わなきゃ…)
 というのは分かってるが、すぐに言葉が出ない。
 すると絵梨花も一緒に乗ってきて、代わりに運転手に行き先を言ってくれた。
 お互い、家への行き来があったから、絵梨花も俺の家の住所を知っている。
 代わりに言ってくれて助かる。…と思ったが、絵梨花が運転手に告げた行き先は俺の住所ではなかった。
「四ツ谷まで」
 走り出したタクシーの行き先…それはウチのマンションではなく、絵梨花のマンションだった。

……

 タクシーで半時間ほど走り、到着した絵梨花のマンション。
「しっかりしてよ、ほら」
 と腕を抱いてタクシーを降ろされ、エントランスを抜けてエレベーター。
 その頃には少し酔いも落ち着き、そこが通い慣れた絵梨花のマンションだということも分かったから、
「いいって、いいって…これ以上、迷惑かけたくないから…」
 と遠慮するも、
「迷惑はもう充分かかってんのッ!今さら気にしても一緒でしょ?」
 と言われては返す言葉が無い。…マジで無い。
 こうして、介抱という名目で、最後のデートにもかかわらず、家にお邪魔することに…。
 よく二人でイチャついたソファーに寝かされ、ぼーっと天井を見上げる俺。
(何やってんだ、俺…)
 冷静になればなるほど情けなくなる中、酔い覚ましに熱いお茶を淹れてくれた絵梨花。
「熱いからヤケドしないでよ?余計なこと気にしないで、ゆっくり飲んでいいから」
 と言ってくれるのが優しくて染みる。
 お言葉に甘えてチビチビと口にしながら、なんとなく見渡す部屋の中。
 最後に来た時に比べて心なしか家具や物が減っていて、部屋の隅には見慣れない大きなキャリーケースが置かれていた。
 それを見て、
(本当に行っちゃうんだな、ドイツ…)
 と痛感する。
 俺がそんな妙な感傷に浸っている隙に着替えを済ませ、ルームウェアで戻ってきた絵梨花。
 これもよく見た姿。
(…ダメだ。早くここから立ち去らないと、余計な思い出ばかりが蘇る…!)
 という気になる俺だが、一方の絵梨花は帰宅したリラックスムードもあってか、妙に自然体で、
「ねぇ。アルバム見る?一緒に熱海行った時のヤツ…♪」
 と言って思い出のアルバムを出してくる始末。
 温度差に戸惑いつつ、断りようもないので一緒に思い出を遡る。
 仲見世で食べ歩き、パワースポットと名高い来宮神社にお参りし、海岸を散歩して、ロープウェイで山を登った。
 面白半分で入った秘宝館で、絵梨花が、終始、赤面して顔を手で覆っていたのを俺も覚えている。
「ユースケが悪いんだよ?有名な美術館とか言うから、てっきり、ちゃんとした絵画とかの美術館だと思って行ったのにさ」
 と、思い出したように愚痴を言い、したくもない思い出話なのに花が咲いてしまう皮肉…。
 しまいには、
「その時に買ったお守り、今もちゃんとつけてるよ…♪」
 と二人で買った恋愛成就のお守りまで見せられる始末。
 それを見せられた瞬間、ふと俺の中で思考回路が切り替わった気がした。
(この部屋から出たら俺たちの関係は終わる…まだもう少し…もう少し恋人同士でいさせてくれ…!)
 そう思った瞬間、俺は、絵梨花の身体をいつものように抱きしめていた。
「んッ…!」
 抱き寄せられて小さく声を漏らした絵梨花だが、抵抗する様子は…特にない…。
 それをいいことに、と言ってしまうと聞こえが悪いが、そっと口を突き出し、キスを仕掛ける俺。
 ここでも絵梨花は抵抗する気配はなく、俺の口づけを受け入れてくれた。
 ただ…自分からは来ない…あくまでも俺を拒否しないだけ…。
 その振る舞いを見て、ふと、

(最後の片道切符…)

 という言葉が脳裏に浮かんだ俺。
 女の勘は鋭いとよく聞く。  
 もしかしたら絵梨花は、今日、待ち合わせをした時点から…いや、先週のカフェからずっと、俺の虚栄を察していたのかもしれない。
(最後は笑顔でサヨナラ…なんてのは、俺の器じゃないんだな…)  
 やはり俺みたいな男は、最後の最後まですがることしか出来ない。
 そのラストチャンスを絵梨花がくれた…。
 笑顔なんていらない…最後まで情けなくすがって、気が済むまですがって、それで吹っ切ってサヨナラするしかない。
(それでよかったんだ…別れる最後にカッコつける必要なんてなかったんだ…)
 そう思えば思うほど、俺は、絵梨花をきつく抱きしめ、絵梨花の唇を割って口の中に舌をねじ込んでいた。
「んっ、んっ…」
 嫌がって噛んだりはしない…飛び込んできた俺の舌を素直に迎え入れはする。
 舌と舌の絡め合いも、うわべだけはしてくれる。
 ただ、そこで今までなら絵梨花からのアプローチもあったが、今夜はそれだけが無い。
(仕方ない…片道切符だから…)
 それでも構わないと、夢中で舌を絡め、吸い上げる俺。
 勢いそのままにソファーに押し倒し、ぶるんッ…と弾んだ胸の膨らみに手を添え、揉みしだく。
「んっ…んんっ…♪」
 つい声が漏れる絵梨花。
 お情けで片道切符を貰った身分で長々と時間を使う気はない。
 ルームウェアを捲り上げ、ブラをズラして、今まで俺に虜にしてきた豊乳を引っ張り出し、次は直に揉みしだく。
「あっ、んんっ…♪んっ、んっ…♪」
「絵梨花ッ…絵梨花ぁッ…」
 取り憑かれたように名を呼びながらその弾力を鷲掴みにする俺。
 少しでも拒否されたその瞬間、片道切符の効力は切れたも同然…。
 ここまでかもしれない…これ以上はさせてもらえないかもしれない…そんなドキドキをはらみながら展開する俺の最後のすがりエッチ…。
 先端の突起を指で弾く。
「んんッ♪あぁッ♪」
 と好反応を見せる絵梨花。
 この反応を見るかぎり、まだ拒否される気配はないと踏み、俺は、今まで何度もしてきた通り、絵梨花が悦ぶ弄り方をする。
「あっ、あっ…んんッ♪あぁんッ♪」
 ビクビク身体をを震わせて反応する絵梨花。
 やがてその二つの突起はゆっくり硬化を始め、感度も増してくる。
 ピンコ勃ちになったところで舌を出して舐めにいくと、

 ぺろんっ…♪

「ひぃぃッ♪」

 ぺろんっ…♪

「あっ、あっ…♪」

 ジュルルル…♪

「ふにゃぁぁッ♪」
 吸いついた瞬間、猫のような鳴き声で悶えた絵梨花。
 なおも乳首を責めて翻弄しながら、寂しそうな股ぐらにもそっと手を伸ばす。
 レコードをスクラッチするようにズリズリとルームウェアの上から擦ってやると、
「あんっ、あんっ♪んんっ…♪」
 と、絵梨花の喘ぎ声がさらに上ずる。
 衣服の上からでは飽き足らず、モゾモゾとルームウェアの、さらにパンティの中に侵入し、直接、触りにいく。
 潜る指先の前に立ちはだかる茂みを真っ向から突破。
 その先にある泉は、しっとりと濡れていた。
 そこに指の腹を浸け、穴の周囲を抉るように指圧すると、
「あぁッ♪んんっ、んんっ…んあぁぁッ♪」
 と、また声が大きくなり、そして、一言、

「んっ、あぁっ…ヤ、ヤバいぃッ…声出ちゃう…気持ちいいッ…♪」

(…!)
 片道切符の身分としては願ってもない言葉。
 この声が聞けるうちは、まだもう少し効力が切れることはないだろうという安心感。
 それでよって片道切符の分際で気が大きくなった俺は、次に、その少し上に鎮座する半勃ちのクリトリスに狙いを定める。
 ここを愛撫すれば絵梨花の声が跳ね上がることを知っている。
(あれだけいつもアンアン言ってた場所だし、今さら嫌がったりはしない筈…)
 と、意を決し、その半勃ちクリトリスに指を伸ばす。
「はひぃぃッ♪」
 触れた瞬間、電気が走ったように仰け反った絵梨花。
 拒否されたら終わりという中、絵梨花の口から飛び出した第一声は…。

「ああっ、そこ好きぃッ…!もっと…もっと触ってぇッ♪」

(…ふぅ…)
 効力継続にホッとする。
 まるで懐かしの「アメリカ縦断ウルトラクイズ」に参加している気分…。
 どうにかここまで場当たりで運よく「○」のパネルを突き破ってきているが、ここからいつ「×」を選んでしまうか分からない。
(絵梨花の場合、とりあえずアナル系は絶対「×」だからな…)
 ラブラブの時ですらアナルだけは徹底的に拒否だったから間違いない。
 なおもクリトリスを責めてやりながら、絵梨花が感じて蕩けている隙にパンティを下ろし、乳房に続いて秘部も晒す。
(これだよ、これ…♪)
 何度見ても興奮を掻き立てられる生え際がエロティックな陰毛。
 すっかりトロトロの蕩け具合に誘われ、立てた中指を挿入してやると、
「あぁっ、ゆ、指ぃッ♪気持ちいいぃッ♪」
 と咄嗟に俺の身体にしがみつく絵梨花。
 こうなると普段していたエッチと大差ない。…が、まだ油断は禁物。
(ク、クンニは…?クンニはどうだろう…?)
 少し冒険だと思いながら、おそるおそる絵梨花の股にゆっくり顔を埋め、ぐしょぐしょの秘貝を舐めた俺。
「んあぁっ!?」
 ビクッと腰が浮き、太ももにも力が入った。
 そして、次に出た言葉は、

「あぁっ、き、気持ちいい…気持ちいいよぉッ…♪もっと…もっとしてぇ…♪」

(よし、セーフッ!)
 そうと分かれば、望み通り、激しくしてやる舌遣い。
「あっ、あっ…♪んんっ、もっと…もっとぉッ…♪」
 この興奮を誘う喘ぎ声と可愛い反応を堪能できるのも今日が最後。
 俺なりに磨いてきたテクを、今ここで全て大解放だ。
「ひ、ひぃぃッ…♪」
 ぎゅっと締まる太ももが俺の頭をホールド。
 クンニの標的をクリに変えると、いよいよ悲鳴に近い声を上げ、挟んだ俺の頭をすり潰すようにグリグリと両太ももを擦り合わせた絵梨花は、
「あぁっ、イ、イクっ…!イク、イクッ!あぁっ、イクぅぅッ♪んはぁぁッ…!」



 腰を跳ね上げ、ビクビク痙攣して果てた絵梨花。
 相変わらず、清楚な見た目に反した豪快なイキっぷり…。
 これももう見れなくなると思うと寂しい。
 何てったって、俺の股間を一瞬でカチカチにしてくれる大好物のオカズだから…。
 おかげで今日も、ジーパンの中で完全に勃起した俺のイチモツ。
 そして、ここが一つの正念場となるだろう。
(別れる男のチンコなんて、もう見たくないだろうな…)
 と思いつつ、俺だって、ここまで来ておいて打ち止めで終わるワケにはいかない。
(断られたら終了…断られたら終了…)
 言い聞かすように心の中で何度も復唱しながら、意を決してジーパンとパンツを下ろす俺。 
 そして、勢いよく飛び出したイチモツを、イッた余韻に浸ってハァハァ言ってる絵梨花の手を取り、握らせてみる。
(ドキドキ…ドキドキ…)
 血相を変えたように嫌がられたら意外とショックだが、果たして…。

 …ギュッ♪

(おぉうッ…♪)
 ゆっくりと締まる指で握られ、思わず声が出そうになった。
 そして絵梨花は、握ったその手で、シュッ、シュッ…と扱き始める。
 息が整うにつれ、握力がさらに増し、扱くスピードもリズミカルになってきた。
 不思議なのは、こんな時でも走馬灯のように絵梨花と過ごしてきた夜の回想が浮かぶこと。
 付き合い始めた当初の恥じらいながら一生懸命してくれる手コキも好きだったし、だんだん手慣れてきて手首のスナップを利かせ始めた頃の手コキも好きだった。
 そしてまたある時には、男を悦ばせるテクニックの勉強と称し、痴女モノのAVを借りてきて二人で一緒に見たこともある。
(あん時も、結局、見ながらお互い興奮しちゃって、気付けば勉強なんてそっちのけで始めちゃったっけ…)
 そんな懐かしい思い出を、手コキをされながら思い出す情けなさ。
 やがて絵梨花は、ムクッと身体を起こすと、手に掴むイチモツに自ら口づけをし、先端をチロチロと舐め、そしてすっぽりと口に咥えた。
「んぐっ…んぐっ…♪
 と最後の夜も、いつもと変わらず、献身的なフェラを見せてくれる絵梨花。
 ここでもまた不意に走馬灯タイム…。
 付き合った当初の絵梨花はフェラチオという行為に消極的で、拝み倒すようにして頼まないとしてくれなかった。
 それがいつからか自然としてくれるようになり、今では舌フェラと口内フェラを巧みに使い分けるほどに。
(どっちも気持ちいいんだよな…でも、口の中で出したらめっちゃ怒られるからそこだけは要注意…) 
 と、それでケンカになった日のことまで思い出した。
 なおも、ジュポジュポと頬張る絵梨花。
 そこで、ふと、無防備になった乳首を指で弄ってやると、
「はふっ…♪んほぉッ…♪」
 と口内フェラしながら反応し、それが誘い水となって絵梨花の十八番であるパイズリへ。
 細身ながら目を見張る巨乳。
 感度抜群なことは既に先刻の愛撫でも証明されたが、このボリュームたっぷりの爆弾二つを使って肉棒を圧迫するのがこれまた心地よくてたまらない。

 むにゅっ…♪

 と、普通にしていても大きい胸を寄せて作った峡谷のような谷間で俺のイチモツを捕食。
 そこで、フェラでつけた唾液、そして先端から滲み出る我慢汁を乳房でこそぎ取り、擦り込んで潤滑油に変えてズリズリ摩擦する。
「あぁっ…え、絵梨花ぁッ…大好きだよ、それぇ…♪」
 と思わず自ら腰を振ってしまうぐらいの快感。
 俺の喜ぶ顔が見たいと言って、いつも健気におっぱいを揺すって励んでくれていたのを思い出す。
 ヌチャヌチャと谷間から奏でられる音とともに、
「はぁ…はぁ…♪」
 と漏れる吐息。
 ここまで来ると、あとは仕上げにハメるだけ。
 問題は、それが「○」か「×」かということ…。
(頼む、絵梨花…最後にもう一回だけ…もう一回だけ堪能させてくれ…!)
 そう願いながら、ゆっくり絵梨花の乳圧ホールドの中から竿を抜き取り、それを掴んで股ぐらへ…。
 放り出された脚の間のスペースを陣取り、濡れた秘貝に擦りつける。
「あっ、んんっ…♪」
 摩擦に反応し、脚を閉じかける絵梨花。
 閉じてきた脚は俺の腰がしっかりブロックし、なおもアイドリング素股でほぐしながら、
「絵梨花…最後にさ…中に挿れていい?」
 と聞く。
「……」
 初めての難色…返事がない。
 引き続き、
「…んっ、んっ…」
 と素股の摩擦には小さく反応するも、挿入の許可はなかなか明言してくれない。
(やっぱりダメか、さすがに…)
 とはいえ、最後に挿入一歩手前までさせてもらえただけでも感謝。
 もし俺が調子に乗って酔い潰れず、当初の強がりキャラをずっと貫いていたら、それこそ、キスすらしないでカッコだけつけて別れるつもりだったのだから。
(ありがとな、絵梨花…)
 と素股を止め、下ろしたパンツを上げようとすると、絵梨花が一言、

「最後だから…一回だけなら…」

(…!)
 上げかけたパンツを膝で止め、
「え、絵梨花…?いいの…?」
「一回だけね…ユースケがイッたらおしまい…それでいい?」
「も、もちろんッ…!」
 勢い込んで竿を掴み直した俺。
 もう一度、絵梨花の美マンにズリズリ擦りつけ、高める。
「あっ、あっ…♪」
「おぉ、ヌルヌル…♪」
 流れ出た愛液を頂き、竿全体をコーティング…そして先端を割れ目にあてがい、ゆっくりと絵梨花の中に押し込んでいった。
「んっ!あぁっ…く、くぅッ…んんッ…♪」
 顔を歪め、悶える絵梨花。
 これまで何回飛び込んだか分からない絵梨花の膣内。
 少しキツめの、締まり抜群の名器…。
 個人的には相性抜群だと思っていたが、この感触を味わえるのもこれが最後…。
(最後か…感慨深いな…)
 と思いながら、腰を動かし、突き挿れると、それに合わせて、
「あんっ、あんっ…♪お、大きいッ…最後までこんな大きいんだからぁッ…んんっ、あぁっ…♪」
 と、目を潤ませて鳴く絵梨花。
 彼女なりにも、これが最後のエッチだと思うと込み上げるものがあるようだ。
「絵梨花っ…!絵梨花ぁッ…!」
「ユースケっ…ユースケぇッ!」
 名を呼び合いながら繋がる二人。
 気付けば俺も、自然と涙が溢れ、視界が滲む。
 最後の最後で、こうして、もう一度、絵梨花に愛してもらえたのが嬉しい。
 その感謝を噛みしめるように深く腰を沈めて密着。
 キスをすると、絵梨花の舌も活発に動いてネチョネチョと絡んでくる。
「んっ、んっ、んっ…♪」
「あぁっ、え、絵梨花ッ…うぅっ…!」
 だんだんと近づく最後のフィニッシュ…。
 竿の根元まで熱いモノが上がってきたのを感じ、ラストスパート。

 パンっ、パンっ、パンっ…!

 と激しく腰を打ちつけると、一足先に絵梨花が、
「んんっ、あぁっ、イ、イクっ!イクぅッ!あぁっ、イっクぅぅッ♪」
 俺の身体にしがみついて今日イチの痙攣で果てた絵梨花。



 それに追いつくように、
「んっ、くっ…あぁっ、イ、イクっ…!イクっ…!おぉっ…!」
 勢いよく絵梨花の中から引っこ取ると同時に、

 ドピュッ、ドピュッ…♪

 感謝が量に反映されたのか、絵梨花のお腹の上におびただしい量の射精…。
 自分で扱いて最後の一滴まで搾り出し、燃え尽きたように放心状態の俺と、同じく余韻に浸って恍惚の表情で脱力した絵梨花。
 ともに、
「ハァ…ハァ…」
 と息が乱れ、お互いが本気で挑んだからこその疲弊。 
 そして最後は、まだ息が完全に整わないまま、
「はぁ…はぁ…絵梨花…ありがとう…」
 と、とにかくそれだけは先に言いたかった俺。
 最後の最後まであがいて見せたラストセックス。
 これでもう、俺には何の悔いもない…。

 ……

 それから約一ヶ月。
 年が明け、一人で退屈に過ごした年末年始も終わり、正月気分も抜けてきたある日。
 俺は成田空港に来ていた。
 理由は一つ。
 今日が、絵梨花のドイツ行き、出発の日だからだ。
 あの最後にデートした日の帰り際、絵梨花が出発日と飛行機の時間を教えてくれた。

「別に、しいて見送りに来てほしいってワケでもないけど…一応ね」

 という言い方だったので、俺も返事を濁した末、こうして一応、来てはみたが、今さら会って話すこともないし、ちょっと展望デッキから飛び立つ飛行機を一目見て帰るぐらいの気持ち。…だったが、やはり時間が近づくと未練たらしい男の悪い癖で、ついつい出発ロビーのあたりを覗きに行ってしまった。
 すると、 
(いた…!)
 ちょうど、あの部屋で見た大きなキャリーケースを提げた絵梨花が、同僚らしき女たちに見送られているところだった。
 遠目に見た絵梨花は、気持ち新たに新天地に挑む晴れやかな顔に見えた。
 そして仲間たちに別れを告げ、搭乗口へと消えていく絵梨花。
 すぐさま展望ロビーに移動して待っていると、しばらくして、絵梨花を見送っていた女たちの集団もゾロゾロとやってきて一緒に滑走路を眺める。
「あ!あれだよ、多分!」
「え?どれどれ?」
「違うよ、真夏。あっちだって」
 と並んでいる飛行機をあれだこれだと指を差し、
「玲香ー!出発、何時だっけ?
「10時15分!…あれ?若月は?」
「喉乾いたから飲み物買ってから行くってさ」
「何だよ、アイツー。早く来ないと飛んじゃうよ」
 とガヤガヤ賑やかな連中。
 その一団から少し離れて滑走路を眺めていると、時刻が来て、絵梨花の乗った飛行機が滑走路に入り、離陸に向けて目の前を疾走しだした。
 それに合わせて、
「生ちゃーん!元気でねーっ!」
「また連絡するからねーっ!
「帰ってくる時はお土産よろしくーっ!
 と口々に声を上げる同僚の女たち
 俺は一人で来ていたし、ああやって声を張り上げるのは恥ずかしいので、心の中で今までの感謝と、そして新天地ドイツでの活躍を静かに願い、デッキを後にした。
 そして、
(コーヒーでも飲んで帰るとするか)
 と空港内をうつろいていると、ふいに、

「○○ユースケ様、○○ユースケ様…お伝えしたいことがございます。いらっしゃいましたらサービスカウンターまでお越しください」

 と放送で名前を呼ばれた。
(伝えたいこと…?何だ…?)
 心当たりが全くないまま、サービスカウンターへ。
「あのー、さっき放送で呼ばれた者なんですけど…」
 と声をかけると、係員は二コリと笑って、
「先ほど出発したドイツ行きの便に搭乗された生田絵梨花様から伝言のメモをお預かりしておりますのでお渡しします」
 と一枚のメモを渡してくれた。
(絵梨花から伝言…?会ってもないのに…?)
 首を傾げつつ、開いて見てみると、そこには確かに絵梨花の筆跡で、

<わざわざ見送りに来てくれてありがとう。同僚がいっぱいいて近寄り辛くしてごめんね。でも、遠目にだけどチラッと見えて嬉しかった。今まで本当にありがとう。ユースケと過ごした時間、ずっと忘れないよ。さようなら>

 さすが女捜査官、遠巻きに眺めていたのもちゃんと見えていたらしい。
(本当に俺は、いい彼女に出会えたんだな…)
 改めてそれを実感しながら、俺は、そのメモを大事にポケットにしまい、帰路についた。


(おわり)

鰹のたたき(塩) ( 2022/12/25(日) 05:15 )