1.悪魔の遊び心
与田が拷問に屈して快楽堕ちした裏で、もう一人、この邸の中で同じく拷問にかけられた女がいた。
彼女の名は伊藤理々杏。
与田とともにこの邸に潜入し、鮫島と対峙するも敗れ、捕らわれてしまった。
地下室で行われた与田への拷問は過激を極めたが、一方、別の部屋で行われた理々杏への拷問も、それに勝るとも劣らない過激さで展開されていた。
ただし、その“過激”の意味合いが少し違う。
これは、伊藤理々杏が経験した拷問の記録である。
……
遡ること、数時間。
目を覚ました時、理々杏は下着姿にされていた。
(くっ…いつのまに!)
慌てて隠そうにも、両手は手錠をかけられて天井から吊るされ、脚も開いた状態で固定されて「人」の字で拘束されている格好だ。
そして…。
(え?…な、何これ!?)
上のブラは自前のものだが、下は違った。
いや、自前の白のパンティの上から、さらに一枚、紐の細いパンツを履かされていた。
そしてそのパンツの股間の部分には男性器を模した張型がついていた。
困惑しているところに、先ほどの男、鮫島が現れた。
「気がついたか」
男は、理々杏の元へ歩み寄り、
「伊藤理々杏…だな?」
と言った。
本部での会議の際、自分たち個々の名前や素性も既に相手に知られている可能性があると言っていたが、その通りだったようだ。
「陽動作戦とはなかなか気の利いたことをやるじゃないか。体術にも自信があるようだし、なかなか勇猛果敢なヤツだ」
「お前みたいな悪党に褒められても嬉しくはない!」
「ほぅ、気が強いな。そうこなくちゃ面白くない」
「ふん。…それより、これは何の真似だ!?」
理々杏は、自身の股間につけられた張型に目線を落として聞いた。
「ククク…」
鮫島は不敵に笑うと、突然、グッと理々杏の顎を掴み、
「伊藤理々杏。何やら噂によると、お前…“僕っ娘”なんだってなぁ?」
(…!!)
「そう聞いたから、気を利かせて股にチンコを生やしてやったんだ。怒鳴りつけるより、まず感謝してもらいたいな」
「バ、バカにしやがって…!」
「まぁ、怒るな。お前みたいな珍しい女と出会えたのも何かの縁だ。せっかくだから、お前の拷問には、ちょっと遊び心を加えてやろうと思ってな」
「遊び心…だと?」
「今からお前に特殊な催眠をかける。その張型とお前の性感を連動させ、お前にオトコの快楽をたっぷり味わってもらうというものだ」
「なっ…!」
「そして、お前のその擬似チンコを責め、快楽へと誘う相手は…」
そう言って、鮫島は二人の女を連れてきた。
理々杏は思わず目を見開いた。
「美月…!美波…!」
現れたのは先に囚われの身となっていた山下美月、梅澤美波の二人だった。
齋藤飛鳥の身体で見たものと同じサソリの刺青が二人の身体にも刻まれていた。
「貴様…!よくも二人を…!」
怒りに震える理々杏。
しかし、当の二人は、そんな怒りよりも、理々杏の股に生えた張型を終始うっとりとした目で見つめ、今にも飛びついてきそうだった。
「ククク…どうだ?再会した仲間が二人がかりで気持ちよくしてくれるんだ。楽しみだろう?」
「ふ、ふざけるな!」
理々杏は身体を揺すって抵抗するが、拘束具はびくともしない。
「さぁ、催眠をかけてやる。まもなくお前の身体は男となる。そして、仲間に快楽を与えられて堕ちていくんだ」
「や、やめろ!そんなのやだっ!…やめろ!やめろぉぉぉ!!」
理々杏の絶叫が部屋に響いた。